DDX-101 金剛

登録日:2019/04/05 Fri 20:19:55
更新日:2024/02/05 Mon 11:24:02
所要時間:約 8 分で読めます





概要

DDX-101 金剛」とは、コトブキヤが展開するプラモデルシリーズ「フレームアームズ」の一つ。

フレズヴェルク、ウィルバーナイン、バルチャーに次ぐ可変機で、艦船型の巡航形態へと変形する水陸両用機。
本項目では系列機種も取り扱う。



目次



DDX-101 金剛


月面戦争終結後、T結晶への対応を巡り 技術復興連盟 (G.A.F(ガフ))と R.V.L.T へと分離した防衛機構は、その激突を深めていった。
そしてガフとの戦力差が大きい事、ヤクトファルクスを戦線投入してきた事に喘いだリベルタは、極東の旧防衛機構施設に廃棄されていた「FAらしき残骸」を元にして新たなFA建造に着手する。

この残骸はもともと「DD-01」という開発コードが与えられた、FAという兵器が開発されるよりも更に以前、戦争最初期の段階で発案されたフレームアーキテクト強化案の一つだった。
それは対アントに留まらず、降下艇の迎撃をも視野に入れた防空迎撃機能「イージスシステム」を搭載し、更に地球上の広域をカバーするべく洋上の運用すらも可能とする巡航形態を搭載した、当時としては前衛的ともいえる高い汎用性を備えた代物だったのである。

しかしDD-01は完成寸前で開発が凍結されるという憂き目に遭い、実際に月との戦争で日の目を見ることは無かった。
既に述べた通り汎用を通り越して万能に近いDD-01のスペックは製造コストを跳ね上げ、かつ生産性や整備性も相応に犠牲になっていたのだ。
当時、侵攻が始まってから開発に着手した都合上時間の猶予は少なく、トドメに数も揃えなければならないとあっては「対アント戦を充分こなせ、かつ量を確保できる機体」を求めた防衛機構の判断も、致し方ないところかもしれない*1

尤も実際には戦争は長期化し、やがて月側がFAを送り込んで来るという事態にまで至った。やっぱこの組織色々とダメダメなんじゃ
…もちろんこれは結果論であり、当時の防衛機構首脳陣の判断を責められるものではないが。

時は流れ月面戦争終結後、DD-01はリベルタの手で現行技術を盛り込まれ復活を遂げる。
そうして生まれ変わったDD-01には、その先見性の高さと、当時の技術陣に対する敬意を込め、新たに「DDX-101 金剛」の名が与えられることになった。
更なる改良を加えたイージスシステムによって対多数戦闘において戦果を示し、更に洋上から侵攻できるという特性によって、当時ガフの警戒が薄かった欧州におけるリベルタの拠点確保に大きな貢献を果たすこととなる。

機体としては、イージスシステムと多種火機による優秀な迎撃性能及び対多数戦闘能力と、海上、地上双方で活動可能な高い戦術性を有する反面、生産性や運用面では課題が残されていたとされている。
またイージスシステムは一極集中によるバランスの悪化を防ぐべく多数のユニットを分散配置する構成になっており、上半身を中心とする機体の大型化にもつながっている。
加えて武装選択のシークエンスを挟むため標的を定めてから攻撃実行までに若干のタイムラグが発生するという弱点があり、武装が射撃系統に偏っている事もあって一対一の近接戦は不得手。
ゼルフィカール/GAとの戦闘時にはその点を突かれ終始劣勢を強いられることとなった。


◇武装
  • M-YN20
旧式の試作装備を転用し、改良した光学兵器。このような装備になったのはリベルタの懐事情が芳しくなく、一から製作する事が難しかったため。
消費エネルギーが大きく、使用する際は内臓のバッテリーに加えて本体からのエネルギー供給も必要とするが、その威力は非常に高い。
取り回しに優れない程の大きさであり、通常戦闘においては使い勝手は悪いとされる。

  • エイジスプラットフォーム(九四式単装速射砲・CIWS(掃射砲)・マイクロミサイル(VLS))
イージスシステムと連動して動作する各種兵装及びそれを搭載するシールド。巡航形態時は甲板に相当する部位になる。
多数の目標を同時に補足可能という特徴を持ち、本機の対多数戦闘能力を高める事に一役買っている。

金剛の戦術性の根幹を為す兵装であり、これが損傷・破壊されるとその戦闘能力は大幅に落ち込むことになる。
更に言うと本来DD-01を構築していた試作ユニットをそのまま流用した物で予備パーツの調達が難しく、結果損傷した場合修繕もままならなくなってしまうという汎用兵器としては欠陥品もいいとこの代物。
そんな物でも戦線に投入されている所に、リベルタの懐事情の厳しさを窺い知れる。

  • 巡航形態
脚部を後ろに回し、背面と脚部の装甲を組み合わせる事で巡航形態に変形する。この形状は当時のDD-01の意匠を大きく残しているらしい。
装甲内部に存在するスクリューによって推進する。
底面が存在せず脚部が水面に直に接触する為そのままだと水没しそうだが、実際は脚部に搭載されたスラストアーマーの技術を応用した浮力発生装置「フロートモーター」によって問題なく水面に浮かぶ事ができる。またこの形態をとらずとも水上での活動自体は可能な様子である。
フロートモーターは地上でのスラスターとして用いる事も可能。


◇キット
2018年11月発売。定価7800円。デザイナーはバーゼラルド以来6年振りとなる柳瀬敬之氏。
箱サイズが大きいため、今までとはレイアウトが変わった新たな窓付きのパッケージとなっている。

成型色は白、赤、薄赤、赤土色、濃いグレー。アイセンサーはクリアグリーン。またハンドパーツはバーゼラルド、レイファルクスと同様にフレームアーキテクトデザイン稿のディティールが反映された仕様。
随所に艦船を彷彿とさせる意匠が盛り込まれており、中でも胴体は艦橋を思い起こさせるデザイン。
大型化したという設定通り、複数のパーツを噛ませることでフレームアーキテクトの長さを延長しており、白虎ほどではないが従来機よりも大きい。肘関節部分もアーキテクトの物ではなく専用造形である。

色分けに関しては武装がほぼ単色成型であることを除けば優秀。
一方可動域は全体的に狭め。特に肩は殆ど外転させる事が出来ない。

巡航形態への変形はパーツの取り外しの指示があるが、パーツを付ける位置は変わらない為、頑張れば差し替え無しで変形が可能。手漕ぎボートとか言うなし
装甲を接続するアームや肘関節など、一部にABS製パーツが使われている為塗装の際は注意したい。

コトブキヤショップ購入特典はフレームアームズのロゴがプリントされたニューフライングベース。




CVX-83 出雲


トンクワン・ベース 奪還作戦において発生したエイジスプラットフォームの損傷を受けて改修された金剛。
従来の多種火器を活かした拠点攻略機から、複数の無人爆撃機(UAV)〈翔角〉を巧みに操る長距離支援機へと機体特性を変質させており、巡航形態の様相はさながら空母。
このことで「CVX-83 出雲」という型番と名称が新たに付与された。

その性質上本機は巡航形態での運用がメインとなっている為、シールドを二枚に増やし装甲を追加して防御力を向上。
フロートモーターは重量増加に対応するべくバッテリーの増設と出力強化の改修が施され、航続距離も改善された。
またソフトウェアの改良に伴い脚部と背面の艤装をパージして「軽装モード」となる機構を新たに搭載。
軽量化も合わさって、金剛が苦手としていた高機動戦闘をある程度こなせるようになっている。


◇武装
  • 八式標的機〈翔角〉
FAにおいては初となる遠隔操作式の無人攻撃機で*2、外見は現実のステルス爆撃機に垂直翼を追加したような形状の全翼機。
基本的には右肩に接続された大型シールドに懸架されるようだが、左腕の小型シールドに取り付ける事も出来る。
内蔵した機関砲とミサイルによる射撃の他、爆装したままコレ自体をミサイルとして体当たりさせる等の運用が可能。
複数の翔角を操り単一の機体で多角的な攻め手を構築できる事が、出雲最大の特徴と言える。

元々月面戦争初期、CC209年代*3に使用されていたが月面の戦力増強に伴い単体では有効性を失って運用されなくなり、多数残存したまま終戦を迎えてしまった。
同様の経緯を持ちながら戦後すぐに運用目的を見出された 二三式誘導弾 とは違い、リベルタでも確保したは良いものの持て余していたとのこと。
操作システムを積む必要上通常のFAでは搭載すること自体が難しかったが、金剛のイージスシステムを制御に利用する事で実装にまで漕ぎ着けた。

  • IR-X18CC
M-YN20同様、金剛用に調達された長距離レールガン。出雲ではこちらを標準装備としている。

  • CIWS
破壊されたエイジスプラットフォームの残骸から流用したもの。
左腕のシールド裏に設置されており、巡航形態時は後部甲板の裏側に収納される。


◇キット
2020年11月発売。定価9000円。

成型色は金剛と同じ。
金剛から武装と細部の装甲デザインを変更。シールドも二枚になり、さらに大型のキットに。
追加シールドによって巡航形態時に後ろ部分も隠れるようになったため、金剛に比べると艦船っぽさが増している。
更に空母甲板をイメージしたマーキングデカールが付属。
何気に機関砲(CIWS)の接続が3ミリ軸に変わっている為ミキシングもやりやすくなった。
翔角は合計4つ付属し、専用のアダプタを使用すればフライングベースでも展示できる。

コトブキヤショップではフレームアームズおよびモデリングサポートグッズ(M.S.G)購入時のキャンペーンとして翔角が配布(期間は出雲発売開始時からなくなるまで)。個数は5000円につき4個。




余談
  • リベルタが発見した時点でDD-01は全体の約40パーセントが欠損しており完全な再現は不可能であったため、基礎設計のみを流用し、独自に用意したパーツで欠損部位を補い再構築したという。資金面で苦しいはずのリベルタがどうやってこの「独自に用意したパーツ」を賄ったかは不明。

  • DD-01自体はお蔵入りとなってしまったが、その開発経験は「アーキテクトに既存兵器の性質を付加する」という後のFA開発の基礎となる理論を確立し、やがて轟雷及びスティレット、ひいては他の全FAの開発へと繋がっていく事となった。
    つまりフレームアームズの開発はDD-01から始まったと言っても過言ではなく、結果として本機はFAとしては後発でありながら「原初のFA」ともいえる存在となっている。

  • 艦船モチーフという点からも第二次世界大戦で活躍した大日本帝国の同名の高速戦艦を想起させる金剛だが、迎撃任務を得意とするその機体特性はむしろ自衛隊が所有する護衛艦「こんごう」を彷彿とさせる。
    同様に出雲も、帝国海軍の装甲巡洋艦「出雲」ではなく、自衛隊のヘリ空母「いずも」の方がモチーフとしては近い。

  • 本キットの発売によって、柳瀬敬之氏デザインのフレームアームズは陸海空を取りそろえたことになる(轟雷、スティレット、金剛)。バーゼラルドは宇宙ということにしておこう


追記・修正、お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • コトブキヤ
  • フレームアームズ
  • DD-01
  • DDX-101
  • CVX-83
  • 金剛
  • 出雲
  • 艦船
  • 可変機
  • 水陸両用
  • 柳瀬敬之
  • 原初のFA

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月05日 11:24

*1 このあたりの事情は、輝鎚の原型となった「試作二八式」が同様の理由で廃案とされたあたりからもうかがえる

*2 攻性兵器に限定しなければ、ラピエールの「スポッター」が存在している

*3 取説の文脈から、第一次降下艇群が飛来したCC209年2月〜FAが初投入された同年10月前後と思われる