CardWirth

登録日:2019/08/12 (月) 14:03:01
更新日:2023/10/02 Mon 15:54:29
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「おやあんたたち、その貼り紙に興味はあるのかね」

CardWirth(カードワース、CW)とは、groupAskが開発したフリーのコンピュータRPGである。
元々大学のTRPG仲間であった赤塚、斉藤、倉貫氏らが集って開発されたゲームで、コンセプトや中心的な開発は斉藤氏、グラフィック・音楽を赤塚、サイト運営、エディタ開発を倉貫という分担で開発、98年に発表された。

2000年頃にブームを起こし、しばらくして鎮静化するも2013年に再び再燃、2019年現在でもユーザー達によりシナリオが作成・配布されている。
CWをエンジョイしているユーザー達は「ワーシスト」と呼ばれている。

現在の主なエンジンは
groupAsk official fansiteがgroupAskから引き継いだ未完成のエンジンを改良したver.1.28からver1.30、
新たに作り直したエンジンを採用したver1.50、
派生エンジンとして独自改造されたCardWirthNext、
Pythonを用いて一から開発されたCardWirthPyの四つがある。


世界観

CWの世界観は基本的に中世ヨーロッパの様な雰囲気をした舞台である。
あくまでこれは基本的であるうえ、絶対でもないため、
シナリオ作者次第では唐突にSFチックになったり、宇宙に昇ったりすることがたまにある。
これは初期はフリーのゲーム作成ツールとみなしている人もいたため、中には自作の専用キャラを配布して、そのキャラで自作のシナリオをしてほしいという人もいた。

ただし元々開発メンバーの三人がソード・ワールドのプレイヤーだったため、ASK製(いわゆる公式)の作品にはそれらの影響が見て取れる。
異種族などは非公式エンジンでならば設定可能だが、元々人間種族前提で有ったためバランスなどは調整が難しい。

さらに"CardWirthをまったく別の世界観で楽しもう"というコンセプトで開発された「バリアント」を用いれば、
現代や学園生活、普段エネミーとして登場する妖魔側としてプレイする事も可能である。

ゲーム概要

前述の様にCardWirthはRPGである。が、見た目はDRPGに近い。
コアなゲーマーならファルコムのダイナソアに似ているといえばピンと来るかも?

しかし一般的なRPGとは異なり、レベルはあってもHPやステータス値が明確に記載されてはおらず、HPゲージの減り具合や後述する適正アイコンで大雑把なステータスを判断したり、
カード型UIが主に使用される事、そしてシナリオはユーザー達が作成した物をダウンロードして遊ぶのが特徴。

もちろん、シナリオを自作して遊ぶ事もできる。
プレイヤーは冒険者が宿泊している宿を作成し、さらに冒険者を複数作成してパーティを結成、そこから用意したシナリオを選択してプレイする事になる。

・宿作成

所謂プレイヤーデータ。ここでクリアしたシナリオは別のパーティに変更してもクリア済みのままなので注意。
再プレイする場合は別の宿で遊ぶ、ユーティリティモードを使う、エディタを使う等といった方法を取ることになる。
偶にこれを逆手にとってギミックとして搭載するシナリオもあるので侮れない。(例:シナリオ内で起きた事件について、他のシナリオの酒場の客が噂話をする。など)

作成時に宿の名前を付ける事になるが、宿の名前はシナリオで実際に語られる事もあるため、適当な宿の名前を付けると雰囲気が台無しになったりする。
宿の亭主や冒険者、その他のキャラがプレイヤーが適当に付けた名前を冒険者の宿として読む光景はなんともいえないのでちゃんとした名前をつけてあげよう。

・冒険者及びパーティ作成

宿がプレイヤーデータならこちらはキャラクターデータ。
実際に操作するのは最大で6人までだが、作成できる数はそれ以上。
名前と性別と年代*1はもちろん、キャラクターの容姿(=顔グラフィック)と冒険者の素質(所謂戦士タイプや盗賊タイプといった物)、
その冒険者の特徴を表す「特性*2」を設定する事で完成する。
キャラクターの容姿は初期から用意されるものとは別に、プレイヤーが用意した物を設定する事も可能。ワーシスト絵師の方々が素材として配布しているので、ダウンロードして使わせていただく事もできる。そしてNPCと顔が被って混乱したりする。

設定した素質によりその冒険者がどのようなキャラクターになるのかがおおまかに設定されるが、付与した特性次第で性能が変わる事もある。
特性次第では盗賊タイプである万能型なのに高いHPのおかげでパーティのタンク役と化す、なんてことも。

なお、作成済みの冒険者が宿に存在する場合、その冒険者を親として選択する事も可能。
冒険者を親として選択する事で極稀に特殊型と呼ばれる素質を持ったキャラクターが作成されることも…
ただし選択できる冒険者は若者以上の者のみ。
子供に子供を作らせるなんて業の深いことはできないのだ… 暴走したワーシストが子供に子供を作らせるシナリオ作ってたりするけど

また、シナリオのギミックで、NPCを宿に連れ込み、冒険者として使うことができるシステムもあろ。某所では数多の美少女と愛し合った末に宿に連れ込むスケコマシ冒険者の姿が確認できる。

ちなみに現在のシナリオをプレイ中にキャンプメニューから中断する事で、いったん宿のメニューに戻ることができる。
この間、シナリオは中断状態となり、他のパーティで挑むことができなくなる。
が、この状態を逆手にとってこれまたギミックとして搭載するシナリオがたまに存在したりする。
恐るべしワーシスト…

・アイテムカード&技能カード&召喚獣カード

冒険者はシナリオ攻略中、時折シナリオ内で用意された様々なアイテムを得たり、技能を習得したり、召喚獣を召喚したりする。
これらは全てカードとして表現され、実際にキャンプメニューの荷物袋から取り出して冒険者に装備したり、なんらかの効果で召喚獣が付与されたりする。
装備するだけなら基本的にどの様な冒険者でも問題はないが、ちゃんと扱いきれるとは限らない。

特徴の一つとしてカードワースではこれらのカードに、TRPGのような効果設定を疑似的に再現できる「キーコード」機能が搭載されている事である。
例えばCRPGでは移動中魔法と戦闘中魔法が分けられているが、TRPGではどんな状況でも習得した魔法やアイテムは使用可能となっており、状況に応じて効果が発動することがある。(炎の魔法を一時的な明かりとしたり、体を温めるために使用できる)
が、カードワースではこれらを「キーコード」として最大5つまで設定可能であり、前述したように炎の魔法に「炎による攻撃」「遠距離攻撃」等のキーコードを設定することにより、(シナリオで対応していれば)前述したように寒いとペナルティが有るシナリオや遠くからの不意打ち等、様々な場面で思わぬ効果を発揮することがある。可燃物だらけの所で炎による攻撃を使うと冒険者たちが丸焼けになるなどの負のギミックも。
その他有名所に「鑑定(対象を詳しく調べる。宝箱の罠を発見する)」「解錠(鍵や罠を解除する)」「眠り(敵、特に見張りなどを眠らせる)」「治療(怪我人を治す)」などがある。


これらのカードには効果の数値が明確に記載されておらず、その性能の内容は基本的にカードに記されている解説を見る、エディタで覗き見する、実際に使う等で確かめる必要がある。
カードには適正アイコン、そして技能カードには適正レベルが設定されており、適正がよくなければ適正アイコンの輝きが消え、本来の性能を発揮できず、
冒険者のレベルがカードの適正レベルと比べて低いと使用回数が減少し、最悪の場合は使用時に不発するなんてこともある。
逆に適正の高い冒険者だと適正アイコンの輝きが増し、使用すると効果が強化されたり、レベルが適正レベルより上ならば使用回数が上昇したりする。

適正アイコンは冒険者の作成時に選択した素質と特性とカードに設定されている要求能力によって輝き具合が変動する。
これらのカードは適した冒険者に持たせるのがベストだが、あえて適してない冒険者に装備させる事も可能。

最終的にどうするかはプレイヤー次第である。
ちなみにエディタを使えば自作のスキルを作成することもできる。
一工夫すればお気に入りのうちの子専用のカードを作る事も夢ではないのだ。

・シナリオ

CWの目玉システム。
CWのシナリオのほとんどはCW用やフリーの素材等を利用してCWユーザー達が作成しており、プレイヤーは様々な場所からそれらをダウンロードし、
シナリオフォルダに投下、そこからゲーム画面で選択する事で作成した冒険者と共にシナリオを遊ぶ事ができる。

元々TRPGの強い影響下にあるカードワースだが、ASKは世界観はユーザー各々で作ってくれて構わないというスタンスだったため、いわゆるルールブックのようにしっかりとした解説やデータ等は存在しないため、報酬やストーリーのノリ等は作者ごとに大きく異なる。

シナリオの配布はTwitterやVector、groupAsk official fansiteのギルドや個人ブログ、さらにVIP等の一部のスレといった場所で行われている。
シナリオ作者や配布場所によってシナリオの作風が大きく異なる為、気になる人はシナリオをダウンロードする前に事前に調べておくように。

ちなみに今は亡きYahoo!ジオシティーズにもシナリオ配布が行われていたが、サービス終了に伴い、配布されていたシナリオのダウンロードもできなくなっている。
基本的にアーカイブにあるか、作者が再配布しない限り、獲得は無理なのでこうなった場合は素直にあきらめよう。
あとシナリオの二次配布は使用している素材元の作者の規約やシナリオ作者の規約などによって原則禁止されているので、よかれと思って再配布なんてしないように。

キャラクター

基本的にCWはフリーゲームであり、登場するキャラクターもシナリオによって千差万別*3である。そのため、全て書き上げる事は(項目作成ルール的な意味でも)難しい。
ここでは公式シナリオ等で登場し、尚且つユーザー自作シナリオでもよく見かけるキャラクターを記載する。
  • 宿の亭主
公式シナリオにて登場する宿の亭主。
ワーシストが思い浮かぶCWの看板キャラクターといえばこの人。ワーシストと冒険者からには「親父」「親父さん」「あのハゲ」と呼ばれて親しまれている。

公式シナリオではハゲている事以外はこれといった背景のないキャラクターだったが、様々なユーザーによって個性が付け加えられ、
最終的にはCWの看板キャラクターへと登り詰め、ワーシスト達に愛されるキャラクターになった。
基本的に冒険者の面倒を見るおやっさんポジションだが、シナリオによっては元冒険者という背景があったり、ハゲネタで弄られたり、脅威のツケ回収者になったり、
彼と戦闘する事になったり、神になったりする。
  • 宿の娘
宿の亭主がCWの看板キャラクターなら、こちらはCWの看板娘。
ワーシストと冒険者からは大体「娘さん」と呼ばれている。

こちらもただの背景のないキャラクター…というかそもそも、公式シナリオにすら登場していないキャラクターである。
しかしこの人もワーシストによってさまざまな個性を付け加えられ、愛されるキャラクターになった。
宿の亭主との関係性はシナリオによって異なり、親子関係だったり、ただの雇い主と従業員関係だったりする。
  • ダスキン・モップ
公式シナリオ『奇塊』にて登場するNPC。リューン清掃局調査班の一員であり、とある事情で冒険者に依頼する事になる。
ワーシストからは「ダスキン」だったり「モップ」だったり、彼がよく口にしていた「ビンゴ」とかで呼ばれたりする。

公式シナリオである『奇塊』はそのストーリーの展開が他の公式シナリオに比較してネタに走っており、これらのストーリーと問題アイテムであるロケットランチャーこと「鋼鉄の箱」、
そして登場モンスターである「ビホルダー」と共にワーシスト達に強い印象を残し、CWになんでもありという方向性を決定づけさせた。
  • カナン王
公式シナリオ『賢者の選択』にて登場する老人のNPC。
とある事情で罠にハマってしまった冒険者と遭遇、事態の打破を要する彼らに一時的に協力する事になる。
公式シナリオで登場するキャラクターの中ではぶっちぎりで高いレベルと能力値を誇る凶悪NPC。

そのキャラクター性と『賢者の選択』のシナリオ展開は様々なワーシストに多大な影響を与えており、ユーザー作成のシナリオでは彼の存在がストーリーにて示されたり、
彼がもたらした「カナンの魔剣」を所持していると追加イベントが発生したりするといった要素などが多々あった。
まぁネタシナリオではボケたおじいちゃんとして登場する事もあったりするが。

用語

その他よく使われる言葉など。

  • 交易都市リューン
公式唯一の店シナリオであり、スキルやアイテムが買える。
ここのスキルでシナリオの戦闘バランスを取ることを「リューン準拠」と言ったりもする。
多くのシナリオであるとないとで自由度が大きく変わる盗賊スキル「盗賊の目」「盗賊の手」、
非常に便利な全体睡眠「眠りの雲」、必中の魔法技能の基礎「魔法の矢」などデフォルトシナリオと侮る事なかれ、有用なスキルは非常に多い。
まずはここで冒険の下地をこしらえるのが駆け出し冒険者の一歩とも言っても過言ではない。*4
公式で設定されている都市は他にもあるが、やはり店シナリオになるほど中心的存在になっているのと、後述の通りPC達の拠点が基本的にこの辺りにあるので舞台として扱われやすく、
結果、シナリオをやればやるほど大小関わらず事件の発生率が跳ねあがる。そしてその気になればそれを全て一つの冒険者パーティが解決している事になったりもする。

  • 冒険者の宿
ハゲ親父が経営する冒険者たちの拠点。大量のPCと連れ込みNPCで脳内設定がアホみたいにでかくなるのは誰もが通る道。
かつてはリューンにあると設定されることが多かったが、「シナリオ『交易都市リューン』スタート時の『リューンの街に到着した』というメッセージ」「別シナリオの『リューンの門が見える、我々は帰ってきた』という旨のメッセージ」等から、リューン近郊の集落にあるのではないかという説も有力。

  • 掌破
交易都市リューンで買えるスキル。気功スキルの一種で、手のひらからの気弾で敵を打ち据える。
スキルレベル1で、物理攻撃無効の敵を攻撃できて、魔法と違い詠唱も不要(バッドステータス「沈黙」時も使用可能という意味)。
…と書けば有用そうだが、要詠唱だが威力が倍近い「魔法の矢」、スキルレベル3で左とほぼ同威力の「居合斬り」、物理攻撃無効のゴースト系含むアンデッドを問答無用で一掃できる「亡者退散」などに押されて、役立たずスキルの烙印を押されている可哀想な子。
あまりの不遇さ故に、カルト的人気があり、派生スキルが作られたり、スキル所有時にボーナスがあるギミックが搭載されたりしている。

  • フォウ
交易都市リューンで買えるレベル7スキル「光精召喚」で召喚される光の精。輝く鳥の姿をしている。特に元ネタらしきもののない、groupAskのオリジナル精霊。
効果は、「毎ターン冒険者一人の精神異常系バッドステータス(眠り、混乱など)を解除する」というもの。
この効果が「同レベルスキルで召喚される毎ターン攻撃のサラマンダーや毎ターン回復のウンディーネといった競合相手」「一人づつランダムで解除される不確かさ」「『勇猛』という、有用*5な精神異常を解除してしまう」等からこれまた掌破同様の役立たず扱い。
ワーシストの間では、「焼き鳥の材料」呼ばわりされている。


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最終更新:2023年10月02日 15:54

*1 「子供、若者、大人、老人」の4種。具体的に何歳を指すのかは公式で明言されておらず、解釈は人それぞれ

*2 秀麗or醜悪、冷静沈着or猪突猛進、楽観的or悲観的など24対48項目から選択。なお、「どちらでもない」も選択可

*3 groupaskが作った物以外は、シナリオも素材も全部二次創作物である為

*4 配布店シナリオではあまり多くないLv1用スキルの品揃えが用意されているのも即している

*5 手札に攻撃カードとスキルカードだけが配布され防御カードが配布されない状態。ガンガン攻めたい際に有効