信長名鑑

登録日:2019/11/22 Fri 23:39:12
更新日:2024/02/06 Tue 10:55:34
所要時間:約 6 分で読めます




織豊時代から、現代まで、
様々な容姿で、様々な役割を持ち
創作物の中で活躍する
織田信長を探しに行こう。


信長名鑑(しんちょうめいかん)』とは、2019年11月14日に太田出版より刊行された、姫川榴弾氏による書籍である。


概要

一言で言うならば、日本のカルチャー史における「織田信長」を総まとめした書籍。
古くは戦国時代、新しきは令和時代まで、ゲーム・漫画・アニメ・小説・ゆるキャラetc...といった作品群に登場した「織田信長」を、実に585作品、703名収録した、まさに労作と言っても過言でない一冊。
主人公、あるいは悪役としてメイン格で扱われた作品は勿論のこと、チョイ役に留まった作品まで数多く網羅されており、そのボリュームは圧巻。

元々は、姫川榴弾氏が運営するサークル「ちはたん」より、2017年12月31日のコミックマーケット93にて同人誌として頒布された作品で、その当時は織田信長の収録数も388人であったが、商業書籍化に際して同人時代には手付かずであった少女向けノベル等のジャンルも拾われ、結果として更なるボリュームアップがなされる事となった。
当初は2019年6月発売予定であったが、結果的に5ヶ月の延期を経て発売されている。

表紙イラストは、ライトノベル『織田信奈の野望』の挿絵を担当した、みやま零氏が担当。
また、同人誌版のイラストを担当した氷田成上氏も、カバー裏の漫画執筆という形で参加している。

具体的な構成としては、一ページに概ね4キャラ分の枠で「織田信長」が紹介されており、流石に文字数制限故に深い掘り下げこそないものの、キャラクター単体に対する最低限の解説はしっかりと割かれており、読者がまだ見知らぬ作品に興味を持つのに役立てている。
また、キャラクター解説以外にも、創作作品における「織田信長」の役割やキャラクター性の傾向、その他色々な事柄に関するコラムも充実しており、数々の作品の中で「織田信長」がどのように弄られていったかキャラクター性のバリエーションを豊かにしていったかなども知る事が可能。

その他、詳しい云々は『信長名鑑』本誌に譲るとして、興味を僅かでも持ったのであれば是非とも書籍を読んでもらいたい。
暴虐の魔王か、戦国のカリスマか、普通のオッサンか、はたまた美少女か……
500年もの時を経て「信長」像がどのように推移していったのか、果たしてまだ見知らぬ信長公に出会うことが出来るのか、歴史モノを題材とした創作のファンであれば絶対楽しめること間違いないだろう。


調査対象のルール


<調査対象とした織田信長作品>

  • 戦国時代から2019年8月上旬までに発表・公開されたもの
よって、それ以降に発表された作品については、以下のルールに該当していても未掲載となる。

  • 歴史上の織田信長そのものとして描かれたキャラクターが登場する作品
  • 歴史上の織田信長をイメージしたキャラクターが登場する作品
  • 作品の劇中劇などで織田信長に扮装したキャラクターが登場する作品
基準は(特に2番目は)割と寛容で、史実上の織田信長本人でなく「信長モチーフの現代人」「信長の子孫・転生体」なども多く取り扱われている。
とは言え何が何でもOKという訳でも無く、『魔神英雄伝ワタル2』の尾羅ノムナガみたいな「名前くらいしか共通点の無いキャラ」などは著者の判断で掲載を見送ったと明言されている。

  • 織田信長のキャラクターを示したビジュアルが存在する作品
このルールの都合上、挿絵やイラストの類がない一般小説は殆どが調査対象外。
例えライトノベルやジュニア向け小説であっても、信長本人の挿絵が無ければ掲載はされない。
ただし、例外的に太田牛一が記した『信長公記』のみ、史実上の信長を語る上で決して外せない資料との判断から、特例として「NO IMAGE」扱いで掲載されている。

<調査対象としたジャンル>

肖像画、浮世絵、漫画、アニメ、ゲーム(パッケージタイトル・業務用・アイテム課金型基本無料ゲームなど)、ライトノベル、パチンコ&パチスロ、特撮番組、ゆるキャラ、各種企画など。
なお、各種作品の対象年齢は問わず、児童向けから成人向けタイトルまで、全てを網羅している。

<調査対象とした織田信長キャラクターについて>


  • 同一のキャラクターであっても、スピンオフ、メディアミックス展開、コラボ企画などで元作品とは異なる世界観や役割が与えられた場合、別キャラクターとしてカウントした。
例を挙げれば『戦国コレクション』の原作とアニメ版、『鬼武者』と『鬼武者soul』など。

  • 織田信長との関連性が作中で示されていなくても、織田信長の要素を強く持つキャラクターは織田信長としてカウントした。

  • 織田信長の要素を「能力」としてのみ使うキャラクターはカウントせず。
仮面ライダーゴースト』の「仮面ライダースペクター ノブナガ魂」は掲載されている。
作中ではノブナガゴースト*1単体が一つのキャラクターとして扱われているにも拘わらず、フォーム名義で記載されているのは、恐らく「仮面ライダーの変身システムの一部として組み込まれたキャラクター」という点を考慮した結果と思われる。

  • 転生時に別の姿に変わっているものは便宜上別キャラクターとしてカウントした。

  • 主にスマートフォン向けゲームにて、同一のキャラクターであっても、ゲームの進行に応じて大胆に姿・性格が変わる場合は便宜上別キャラクターとしてカウントした。
  • 主にソーシャルカードゲームにて、絵柄の左右反転、露出・装飾の変化など、軽微な変化しか見られないキャラクターはカウントせず。
主に作品数に対してキャラ数が100以上多い理由がほぼこれ
一つのソーシャルゲームが複数の織田信長を輩出していると判断されているケースがかなり多い。7人の織田信長でオール信長総進撃したゲームとか。

<調査対象外としたジャンル>

詳しくは以下の通り、主に「実写映像作品」や「挿絵がない小説作品」の類が対象外。
著者の姫川榴弾氏は「(自身が)それらのジャンルに対する知識がなく、扱ったとしてもお粗末な結果にしかならないだろう」と、対象外の作品群を取り扱わなった理由を自身のSNSで言及している。

  • 実写映像作品(大河ドラマ・時代劇など)
特撮作品は例外とされているが、書籍で扱われているのは実質『仮面ライダーゴースト』のノブナガ魂のみ(『MOVIE大戦CORE』のノブナガは選外)。
AV女優が出演した実写ブラウザゲーム『戦国愛撫 ~CHIGIRI~』は写真付きで扱われているため、肖像権絡みの都合は恐らく無いと推測される。

  • キャラクターイラストが掲載されていない小説
仮想戦記小説『超潜空戦艦「信長」出撃』*2など、挿絵がなくとも表紙に「信長」に該当する存在が描かれていればこの限りではない。
また『戦国の長嶋巨人軍』や『妖怪アパートの優雅な日常』など、漫画やアニメといったメディアミックス媒体の方で信長の肖像が書かれているものについては、そちら基準で掲載されているものもある。

  • 各種歴史研究書
所謂「学習漫画」の類も多くが未掲載。


その他、書籍掲載のルールでは明言されていないが、

  • 日本国外の創作作品
『ニンジャバットマン』は掲載されているが、日本製作のアニメ映画のためセーフだと思われる。

  • 雑誌などに掲載後、単行本収録がなされていない連載作品・読切作品
いわゆる物理書籍に収録されず、電子書籍orWEBで無料公開された作品についても見落とされた作品が多い。

  • 映像ソフト収録・配信などによる視聴手段が2019年現在ない映像作品

……などについても掲載が見送られた節がうかがえる。


掲載漏れした織田信長

上記のルールに反しない範疇で、書籍掲載されなかった「織田信長」キャラをここに掲載する。
書籍のコラムにおいても、所謂「サービス終了したソーシャルゲーム」については、各種資料や有志のWikiを参考にした部分が強く、情報自体が残ってなかったために掲載漏れしたものが恐らくあるだろうと言及されている。
書籍自体、2010年代以降のキャラクターで過半数が占められている事もあり、それ以前に発表されたキャラクター(特に出典がプレミア化しているもの)だと幾つか取りこぼしが散見される。

肖像・浮世絵類

  • 織田信長木像(大徳寺総見院、1583年)
所蔵されている大徳寺総見院は信長の菩提寺の一つ。
本能寺の変で信長の遺体が見つからなかったため、秀吉は信長に似た木像を2体作らせ、1体を荼毘に付した。
その木像は香木で作られていたため、京都の町中に芳香が漂ったという。

  • 織田信長初陣図(個人蔵、江戸時代)
1547年(天文16年)、今川義元が尾張領へと侵攻。
この時信長が若干14歳で初陣を飾った。
その姿は「紅筋が入った頭巾と馬乗りの羽織、馬鎧」であったと伝わる。
画像では若衆髷の美少年に描かれている。

  • 小田春永(和漢百物語、1865年)
無残絵や妖怪画で知られる浮世絵師・月岡芳年の連作の一枚。
大坂妙国寺のソテツを信長が安土城に植え替えたところ、
ソテツが夜な夜な「妙国寺へ帰ろう」と喋ったので元に戻したという言い伝えを描いたもの。

漫画

  • 織田信長(どんぐり行進曲、1959年)
手塚治虫による漫画作品。
戦後の日本を舞台に、一般人の少年・木下藤吉郎を当初は苛めながらも和解する立場のガキ大将として登場。
桶狭間の戦いと本能寺の変もパロディとして盛り込まれている。

  • 織田信長(風雲児 黒田官兵衛 蛟竜、1965年)
横山光輝の漫画作品。
秀吉に仕える前の黒田官兵衛を主役とした物語で、信長は知将タイプの慎重派な武将として登場。

  • 織田信長(仮面の忍者 赤影、1966年)
特撮ドラマ版も人気を博した横山光輝の漫画作品。
出番は週刊少年サンデー版の第一部ラストでほんの僅か(具体的には2コマ)ではあるがしっかりと登場している。
著者のツイートによると、(信長が登場した)本漫画についてはコミックが見つからなかったとのこと。

  • 織田信長(黒の獅子、1978年)
永井豪の漫画作品。
白い宇宙からの侵略者「白魔」の傀儡として戦国の世の統一を目論むという役割。

宮下あきらの漫画作品。
戦国時代の回想シーンに登場し、魔修羅(ヴィラン側)とつながっていたので瑪羅門(ヒーロー側)に操られて自らの意思に反して謀反を起こした明智光秀により討ち取られた。

石川賢の漫画作品。
天下統一を目論んで黄金城を追う立ち位置。

石川賢のライフワークとも言える漫画作品で、未収録なのは読切『忍法・本能寺 果心居士の妖術』の部分に登場した信長。
同じく虚無戦記に編入された『邪鬼王爆烈』の信長は載ってたのに……

同じく石川賢の漫画。
物語後半で柳生十兵衛がタイムスリップの旅の最中に織田信長と接触、桶狭間で勝利を掴むための秘策を伝える一幕がある。

  • 織田信長(華の神剣組、2001年)
『突撃!パッパラ隊』の松沢夏樹による剣劇アクション漫画。
戦国時代の回想シーンに登場。日本の闇に住まう「鬼」の王から遣わされた明智光秀に唆され、鬼と対立する仏教寺院を焼き払うが、次第にコントロールできなくなり鬼にも牙を剥くようになったため光秀に討たれる。
仏の力も鬼の力も必要としない「鬼すら恐れさせた男」。なお出番は1コマ

  • 織田信長(前田利家、2007年)
永井豪の漫画作品。
タイトル通り前田利家が主役であり、信長は敵役として登場する。

  • 織田信長(明智光秀、2008年)
岡村賢二の漫画作品。
タイトル通り明智光秀が主役で、本作の信長は冷徹で手段を選ばない覇王タイプの敵役。

  • 織田信長(それゆけ昔ばなし~ず、2009年)
毎日小学生新聞に連載されていたあそべやすおの昔話ギャグ漫画。
ブサイクな明智光秀をイジメていたため恨みを買っていた。
最初明智は信長が本能寺にいる事を知らなかったが、本能寺の変を止めようとタイムスリップしてきた三太郎(桃太郎、浦島太郎、金太郎)の余計なタレコミによりそれを知り、三太郎を言いくるめて史実通り信長を討ち果たした。
書籍化はされていないが、作者のブログで読むことが可能。

  • 織田信長(恋愛怪談サヨコさん、2010年)
関崎俊三の漫画。
コミックス第7巻収録のエピソードでサヨコに憑依する霊として登場。
作中ゲストの役者が想像するイメージ上の信長が漫画チックにカッコよく描かれてるのに対し、
実際にサヨコに憑依した本物の信長の霊は史実上の肖像画そのままな見た目で描かれている。ある意味本物信長の先駆け

  • 織田信長(戦国おもしろ草紙、2011年)
そらあすかの漫画。
信長の幼少期から本能寺の変辺りまでを題材に扱ったギャグ4コマ漫画で、信長も作風に合わせてややお惚け気味。

  • 織田信長(徳川家康、年代不明)
山岡荘八の小説作品を原作とした横山光輝の漫画で、タイトル通り徳川家康の一代記。
姫川榴弾氏は本漫画の信長初登場シーンについて「割と上位にランクインしそうなうつけ描写」と評している。

アニメ

  • 天魔信長(バトルスピリッツ烈火魂、2015年)
バトスピアニメシリーズの1作。
戦国時代と武将がモチーフになっており、信長は主人公の師匠兼ラスボス。

ゲーム

  • 完熟大将軍ノブナーガ(半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!、1992年)
ボスキャラの1体。
上半身は戦国武将らしい比較的オーソドックスな信長、下半身は蛇という姿をしている。

その他

  • 信長張斬(超時空烈伝 真空路守、1990年)
「真空路守」と書いてマクロス、「張斬」と書いてバルキリーと読む。
簡単に言えば武者ガンダムのマクロス版。信長張斬はVF-1S(ロイ・フォッカースペシャル)をモチーフとしている。
現在は他の張斬共々プレミア価格で取引される希少なプラモデル。
ちなみに本家武者ガンダムの「織田信長頑駄無」は比較的近年の商品ということもあってか掲載されている。


追記・修正は、本書籍に未収録の織田信長を発見した方がお願いします。

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最終更新:2024年02月06日 10:55

*1 パーカーゴーストと呼ばれる存在の一つで織田信長の意志や記憶を引き継いでいる。これを着た状態が上記フォームに当たる。

*2 ただし、この『超潜空戦艦「信長」出撃』については、著者の姫川榴弾氏も自身のSNSで「本来なら選考外のジャンル」とコメントしており、あまりにもインパクトがあったため同人誌版の段階で取り扱い、そのまま商業版にも掲載されたという流れであった事を明かしている。