バ美肉

登録日:2020/01/29 Wed 03:42:00
更新日:2023/07/22 Sat 16:33:42
所要時間:約 6 分で読めます




バ美肉とはバーチャル美少女 (セルフ) 受肉の略称、つまりバーチャル空間において美少女のアバターを用いて活動することである。
この言葉を生み出したバーチャルYouTuber (以下VTuber) の魔王マグロナに倣い、狭義の意味では”バーチャル美少女に受肉した男性”こと”バ美肉おじさん”を意味する。
そのため2020年現在では”バ美肉”というだけで”バ美肉おじさん”を意味することも少なくない。
活動に当たって自身が男性であることを半ば公言していることから、バーチャルな空間では自身の性別を偽る(または異性である事を示唆する)「“ネカマ”」とは区別される。


【概要】

2017年末のVTuberブームに伴い、バ美肉という言葉が普及する以前からYouTubeなどの動画配信サイト上では”バーチャルな美少女のアバターを用いて配信活動をする男性”は存在していた。
2017年11月から約8ヶ月間活動していたいわゆるVTuber四天王*1の一角に数えられるバーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさんや、同年12月にYouTubeに進出し*22018年8月にキズナアイなどが参加しているVTuber支援プロジェクト『apd8(アップデート)』に参加していたのらきゃっと*3などである。
両者とも企業によらない*4いわゆる個人勢でこの当時からTwitter上で技術面の意見交換を行っていた。

2018年に数多くのバーチャルタレントが各企業ないしはグループ・個人でデビューする。
その個人勢の中には自らデザインしたアバターを用いてライブ2Dモデルを作成し配信者として活動を始めた人々がいた。
その中でも5月下旬に自らデザインしたアバターを使いVTuberとしての活動を始めたイラストレーターのリムコロ先生と巻羊先生*5=VTuber・りむとまきはデビュー翌日の配信にて自分たちを”バーチャル受肉”したと表現。
同日がTwitterにおけるバーチャル受肉という言葉の初出でもあり、りむとまきはバーチャル受肉の普及をスローガンに配信活動を行っていた。
この経緯から当初のバ美肉の定義は”配信者自らがアバターを用意した”こと、つまり”セルフ”要素が少なからぬウェイトを占めていた。
後にいわながちゃんふぇありすのようにアバター提供を受けて活動する著名なバ美肉おじさんが登場したことでこの認識は半ば形骸化したといえる。

りむとまきのデビューから間をおかない5月29日に魔王マグロナが配信活動を開始する。
マグロナちゃんはイラストレーターのukyo_rst先生が運営するVTuberで、翌月8日にりむとまきとのコラボで人狼をプレイした配信が”バ美肉”という言葉の初出である。
ちなみにマグロナちゃんにとってバ美肉というワードが席巻するのは不本意だったようで「こんなにかわいくない単語を広めるつもりはなかったんだよ」と後に述懐している。かわいい。
6月29日には兎鞠まりがVTuberとしての活動を開始。
まりちゃんもバ美肉おじさんの一人なのだが、彼女 (?) は特に2019年10月の配信より性別:おじさのこを自認するようになり2020年現在に至るまでこの呼び名を使っている。
なお6月末にりむとまきたちが開催した第2回バ美肉人狼には後述する名取さな*6も参加していた。
7月21日にはなんとにじさんじを運営するいちから株式会社のCOO (最高執行責任者) の岩永太貴氏が”いわながちゃん”としてYouTube上の活動を開始
以降は岩永氏の公式Twitterやにじさんじイベント等でも度々いわながちゃんとして活躍している。
VTuber運営企業のトップが受肉した例としては2020年現在他に株式会社Overidea(オーバーライディア)を運営するオバママ*7もいる。
また神楽めあをはじめ2020年時点で30人以上のバーチャルタレントをプロデュースし自身もVTuberとして活躍するParyi先生もそのひとり。

2018年秋頃からリアルイベントでもバ美肉の文言が見られるようになった。
ハロウィンにはなんと渋谷で『バ美肉ナイトクラブ』が開催され、マグロナちゃんとまりちゃん、竹花ノート先生の三名のおじさんが参加した。
このバ美肉ナイトクラブは好評のようで翌年の3月にも開催され、今度はマグロナちゃんたちをイメージした香水が発売されるに至った。おじさんやぞ~。
続く11月3・4日に東洋大学赤羽大キャンパスの学園祭で「VTuberトークセッション ~次のバ美肉は君だ~」なるイベントが実施され、マグロナちゃんとまりちゃん、ノート先生のおじさん三名に加えて名取の兄貴*8が出演していた。さすがCOO。

また初期からバ美肉おじさんたちを応援していた著名なVTuberとして名取さなが挙げられる。
彼女は2018年6月上旬にはTwitterにて「バ美肉おじさんたちが名取の癒しなんだよ・・・・・・・・・・・・・・」と語っている他、マグロナちゃんたちの配信のコメント欄に頻繁に姿を現していた。
後には”おじさんじCOO (クリエイティブおじさん堕とし)”を自認、バ美肉おじさんたちと他のVTuberや世間一般との活発な交流をリードしている。
元々はりむとまきやマグロナちゃんたちおじさんの内輪で使われていたバ美肉というワードをTwitter等で拡散したのもさなちゃんの功績のひとつといえる。

2020年1月にはとうとうNHKの番組でバ美肉おじさんが特集される
番組内ではバ美肉は枯山水のようにそこにないものをあるものとして感じる”見立ての文化”として紹介された。
人形浄瑠璃の黒子や歌舞伎の女形はバ美肉おじさんのご先祖様なのか……。


【バ美肉おじさんの分類?】

実は配信においてボイスチェンジャーを常用しているかどうかはバ美肉おじさんか否かの定義には関係ない
マグロナちゃんやまりちゃんたちは絶え間ない努力とボイスチェンジャーの独自改良によりかわいい女の子の声を生み出しているが、実際にはボイスチェンジャー無しで配信をしているおじさんたちも少なくない。
先述のりむとまきや「がんばれ♡がんばれ♡」で知られる漫画家・伊東ライフ先生、にじさんじの静凛*9や家長むぎ*10のキャラクターデザインを務めたパパさんママさんの竹花ノート先生、ふぇありすなどが後者に該当する。
……もっとも竹花先生はボイスチェンジャー無しで女声を出せる方で、他の普段おじさんの地声で活躍している配信者も日によってボイスチェンジャーを活用することがあるので絶対的な基準ではない。
またふぇありすもまたボイスチェンジャー無しで男声と女声を使い分けられる”両声類”である。


【バ美肉とイラストレーターの関係】

バ美肉そのものとは関係ないが、バ美肉という概念の発生と個人クリエイターのVTuber事業参入は関係が深いため補足する。
上記のように2020年現在知られるバ美肉おじさんには元々イラストレーターや動画制作者などクリエイティブな仕事に携わっている配信者が多い
そのため女性でもイラストレーターが自らデザインしたアバターを使いVTuberとして配信活動をすることがままある。
一際有名なのはホモライブのりおプロダクション”を掲げ犬山たまき・白雪みしろ・愛宮みるく*11をプロデュースしている漫画家・佃煮のりお先生だろうか。
他にもあにまーれハニストの姉妹ユニット・ブイアパに所属する鴨見カモミ先生や、自らデザインを手がけた大空スバルや前述のたまきくんなど多くの配信者とコラボを行うしぐれうい先生、雪丸仟や芦枝レンリ等といったVTuberのデザインを提供しつつ自身も「ぽちまる」としてVTuber活動する飯田ぽち。先生など、何人もの女性イラストレーターが活躍している。


追記・修正はバーチャル美少女セルフ受肉をしてお願いします。



この項目が面白かったなら……\やっほー/

+ タグ編集
  • タグ:
  • バーチャルYouTuber
  • VTuber
  • YouTube
  • YouTuber
  • バ美肉
  • バーチャル美少女受肉
  • バ美肉おじさん
  • おじさん
  • 地獄
  • 女体化
  • メス堕ち
  • ボイスチェンジャー
  • 個人勢
  • イラストレーター
  • 絵師
  • 見立て
  • 枯山水
  • 女形
  • クリエイター
  • 両声類
  • 企業勢
  • 配信
  • 動画
  • VRChat

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年07月22日 16:33

*1 2017年末に大きく話題となった5人のVTuberの俗称。ほとんどの場合キズナアイ、電脳少女シロ、ミライアカリ、輝夜月、バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさんの5名を指すが呼び方はおおむね四天王

*2 2017年4月にはすでに別の動画配信サイトを中心に活動を行っていた

*3 ただし、のらきゃっとをプロデュースするノラネコPとは、あくまでも別人という設定で活動している。

*4 apd8はあくまでもタレントを支援するのみにとどまるため、のらきゃっと以外にも個人勢のVTuberが多数参加していた

*5 巻羊先生はにじさんじ公式ライバーでびでび・でびる様のキャラクターデザインを務めたことでも知られる

*6 バーチャルサナトリウムに勤務するナースさん。個人勢VTuberとしては最古参のひとりでイベントや雑誌などへの出演が多い。なお本項目で何度も言及されているがさなちゃんはおじさんではない

*7 プロデュースしている小説家の名前からキョウカとも。公式サイトではVTuberではないとされているがイベントやコラボ配信に出演することがある

*8 さなちゃんはれっきとした女性だが敬意を表して"兄貴"と呼ばれることがある

*9 にじさんじ公式ライバー。月ノ美兎などとともに黎明期からにじさんじを支える配信者の一人。愛称は"しずりん先輩"

*10 にじさんじ公式ライバー。引きこもりの哲学少女

*11 両者ともたまきくんの妹としてデビューしたのりプロ所属のVTuber