嶋昇/タランチュラアンデッド

登録日:2020/03/22 Sun 04:41:25
更新日:2024/04/22 Mon 07:24:54
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風は色々なモノを運んでくる。

欲望、企み、戸惑い……恐れ。


(しま)(のぼる)とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダー剣』の登場人物である。
この項目では彼の正体であるタランチュラアンデッドについても記述する。

演:相澤一成




【概要】

現代において解放された不死生物アンデッドの一体。
53体のアンデッドの中で特に高い知能と戦闘能力を持つ12体の上級アンデッド、更にその中でも最高位の個体であるカテゴリーK(キング)に分類される存在で、全4体の中では最初に登場した。

普段は「嶋昇」と名乗る男性に化身しており、頭にターバン状の蒼い布を巻き、裾の長いグレーの上着を羽織った、異国情緒溢れる装いが目を引く。
更に初登場時には黒い丸眼鏡を付けた物凄く胡散臭い恰好をしていた。
劇中での主な呼び名は「嶋さん」であり、視聴者からの呼び方も大体これである。

「ナチュラル」という名のカナリアを飼っており、移動する時も鳥籠に入れて持ち運ぶなど、家族同然に扱っている。
また、ペットではないが、使用している旅行鞄には自身の眷属である無数の子蜘蛛が入っている。

高い身体能力に加え、が運んでくる「声」を聞く事が出来るという特技を持ち、右手人差し指に巻かれた赤い紐飾りによって風を感じ、遠くの出来事や人の感情を読み取れる。
更に上級アンデッドが持つマインドコントロール能力の応用か、他人の記憶に関する軽度の書き換えや、読み取った記憶を風に乗せ別の人物に伝えるといった芸当も可能である。

アンデッドは元来、他のアンデッドを全て倒してバトルファイトに生き残る、その為に戦う事を宿命付けられた存在であり、多くの者はその宿命と自身の本能に従い、闘争と破壊にのみ生きている。
だが、嶋自身は非常に落ち着いた温厚な人物で、他者を傷つける闘争そのものを嫌っており、同時に人間達がその心に秘める優しさ、愛情といった暖かな感情と、それによって紡がれる平和な営みに深い愛着を持っている。
そのため、他のアンデッドとの諍いを好まないだけでなく、公然と人間に肩入れし、助けとなる為なら自身の身を危険に曝す事も厭わないという、アンデッドの中では異端とも言える性質の持ち主となっている。
嶋自身、こういった自分のアンデッドとしての異常性について重々自覚しており、劇中でも、


本来アンデッドは、種の保存の為に戦う本能を持っている。
でも……私にはそれが無いのか、自ら戦う事は望まない。

そんな奴も、いるって事だ……。

と自嘲気味に語っている。
とはいえ、こう言いながらも他人の為に迷わず動いてしまうのは彼自身が確かな優しさを持っている事の証左でもある。

その朗らかで明るい人柄と行動によって、アンデッドと戦い続けてきた剣崎一真/仮面ライダーブレイド橘朔也/仮面ライダーギャレン達からも敬意に近い確かな信頼を勝ち得ており、
人間とアンデッドの架け橋とも言えるポジションである事から、アンデッドと人間の狭間にある相川始にも少なからず影響を与えた。
そして、アンデッドに心を蝕まれた少年・上城睦月/仮面ライダーレンゲルにはとりわけ強い関心と献身を見せた。

総じて、アンデッドが持つ人間性と対話の可能性、その象徴と呼べるキャラクターであり、登場期間はそう長くないものの、彼が他の登場人物達に与えた影響は計り知れない。
その人物像や行動、後述する怪人態のカッコよさ、そして所謂善玉怪人属性などから、他のカテゴリーK達ともまた違った人気を獲得している。



【劇中での活躍】

本編から2年余り前に起きた広瀬義人によるアンデッド解放事件の折に、他の多数のアンデッド達と共に現代に復活するが、アンデッド同士の争いの中に身を置く事を嫌った彼は日本を離れ、ラウズカード発掘の地であるチベットへと逃れていた。

その後はチベットで平穏に暮らしていたようだが、そこへ伊坂/ピーコックアンデッドの一件を経て、避難を兼ねてラウズカードやアンデッドに纏わる研究のため烏丸啓が来訪。
烏丸から自分が日本を離れている間にアンデッドだけでなく、彼らを止めようとする仮面ライダー達による戦いが繰り広げられてきた事を知らされると、
「戦いを止めるために自分も何かするべきなのではないか」と考え、烏丸の研究を手伝った後、ライダー達の助けとなるべく日本に来訪。

そして第26話にて、突然剣崎達のいる白井牧場を上記の胡散臭い恰好で訪問する。
ちなみにこの時、烏丸から聞いていた特徴から剣崎や広瀬栞の顔と名前を確認しているが、白井虎太郎の事は手に持っていた牛乳瓶で判別している。所長は一体どういう紹介したのだろう……

前触れなく現れた事で困惑する剣崎達にどう見ても合成背景の烏丸とのツーショット写真を見せ、彼の友人であると自己紹介すると、


アンデッドとの戦いに必要なのは何だ?

それは『心』だ。
烏丸所長から預かってきた言葉を言うぞ。

“逞しく()れ。そして怯む事(なか)れ。絶望の後には必ず希望が来る”。

という烏丸からの言葉を伝え、それを復唱させた。

それから嶋は白井牧場に滞在する事になるのだが、剣崎と2人きりで昼食を取った際、「どうすれば、あの象のアンデッドに勝てるんです?」という質問に対し、
「無いな。勝てる方法は無い」ときっぱり断じつつ、本項目冒頭の発言を述べている。
その際、剣崎から「怯んでたら、ライダーなんてやってられませんよ。俺は、みんなを守る為にヤツを倒したい。それしか考えてません」と反論されると、逆にこう返している。


風が言ってるよ。

“君は戦う事を自分に与えられた使命だとか義務だと考えている。それでは人は強くはなれない”。

“君を動かすモノは、もっと別の所にあるはずだ”。

それからハカランダを訪れて栗原親子と談笑した後、始とも顔を合わせるが、
彼が持つ奇妙な気配を察知した始/仮面ライダーカリスに勝負を挑まれ、止む無く応戦。
自身の正体であるタランチュラアンデッドへと変身し、を放ってカリスの動きを封じるも、現場にやってきた剣崎と虎太郎にその姿を見られてしまう。
その光景に剣崎達は警戒心を露わにするが、当の本人は「私は確かにアンデッドだが、私は君達と同じ様に、早くこの悍ましい戦いが終わればいいと思っている」と返し、彼らに協力する態度を変えなかった。
しかし、それまで伊坂を筆頭に、上級アンデッド達に煮え湯を飲まされてきた剣崎達から疑いの目を向けられる中、件のエレファントアンデッドが出現。
一先ず剣崎はそちらに向かうが、ライダー達の危機を予感した嶋も後を追い、現場に到着。
予想通りライダー達は圧倒され、残ったブレイドも追い詰められていたが、一切の手助けをしない嶋。
しかし、戦闘中逃げ遅れた少女を咄嗟に庇った事で、剣崎は先の嶋の問いに対する答えを見出す。


分かった…!

俺の体を動かすのは、義務とか使命なんかじゃない。そこにいる人を守りたいという想い…。

そうだ!人を愛しているから俺は戦っているんだ!

そうだ!それだよ、ブレイド!

その様子を見届けた嶋は烏丸から預かっていたラウズアブゾーバーを投げ渡し、ブレイドのパワーアップに貢献。
ジャックフォームという新たな力を得たブレイドは見事エレファントアンデッドを撃破・封印してみせたのだった。


それは烏丸所長が開発した……“ジャックフォーム”だ!

ブレイド ジャックフォーム…!

君にすぐ渡すのは簡単だった。だが、烏丸所長が必死になって研究し、完成させたものだ。
何かを掴んでから渡したかった……。

人を…愛してるから、戦う……?

使命や義務ではなく、な。

自分と烏丸の期待に応え、一皮剥けてくれた剣崎に嶋は自分の真意を伝え、それを理解した彼らに改めて仲間として迎えられた。
ちなみにこの戦闘の直後、橘にも自身の正体を見せているが、ちゃんと受け入れてもらえたようである。
「ボドボド時代なら一戦交えてそう」だとか言ってはいけない。

こうしてブレイドに新たな力を与え、強敵の打倒も為されたが、スパイダーアンデッドに再び支配され始めていた睦月が気掛かりだった嶋は程なくして風を通じて挑戦を受け、彼と対面して睦月の中のスパイダーアンデッドに彼を解放するよう訴えた*1が、
当然受け入れられる筈もなく、それどころかスパイダーアンデッドは再び睦月の体を乗っ取ってレンゲルに変身。
戦闘になるも、駆け付けたギャレンの攻撃によって睦月は正気に戻り、橘に任せて嶋はその場を後にした。
しかし、再び乗っ取られた睦月に攻撃された橘は負傷して入院する羽目になってしまう。

睦月の状態は重く見た嶋は、彼を何とか元に戻そうと、ある策を提案する。
それは「自分が封印されてレンゲルの影響下に入り、カテゴリーAの力を抑え込む」という、
成功すればカテゴリーAの力は大きく抑制される一方、失敗すれば睦月がカテゴリーAに完全に乗っ取られるという、嶋自身が封印される事を前提とした一か八かの危険過ぎる賭けであった。
当然、剣崎や橘、広瀬、虎太郎ら全員に反対されてしまうが、何とか睦月を救いたいと思う嶋は彼らにナチュラルを預けると黙って睦月の元へと向かい、彼を鼓舞しつつ、交戦。
しかし、一時的にでも睦月の意識を引っ張り出した状態で封印される必要があるにも拘わらず、睦月の心はカテゴリーAに飲み込まれたままであったため、一方的な攻撃に曝され続けるだけとなってしまう。
結局嶋の策は上手く行かず、駆け付けたブレイドの攻撃でレンゲルの変身が解除された事で何とかその場は封印されずに済んだ。

白井牧場に戻った後、黙って出ていった事を広瀬に咎められ、虎太郎からも心配されると自らの思いをこう打ち明ける。


放っとけないじゃないか、あの子を。
1人の若者がカテゴリーAに操られ、人格を破壊されてゆく…。そんな姿を黙って見ていられないよ……。

そして剣崎と広瀬から「そんな危険過ぎる賭けで嶋を失いたくはないし、睦月をこれ以上危険に晒したくない」「二度とこんな馬鹿な真似はしないで欲しい」と釘を刺されるも、睦月を心配する気持ちに変わりは無かった。
何か睦月の心を取り戻すヒントを得られればと考えた嶋は見舞いついでに橘や、睦月の頼みで橘を訪ねてきた山中望美など、
睦月と親しい人間に彼の事聞いて回る中、睦月を想う望美の心を知った嶋は、彼女の想いが彼を取り戻してくれるのではないかと希望を見出した。

また、途中自分の様子を見に来て立ち去ろうとしていた始に対し、彼の本当の名を口にして呼び止めつつ、人間に惹かれ近付きつつある事を指摘する。


もう帰るのかね?
もう少しゆっくりしてったらどうだ?……“ジョーカー”。

その名で俺を呼ぶな……。奴に封印されるつもりか?

…心配かね?

フッ、馬鹿な…。俺は心配など…。

だろうね。君にはどんな者にも負けないという自信がある。何故なら、君自身の存在が“最後の切札”だからね。
それで今、どういう気持ちだね?君はカテゴリー2を使い、徐々に人間に同化してっている。案外気持ちの良いもんだろ?人間の世界って。

俺はアンタの様に人間に媚びを売っては生きない。人間になど同化していない。

そうかな?君はあの親子を愛し始めている。同じように、睦月君にも大事な人がいる。
私はね、そういう『人を大切に思う気持ち』に触れると、堪らなくなるんだ。“何とかしてやりたい、救いたい”って……。

このお節介が私の弱点なんだよな、ナチュラル?

始に自分の本心を包み隠さず伝えた嶋は、今度は彼にナチュラルを預けると、再びカテゴリーAとの対決に赴く。
前回の戦いと同じくカテゴリーAに乗っ取られ、襲い掛かってくる睦月/レンゲルに対し、読み取っておいた望美の想いを乗せた風を放ち続けて彼の意識を目覚めさせようと試みるが、
カテゴリーAの支配は強く、睦月の意識を呼び覚まし切れないままダメージを受け続ける事になる。
最早前回の二の舞になりつつあったが、睦月の心を救うには一刻の猶予も無い状況の中、始から話を聞いて再び駆け付けたブレイドを背後から攻撃して振り払い、戦い続けるタランチュラアンデッド。
そしてとうとうブリザードクラッシュを発動させるレンゲルだったが―――


……望美!

今だ!

ブリザードクラッシュが命中する寸前、望美の声が届いた睦月は意識を取り戻し、それを察知したタランチュラアンデッドはその蹴りに自ら飛び込んで攻撃を受け、爆炎に包まれた。
蓄積したダメージにより、アンデッドバックルが開かれたタランチュラアンデッドは嶋とアンデッドの姿を行き来しつつ、自らの封印を促す。


私を封印しろ……。チャンスを逃すな。
世の中を平和にしたいんだろ?正義の為に戦いたいんだろう!?

封印しろ……!早く!!

レンゲルはその言葉に従ってプロパーブランク・♣Kを投げ、胸元に突き刺さったそのカードに吸収されていく嶋。
いつもと変わらぬ優しい微笑みを浮かべながら満足そうに頷くと、♣K・EVOLUTIONのカードとして封印されたのだった。

……結果から言うと嶋は睦月を完全に解放する事は出来なかったが、封印された嶋が抗い続けた事でカテゴリーAの干渉力は弱まり、以前のように睦月の意識を押しのけてカテゴリーAが表に出てくる事はなくなった。
そして、一度は悪の道に走ってしまった睦月はもの凄く長い迷走期を要したものの徐々に生来の優しさを取り戻し、落ち着いていく。
また、嶋の封印と時を同じくして逃げ出したナチュラルは彼のカードを追うように睦月のアジトに現れており、これが橘や望美が睦月と再会する切っ掛けにもなっている。

……そして物語の終わりが見えてきた第42話。

ティターンのアンデッドポイズンを受け、活性化したカテゴリーAに同化されかけ暴走した睦月が封印したばかりのカテゴリーQ・城光/タイガーアンデッドのカードと橘のラウズアブゾーバー、そして嶋のカードを使ってキングフォームになろうとした時……


ブレイド、俺のキングフォームを見ろ……!

Absorb Queen!

Evolution King!

嶋は同じく睦月の解放を願う光と協力し、アブゾーバーで開放された力を使って睦月の肉体からスパイダーアンデッドを分離させる事に成功。


やあ。久しぶりだね、睦月君。

あなたは……?

やっと私の力を使いこなしてくれた……。彼女のおかげだ。

……俺はどうなったんですか?

君を……カテゴリーAの呪縛から解放する。

光と共に睦月の精神世界に現れた嶋はそう宣言すると、現実世界でスパイダーアンデッドと対峙した睦月に不安定ながらもタランチュラアンデッドとしての自身の姿と力を貸し、彼の戦いをサポートする。
そして格闘の末、睦月はブレイド キングフォームから投げ渡されたキングラウザーを一閃させ、自身の手でスパイダーアンデッドの完全封印に成功。
遂に睦月は呪縛から解放され、嶋と光の願いは果たされたのだった。

その後も嶋のカードは光のカードと共に睦月の手に残されるが、レンゲルの強化フォームやラウズアブゾーバーが存在しなかったため、残念ながらその後の戦闘に使われる事はなかった。
しかし、2人が睦月に与えた影響は計り知れず、「人間を傷付けず、他人の為に行動しようとするアンデッド」という嶋達の存在は、
彼にアンデッドとの共存の可能性を見出させ、金居/ギラファアンデッド、そして相川始/ジョーカーを信じさせる切っ掛けとなっていく。
前者には最終的な裏切られ、後者はやむを得ないとはいえ結局対立したというのは禁句

また、ジョーカーが勝ち残ったことによりダークローチが生み出され、世界の破滅が起こる中、剣崎の提案でテイピアリモートを使ってアンデッドを解放しようした際、睦月が真っ先に取り出したのは嶋のカードだった。
52体のアンデッドが封印され、バトルファイトが決した事でリモート自体が発動不能になっていた為にこの試みは失敗に終わってしまったが、
やはり睦月にとって一番に解放すべきアンデッドは恩人である彼だったという事なのだろう。



【タランチュラアンデッド】


そうか…。少し痛めつけてからでないと、『風の声』が聞こえないようだね……!

身長 223cm
体重 124kg
種族 アンデッド
生物モチーフ タランチュラ
スート クラブ
カテゴリー K(キング)
特色・力 人間への化身
鋭敏な感覚
左手から放つ
右腕の鉤爪
カード名 エボリューションタランチュラ
クリーチャーデザイン 韮沢靖
初登場回 『剣』第26話「俺を動かす力」


嶋の正体である上級アンデッド。
タランチュラの祖たる不死生物であり、スパイダーアンデッドと並ぶ『剣』の蜘蛛男枠怪人。
「クモ」というもっと巨大な括りのスパイダーアンデッドがいるのにこっちがタランチュラ限定になっている理由は不明。
一応レンゲルのモチーフはオニグモなので、スパイダーアンデッドもオニグモの始祖とかそんなところだろうか

種族的に近いスパイダーアンデッド同様、身体の各部にクモの足を模したパーツを持つのが特徴だが、
両肩から後方に向けて巨大なクモの足が生えており、胴体や脚部にもクモの足が繊維のように連なっている他、
更に右腕には長いクモの足が腕に沿うようにして生え、左手の指はクモの足のように長いなど、カテゴリーKらしく全体的にスパイダーアンデッド以上に攻撃的な姿形になっている。
また、頭部はスパイダーアンデッド同様に巨大なクモが覆い被さっているようなデザインだが、
上半分はオレンジがかった半透明のフードで覆われており、その下には歯を剝き出しにした髑髏の様な恐ろしい形相の顔を備えている。
ぶっちゃけ、本人の穏和な性格に反して全アンデッドの中でもトップクラスに凶悪な面構えである。

ボディのベースカラーは濃い青紫で、右半身から頭部は黒、左半身は青紫にオレンジ色を加えた、前述の攻撃的なビジュアルに負けないくらい毒々しいカラーリングとなっている。
その他、眉間、胸部、右肩、膝、足の甲などにスートの象徴であるクラブの意匠が施されている。

設定上は右腕にトゲ付きのワイヤーを備えており*2、右手から放つ糸で敵を捕らえ、そのまま左手や全身のトゲから分泌する猛毒を打ち込んで止めを刺すとされるが、
劇中ではそういった如何にもクモ怪人的な攻撃は対カリス戦での蜘蛛の糸による捕縛ぐらいであり、それ以外の戦闘では専ら格闘の他、風を操る攻撃を多用。
大抵は掌に旋風を纏わせ、それを衝撃波として相手にぶつける事で吹き飛ばす。その際、先述した風による記憶の伝達などを行う事も出来る。

嶋自身の性格や立ち位置の問題もあって本気で戦闘する機会が殆ど無かった為、『剣』本編に登場したカテゴリーKの中でも実力がイマイチ不明な部分もある。
とはいえ、そこはカテゴリーKらしく、人間態のままカリスの攻撃をあしらって傷付けずに戦闘不能に持ち込んだ他、突如出現したペッカーアンデッドにも余裕のある立ち回りを見せてあっさりと撃退するなど、戦闘能力自体は一般アンデッドとは比べものにならない。

なお、睦月がカテゴリーAとの対決で姿を借りた際には、アンデッドバックルがレンゲルバックルに置き換わっており、「あくまで睦月が変身したものである」という事が強調されている。
カテゴリーKと同調し、その力を借りているという意味では「上城睦月 キングフォーム」と言えるか。

ちなみにモチーフであるタランチュラも凶暴なイメージが付きまといがちだが、実際は温厚な性質のものも多く、不用意に刺激を与えなければ進んで攻撃してくる事はない。
嶋の性格も、このタランチュラの性質をよく表しているといえるかもしれない。



【派生作品におけるタランチュラアンデッド】

アルビノジョーカーの手で再解放されたアンデッドの一体として登場。
最後のカテゴリーKとして劇中後半に1人で出歩いていた禍木慎/仮面ライダーランスを狙って出現すると、一進一退の攻防を繰り広げた末、インパクトスタッブを打ち込まれて撃破・封印された。
しかし、封印直前に受けたタランチュラアンデッドの猛攻で消耗したランスは、その直後に現れたアルビノジョーカーの手で為す術無く命を奪われてしまっている。

映画本編では嶋としての人格は見られない単なる一怪人として暴れており、TV本編イメージとは全く異なる振る舞いだったためにファンから疑問に思われる事も多い。
恐らくはアルビノジョーカーの影響で凶暴化でもしていたのだろうか?
メタな事を言ってしまえば脚本の都合か、或いは劇場版の脚本を執筆していた頃にはまだ嶋さんが登場していなかったと思われるが。

レンゲルルートのボスキャラとして登場。声はTV本編同様に相澤氏が担当。
反撃必殺技は頭部から無数の子蜘蛛を放って敵を打ち抜く、止めの必殺技は手から旋風を発して敵を吹っ飛ばす、といった演出。
戦闘前会話などではTV本編同様に睦月にカテゴリーAの力を抑えるように語りかけている。



【余談】


  • 『剣』本編に登場した3体のカテゴリーKの中では唯一、同スートのカテゴリーAとのデザイン的な共有が無い*3
    また、デザインを担当した韮沢靖氏によると、元々タランチュラが好きだった事で筆が乗りやすかったようで、古傷と補修痕などを盛り込んだ歴戦の勇士的な趣になったらしく、異様に恐い顔もここら辺から来ているようである。
    『剣』本編ではそれとは真逆の温厚なキャラとなったが、「それはそれでギャップが生まれてドラマ的に印象深いアンデッドになって良かった」そうな。



風が言ってるよ。

“君は追記・修正する事を自分に与えられた使命だとか義務だと考えている。それでは項目は良くはなれない”。

“君を動かすモノは、もっと別の所にあるはずだ”。


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最終更新:2024年04月22日 07:24

*1 この時の両者の口ぶりから、一万年前のバトルファイトでも何らかの因縁があったものと思われる。

*2 ワイヤーを両腕に持って構えているスチールが存在する。

*3 ビートルとコーカサスビートルは同じ姿、スタッグビートルとギラファは設定上近い姿をしているとされる。『仮面ライダーディケイド』に登場したパラドキサアンデッドは「意図的にカリスからデザインを遠ざけた」との事。