パンドラ(遊戯王)

登録日:2020/05/01 Fri 18:15:48
更新日:2024/04/16 Tue 09:49:45
所要時間:約 11 分で読めます





ブラック・マジシャンの使い手はこの世に2人はいりません


「パンドラ」とは漫画遊☆戯☆王』のキャラクターである。




【概要】

レアカード強奪集団「グールズ」に所属するレアハンター。
組織内ではボスのマリクを除くとNo.2の実力者(ちなみにNo.1はリシド)。

派手な赤紫のスーツを纏い、顔には黒と水色の縞模様があしらわれた大きな仮面にシルクハットという、いかにもなマジシャン風の装いで、かつては奇術師として働いていたという。
別名「ブラック・マジシャン使いの奇術師」。
また、自身を「マスター・オブ・マジシャン」とも称する。

丁寧な言葉遣いだが、実際は冷酷非情。
勝利のためなら大切なカードを物理的に損壊させたり、自らのモンスターを犠牲にすることも厭わない*1性格。

他のグールズメンバーの例にもれずマリクの千年ロッドによる洗脳記憶操作を受けており、必要に応じて彼の傀儡となる。

なおマリク曰く、過去に二度強い自殺願望に駆られた時期があり、それぞれ溺愛していた母の死、奇術の失敗による恋人の死がきっかけだったとのこと。


【本編での行動】


「あなたは私のショーを楽しんでいただけるたった一人の観客…」

バトルシティ編にて、遊戯に対する2人目の刺客として登場。
カード屋で遊戯を待ち受けており、「同じブラック・マジシャン使いとして決着をつけたかった」と語りながら地下に招き入れる。
地下に設営された特設の決闘場で、負けた方が回転鋸で体を切り刻まれるデスゲームを仕掛ける。
なお原作では城之内レッドアイズが狙われたことから遊戯がグールズとの繋がりを見出したカード屋で待ち受けていたが、
アニメではピエロ*2によって対戦相手を探していた遊戯をサーカステントへ誘導しさらにそこに用意していた脱出マジックの箱で決闘の場所へ招待するという、やや回りくどい方法になっている。

決闘では様々なブラック・マジシャンのサポートカードを駆使して互角ないし一時は追い詰めるも、
散々イカサマやモンスターを無下に扱う彼に激怒した闇遊戯の出したブラック・マジシャン・ガールによって止めを刺された。

それでもイカサマで脱出しようとするが、彼の精神に入り込んだマリクに妨害され窮地に陥る。
だがすんでの所で表遊戯に救助され一命をとりとめるが*3、マリクに洗脳されて遊戯との会話の中継器となった後、物のついでに過去の自殺願望を思い出し自決するように記憶を操作されてしまう。
マリクが洗脳を切ったことで意識を失い気絶したが、その後の生死は不明である。

アニメでは流石に恋人や母の死を描写するのはまずかったのか、仮面の下に奇術の失敗でできた傷があることを語り、それが恋人・カトリーヌとの別れの原因となったとのこと。
その後マリクと出会い、配下になる代わりに恋人との復縁を約束させ遊戯に挑んでいた。
しかし全てはマリクの罠で、再会できると思っていた恋人の姿も洗脳による欺瞞で、パンドラ自身は体よく利用されていたに過ぎなかった。
自殺願望の描写は無くなったものの、結局マリクに利用されただけの悲しい悪役のように描かれていた。
恋人がデュエルを見に来ているという描写も追加されたが、実はそれはマリクによって用意された人形であり、敗北後に人形に笑いながら縋りつくパンドラは子安氏の怪演もあって寒気のするレベル。

その後、闇マリクVS戦の闇のゲーム(ダメージが入るごとに互いの記憶から特定の人物の存在が消滅する)にて闇マリクが持つ記憶の存在として登場するが、別にパンドラに思い入れも全くない闇マリクにとってパンドラの記憶などどうでもよく「とっとと消え去るがいい」の一言を残すのみだった。

GBAのゲーム『DM7』では原作通りカード屋の主人として登場し、敗北後は失踪。新しいカード屋からは田舎に帰ったと言われている。
アニメ後のストーリーとなる『DM8』では元気に生きており、ネオグールズに参加している。

【使用デッキ】

「ブラック・マジシャン」を切り札としたデッキを使用する。
他の切り札を多数投入している遊戯とは異なり、「ブラック・マジシャン」を徹底的にサポートするカードを投入している。
後に一部のカードはアニオリなどで遊戯も使用している。

漫画出身の決闘者としては珍しく、モンスター除去カードを多数投入している。
バトルシティではバーンカードや破壊カードは禁止されているようだが、グールズである彼はルール無視でデッキを組んでいたと思われる。
さすがにグールズNo.2の実力者だけあって、デッキとしての強さは闇遊戯も認めるほどだが、前述の通りモンスターへの非情さが敗北の原因となった。


マジシャンとしてのカードスキル
奇術師であるパンドラは(物理的に)カードを操る技術に長け、カードへの細工と巧みなシャッフルを合わせて自分の思い通りにカードを手札に加えている。
デッキを2つに分けてカードを反らし、端と端が重なるようにかみ合わせてまとめる形のシャッフルを行い
「ショットガンシャッフルはカードを傷めるぜ!」と闇遊戯に指摘される場面は有名なシーンの一つ。
OCGではこのパンドラのシャッフルシーンを元にした「ショット・ガン・シャッフル」も登場。
効果は1ターンに1度300ライフをコストに任意で自分か相手のデッキをシャッフルする永続魔法。

パンドラに対する闇遊戯の有名なセリフやOCGのイラストから、遊戯王ファンにはこのシャッフルがショット・ガン・シャッフルと思われているかもしれないが、
実際の所 このシャッフルをショット・ガン・シャッフルと呼ぶのは誤り 。一般的にこれは「リフルシャッフル」と呼ばれる方法(別名マシンガンシャッフル)。

本来のショット・ガン・シャッフルというのはカードをいくつか数を決めてカードを順番に置いていき、できたカードの山を混ぜ合わせる「ディールシャッフル」の別名である。
このディールシャッフルはカード大会でデッキ枚数を確認するために行われたりもする*4
ちなみに漫画やアニメでよくやっていたシャッフルは「ヒンズー(ヒンドゥー)シャッフル」と呼ばれる。
また2つに分けた山の端と端を押し付けて合わせ1つの山にする所謂横入れシャッフルこと「ファローシャッフル」でリフルシャッフルとほぼ同じ効果が得られる。

リフルシャッフルやファローシャッフル、ディールシャッフルはカードを1枚1枚動かせるため良く混ざる反面、カード配置に規則性がつけられるためイカサマが可能。
一方ヒンドゥーシャッフルはカードを塊で扱うためダマができてしまう可能性があり、またデッキの上半分だけを混ぜる形でこちらもイカサマが可能。
OCGの対戦時にはシャッフルを複数組み合わせ、公平を期すためにもお互いにデッキを交換して混ぜ合わせるのが一般的。
もちろん、作中で闇遊戯が指摘して行ったようにカットも併用される。

「ギャンブラーの間には古くからこんな諺があります…友達は信用すべし…だがカードだけはカットせよ…とね」


なお紙製のOCGでリフルシャッフルをやるとカードを痛めるどころかマジでカードが折れ曲がる危険があるので注意。(スリーブが傷付くので、スリーブを使っていてもやらないほうが良い)
もちろん他人のカードでやるなどもっての外。大会などでやろうものなら反則負けにされても文句は言えない。
どうしてもやりたい場合は捨てる覚悟のあるカードで実験してみよう。
OCGにこだわらないなら紙製のトランプやUNOなどでも一応可能だがカードを曲げてしまう可能性があるのは同じ。まあOCGよりは安価なので買い替えやすいだろうが。
きれいなリフルシャッフルを体験したいならばプラスチック製のトランプや、手品師や遊技場用にビニール加工されたトランプでやるとよい。

そしてパンドラはカードの識別のために様々な方法を用いているが、まぁ言うまでもなくOCGでは全て反則なので絶対使わないように。



  • ブラック・マジシャン
パンドラのエースモンスター。
遊戯の物と異なり邪悪な顔つきをしているが、イカサマでカードの隅を切られたり、生贄にされたりと扱いは不憫。
特に生贄にすると宣言された際には明らかに冷や汗を流して動揺しており、その不憫さが強調されている。
ちなみに3積みしている。
余談だが、二人目のパンドラブラック・マジシャンは微妙に顔つきが違い、やつれている。

なお、原作でのカード自体は遊戯のものと同じイラストであり、カラー版でも通常のブラック・マジシャンのカラーで色付けされている。
なんでソリッドビジョンの見た目が違うのかは不明。
メタ的に言えばデザインが一緒だと読者や視聴者が混乱するため作者の配慮だろう。

OCGではプレミアムパック4にパンドラバージョンのブラック・マジシャンが収録された。
通常のブラック・マジシャンとはパスワードも異なる特別仕様となっている。
光と闇の洗礼や超魔導剣士-ブラック・パラディンへの融合等に繋げると違和感がすごい
デュエルリンクスでもパンドラを使う場合このイラストのブラック・マジシャンしか切り札として認識しないというこだわり。
GBAのゲーム作品では絵違いブラック・マジシャンが収録されておらず、普通のブラマジを使っていることもあった。


  • 魔道化リジョン
ピノキオのような姿をしたモンスター。
出て早々に「洗脳-ブレイン・コントロール」で遊戯にコントロールを奪われ、生贄にされた。
後にOCG化し、魔法使い族の追加アドバンス召喚と魔法使い族通常モンスターのサーチ・サルベージ効果が与えられた。
GBシリーズのOCG準拠ではないルールのゲームでは3からバニラとして収録されていたOCG化されるまでかなりの時間を要したが、パスワードは対応しており入力することができる。


  • キラードール
人形のモンスター。
出て早々エクトプラズマーの生贄にされた。
OCGでは「怨念のキラードール」として登場し、後述のエクトプラズマーと相性のいいカードとなった。


  • 黒魔族復活の棺
相手と自分のモンスターを生贄にして魔法使い族を蘇生するカード。
ハンデスされた「ブラック・マジシャン」を復活させた。
生贄という破壊を上回る除去と蘇生を同時に行うというとんでもないカード。
後に遊戯も使用している。GX最終回では荒業でを呼んだ。
OCGでは生け贄ではなく墓地送りになったがデッキからの特殊召喚もできる。


  • 断頭台の惨劇
  • 闇への手招き
ノーコストでモンスター破壊というシンプルかつ強力な魔法カード達。
遊戯のプレイングで無効にされたもののパンドラはそれを見越して使用していた。
断頭台の惨劇はOCG化され、表示形式を変更したことをトリガーに守備表示限定の全体破壊を行う罠カードとなった。
扱いは面倒ではあるが爆発力はあるカードだったが、守備表示が存在しないリンクモンスターが登場してしまうという惨劇に見舞われた。
闇への手招きはゲーム版に登場、ノーコストで使える単体除去という強力なカードだった。


  • 千本ナイフ
モンスター全体除去カード。
だがこれはブラック・マジシャン専用カードなので規制されてない可能性がある。
OCGでは単体除去になり、アニメでもこの仕様になった。
これも後に遊戯が使用している。


  • 悪夢の十字架
相手の罠を無効にし、ブラック・マジシャンを行動不能にするカウンター罠。
効果がピンポイントすぎるので、グールズが独自開発したカードかもしれない。
その特殊性からか未だにOCG化されていない。

  • 封魔の矢
相手の伏せカードを封じるカード。
遊戯の伏せカードが罠だと警戒して使用し、ブラック・マジシャンの攻撃を確実に通しに行った。
アニメではあくまで伏せカードを封じるだけだったが、OCGでは表側のカードも封じられるようになっている。

  • エクトプラズマー
ある意味パンドラを象徴するカード(オカルトデッキ使いのバクラもアニメ等で使用することになるが)。
モンスター名を2種類指定し、そのモンスターを生贄にすることでその攻撃力の半分のダメージを与える。描写的には効果ダメージではなくモンスターの攻撃力を半分にして直接攻撃効果(とそのターン破壊される効果)を付与する感じである模様。
遊戯はこれは「モンスターとの絆を壊す」カードと批判していたが、自分も王国編でカタパルト・タートルで同じようなことをやっていたことはよく話題にされる。

また、お互いの場に同名カードがいればどちらも幽体化するので、ダメージを無効にできるという抜け道があるが、これをモンスターの意思のみで行ったこともよく話題になる。
一応ルール的にはパンドラ自身が言及していたように何の問題もないのだが……。

OCG版では毎ターン生贄を要求してダメージを与えるというテクニカルなカードとなっており、
アニメGXにて精霊のサイコショッカーが怨念のキラードールとのコンボで使用した。
そして後に、暗黒の魔王という新たな相棒が登場することになる。

余談だが、この時のパンドラの「モンスターを生贄にしたバーンフィニッシュ」は後年、とある爆撃機が現実で流行らせ、速攻で規制されることになった。
さらには後に環境の高速化に伴い多くのカードが禁止化。1ターン制限のついたエクトプラズマーは生き残っているという皮肉な現状に…


  • 悪魔の天秤
モンスターの数を同じになるように破壊するカード。
OCG化されていないが、「パイナップル爆弾」が似たような効果となっている。


  • 黒魔術のカーテン
ライフを半分にして黒魔族をリクルートするカード。
だが原作ではフィールド魔法だったため、効果がお互いに及び、かえって首を絞める結果になってしまう。
OCGでは通常魔法になり、ブラック・マジシャン限定のカードになった。アニメDMではOCG版を遊戯が使用している。
賢者の石とどっちが使いやすいかはお好みで。


【余談】


  • ブラック・マジシャン使いだが、弟子であるブラック・マジシャン・ガールのことは知らなかった模様。
    原作での「し…知らね~~」という独白は有名。
    残念(?)ながらアニメ版では「バカな…!魔術師使いのこの私ですら知らないカードがあるというのか!?!」という無難?な台詞となっていた。

    しかしその後のアニオリの乃亜編において、エロペンことBIG5の大瀧が「BMGがブラック・マジシャンと共に戦うのはデュエルモンスターズの常識」と発言したことで、ネタにされたりもしている。

  • 原作には上記の台詞以外にも「そんなモン聞こえましぇ~ん!」と言ったりなど、他人を小馬鹿にした何処か幼稚な部分を持ち合わせていた。
    アニメではそういったはっちゃけた部分は鳴りを潜めてしまったが、CV:子安氏の怪演のおかげで怪しくも威厳のあるキャラへ仕上がっている。変な言動が全く無くなったわけではないが…
    子安氏の「知らね~」を聞きたいならデュエルリンクスをレッツプレイ!

  • 遊戯と対戦した場所は彼らがデュエルディスクを受け取ったカードショップでここの店主はグールズの工作員であり、
    レッドアイズを持っていた城之内のレベルを改竄して出場可能にしていた。
    ちなみにバンデット・キースすら倒している彼が参加資格を持っていなかったのは社長の嫌がらせだと思われ、アニメ版ではわざわざ城之内の覧に「馬の骨」と追記していた*5
    グールズの構成員が最近配布されたばかりのデュエルディスクを入手できたのは彼の功績が大きいと思われる。
    因みに髪型が違う事や顎髭の有無*6からパンドラとこの店主は恐らく別人。

  • 演じる子安氏は、後にGXで重要キャラである斎王琢磨を演じることになる。


お、降りるぅ~!?誰がですぅ~?楽ちぃ~~!最高~~!
この追記・修正の緊張感…!あなたにも味あわせてあげたいですよ!

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最終更新:2024年04月16日 09:49

*1 もっとも、後者は他の決闘者もやっていることではあるが、遊戯たちの意見を纏めるとパンドラのやり方はモンスターへの敬意を忘れ、彼らの信頼を裏切ったことが悪い様子。

*2 パンドラが扮していたものか不明

*3 余談だが、闇遊戯はそのまま切られても見ているつもりととられかねない態度であり、遊戯に交代しなかった場合に助けたかどうかは不明。最も、光と闇の仮面戦を見ればわかるように闇遊戯は「グールズが本気でデスマッチなんてするつもりはない(実際パンドラもそのつもりだった)」と思っている節があるため脱出できないとわかれば助けた可能性も普通にある。(そもそもこの時点では表遊戯と思考を共有しているため、助けないつもりだったと断定するのは早計だろう。)

*4 例えば8つの山に分けてそれぞれ5枚以上になれば遊戯王のデッキ最低枚数である40枚は超えていることになる。

*5 その後の場面にて海馬はアニメでは実際に城之内に会った際に「まあいい」の一言で済ませたのに対して、原作では「オレの記憶では奴の決闘者レベルは2!!」「オレが奴と出くわした瞬間失格の宣言を下してやる!」と豪語していた。

*6 パンドラは七三に分けた長髪を後ろで束ねていて髭は生やしていないのに対して店主はバンダナで隠れる程度の短髪で髭を生やしている。