ザンザ(ゼノブレイド)

登録日:2020/06/08 Sun13:27:24
更新日:2024/04/20 Sat 10:12:21
所要時間:約 10 分で読めます



以下、ネタバレ注意


我が名はザンザ


我はここでそなたを待っていた




ザンザとは、ゲーム『ゼノブレイド』の登場人物である。
CV:谷口節


◇人物

他種族であるホムス、ハイエンター、ノポンが見上げるほどの体躯を持つ紫色の巨人。ハイエンターの皇帝、ソレアンによると太古に滅んだ巨人族の生き残りであるとのこと。

太古の昔、機神を切り裂く唯一無二の武器、モナドを打ち鍛え巨神とともに機神と闘った伝説の存在。
しかし、モナドの凄まじい力を前に恐れをなした古代ハイエンターの一族に封印を施され、巨神頭部にある監獄塔に永きに渡って幽閉されていた。
それゆえ、腕にはリング状の拘束具がつけられているほか、全身が呪印のような文様の線に覆われている。
しかし当の本人は封印されたことに対して特に気にするそぶりも無く淡々と自分の境遇を述べている。先祖が恐怖からこのような厳重な封印を施したことに衝撃を覚えるメリアに対しても「人とは概してそのようなものだ。学ばれよ ”新たなる”ハイエンターの指導者よ」、と特に恨み言を述べることはなかった。
また、封印されていようと自身が作り出したモナドとは感覚を共有しており、シュルク達のことはモナドを通して出会う前から知っていた。


◇活躍

シュルクが見た未来視(ビジョン)でその姿を見せる。
モナドの枷を外し、モナドの刃を弾く顔つきの機神兵(フェイス)をいともたやすく両断する様を見たことで、その力を得るべくシュルク達はハイエンターの領域にある監獄島に向かう。
実際に直接出会うのは未来視を見てから少し後のことであったが、先述の通りモナドを通して前からシュルク達の様子を把握していた。

ハイエンターの皇都アカモートが機神兵によって攻勢を受けた際、かねてより自身が機神兵に殺されることをアルヴィースの未来視で知っていたソレアンは独り、皇都を守るべくハイエンターの先人達が遺した防衛装置を起動させるために監獄島へ向かう。
装置の機動のため封印を解いた彼は、そこでザンザに相対する。そうしてザンザは少し遅れてやってきたシュルクとついに出逢い、モナドの枷---ヒトは切れないという枷を外そうとする。
しかし間一髪のところで黒のフェイスが放った槍(巨神界の生物に対して特攻を持つシロモノ)に貫かれ、斃されてしまう。
その後、白いフェイス、ネメシスと思念波で対話をする。
彼女はザンザの行いが悲劇を繰り返すモノであることを非難するが、彼らの念話はシュルクの怒りの攻撃によって中断される。
枷を外される前のモナドを持ってなんとかフェイス達に立ち向かうシュルク達であったが、やはりモナドは通じず劣勢となり、さらにはメリアをかばって黒のフェイスにソレアンが瀕死の重傷を負わされてしまう。フィオルンの時と同じくそうなる未来が見えていたのにまた目の前で命が奪われたことを悲しみ、悔やむシュルク。
しかしザンザの躰は形骸に過ぎず、すでに枷は外されていることを伝え、消滅する。

枷はそれを振るうものの意思
振るうがよい そなたの意のままに
斃したいと思う相手を念じ 力を−−−

解き放つのだ−−−

そしてシュルクは自らモナドの枷を外し、モナドの形状が変化する。その中心部にある水晶体にはその剣が切るべきモノ―――「人」の文字が浮かんでいた。

その剣をもってシュルクはフェイスに立ち向かい、以前は全く歯が立たなかった彼らの装甲をやすやすと切り裂いて見せる。
そしてソレアンやフィオルン、機神兵に蹂躙されてきた巨神界の生命の無念を晴らすべく黒のフェイスにモナドを振り下ろすシュルク。
それを止めるためにネメシスが飛び込み、モナドの一撃は彼女の胴体を両断する。思うがままに力を振るえというザンザの声をモナドの内から聞くシュルクであったが、ネメシスの中身を見て驚愕する。

彼女の中にいたのはかつて黒いフェイスに殺されたはずの仲間、フィオルンであった。しかしフィオルンはシュルクに反応を示さず、意味深な発言をザンザに残し、その場を離脱する。

そうして滅んだに見えたザンザであったが、実際のところそれは芝居であり、その後来たアルヴィースと思念波によって会話をしている。
代役を買っても良かったのに、というアルヴィースの言葉をさらっと流すあたり、槍による攻撃はザンザにとってはほとんど意味がないと思われる。

嵐は近いーーー


追記・修正お願いします。
















































※以下、更なるネタバレ注意








































驚くことはない

世界の全ては因果の流れによって律せられている

そこに存在する全てのモノ同士 相互の関係によって

未来の流れは必然へと決定付けられる




それがモナド()がもたらす未来視(ビジョン)








その正体は巨神の魂であり、巨神そのもの。

太古の昔に機神と巨神の戦いを起こした元凶にして、主人公シュルクの持つモナドそのものである。




ザンザ(真)

登録日:2020/06/08 Sun13:27:24
更新日:2024/04/20 Sat 10:12:21
所要時間:約 22 分で読めます






◇概要(真)


神々しく光り輝く衣装に身を包み翼のような光輪を背負う神。
しかしその実態は自身の強大な力を驕り、ホムスや機界人などの他の生命体を矮小と見下し、自らを絶対の存在と自称してはばからない傲慢かつ暴虐な神。
自ら生み出したホムスやハイエンター達も”自身から出た垢のような取るに足らない存在”、”自身に還り、喰われるだけのエサ”程度の認識しかなく、慈悲深さ、寛容さなどといった要素をまるで持たない、まさしく悪神というにふさわしい神物。
そもそもハイエンターをはじめとした知的生命体を生み出したことについても、”原初の生命体に戯れに知性を与えただけ”というように曲がりなりにも自らが生み出した存在に対して愛情どころか興味すらないようなそぶりさえ見られる。

また自らが生み出した生命やメイナスが生み出した機界人が自分たちの領分から逸脱し、外の世界へ自立しようとすることによって自身という存在が消えてしまうことに恐れを抱いており、彼らの進化を否定し永遠に自分達に縛りつけようとするなど、見方を変えると自身の子供達に依存しているような様相も見せている。

しかし、心の奥底では孤独な自分自身に対する虚無感を抱えており、のちにシュルクと相対した時には”我は友人が欲しかった”とどこか寂しげに述べてもいる。
しかし先に述べたとおり彼が自分以外の存在に対する意識は己のための”餌”、”下僕”といったものでしかなく、シュルクにもそれを指摘されて自らの願いを完全に否定、拒否されている。

また、こういった孤独感からか自身と対等の存在であるメイナスに対しては他と同じように見下す態度をとるものの、彼女が自身を犠牲にした時にはどこか悲しげな態度を取っている。

◇暗躍と復活


かつて、巨神界と機神界が生まれたと同時にザンザは巨神の魂として、そして機神の魂としてメイナスがそれぞれ生まれた。
そして機神界には機界人(マシーナ)と呼ばれる機械生命体たちが、巨神界にはハイエンターやホムス、ノポンや巨人族といった有機生命体たちが生まれた。

機界人たちは千年単位の長大な寿命を持ち、機神メイナスの庇護のもとで高度な文明を築き上げ、平穏な暮らしを享受していた。
さらに彼らは巨神界の生命体たちにも自身の高度な技術を惜しみなく共有し、巨神界の生命体たちも彼らに感謝しつつ、互いを尊重し合う信頼関係を築き上げるまでになっていった。

憎しみもわだかまりもなく、異種族であるホムスやハイエンターだけでなく、異界の存在である機界人たちとも手を取り合って生きていける世界がそこにはあった。
やがて彼らは自らの生みの親であり大地でもある巨神と機神から離れ、自分たちの力を合わせて独り立ちし、巨神界や機神界の外にある世界に旅立つことを夢見るようになっていった。

二つの世界は互いを尊重しあい、その穏やかな繁栄はさらに発展していくものと誰もが信じて疑わなかったが……。



突如としてその平和はザンザの持つ光の剣……モナドによって焼き払われた。


ザンザは彼らが技術の発展によって自分たちから独立した存在になろうとしていることを良しと思わず、高い技術を持った機界人たちを滅ぼすべく機神にモナドを突き立て、自身の分身である大量のテレシアに機神界の帝都アグニラータを襲わせ、彼らを滅しようとした。
そして機神界だけでなく、巨神界の生命体にとってもこの戦いは滅びをもたらすものであった。
ザンザは自らの上に存在する巨神界の生命エーテルを糧として活動しているため、戦いというこれまでにない激しい活動によって、彼らの命もまた多くが失われる事となった。

機神メイナスは自らの子である機界人を守るため、ザンザによる巨神界の生命への搾取を止めるため、彼の前に立ちふさがった。
二柱の神の戦いは熾烈を極め、長い年月の末に互いに致命傷を与えて沈黙する。
そしてザンザは滅びに抗う古代ハイエンターの一族によって肉体を巨神頭部の監獄島に、魂であるモナドは腕部にあるヴァラク雪原のオセの塔にそれぞれ封印された。
メイナスもまたこの戦いで生命力を極限まで消耗し、深い眠りにつく事となった。その際にザンザが滅びておらず、いずれ復活するであろうことを機界人の生き残り達に伝えながら。

監獄島で見せた紫色の巨人は彼の依り代となった巨人族、「アガレス」のものである。
彼はのちの機神界盟主エギルの友であり、穏やかな気性を持つ人物であったがザンザの依り代となったことでその意識は消失してしまう。そしてエギルもまたザンザから受けた恐怖、怒り、憎しみに囚われてしまい、巨神の力の源であるエーテルを削ぐために機神兵を率いて巨神界の生命を脅かしただけでなく、止めようとした他の機界人たちをも手にかける非道な復讐者へと変貌を遂げてしまった。

もはやかつて崇敬していたメイナスの言葉も通じず、機神を復活させ彼女もろとも巨神界を滅ぼそうとするエギルであったが、シュルク達の活躍によってその凶行は阻止される。
そして自身への憎しみに囚われず、モナドの強大な力を行使してなお自分であり続けようとするシュルクにかつての友と語り合った理想を思い出し、憎しみを乗り越えて彼らと和解する。

そうして自身の過ちを償い、かつての巨神界と機神界を取り戻すべく差し出されたシュルクの手を取ろうとするエギルであったが……。



シュルクは彼の育ての親、ディクソンの放った銃弾によって斃れてしまう。



そうして斃れたシュルクの体は突如として痙攣を始め、激しい光を放ち始める。それを止めようとするエギルの抵抗を容易く跳ね返し、彼はまるで蛹が蝶へと羽化するかのようにシュルクの体から分離。


ついにザンザが真の復活を遂げた瞬間であった。


復活直後、困惑・驚愕する一同に自らの来歴を語る。
ザンザの魂は先述したとおりオセの塔に封印されており、本編の14年前にホムスの調査隊がその扉を開いた時に目覚める。
目覚めたザンザは調査隊達の魂を全て吸い取って彼ら全員を殺害、その中には当然当時4歳であったシュルクも含まれていた。
しかし依り代を求めていたザンザが彼の命となることでシュルクは生存し*1、そのシュルクは後から来たディクソンに救助される。
当然これは偶然ではなく、ザンザの使徒であるディクソンは彼の完全なる復活のために器であるシュルクを鍛え上げるため、彼を救助して信頼関係を築いたのである。

シュルクが視ていた未来視は厳密には未来が見えていたわけではなく、モナドであるザンザが起こるべくしておこる事象に導いていただけである。
そして因果の流れのうちにある事象は変えることができず、コロニー9が焼き尽くされてシュルクとラインが機神兵討伐の旅に出たのも、ソレアンを救えなかった無念によってシュルクがモナドの枷を外したのも、カルナの恋人であるガドがシュルク達を守るために犠牲になったことでメイナスの魂が覚醒したのも、全てはザンザが ”そうなるように導いていた” だけであった。
別の漫画の表現を使うと、 ”未来を変えるということも含めて未来” ということである。

そうしてまんまと復活を遂げたザンザは巨神界の破壊と再生を始めることを宣言する。
巨神界と機神界の生命達の平穏をも守るべく、エギルは彼のフェイスであるヤルダバオトを駆りザンザを滅ぼさんとする。
しかしザンザは自身のモナドを、かつてシュルクがふるっていたものとは似ても似つかぬ禍々しい姿へと変質させ機神の頭ごとエギルを両断。
怒りに燃えるダンバン達を容易くねじ伏せ、モナドの一撃で機神ごと消し去ろうとするが、フィオルンの体を借りたメイナスによって阻止される。
そのまま二柱の神はそれぞれのモナドを用いて熾烈な戦いを繰り広げるが、ガラハド要塞、ガドの解放、シュルク達の救助で力を消耗していたメイナスは次第に劣勢になっていく。
そしてザンザが放った一撃からフィオルンたちを守るべくメイナスは身代わりとなり、消滅してしまう。


良いのです、これで

この世界は あなた方のもの



神など必要のない世界を 作ってください


彼女が遺したモナドに向かって手を伸ばすエギルであったが、届く寸前にザンザに奪い去られ、その手は虚しく空を切った。


これが因果の流れだ!

そうしてまんまと二振りのモナドを手に入れたザンザは監獄島へと舞い降り、破壊と再生の儀式を始めることを宣言する。
そしてハイエンターの皇都アカモートをエーテルの光が多い尽くし、純血のハイエンター達は一人の例外も残さずテレシアへと変貌を遂げてしまった。
テレシアとはかつてザンザが自身の復活に際して自らの糧となる巨神界の命を刈り取るために生み出された存在であり、ハイエンターはそのテレシアに知性を与えた存在であった。
そして彼らは巨神の目覚めとともに放出される高濃度のエーテルに触れるとテレシアへと回帰する因子を持っていた。
そのことを知っていたソレアンをはじめとする王家の人間は、ホムスとの混血によってその運命から逃れようとした。テレシア化の因子はホムスとの混血によってその効力を阻害されるためである。
しかしザンザにとってそれらの存在は些細なバグのようなものであり、変異した大量のテレシアで刈り取ってしまえばいいと考え、全く歯牙にもかけていなかった。

このザンザの行動によって、皇都アカモートのキズナグラムの大部分がゴッソリと消失してしまい、ハイエンターが誇った高度な文明の中心地であるアカモートはテレシアがウヨウヨ跋扈する危険地帯へと変貌してしまう。
寄り道が楽しいことも手伝って、アカモートでクエストを進めていたプレイヤーは衝撃を受けることとなってしまった。
さらにはハイエンターの王妃であったユミアをはじめとするハイエンター達がテレシア化してクエストによって出現したりもするので、さらに心が曇ること請け合いである。
況や同胞を守るために同胞を打ち倒さねばならないメリアの胸中はいかほどのものであったことだろう。


そうしてハイエンター達をテレシアへと変えたのちに、機神から脱出するフィオルン達を叩き潰すべくモナドを振るうがエギルが操る機神によってこれを阻止される。
そしてエギルの放った決死の一撃によって腹部に巨大な穴を開けられるも意に介さず機神の両腕を切り落とし、モナドによってついにエギルごと機神を消滅させた。

シュル ク

二つの世界を 頼む



メイナス様――――――



◇最終決戦

ザンザはハイエンター達をテレシアに変え機神を打ち倒した後は異空間で世界の破壊を見守っていた。
しかし、自身の未来視がシュルク達との戦いを前にして途切れてしまい、テレシアの力が弱まっていることを知覚し、さらには配下の使徒であるディクソン、ロウランもシュルク達に討たれてしまう。
この世界を構成する二つのモナドを手にし、今や因果の流れは全て自分のものとなっているはずなのに、想定外の自体が次々と起こることに驚愕の念を抱き、メイナスの今際の際の願い”神など必要のない世界”を想起するがそれを一笑に伏し力を開放する。

――――――神あってこその世界、この世界は我の世界であると宣言して。

そうしてシュルク達が彼の前に現れた時には、巨神の体躯を思わせる鎧に身を包んだ巨大な姿となって彼らの前に立ちふさがる。
そこで彼らにメイナスのモナドを手に入れたことで巨神界の生命は必要なくなったこと、モナドを自分にもたらしてくれた功績を持ってシュルク達を新たな使徒に叙する旨をシュルク達に伝える。
強靭な肉体と永劫の寿命を与える代わりに自分に忠誠を誓わせようとするザンザであったが、当然シュルク達はその申し出を拒否、自分たちは自分たちのままザンザから解放された世界で生きることを宣言。

そして彼は機界人達の進化は自分を脅かすものであったこと、ホムス達もまた自分にとって危険な進化を遂げつつあること、自分に友人が欲しかったこと、しかし知性体を生み出すべきではなかった、神が友を求めるべきではなかったと後悔するが、


違う!

お前が求めているのは 友なんかじゃない

従順な下僕だ!


己のための餌だ!



シュルクに自身の驕りを看破され、ザンザはシュルク達を滅ぼして新たな世界を始めるべく戦いを挑んでくる。


テレシアが巨神界の生命を食らい尽くす

その後 我は新たな世界を創世しよう

これまで幾度もそうしてきたように!


戦闘においては戦闘開始とともに二体のザンザガーディアンを召喚してくる。
気絶効果を持つモナドライト、転倒効果を持つモナドレフトを使う他、モナドブレイブを使って能力を上げた後にガーディアン二体とのチャインアタックを仕掛けてくる。
チェインアタックは未来視が発動しないので、集中攻撃をガーディアンのどちらか一方に仕掛けて早々に倒してしまおう。
しかしガーディアンはモナドシールドを使って攻撃を無効化してくる他、モナドイーターを使って味方のバフ効果を消してくる。
シールドを張っているかどうか、しっかり確認しつつ強力なアーツを叩き込もう。
なお、全形態を通してザンザとの戦いでは未来視を使うために突発キズナと同様のタイミングよくボタンを押す操作が必要。

体力を全て削るとさらなる力を解放し、機神と巨神が混じり合ったかのような姿を持つ第二形態へと変貌する。


見よ! これこそが全てが融合した世界の姿だ!

戦闘が再開した後すぐにダメージ軽減効果を持つ技、世界の再構築を使用する。また、体躯がさらに大きくなった影響か、いくつかの攻撃がより広範囲になったりしている。
範囲攻撃である機神モナドバスターは転倒効果をもち、前方の広範囲を薙ぎ払うため危険。モナド連斬は追加効果こそないものの、2ヒットするために生半可な防御力では耐えきれない可能性がある。
さらに前方を一直線に貫くゴッドバズーカはモナドシールドがなければ耐えきれないほどの超高威力を誇る。一応ザンザ最強の技だが、なんか珍妙な名前の響きであり、そこをネタにされることもある。
また、戦闘が始まってからしばらくすると再び二体のガーディアンを召喚する。
前の形態と同じようにチェインアタックを仕掛けてくる他、ザンザを回復するアーツも使用するようになり、より厄介となっている。やはり集中攻撃を仕掛けて早めに倒すようにしたい。



なぜだ なぜ未来視が使える!?

モナドはその手にないというのに!


二振りのモナドを携え、全ての世界の因果をその手中に収めたはずの自身を追い詰め、さらにモナドを手にしていないにもかかわらず未来視を発動させることができるシュルクに驚きと焦りを覚えるザンザ。
その問いに理由はわからないが打ち倒すべき敵、変えたいと思う未来が心の中に浮かんでくると答えるシュルク。
見えた未来は絶対のものではなく、自分たちの選択によって無限に変化すると答えるフィオルン。


それはあなたもよくわかっているはず

これまでそうしてきたのは あなた自身なのだから!


それは神のみに許された業だ!

だからどうした!

見えようと見えまいと そんなことは重要じゃない

選びとろうとする意思 掴み取ろうとする力

僕らは今 それを手に入れた!

彼らの未来への思い。命あるものがあまねく持つという光。それがシュルクに向かってまっすぐ伸びていき―――

それは――――――

モナド!

その手にはシュルク自身の、そして世界に生きる命たちの願いの結晶である蒼き剣―――第三のモナドが握られていた。
神のみが振るうことを許された力を具現化させたことに衝撃を受けるザンザ。
その力を持ってシュルクはついにザンザを追い詰める。そしてザンザの持つモナドの内から声が響き渡る。ザンザの使徒であるアルヴィースの声が。



ザンザ これが世界の摂理だ

神といえど 摂理に設定された限定的な能力の行使者に過ぎない

その力は 巨大といえど無限ではない

アルヴィースの使徒を逸脱した態度に怒りを露わにするザンザ。
しかしアルヴィースはそれを機に止めることもなく自らの正体……モナドそのものであり世界の終わりを告げるものであるということを告げる。
言ってる意味が理解できずに混乱するザンザを尻目に、アルヴィースはシュルクに選択をするよう告げる。

ザンザの世界か、シュルクの世界か。

当然答えは決まっており、彼は迷うことなくモナドを頭上に掲げる。
そのモナドの内に映し出された文字は「神」


僕たちは 僕たちの力で神を切り そして

未来を切り開く!

シュルクはためらうことなくザンザにモナドを振り下ろし、ついに神を切り裂く。

そしてザンザの体からまばゆい光が溢れ出し……

消える――

我が消えていく――

創世からつむがれてきた 神の記憶が

消えていく――




◇前世

シュルクがいたのはザンザの空間とよく似た別の空間だった。
そこで彼はアルヴィースと共に見慣れぬ水の塊ーーーかつてのザンザとメイナスの故郷、地球を目の当たりにする。
その周りを旋回する乗り物のような物体、軌道エレベーターと宇宙ステーションの中でとある研究者が実験を始めようとしていた。



さあ、実験を始めよう

ダメよ! まだ何の確証も取れていないわ! 危険すぎる!

何を言っている! 恐れることはない!

我々は宇宙の誕生に立ち会うことになるのだ!

そうだ これは神にしか為し得なかった奇跡

人間が 一歩 神に近づく記念日がやってきたのだ!

やめて! クラウス!



のちにザンザとなる一人の研究者、クラウスは同僚の女性……のちのメイナスの制止も聞かずに実験を強行。
彼の探究心は元の世界を消し去り、巨神と機神という新たな宇宙を誕生させた。

ザンザは人々の進化による自身の個の消滅を恐れ、世界を一定の数順のまま停滞させることを選んだ。
しかし同時に友人を望んでいたという思い自体も偽りではなかったと語るアルヴィース。
シュルクはザンザの未来と自分たちの未来が共存することも可能であったはずなのに、と思い悩むが、過ぎ去った時間は戻らないとアルヴィースは告げる。

そしてアルヴィースはシュルクに新たな世界の創造か、今ある世界の停滞か、どちらかを選択するように彼に問う。
いきなり世界の創造という大きすぎる力と役割を与えられたシュルクは戸惑うが、アルヴィースが見せた仲間たちのイメージに背中を押され、新たな世界……神なき世界を創造する。



そして、巨神の体は崩壊し、シュルク達は新たな世界に向けて一歩を踏み出すのであった。




◇関連人物

  • メイナス
自身と対となる機神の魂。ザンザとは対照的に慈悲深い性格を持ち、自身が生み出した機神界のみならず巨神界の生命達も分け隔てなく慈しむまさしく地母神というべき存在。
神としての姿は鉄色の豪奢なドレスを身に纏った美しい女性であり、まさしく機械の女神と言える様相を持つ。
一方で間違ったことを正そうとする確固たる意志の強さも併せ持ち、劇中で幾度となくザンザの復讐に取り憑かれたエギルを止めようとしたほか、ザンザと相対した際に彼の傲慢さをまっすぐ糾弾するなど芯の強さも垣間見せる。

魂だけの存在であるためか自由に動くためには他の実体が必要であり、機神兵によって鹵獲されていた瀕死のフィオルンの体を機械化させて活動していた。
しかしこれは彼女にとって苦肉の策であり、エギルの妹のヴァネア共々ホムスであるフィオルンの体を改造したばかりか操り人形のようにすることに対して心を痛めていた。
しかし、等のフィオルンは自分の命を救いシュルク達と再会させてくれた彼女に恩を感じ、いくらでも体を使って欲しいと好意的に受け止めていた。

劇中で幾度となくシュルク達に力を貸し巨神と機神との戦いを止めようと奮闘していたが、それによって自分のエネルギーを大幅に削ってしまい復活したザンザ相手に追い詰められる。
ザンザが放った一撃からシュルク達を守るためについにフィオルンの体から分離。彼の一撃で致命傷を負いながらもフィオルン達が神なき世界を作ることを願い、消滅した。


  • ザンザの使徒
ザンザによって強靭な肉体と長大な寿命を与えられた存在。全部で三人おり、ディクソンは自分たちのことを三聖と呼んでいるが、彼以外はこの言葉を使っていない。
おかげでリトマス試験紙よろしく酸性、中性、アルカリ性と呼ばれたりもする

  • ディクソン
シュルクの育ての親にしてダンバンとムムカの戦友。酸性
ホムスの姿をしているが、その正体は前述のアガレスと同じ巨人族。
元々、善悪関係なく楽しむのが人生という考えの持ち主であり、中でも力と戦いに魅せられていた。そして、ザンザに戦う力と場を与えてもらうことを条件に使徒となった。

シュルクを育て上げ鍛え上げる他、機神界とも交流がありそこで手に入れた武具をシュルク達に売りつけるなど良好な関係を築いていたが、ザンザの復活とともに彼らを裏切る。
そして大量のテレシアとともの彼らを消し去るべく進行するも、復活したシュルクに阻まれる。そこでシュルクが自身に対して恐怖を抱くまでの存在となったことに驚きと喜びを覚えつつ撤退する。
そして監獄塔の頂上で力を解放し、灰色の巨人のような姿となって彼らの前に立ちふさがる。
激闘の末にシュルクの刃がディクソンの胸を切り裂き、殉教者になるつもりはないとして降伏。
ザンザが目的であるシュルク達もまた彼を放置して先に進むがーーー

シュルクの一撃はディクソンに確かな致命傷を与えていた。
しかし自分が死ぬ場面をシュルクに見せたくなかったためにそのようなことをうそぶいたのであった。彼自身もシュルクとの擬似的な親子関係やダンバンとの間に感じていた友情には感じ入るものがあった様子。
最後にタバコを一服し、監獄塔にて果てる。
しかし戦友であるダンバン、そしてシュルクとフィオルンは彼の最期の嘘に気がついていた。

そして何より”俺より強くなったことに気付かず 生きていけ”とエールともとれる言葉をひとりごちているあたり、戦う力と場を与えてくれたザンザに対する忠誠心こそ本物だが、一方でシュルクがザンザを討ち果たすことを願っていたようにも思える。

これが 羊飼いに憧れた羊の限界 だったか


  • ロウラン
皇都アカモートの宰相。探求院に所属するハイエンターの科学者。アルカリ性

妖艶な雰囲気を身に纏うおば……お姉さん。
ハイエンターの新型兵器ハウレスを開発するなど機神界との戦争に貢献する姿を見せていたが、密かにハイエンター墓所内に専用の研究室を設けており、そこで非道な生体実験を繰り返していたほか、当のハウレスには巨神の目覚めとともに高濃度のエーテルを放出し、搭乗員であるハイエンターをザンザの尖兵であるテレシアへと変貌させる機能を持っていた。

目覚めた巨神胎内の心臓部にてメリアの兄、カリアンが変貌したテレシアと融合してシュルク達を叩き潰そうとするも、メリアとカリアンの絆によってテレシアの肉体が崩壊。
融合していたロウランも道連れとなった。

ちなみに彼女はシナリオ道中屈指の強ボスとしてプレイヤーの間では有名。
召喚するエレメントたちを倒さないと碌にダメージが入らず、まずそいつらから先に処理する必要がある。
しかしエレメントであるという所が曲者で、物理攻撃ではまともにダメージを与えられない。おまけに倒しても一定時間経つと再召喚するという厭らしさ。
更に周囲がダメージ床に囲まれており、ロウラン自身の巨体も相まってNPCが押し込まれやすい。
(シナリオとのハマり具合を考慮しても)メリア操作で挑むのが鉄板なのだが、知っての通り彼女は運用が難しいキャラクター。
故に今まで碌に使ってこなかったというプレイヤーも多く、そういったプレイヤーは散々苦汁を飲まされる事となった。


  • アルヴィース
ハイエンター王家、当代の予言官。中性

上の彼らと同じくザンザの使徒であるが、シュルクに幾度となく助言をしたり彼らを試す発言をするなど使徒ともまた違った雰囲気をまとう青年。
詳細は個別項目にて。


◇余談

  • ラスボス(笑)?
ラスボスとしてはそれなりの強さを持つ彼であるが、どうにも実力を低く見られがちな傾向にある。
まず、サブクエストやマップの探索でも経験値が得られるため、やり込み派のユーザーは適正以上のレベルになりやすい。
更に搦め手が比較的少ないという性能も相まって、普通に戦うとサブクエストで戦う全体睡眠をはじめとする厄介なアーツを多数持つノポン族の方が強いともっぱらの評価である。なんで神より神から出た垢のごときノポンの方が強いんだ。
そして、ゼノブレイドの世界には彼の他にとんでもないバケモノどもがうようよいる世界なので相対的に弱く見られがちなのだ。
まあ二週目前提のエンドコンテンツである彼らとあくまでストーリーのラスボスである彼を比べるというもの酷な話であるが、ザンザは自分以外の存在を「我から出た垢のような存在」と徹底的に見下した小物極まりない態度を終始取っていたため、ある意味自業自得であると言える。

しかし低レベルで挑むとなるとなかなかの強敵であることは間違いない。低レベルで挑んで神の強大さを感じ取るのも一興だろう。戦いを楽しまれるためにあえてレベルを落として挑まれる神って……。

なお、ザンザ戦で全滅するとザンザ手前まで戻されるのだが、そこからの場所移動は出来ない。
一応呼び出されるガーディアンを倒せば経験値は入るものの、それすら倒せない戦力不足で来たりすると詰み確定という状態に陥る。DEの場合大人しくカジュアルモードにするという手もあるが。カジュアルでもダメな場合は……その、諦めてやり直せ
そういった詰み防止のためか、「2」以降のラスボス戦では全滅すると特定地点へのリスポーンはされず特例としてタイトル画面に戻される(=保存していないデータは消える)ようになっている。また、「この先に進むと戻れない」と言われてからのバトルも初代より少なくなっている。

  • CVについて
劇中でのザンザはシュルクを依り代として復活したため、容姿はもちろん、CVもシュルク同様浅沼晋太郎氏が担当している。
しかしアルヴィースが見せた人間時代の彼は、シュルクとは関係ないにもかかわらず劇中でのザンザ=シュルクと同じ姿、声となっている。
これについて高橋哲哉氏は「シュルクと同じ声=浅沼氏なのは偶然」と発言しているが、果たしてそれだけで収まるのか?と疑問を持つプレイヤーも当然多い。
「かつての己と瓜二つだったシュルクだからこそ、無意識化で依り代に選んだのでは」と考察する向きもある。



追記、修正は因果の流れに沿ってお願いします。









































































































※ここから先はゼノブレイド2の最終章に関わる重大なネタバレを含んでいます。
ネタバレを嫌う方はブラウザバックを強く推奨します。

























20XX年 軌道タワー(ビーンストーク)
第一軌道ステーション ラダマンティス



熱反応弾頭 着弾

軌道リング全体のコリオリ力偏差

着弾によりコンマ2西北西へとずれています



タワーバランス修正

第127番から第214番までのアンカーボルト開放します



セイレーン部隊 損耗率60%を超えました


局長 このままでは『ビーンストーク』全体が

反政府軍(サルワートル)に占拠されるのも時間の問題です



やむを得ん

『アイオーン』を起動させろ

ゲート』の準備を


了解







ピピーッ


ピピーッ


局長 『ゲート』の管理権限がーーーーーー



どうした



プロフェッサー・クラウスに専任委譲されています!


こちらからではアクセスできません!





何だと!?






トリニティプロセッサー同調率96%

これならいけるぞ

さあ、実験を始めよう





ダメよ! まだ何の確証も取れていないわ! 危険すぎる!

何を言っている! 恐れることはない!

我々は宇宙の誕生に立ち会うことになるのだ!

そうだ これは神にしか為し得なかった奇跡

人間が 一歩 神に近づく記念日がやってきたのだ!

本気なの? アレの全てをあなたは理解できているの?

だからといってここをあいつらに明け渡すというのか?

アレは神が我々に差し伸べた手だ アレは扉だ

アレさえあれば 新たな地平へと旅立てる!



妄想だわ 神なんていない アレは単なるマルチバース・ジョイントでしかないわ!



ガラテア 我々は愚かだ

地表を燃やし尽くし 今また空さえも焦がし尽くそうとしている

でもアレは そんな我々を至高の存在へと変えてくれるかもしれないんだ!

それは新たな宇宙の誕生とも言えるんだよ! ガラテア!

やめて! クラウス!



















愚かーーー だな




クラウス

登録日:2020/06/08 Sun13:27:24
更新日:2024/04/20 Sat 10:12:21
所要時間:約 40 分で読めます










ゼノブレイドの次回作、『ゼノブレイド2』にてまさかの再登場を果たす

世界樹の頂上に住んでいると思われていた「神」の正体であり、ホムラとヒカリから「父さま」、メツから「親父」と呼ばれていた存在。
ゼノブレ2世界の中心にある世界樹、その頂上に存在する宇宙ステーションのなかに佇んでおり、世界の行く末を気の遠くなるような永い年月に渡り見つめつづけていた。

◇人物

ザンザとは似ても似つかない、かつて自分が起こした過ちから来る達観的かつ悲観的な性格の、老いさらばえた男。
以前自分が強行した相転移実験によって体の左半分が消し飛び異空間となっており、そしてその消し飛んだ半身が1の世界で変質した存在こそがザンザである。

「ゲート」を通じて世界のあらゆる情報や記録、記憶を知覚しており、「ゲート」自身の特性も合間って正しく全知全能の神を思わせる力を有する。
しかしこれほどの力を持ちながら、かつて自分が犯した愚行によって自分を信用できなくなっていた彼はその力を直接世界に向けることは決してしなかった。
現在の人類のことは愚かな存在であると諦観し切っているが、自分が彼ら以上の愚か者であることもまた痛感しているため、彼らを滅ぼすことも救うこともせず放置していた。

◇「ゲート」

上の記述の中で度々出てきた「ゲート」なるものの存在。その外見はまばゆい光を放つ金色のモノリスというべき存在であり、


その正体はゼノギアスに出てきたゾハルそのもの


劇中においてゾハルという呼称は一度も出てはこないが、セイレーンをはじめとする(デバイス)に搭載されている内燃機関の名前がスレイブ・ジェネレーターであるということ。21世紀初頭にアフリカで発見された未知の存在であるということ。そして何より別次元の宇宙を作り出すことが可能なほどの規格外のエネルギーを生み出す物体であるということから間違いなくゾハル、もしくはそれに準ずる物体である。

またゼノギアスの時のような単純なモノリスの形状ではなく、側面に突起がついた十字架のような形状をしており、形状自体はゼノサーガに登場したゾハルの方が近い。

劇中においては地球におけるいかなるテクノロジーをも凌駕するマルチバース・ジョイントとして認識されており、そのあまりの危険性から地上から遠く離れた宇宙軌道ステーションにて実験されていた。


軌道タワー(ビーンストーク)

過去の戦乱によって地上を焼き尽くした人類たちが新たに創出した居住区であり、のちの世界において「世界樹」、「楽園」と呼ばれる場所。
そこを管理し支配する政府軍とその支配に反逆する救世主(サルワートル)の名を冠する反政府軍による戦いが続いていた。
ラダマンティスが「第一」と呼称されることから想像がつくように他にもステーションが存在し、第二タワー:アイアコス、第三タワー:ミーノースと呼ばれるタワーが他にも存在していた。
ちなみにどれもギリシャ神話の伝説を由来としている。


◇トリニティ・プロセッサー

ゲートを管理するために育成された合議型人工知性群。
ウーシア(実体)」「ロゴス(論理)」「プネウマ()」からなる三対の生体コンピューター。
のちにプネウマはホムラとヒカリ、ロゴスはメツという実体を持った存在になった。

電子機器では無く生体素子からなる彼らは異なる仮想空間で育成されることでそれぞれが異なる個性を獲得し、それによる合議によってゲートを管理するというシステム。
生体素子を用いているからか、人工知能でありながら有機的な思考を有しており、自由に動く手足として(デバイス)を生み出すなどの行動も起こしたりしていた。

この3つのプロセッサーのうち、ウーシアはクラウスが引き起こした実験によってこの世界から消失してしまった。
断言はされていないものの、別世界に転移したウーシアがゼノブレイドの世界で実体を持った存在こそがアルヴィースであったと考えられる。相転移実験施設の管理コンピューターであるという彼の発言、そして彼がもたらしたモナドの能力からほぼ間違いないだろう。
そして初代のリマスタータイトルであるDEではそれを裏付けるように彼の首にあった鍵型のペンダントが赤いコアクリスタル型のアクセサリに変わっている。


(デバイス)

トリニティ・プロセッサーが生み出した、自分の手足である兵器群。
”彼ら”は人の判断によらずして、ゲートを管理運営するためのシステムを拡張していった。その結果がデバイスであったのである。

デバイスは皆、スレイブ・ジェネレイターと名づけられたゲートから出力を直接転送されるシステムが組み込まれているため、厳密にいうと彼らに内燃機関は存在しない。
デバイスの胴体部にはゲートを模した形状の翠玉色のクリスタルが埋め込まれており、これがゲートから送られてくるエネルギーを受け取るレシーバーである。
早い話が量産型無人ギア・アーサーともいうべきとんでもない存在である
無人機ゆえ、流石に彼らほどの戦闘能力は有していないだろうが、それでもゲートの特性上、無限に駆動する無数の無人兵器というべき恐るべきシロモノであると考えられる。そりゃ地上も焼き払われるわけだ。





◇来歴

ラダマンティスにてゲートを用いた研究を行なっていたクラウスは、地上を焼いてなお争いを続ける人類への失望を日に日に強めていた。
そうした日々の中で反政府軍によるラダマンティス襲撃を受けて、後のメイナスこと"ガラテア"の制止も振り切り、ついに「ゲート」を使い人類を至高の存在へと造り変える実験を強行する。
しかしクラウスの期待とは裏腹にゲートは人類や物質の大半、そしてクラウスの半身を次元の彼方へ連れ去ったものの、結局クラウスの元いた世界にはなんら変化を与えることはなかった。
自身が犯した愚行の重さを痛感したクラウスは絶望し、残った半身の消滅をゲートに願うも、すでにゲートの内にある存在に「接触」していたためにその願いは叶わなかった。

彼はこれを「罰」と受け取った。
部を弁えず、人の領域を超えて軽々しく高次元の領域に踏み入れようとしたことに対して、「神」が自分に下した罰であると。
幾千万年のちの時代に、「神」と彼が称されたことは、この上ない皮肉だっただろう。

そして彼には犯した「罪」を償うというただ一つの道が残された。


  • 雲海による再生
彼はまず、人類の戦乱によって傷つき果てた大地を癒すため、崩壊した物質を再生する能力を持った分子体を創造した。
それこそが後の世に「雲海」と呼ばれる存在である。
雲海は接触した物質を分解しかつて世界を作り上げていた物質へと再構成させる力を持っており、この力で彼は気の遠くなるような長い年月をかけて崩壊した世界を少しずつ再生していった。
この過程だけでも見当のつかない時間がかかっていたが、これはあくまで次に行う作業の前段階にすぎなかった。

  • コアクリスタルによる生命の創造
そしてクラウスは次なる段階としてかつて存在した全ての生命の記憶を持った素子、コアクリスタルを雲海へと放った。
コアクリスタルは雲海の分子構造と結びつき新たな生命核を形成した。地球生命体がかつて体験した進化をなぞるように生命核はやがて繊細な生命体へと変化した。
それこそがのちの「巨神獣(アルス)」である。微生物程度の小さな巨神獣は途方もない時間の末に生態系を背負うほど巨大な生命体へと進化し、やがて宿した生命情報を基に巨神獣達は純粋な生命体を生み出した。
そうして生まれた生命体もまた進化を続け、生み出された生命体は長い年月を経て新たな人類となっていった。

しかし、クラウスは自身が生み出したこれらの生命体を信用してはいなかった。ある疑念が彼の中に渦巻いていたからだ。



”また、繰り返すのではないか”



愚かな自分が生み出した彼らも、また愚かな存在なのではないか。
かつての人類、そして自身のように己の存続のために他者を踏みにじる生命体が生まれるのではないか。そんな疑念が彼の中には常に渦巻いていた。
そして彼はその疑念を払うためにもう一つの計画を実行した。ブレイドによる新たな進化の循環の創造である。

  • ブレイドによる進化
残されたトリニティ・プロセッサーであるロゴスとプネウマを要として、ブレイドの管理を任せた。
ブレイドの中核であるコアクリスタルは外界からの淘汰圧や同調した人間の生命体としての情報だけでなく、その人間との間に培われた経験や感情までをも彼らへ送る機能を持っていた。
(コアクリスタルに戻ったブレイドが以前の記憶を失うのはこれが理由である)
そうして蓄積された情報をもとに新たな進化コードをコアクリスタルへと送り返す。そうすることで送り返された進化コードは以前の失敗と成功の記録をもとに、より優れた更なるブレイドを生み出す。
ブレイドはその進化の果てに新たに命を背負う巨神獣となり、次なる生命のゆりかごとなる。
クラウスは新たな形の命の記憶の循環を創り出したのだった。

しかしこのような途方もない時間を費やしたなかで新たに生まれた人類はブレイドを自身を守り敵を倒す武力として使い始め、その武力は次第に次第に大きなものとなり、より大きな戦乱を引き起こすこととなった。
それはクラウスの時代からしてみればほんの些細な諍いに過ぎないような争いではあったが、力を欲し、利を求め、自ら住む大地さえも沈める人類の姿はある想いをクラウスに抱かせるには十分すぎる存在だった。



”お前達はかつての私達から何一つとして変わっていない”




全てに絶望した彼は深い深い諦観と失意の底に沈み、全てを放置することにした。

もう、わかりきっていたことだったから。

仮に愚かな彼らを滅ぼしたところで、新人類など足元にも及ばぬ愚か者である自分が新しい理想の世界を作り出そうとしたところで、また繰り返すのが目に見えていたから。
別次元へと旅立った自分がそれを実行して、さらなる愚行を繰り返していたのを知っていたから。

だから、全てを放棄し、放置した。
「神」に出会うことを求めたマルベーニが単身で世界樹を登りつめ、そしてロゴスとプネウマを持ち去った時も、ロゴスがメツとして実体を得て世界の全てを滅ぼそうとしても、アーケディアがコアクリスタルを独占して進化の循環を停滞させようとした事も、そうなる運命であると全てを諦め、放置した。

彼は再び ただ消えることを望んだ。



しかし。
何かが変わった。



サルベージャーの少年、レックスがプネウマーーーホムラ、ヒカリと本来ならばあり得ないはずの再同調、そして命の共有を果たした。
強大な敵に打ちのめされてもそれを自身の強さで、仲間の強さで乗り越え、彼はついに彼女らが持つ力の真髄へと到達した。
そして沈黙を守り通していたゲートが彼の強い意志に反応するかのように再び動き始めた。

クラウスは再び一縷の希望を見出した。もしかしたらーーー世界は変わるのかもしれないという希望を。

彼は自分に残されたラダマンティスの管理権限をプネウマへと譲渡し、彼らに全てを託す。
本来ならば自分が背負うべき宿命を全て背負わせてしまったことに深く謝罪するクラウスだったが、彼女らはレックスと出会わせてくれた彼を笑顔で肯定し、感謝した。そうしてメツを止めようと走るレックスは去り際に問いかける。

クラウスさん!



自分の世界を作り出した「神」としてではなく、一人の「人間」に彼は問う



この世界のこと まだ諦めてる?



彼は少し目を伏せて、偽らざる本心を口にした。



今はーーー

お前たちに出会えてよかったと思っているよ



その答えを聞いたレックスもまた、笑顔とともに自分の本心を彼に告げた。



じゃあ オレの意見とおんなじだね



ありがとう! オレ達を生んでくれて!


そのまばゆいばかりの感謝に彼は目を見開き、自分がしてきた贖罪は無駄ではなかったと悟る。
そして彼は、かつて唯一自分に向き合い、そして自分の愚行を阻止しようとしてくれた同胞を想起した。

私は 再び君に向き合えるだろうかーーー

ガラテアーーー

そしてレックスたちは激闘の末に世界を終わらせるデバイス、アイオーンとメツを倒し、それと同時に並行世界のザンザもシュルクたちによって倒される。

私ができる最後の手向けだ

後は託したぞ 我が子達よ

半身とともに消滅する間際、彼は雲海の巨神獣たちにあるシグナルを送り、世界の再生を完遂させる。

かつての愚行を償った罪人が、真に創世の神となった瞬間であった。







◇余談と考察

ゼノブレイド2によって明かされた真実によりモナドの力の根源がゲート≒ゾハルにあると明かされ、前作だけでなくゼノシリーズ全てに繋がるような考察がなされることとなった。
以下、記述する考察は公式からの資料がまだない中での推論も多いため、仮説の域を出ないことに注意されたし。


・ザンザとクラウス

自身が生み出した生命体に自分の願いと存在を完全に否定されたザンザと、自身が生み出した生命体に感謝されたクラウス。
性格の面から見ても傲慢で唯我独尊の極みであるザンザと厳格で自罰的なクラウスとでは似ても似つかないが、クラウスによると誰でもこのような二面性をうちに抱えているとのこと。
それを見せるために、彼はレックスたちにゲートを通じて別の心の形を見せた。

また、ザンザにはクラウスの時の記憶がなく、メイナスという「対等」の相手がいたことも大きかったのかもしれない。
自分と同じ目線に立てる存在を得た彼は自分を定義することができ、自己の形成をすることが容易だった。
故に自身の消滅を極端に恐れるあのような人格が出来上がったのがと推測できる。
また、ザンザの存在していた世界における人類たちは異種族であっても手を取り合い、互いが互いの繁栄に貢献し合うような理想的な関係を築いていた。
これはかつてクラウスが望んだ「愚かな自分たちとは違う存在」が繁栄する世界そのものであり、これがゲートによる結果だとしたら彼の願いは遠い異世界にてすでに叶っていたと言うことになる。
そしてその世界がクラウスの半身であるザンザによって分断され対立するようになってしまったことは皮肉としか言いようがないだろう。

なお、クラウスはザンザの動向をほぼ把握しているが、ザンザの方がクラウスの動向を知覚していたかは不明である。
しかし、最終決戦時に配下であるはずのアルヴィースが自身を超える力で干渉してきた際、何が起きてるのかを全く理解出来ていない辺り、外の世界の存在にすら気付いていないと見て間違いないだろう。


・クラウスとガラテア

クラウスの実験を止めようとし、もう一つの世界ではメイナスという彼と対等な神とまでなったガラテアだが、彼と彼女の関係性は劇中では詳しく描かれていない。
しかし途方もない時間が経った後もクラウスが彼女のことを想起しているあたり、彼にとって特別な存在であったことは間違いなさそうである。
それがいわゆる伴侶の関係であったのか、かつてのシュルクとフィオルンの様に想いを打ち明けられない関係であったのかは分からないが。
ゲートが消え、消滅したのちにクラウスはガラテアと向き合えたのだろうか。


・存在の伏線

劇中では最終局面にその正体と過去が明かされたクラウスであったが、彼の存在、および前作との関連を想起させる伏線はいくつかあった。
まず「巨神獣」と呼ばれる存在。その体躯の上に生命が住む、という設定から巨神を想起する前作プライヤーも多かったが、彼らがザンザの半身であるクラウスから生み出されたものだということを考えると、頷かざるを得ないほどに秀逸なネーミングであると言えるだろう。
つまりは別世界の巨神であるクラウスから生み出された巨神の眷属、言うなれば巨大なテレシアといえるのだから。

ヒカリの能力はこれよりさらにわかりやすい。
彼女の能力、因果律予測はまんま前作の未来視そのものであり、この時点で勘のいいプレイヤーは前作とのつながりを意識し始めたのではなかろうか。
もっとも、ほとんどのプレイヤーは一種のファンサービスであると思っただろうが。

メツのモナドは上の二つをはるかに上回るド直球のヒントである。
ここで疑念レベルであった前作とのつながりが一気に格上げされたプレイヤーも多かったことだろう。
そうでなくとも、前作の主人公武器のモナドの登場に興奮した方がほとんどだったのではないであろうか?


・天の聖杯、モナド

元々、モナドの能力とゾハルの能力の類似性は前作から指摘されていたが、前作においてはゾハルの存在は確認できなかったため憶測の域を出ていなかった。
しかし今作において、モナドの能力の根源がゾハル≒ゲートにあったことが明らかになった。モナドとはすなわちゲートの力を引き出せる端末であり、それゆえに因果を決定づける、未来を変える、万物を断ち切るといった超常の能力を振るうことができたのも当然であった。
DLCでブレイドとして扱えるシュルクとヒカリとの間に、シュルクの持っているモナドについて彼女が言及する一面があることから、彼女らもモナドが天の聖杯と同等の機能を備える物と認識しているらしい。

それこそが万物の根源の力を得て、全てを断つ剣。すなわちゼノブレイドなのである。


・アルヴィースはシュルクのブレイドなのか?

トリニティプロセッサーの一つであるウーシア―――アルヴィースもまたブレイドと呼ぶべき存在であると言える。
実際ゼノブレイドの完全版であるディフィニティブエディションにおいて、アルヴィースが天の聖杯のコアクリスタルと同じ形の赤いネックレスをつけている。

しかしそのことについてはある疑問が出てくる。
なぜシュルクは近くにアルヴィースがいない時にもモナドが使えたのか、ということである。

アルヴィースは常にシュルクと一緒に行動していたわけではなく、むしろ離れていた期間の方が長い。
にも関わらずなぜシュルクはモナドの力を十全に発揮できていたのだろうか?

これについては二つの仮説を導ける。
1つはシュルクのブレイドと呼ぶべき存在はアルヴィースではなくザンザの方であったという物。
ザンザはゾハルの接触者であるクラウスの半身であり、ゾハルに対する権限の優先度はアルヴィースより高かったのではと推測できる。
そのザンザがシュルクの命として彼のうちに存在していたことで、シュルクは一人でもモナドを発動することができていたのではないだろうか?

もう一つは、アルヴィース自身がザンザ、メイナスをも含む1の世界における全生命と同時に同調できる存在なのではないかという仮説。
劇中でアルヴィースは「モナドとは本来生ける全生命が持つ意志の力」と呼んでいる。
これは裏を返せばあらゆる命がモナド、ひいてはゲートと繋がっているという事を意味するようにも読み取れる。
その中でも強い意志を持つもの(ザンザ、メイナス、シュルクの三名)をアルヴィースは選定し、ゲートの力を分け与えていたのではないか、という理屈である。これはアルヴィースの世界そのものの管理者という立ち位置から見ても自然な事である。
そもそも幾らモナド―ザンザの関係性が2のドライバー―ブレイドの関係性と似通っていると言ってもそれ自体は2独自の物であり、1にそのまま適用できるとは限らないのだ。


・ゼノブレイド2の世界=ロストエルサレムなのか?

ゼノブレイド2は地球における物語であり、そしてその地球は21世紀の実験によって壊滅している。
そしてゼノギアスでの地球は不可侵宙域として「ロストエルサレム」と呼ばれている。
この二点を突き合わせると、仮にこの時点で太陽系外に他の人類がいたとしたら、ゾハルの暴走の中心である地球を避けようとして禁止区域に設定するのは何ら疑問の余地はないと推測でき、更にゼノブレイド2とゼノギアスの世界観は繋がっているのではという仮説が成り立つ。
ゾハルはそれからさらに5000年後に宇宙の果てで再び人類に発見されたのである。

しかし、ここで新たな疑問が発生する。
なぜ「ゲート」として地球にあるはずのゾハルが宇宙で発見されたのか?という疑問である。
クラウスが行なった世界の再生は途方も無い時間がかかる作業であり、普通に考えて数万年単位、下手をすれば地球に生命が誕生した時と同じ数億年程度の時間が必要なはずである。
それにもかかわらず5000年後にゾハルは人類の前に姿を現した。この矛盾を解決できる仮説がある。

”ゾハルは唯一無二の存在ではなく、複数存在する”という仮説である。

ゾハルは別の宇宙を生み出すことができるほどの未曾有の存在ではあるが、それがただ一つのものであるか、それとも数あるうちの一機であるかはどちらも断言できないのである。
また、ゾハルが複数存在するという仮説は、デウスの暴走の答えにもつながる。
デウスは、無限のエネルギーをゾハルに求め、ゾハルは確率0の宇宙を選択、それがデウスの暴走につながった。
結局無限のエネルギーを得られなかったデウスは、自分が持っているゾハルだけでは自らの望みは叶わないと考え、地球にあるもう一つのゾハルのエネルギーを欲したのでは無いだろうか?

だがこの仮説は論拠に乏しく、どれも確証を得ていない。
これから出るであろうゼノシリーズでこれらの謎が解き明かされる時は来るのだろうか?








追記、修正は生まれたことに感謝しながらお願いします。

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最終更新:2024年04月20日 10:12

*1 その為復活したザンザの劇中での容姿はシュルクに瓜二つである