末堂厚

登録日:2020/07/24 (金) 12:18:58
更新日:2024/04/16 Tue 23:29:19
所要時間:約 11 分で読めます






今日は死んだっていい



末堂厚(すえどうあつし)とは、バキシリーズ第一部『グラップラー刃牙』から登場するキャラクター。

CV:永野善一(TVアニメ版)/戸谷公次(OVA版)/石井康嗣(BeeTV版)/乃村健次(アニメ版『バキ』)

●目次


概要

『グラップラー刃牙』の1話から登場し、主人公の範馬刃牙の初対戦の相手となった人物(作品内の時系列で言えば違うが)。
愚地独歩がトップを務める日本一の空手協会「神心会」の重鎮的ポジションにも置かれている。
格闘漫画史に名前を残すことになるバキシリーズの開幕を飾ったキャラとしての人気を誇る。

人物

顔は鋭い目つきなど全体的に凶悪さを感じさせる風貌であり、分厚い唇も特徴的。
身長205cm・体重130kgにも及ぶ日本人ではあまり見られない巨漢の体格でもあり、ドリアンにも関心を覚えられていた。まあ後に巨鯨とか日本人でもこれ以上の体格は出てくるんだけどね

性格面は全体的に気性が荒い人物であり、他者に対して簡単に手を出して一生レベルの怪我を負わせてしまうという横暴な人間性。
他者への攻撃性は身内にすら向けてしまうという始末であり、作中では神心会の後輩の前歯を八つ当たり気味にへし折るという残虐さを見せた。

考えなしに短気を起こすという訳でもなく、怒りが頂点に達すると一周して冷静に敵を潰そうとするという厄介さも持つ。
リメイク版では『虫も逃がさぬ殺傷本能(キラーインスティンクト)』と評されている。
度胸も強く、完全に脱臼した右肩を自分で入れて整復するという激痛を伴う荒業に挑戦している程*1

上述したように身内にすらも横暴な性格を見せる一方で、克巳や独歩に対しては何だかんだで尊敬の意識は強い。
同期の加藤清澄とはよく一緒につるんでおり、加藤を半殺しにしたドリアンに対して命を捨てる覚悟で挑める程の強い友情を抱いている。
初対面の刃牙に対しても何だかんだで油断を止めて実力を認めていたりと、単に荒々しいだけの人間でもないことが分かる。

ちなみに、刃牙にテンプレートをネタに「歯医者さんが嫌いなんでしょ」と言われた際には困惑と怒りこそ覚えているが否定はしていないので、案外本当に歯医者は嫌いな可能性が存在する…?

実力

「リアルファイトトーナメント空手道選手権大会」で三連覇を達成したという実績を持ち、フルコンタクト系空手の日本王者という実力者。

ベンチプレスでは270kgを刺すパワーを持ち、100mダッシュは裸足で11秒を切る脚力を持つ。
前述した大きな体格は見掛け倒しではなく、この人間離れしたパワーや脚力を支えていると言えるだろう。
これだけのスペックにもかかわらず、末堂はテンプレートを歯に装着することで頭部と脊髄の一体化を行い、身体能力を実に30%(推測)まで強化させる。

戦闘で生かされる場面はなかったが地味に咬合力も異常に強く、自身が装着していたテンプレートを噛み砕いて粉々に粉砕するという芸を見せた。
テンプレートが粉砕される場面を見た刃牙も、軽い態度とは言え流石に少し驚いていた。

「頭にはあらゆる戦法がファイルされている」と自負する程、様々な戦闘スタイルに対しての対応出来る…が、作中では相手が悪すぎたか。
ジェットコースターでの戦闘で三戦の使用を思い付くなど、咄嗟の判断力にも優れている。
一方で、ドリアンの不自然な誘導に気が付かないまま罠に陥ってしまうなどの安易な一面もある。

とにかくこのように一般的な空手家としては化け物のスペックなのだが、悲しいことに末堂が持つ身体能力や技術を上回る格闘家は多い*2
普通なら強烈な攻撃も刃牙やドリアンにはあまり大きなダメージは与えられておらず、地下闘技場王者や海王レベルの身体に有効打を与えられるレベルではないようだ。
刃牙にも「あくまでもアマチュア」「アマチュアのフルコンではナンバー1」として認識されてしまっている。

戦績で見ても刃牙、勇次郎、ドリアンに対して3連敗をしており、ネームドキャラに勝利したことがなかったりする。
作中の回想シーンでは、神心会にケチを付けたモブアメリカ人プロレスラーを3分で二度とステーキが食べられないレベルに瞬殺するなどの勝利シーンはあるのだが…。

使用技

  • ローキック
刃牙の後ろ回し蹴りに対するカウンターとして使用。
後ろ回し蹴りを予見しての攻撃だったが、逆に利用されてしまったことで自分で自分の頭をローキックするような状態になった。
ただし、刃牙はローキックの一連の流れによって受け身を取り損ねてしまっており、結果的にあちらはあちらでダメージを受けることに。

  • 重爆
激しい連撃による攻撃。全く刃牙には効いていなかった。

上述の重爆と呼ばれる連撃の加速を続けて繰り出した。左腕の手刀は鎖骨、右腕は手刀は脇に向けてヒットさせた。
左腕の手刀は刃牙がダメージを感じているような描写がある。

  • 水月ヒジ当て
  • 中段前蹴り
  • 裏拳脾臓打ち
手刀の後に刃牙に向けて繰り出した連続攻撃の数々。
全てクリーンヒットさせることに成功したが、刃牙の身体に痣こそ残すがダメージは与えられなかった。

  • 後ろ蹴り
連続攻撃のトドメの技として使用。見開きで描かれるという末堂の必殺技的演出が行われた。
刃牙を大きく吹き飛ばす程の威力を見せたが、ダメージは入っていなかった。
ただし、刃牙には「正直言うと最後の後ろ蹴りは少々キツかった」とは評されており、末堂の連続攻撃では唯一ダメージを感じさせられてはいた模様。

  • 顔面突き
反則負け覚悟で刃牙の顔面に向かって使用した右腕の拳による上段突き。
刃牙の右頬に拳をめり込ませるが、衝突時に刃牙の突撃のスピードが上回っていたことから、逆に拳を砕かれてしまった。
一応刃牙を流血させた上に歯を一本失わせる程度のダメージは与えたが、特に痛がらせることは出来なかった。

  • 三戦
空手における型の一つであり、那覇手における基本の型。本来は不安定な船の上での構えで防御の構えとして守りに優れる。
かつて独歩から末堂が学んでおり、ジェットコースターという不安定極まりない場所で使用したことで身体の安定性を確保した。
これを用いたパンチでドリアンに予想外の一撃を浴びせることに成功するが、大きなダメージには至らなかった。

  • 整復
刃牙によって右肩を外された際に行った自己治療の手段。一応技としてここに記載。
正常な左腕を用いて右肩の骨を元に戻すことに成功し、後の描写を見るに以降の右腕の使用にも支障は出なかった。
激痛を伴う手段であるため、これを行った様子を見た独歩も絶賛していたほど。

作中の活躍

グラップラー刃牙

地下闘技場編

選手権大会で白帯の刃牙に敗北を重ねる神心会の出場者に師範が説教を行う最中に姿を見せ、師範を煽る。
ペットボトルを使ったパフォーマンスを見せると、全員に今日から白帯にするようにと煽りながら控室から退室した。
試合会場では後輩を3人使ったミット打ちを披露し、八つ当たり気味に1人の後輩の前歯を破壊した。
一応、後輩からは(少なくとも強さは)信頼されているようで、「なんでもいいけどよォ 相手はあの末堂先輩だぜ」の名台詞が印象的。

その後、決勝戦が始まる寸前に自身の元に訪ねに来た独歩を煽るような言動をするが、逆に刃牙の実力を警告されてしまう。
その警告にむしろ気合を高める姿勢を見せるが、内心では警告が効いていたようでテンプレートの装着の準備を整える。
しかし、刃牙と立ち会って試合を始めようとする所でテンプレートを装着するが、その様子を見た刃牙から歯並びに関する煽りを受けた。

刃牙の言動に苛立ちを覚える中で試合は始まるが、開始直後に末堂は刃牙のハイキックで場外に吹き飛ばされながら肩の間接を外されてしまう。
審判は末堂が負傷したことで医者を呼んで敗北を認めるよう促すが、末堂はその制止を振り切って無理矢理肩の関節を修復する。

試合は再開されるが、着用していたテンプレートを噛み砕いて破棄すると、本気となった末堂は冷静な態度になる。
刃牙の構えから戦法を分析して攻撃を仕掛けるが、ローキックを逆利用されたカウンターの回し蹴りを受け、自身も嘆く程の大きなダメージを受けてしまう。
ところが、ダメージを与えた刃牙も受け身を取れずにダメージを負った姿を見ると、顔面殴打を使った反則技を仕掛ける。
しかし、プロレス技のボー・アンド・ローを逆に仕掛けられるという反則技の反撃に合った。

かけるだけの恥はかいたと悟った末堂は正攻法による重爆攻撃を連続でクリーンヒットさせるが、刃牙にはダメージを入れられない。
それでも手刀を叩き込んでから徹底的な必殺攻撃を連続で浴びせて刃牙を場外に吹き飛ばすが、刃牙は立ち上がってスリップダウンを主張。
一本勝ちを審判に訴えるが認められなかった末堂は、反則負けを覚悟した末に顔面突きを刃牙に食らわせるが、右手を逆に砕かれてしまう。

苦痛に苦しみ中、刃牙の鬼のラッシュ攻撃を浴びてしまい、最後は上段蹴りを受けて一本を取られて敗北した。
試合が決した会場で刃牙と独歩が意味深な会話を交わす中で起き上がった末堂は、戦闘を続行しようとする。
そこに自身に抱き着き始めた独歩を振り払おうとするが、気絶させられてしまった末に独歩に持ち運ばれていったのだった。

独歩が範馬勇次郎に挑んだ際もその戦闘を観客として見守っていたが、鬼の貌を解禁した勇次郎に追い込まれる独歩を見て空手の敗北を予感して動揺。
試合に乱入して勇次郎に攻撃を仕掛けようとするが、拳一発で大ダメージを受けてあっけなく沈黙した。

最大トーナメント編

最大トーナメントでは出場者に選ばれることはなく、観客として登場。
愚地克巳VS花山薫戦では、観客席で加藤と共に正拳上段突きをしながら応援を行い、克巳の逆転勝利のキッカケを作った。

バキ

加藤のドリアンへの敗北を受けて神心会による大規模な復讐活動が繰り広げられる中、遊園地に誘導させられたドリアンの元に登場。
コーヒーカップで楽しんでいたドリアンへ奇襲を仕掛け、コーヒーカップを破壊してドリアンを吹き飛ばすというキック力を見せる。
自身を加藤の同期としてドリアンに自己紹介を終えた末堂は、死を覚悟しながら決戦に挑む。

ドリアンの攻撃を受けながらも怯まずに反撃に出ようとするが、突如としてドリアンが逃亡を開始。
逃がすまいと追いかけっこを展開し始めるが、案の定これは罠だったためにジェットコースターへと誘導させられてしまい、不安定な足場での空中戦に持ち込まれる。
内心恐怖心を感じていた中でチョークを仕掛けられるなどドリアンに倒されかけるが、これはジェットコースターの軌道で運良く逃れる。
それでも立つことが精一杯故にドリアンに完全に圧倒されるが、内心では有利だという感情が湧き始めていた。

調子に乗るドリアンが攻撃を仕掛ける中、師である独歩との過去を思い出した末堂は三戦を展開。
ドリアンの攻撃を捌いた上にパンチをクリーンヒットをさせ、ドリアンとの足場に関する精神的余裕が逆転する。

しかし、不意を突かれたことで本気の状態になったドリアンは、末堂を道連れにジェットコースターからダイビング。
予想外の行動に驚きと恐怖を感じる末堂はドリアンと共に地面に衝突し、目や鼻からの大量出血と共に痙攣を起こす。
一方でドリアンはアラミド繊維と電燈を活かしてブレーキを作った事でダメージが最小限に収まっており、末堂は敗北に終わったのだった。

後に克巳やが駆け付けるが、死んだような様子を見せながらも回収された描写はなく放置された。
これ以降最凶死刑囚編…というかバキ終了まで末堂は回復した姿を見せず、死亡説まで流れる事態となる。

範馬刃牙以降

死亡説まで流れていた状態のまま第二部『バキ』は終了していたが、第三部において久々に登場。
神心会本部で多数の門下生と稽古をしていた最中、真マッハ突きに完成に成功した克巳の繰り出したソニックブームに反応を示した。
克巳VSピクル戦では、指導員として神心会の門下生による応援の士気を担当していた。

第四部以降では観客枠のキャラの一人という感じの扱いであり、特にバトルなどには参加していない。

リメイク版

第五部『バキ道』の連載中に行われた第1話のセルフリメイク版にて登場。
同期の加藤はバキ道で久々にまともな出番を貰ったのに対し、こちらは特別企画で久々に出番を貰ったことになる。

実はこのリメイク版では身長200cm・体重130kgと独歩から説明されており、身体が本編より縮んでいる。
しかも100m走は11秒そこそことされており、「11秒を切る」と断言されていた原作から走力も結構劣化した。

有名なテンプレート関係のシーンも再現されることなく、一言も発しないまま刃牙に一瞬で一本を取られて敗北するという本編と比べて完全に雑魚と化している。
メタな事情で言うと、前後編の読み切りの形式に加えて原作から展開をへし折ったことによる尺の都合によって末堂は瞬殺された可能性が高い。
ちゃっかり身体スペックが下方修正されていたのも、原作より強くないということで瞬殺展開に説得力を持たせるためなのかもしれない。


余談

  • キャラクターのモデルは格闘家の八巻建弐。しかし作者の板垣恵介曰く、八巻と食事をする機会があったが末堂のモデルだと告白することが出来なかったらしい…。

  • TVアニメ版では刃牙戦との試合が描かれなかったりと出番が削られてしまっている。
    加藤と一悶着を起こして激突するという場面もある。

  • アニメ版『バキ』でCVを担当した乃村健次氏だが、乃村氏は第1部のTVアニメ版や一部ゲーム作品では範馬勇次郎のCVを担当している。
    アニメ版『バキ』は第一部のTVアニメ版からキャラの声優が変更されているのだが、乃村氏は担当キャラを変更した上である意味「続投」したという形になり、ファンからは困惑の声も出た。
    乃村氏は末堂も熱演したが、その演技を聞いて「どうしても勇次郎を思い出した」「この末堂は実は勇次郎だろ」と言い出す視聴者もいた模様。




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最終更新:2024年04月16日 23:29

*1 勿論の話ではあるが、現実では外れた肩を自分で整復するのは神経を傷つける可能性が高く、絶対に行ってはいけない。まあ末堂のような方法はそもそも普通ならまず出来ないと思うが…。

*2 メタ視点で言えば一番最初の主人公の敵なのでそれは当たり前なのだが