怪異(死印)

登録日:2020/08/02 (日曜日) 21:07:04
更新日:2024/05/03 Fri 13:43:43
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概要

心霊ホラーADVゲーム『死印』に登場する人外の存在の総称。
妖怪…というよりは学校の怪談や都市伝説に登場するような怪物に近い。
メリイ曰く「怪異はただ生者を殺すだけではなく、死の淵に追い込み恐怖に染め上げるのを見て楽しむ」とのこと。
一方でその大多数が元人間であり、悲しい過去や止むを得ない事情があったりと、多少なりとも同情できる背景を持つのも特徴。
彼らは恐怖を振り撒きつつも救いを求めているのだ…。

そのため、怪異と対決する際には正しい手順で生前の無念に寄り添うことで、彼らを「救済」することも可能。
ただし救済とは異なる方法で怪異を「破壊」した場合は、彼らはその怨念を以て主人公の同行者を殺害する。
そのうえ本作では基本的に特定の人物を同行させない限り、救済や破壊以前にまず生還が不可能なので注意が必要。
誰を連れて行けばいいか(というより誰を連れて行っては駄目か)のヒントは探索中にそれとなく示唆されるので、対決前に落ち着いて正しい組み合わせを考えよう。

なお、本作のキーワードでもある「シルシ」は怪異たちの持つ呪いの力であり、怪異によってシルシを刻まれた印人は一定の時間経過で死に至るほか、
特に自分にシルシを刻んだ怪異と対する際には重度の意識・記憶障害を引き起こすが、後のシリーズ続編作品に登場する怪異はこの力を持っていない。
しかし元々いずれの怪異も危険度は非常に高く、シルシがあろうがなかろうが確実に人間を殺せるだけの力を持ってはいる。

ちなみに、一応ボイスはついているが、約一名を除きスタッフロールにクレジットされなかったため、声優の演技なのか音声読み上げソフトを使ったのかは不明。


以下、ネタバレと胸糞注意。






■花彦くん

生前の名前:坂井花彦(前日譚小説及びノベライズ版で判明)
対応する印人:九条サヤ、渡辺萌、吉田つかさ、真下悟

  • 概要
第一章の怪異。廃校となったH小学校を根城にしているが、他の学校にも出現するらしい。
の前で立っていると姿を現し、「ぼく、きれい?」と訊ねてくる。これに「いいえ」と答えると姿を消し、「はい」と答えると「じゃあ、赤いのちょうだい?」と言い残して消える。
ただし大人が嫌いで、質問相手が大人だった場合は相手の血液を全て抜き取って殺害し、遺体のそばに血に染まったかのような真っ赤な薔薇を一輪残す。
薔薇を操り、蔓の鞭やトゲを飛ばすのが主な攻撃方法。
本編では山下大輔(と恐らく九条サヤ)を殺害する他、選択肢によっては萌かつかさを殺害する。

  • 容姿
女装をした小学生ぐらいの少年。
足は無く宙に浮いており、両腕は人間のものではなく薔薇の蔓が絡まってできている。
頭部は左目部分が肥大化しており眼球が無く、右側は薔薇の蔓で覆われている。
口元には赤いシミがある。

  • 背景
元々は母子家庭で育った女装癖持ちの少年。母親は彼の趣味に理解を持っていた。
しかし、当時H小学校の校長を勤めていた男に養子として引き取られたことで生活は一変。校長は彼の女装癖を悪癖と決めつけ虐待にも近い教育を行うようになる*1
少年は他の教師に助けを求めたが、世間では人格者として有名な上にあらゆる方面に顔が広い校長に逆らえる者は誰もおらず、教師陣は見て見ぬふりをした。
こうして少年は衰弱死し、怪異『花彦くん』となったのである。

なお、上記の女装癖の関係か、花彦くんは目を付けた女性の衣服を脱がそうとする傾向にあり、本編で花彦くんの被害にあった女性は全員あられもない姿を晒す羽目になってしまった。
萌ちゃん、着痩せしすぎじゃね?

また、件の校長は現在も存命中。
H市に頻発する行方不明事件について自分のまわりをあれこれ嗅ぎ回っていた真下を、警察に圧力をかけてクビにした。
下記のずう先生の手記によると、H小学校が廃校になる原因となった火事を引き起こしたのもこの校長らしいので、
もしかしたら行方不明事件を嗅ぎ回られることよりもそちらが明るみに出ることを嫌ったのかもしれない。



■森のシミ男

生前の名前:丸尾慎蔵
対応する印人:長嶋翔、真下悟*2

  • 概要
第二章の怪異。H城樹海を根城とする。
樹海を歩く人間に「ハチは好きかい?」と訊ね、これに「はい」と答えると「なら飼ってみようよ。おまえの体の中でな」と相手をドリルを使って殺害し、そのまま蜂の巣に改造する。
養蜂のエキスパートで蜂を自在に操る。
本編では木村正男を殺害する他、選択肢によっては真下か翔を殺害する。

  • 容姿
本作のグッドデザイン賞。頭部が蜂の群れに覆われた肥満体の大男で、胴体・蜂の群れの向こうにある素顔共に、それの生理的嫌悪感を最大限に引き出したビジュアルの持ち主。
ゲームカタログ@Wikiでも取り上げられるぐらいに良い意味で気持ち悪い。
おまけに身体からは蜂蜜のようなベタベタした液体が流れている。

  • 背景
生前の名前は丸尾慎蔵。H城樹海を拠点として活動するカルト集団「蜜蜂家族」の指導者。
とても敬虔な人物で、世の中の理不尽はすべてH神社の祟りだと考えていたが、一方で団員たちを家族と呼び、養蜂を行う傍らみんなで一緒に野球をするなど決して悪人ではなかった。
しかし、一向に『祟り』が収まらないことに焦りを覚え、徐々に精神が崩壊。裏切り者*3を殺害し、最後は団員と共に自殺を謀った。
だが何故か丸尾だけは自殺に失敗してしまい、しかも自殺に必要な"ある手順"まで忘れてしまう。
こうして孤独になった丸尾は"ある手順"を思い出して先に死んだ家族と再会するため、H城樹海をさ迷う内に怪異『森のシミ男』となった。



■くちゃら花嫁

生前の名前:長谷川聖子
対応する印人:有村クリスティ、森宮すず、中松栄太

  • 概要
第三章の怪異。H市内にある特定の三つの電話ボックスに出現する。VITA版とPS4版のパッケージも飾る。
電話ボックスの中で待っていると突然電話が鳴り、受話器を取るとその向こうからクチャクチャという音と共に「あなた見たの?」と問いかけてくる。
これに「見てない」と答えると今度は「何が見たいの?」と問いかけてくるので、探し物を訊ねるとその場所を教えてくれる。
見られることを極端に嫌っており、「め・メ(目)」「アイ・愛(eye)」などの単語に過剰反応する。
手順さえ間違えなければ特に危険ではない類の怪異だったのだが、何故かシルシを刻む凶悪な存在になってしまった。
また、彼女のみ他の怪異と対決方法が異なり*4、その影響で恐らく最も本作で破壊してしまいやすい怪異になっているため注意。
選択肢によってはクリスティかすずか栄太を殺害する。

  • 容姿
頭部が異様に長い、ウエディングドレス姿の女性。全長は電話ボックスとほぼ同じサイズ。
ベールの下の素顔は真ん中で曲がった瓜のようになっており、両目がとても大きい。首には索状痕がある。
口の中には目玉があり、クチャクチャという音はこれを頬張っているから。

  • 背景
本作で一番不幸なキャラ。
生前の名前は長谷川聖子といい、とある有名なミュージシャンとの結婚を控えていた幸せな女性だったが、
結婚前夜に犬の散歩に出掛けていた際に誘拐され集団レイプされた挙げ句、その光景をカメラに納められてしまう。更に愛犬は逃げる犯人グループを追いかけた結果轢き殺されてしまった。
後日、犯人グループはその写真をネタに婚約者であるミュージシャンを脅迫。大金を支払って示談には成功したが、絶望した長谷川聖子はそのまま本来結婚式で着るはずだったウエディングドレス姿でH城樹海で首を吊って自殺し、怪異『くちゃら花嫁』となった。
彼女が登場する電話ボックスはそれぞれ攫われた場所、暴行された場所、そして自殺した場所である。

ちなみに、婚約者のミュージシャンもこの一件で精神を病んでしまい、犯人グループを皆殺しにした後にH城樹海で自殺している。



■長髪の犬(仮称)

生前の名前:ゲンタ
対応する印人:無し

  • 概要
第三章の怪異。H城樹海とT尾団山地付近が縄張りの模様。
やたらと大人の男性を敵視しているが、首輪を求めたり堂々とした態度を取る相手には態度を改める等、誰かに飼われていた過去がある模様。

  • 容姿
名前の通り、人間の女性のような長い頭髪を持つ、がっしりとした体格の

  • 背景
正体は長谷川聖子を集団レイプした犯人グループによって轢き殺された、彼女の愛犬・ゲンタ。
死後も飼い主とその婚約者を案じて成仏できずにいた。



■ずう先生

生前の名前:頭川(ずがわ)(まなび)
対応する印人:柏木愛、安岡都和子

  • 概要
第四章の怪異。H小学校を根城にしている。以前はK宮丁にあるマンホール通りにも出現した。香水と獣臭で体臭がすごい。
やたら間延びした口調で、"しゅら様"なる存在を狂信している。H小学校に調査に来た主人公に奇妙なテストを受けさせるが…。
選択肢によっては愛を殺害する。

  • 容姿
頭は豚、体は人間の女性、両腕は蛇、下半身はダチョウというキメラ。ちなみに服装は白衣だがその下は赤いブラジャーだけ。うれしくない。
他の怪異が『人間とそうでない部分が自然な感じで混ざりあったデザイン』のため、若干浮いている。

  • 背景
本名は頭川学。かつてはH小学校に勤めていた教師の一人で、多くの実験動物を飼育し愛でるその姿を生徒たちから「ずう(=Zoo=動物園)先生」と呼ばれていた。
生まれつき人間が嫌いであり、自分が人間であることも嫌っていた。少女時代に人間の男性を好きになったこともあったが、「動物臭いから」という理由でフラれている。
この他、飼育していた動物たちを二度も火事で失うという悲劇にも見舞われている。
学校を退職した後は広尾と同じ製薬会社に勤めるが、人間への嫌悪を募らせた頭川学は第二次世界大戦中に日本陸軍が行っていたある実験に興味を持ち、
その関係者の子孫であった広尾から陸軍が実験に利用していたという地下壕の地図を強奪。
そして地下壕の調査を行っていた折に、下記の観音兵と遭遇。これを愛染修羅の天啓とし、自らを怪異『ずう先生』へと変貌させるべく行動を開始した。

なお、かつてH小学校に勤めていたずう先生が、大人を嫌う花彦くんと住み分けできていた理由は不明。考えられる理由としては、
  • 「H小学校の校長に恨みを持っていた」「理解者に恵まれず孤独だった」という共通点からお互いシンパシーを感じた。
  • 怪異になりたがっている彼女を殺しても喜ばせるだけと判断した。
  • ずう先生の方が花彦くんよりも強大な怪異であるため逆らえなかった。
  • ずう先生が女性の装飾品を花彦くんに交渉材料としてプレゼントした。
などが挙げられる。



■観音兵

生前の名前:不明
対応する印人:広尾まどか、大門修治、バンシー伊藤

  • 概要
第五章の怪異。H市の地下壕内に巣食う謎の存在。
その正体は、第二次世界大戦中に追い詰められた日本陸軍が極秘の「天仏計画」によって開発したとされる狂気のオカルト兵器。創作でのナチスじゃないんだから…。
お経を詠むことでそれを聞いた者を発狂させ、自身は半霊化によって物理攻撃を無効化するという、上記四体と比べても屈指の戦闘力を持つ怪異。
当然人の手に制御できる代物ではなく暴走したが、なんとか機能停止に追い込まれる。しかし五十年の時を経て謎の復活を遂げた。
選択肢によっては広尾を殺害する。

  • 容姿
修羅像の胴体に人間の女性の頭部を移植するという、アンブレラも真っ青な方法で造られている。
…のだが、その姿には修羅像の面影も、女性の面影も無い。千手観音のごとく大量の腕を持ち、胸元には日の丸マークがある。
顔は口の端が目尻にまで裂けており、本来の目はそこに無く、額にある。

  • 背景
上記の通り天仏計画の内容は非人道的なもので、本編ではその拷問じみた実験の様子を過去の記憶という形で垣間見ることができる。
そうして生み出された観音兵だったが、動き出すや否や計画関係者を次々と殺戮し、その生き残りにもシルシを刻んで皆殺しにしたという。
だが実際のところ実験は成功したわけではなく、その材料とされた女性に"ある存在"が与えた力が怪異『観音兵』を動かしていたに過ぎない。
どちらにせよ、観音兵も被害者であることにはかわりないが。

…観音兵の材料として集められたのは、素体となる仏像と人間の女性、そして霊的な力を持った呪物。
しかし主人公たちが実験場跡を調査した時には、計画の中心的役割でもあったはずの霊的呪物の痕跡だけが消えていた。
それが保管されていたと思しき場所に、赤い西洋風のクッションだけを残して……。












追記・修正は怪異を救済してシルシを消してからお願いします。

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最終更新:2024年05月03日 13:43

*1 ただし、校長はあくまでも愛の鞭のつもりだった。

*2 花彦くんのシルシから解放された後、シミ男に再びシルシをつけられた。

*3 潜入捜査に来ていた真下の先輩。

*4 アイテム選択ではなく、連続のデッドリーチョイスのみ。

*5 本名不明。『サ』から始まる模様。

*6 移植版追加シナリオ。VITA版にもDLCとして配信されている

*7 さすがに『バイト』にはやらせていなかったようだが。