SCP-3199

登録日:2020/10/26 Mon 00:28:10
更新日:2024/04/14 Sun 13:43:19
所要時間:約 3 分で読めます





環境的マンチキンのどこがどうして、素晴らしいというのだろう。



SCP-3199とは、シェアード・ワールド「SCP Foundation」において登録されたオブジェクトの一つ。
オブジェクトクラスは「Euclid」を経ての「Keter」。



説明

SCP-3199は、全身が無毛で平均身長2.9mの怪物である。
全身が卵白のような膜に包まれており、首の関節を自由に曲げることが出来る。遺伝子を解析した結果、鶏とチンパンジーの遺伝子が確認された。

で、コイツは人間を獲物として認識している。半径6m内に存在する獲物にその身からは想像も出来ない速度で接近し、口から吐き出す腐食性の液を使い仕留めた後に、巣の雛たちに与える習性がある。

コイツら自身は、駆逐するのにそこまで苦労はしない。普通に銃弾で殺すことが可能なのだ。


終わらない処理

ならば何が問題かと言うと、コイツが吐き出す物質である。
SCP-3199は自らが死に瀕した場合、体内に貯蓄した卵を口から吐き出す
そして可能ならば生存しているうちに、自分の棲息域の空間に、可能な限り卵を産み出し続ける

そしてこの卵、メチャクチャ頑丈なのだ。高圧力をかけても、強酸に浸けても、チェーンソーで切り付けてもびくともしない。
その頑丈過ぎる卵を無尽蔵に産み出す。この時点で、LK-クラス生物種変換シナリオをもたらす危険性を秘めている。

勿論、この卵からはSCP-3199が孵化するうえ、孵化仕立てでも卵を吐き出す。後の調査で、生まれた時点で体内に卵が貯蓄されているようだ。

尚、この卵を吐き出す行為は相当の負担が掛かるものと推測されており、この場面に立ち合った職員曰く、ほとんど悲鳴と大差ないとのこと。



これらのことから、既に察しの良いものは気づいているだろう。


コイツが吐き出す卵の生産量は、現段階では推測出来ない。限界がない。
すなわち、NK-クラス:世界終焉シナリオを引き起こす可能性がある。

当然ながら、コイツらは人を獲物としか捉えていない。間違いなく世界が終わる可能性を秘めたオブジェクトなのである。


収容プロトコル

よって収容プロトコルは以下の通り。

  • 現在、財団に存在する4体のSCP-3199は、厚さ約2 cmの耐酸鋼鉄で構成された、Keterクラス人型生物収容室にまとめて収容せよ。

  • さらに全てのSCP-3199個体は、個別ごとに高強度で透明の物質(透明アクリル樹脂)で構成されたブロック内に埋め込まれて隔離せよ。

  • 全てのSCP-3199が吐き出した卵を用いた実験は、レベル4以上のセキュリティクリアランスを持つ職員、2名以上による許可が必要である。



因みに、これらの情報の多くは、SCP-3199が収容違反した後に構成されたプロトコルだということにも注目していただきたい。

そう、コイツは一度収容違反を犯している。この再収容の際に新たに発見された性質を元に構築された収容違反プロトコルも載せておく。


  • レベル-1以上のセキュリティクリアランスを持つ職員は、特別な指示がない限りは、すぐに標準封鎖手順に従って直ちにサイト-113へ移動せよ。

  • サイトをクラスA鎮静剤を混ぜた蒸留水で満たせ。その後に機動部隊、陸上チーム・タンゴ-306-AにCP-3199の卵を回収させよ。

  • 生存しているSCP-3199は目撃し次第全て駆逐。後に残った卵を収集した後に、一時的にサイト外収容施設に輸送せよ。

  • その後にサイトの水を排水した後に清掃せよ。


これから読み取れる通り、SCP-3199は蒸留水で行動を抑制することが可能なことが読み取れる。


なぜ「マンチキン」は誕生したか。

そもそも、SCP-3199を発見した経緯は、アイルランドの某所にて、「見知らぬ毛のない生き物がバンシーのように泣き叫んでいる」という通報を受けたためであった。


その通報を受けて派遣された機動部隊オメガ-19がSCP-3199が発見された付近で不審な小屋を発見、建物を捜索しているうちに初めてSCP-3199と遭遇した模様。

公式ページには、これによって部下二人を失った機動部隊オメガ-19の隊長による悲痛なインタビューが記載されている。
ぜひ一度、ご覧頂きたい。

小屋から発見された幾つかのアイテムは以下の通り。

  • 様々な色や大きさの針と糸が雑然と詰められた鞄1点。

  • 約13羽分の鶏の死骸 。下腹部、首部、大腿部には正確に切開された傷が存在している。6羽の死骸は羽根をむしられており、むしられた箇所には人間の歯の跡が不規則的に散見される。

  • 容器 (水のボトル、タッパーウェア等) 数点。容器には未知の液状ペーストが封入。ペーストは濃褐色であり、酸素の存在下で増粘化・硬化する。ペーストは現在化学分析待ち。

  • 銘柄「████」のA5ノート1冊。人間の爪跡であることが確認された多量の引っ搔き傷がある。表側には英語で「オレたちがきれいになったら開いてくれ!!」と記入されている。

  • 2本の鶏の羽根ペン。




発見された日記の内容がこちら。


もし君がこれを 続んで 読んでいるなら運がいい!

あともう少しだ。すごくすごく 主白く 面白くなるだろうし、(落とって 劣っている) 人間のDNAがとんでもなく使い勝手がいいおかげで 新らしい 新しい時代がくる。

今より強い時代だ。より良い未来 が来るまで のためにオレたちがもっともっともっとたくさん作れば[判読不能]や食べ物や水を[判読不能]る時代はカコのものになる! [判読不能]

オレにはもう時間が あんまあまりない だから君たちがうらやましくてしかたないんだ。そっちには十分時間がある。時間は [判読不能]なものになって 時間はどんどんつづいて、死が生になる。生物 新しい生物が生活を変えてさわやかな笑顔を生み出すんだ。これからは新しい生物が生活の一部になる。


この支離滅裂な内容は一体なんだろうか。


最後のページには複数のインクの染みと、それぞれ大きさの違う13個の"生"という言葉、加えて、2つの「これが君の望んだことたのか?」という文字が記載されている。





そこで起きていたこと

SCP-3199を産み出した何者かは、食糧危機を回避するために新しい食物を産み出そうとしていた。

しかし実験をしている内にエスカレートしていき、最終的にチンパンジーや、果ては自分自身を実験台にしたのだろう。その結果、人類史を脅かしかねない怪物を産み出してしまった。


もしかしたら、SCP-3199と化した何者かは最後に意思を取り戻したのかもしれない。そうすれば、最後の日記に記載された内容にも納得がいく。

他ならない、自分自身への問い。



「これが自分が望んだことだったのか?」と。






それに解を答える者は誰一人存在しない。SCP財団は、あらゆる怪異を確保、収容、保護してゆき、人類を存続させるための組織。怪物は封じ込めるのみである。それはアニヲタ支部に所属している我々も他ならない。

だが、だがもしも、世界の行く先を憂い、自らが持つ技術を積み重ねていった結果、怪物とした誰かを哀れだと思ってしまうなら、それはSCP財団アニヲタ支部に所属している者としてあるまじき感情だろうか........?




SCP-3199


Humans, Refuted(誤れる人類)






追記・修正をお願いします。


SCP-3199 - Humans, Refuted
by bittermixin
http://www.scp-wiki.net/scp-3199
http://ja.scp-wiki.net/scp-3199(翻訳)
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最終更新:2024年04月14日 13:43