ドープフィッシュ

登録日:2020/12/09(水) 16:45:03
更新日:2022/11/17 Thu 19:20:36
所要時間:約 5 分で読めます




2020/12/09 Joe Siegler



概要

ドープフィッシュ(Dope Fish)とは、1990年代後半~2000年代前半の北米産ゲームにイースターエッグとして登場するキャラクター。
id Softwareのトム・ホールによって考案され、id Software開発、Apogee Software発売のアクションゲーム『Commander Keen 4: Goodbye Galaxy!』にギミックキャラとして登場。
その後トムホールの移籍と共に様々な作品にイースターエッグとして仕込まれるようになった。


Commander Keenにおけるドープフィッシュ

前歯が二本飛び出た、巨大な緑色の魚。常に腹をすかしている。
コマンダーキーンシリーズは『マリオ3』をベースとしており、この魚も元ネタは同シリーズのプクプク。
ゲーム内では水中ステージ「TheWellof Wishes」において登場。8歳の少年キーンよりも二周り巨大という規格外のサイズを誇り、そのまま泳いでいるとキーンは丸呑みにされて死んでしまう。

しかし道中には接触するとキーンに付いてくる小魚がおり、ドープフィッシュは接近時に小魚がいると優先して小魚のほうを捕食する。
捕食した後にドープフィッシュは 画面の方を向いてゲップをする。 その際にキーンは横をすり抜けることが可能。

正攻法で倒すことが出来ず、ステージを進む際に必ずゲップを拝ませられるというシステムからプレイヤーに強烈な印象を残した。
また開発側にもお気に入りのキャラだったらしく、その後キーンを置いてだんだんと一人歩きを始めていく。



Apogee Softwareへの移籍

『コマンダーキーン』の開発に関わりドープフィッシュを生み出したトムホールだったが、その後FPS『DOOM』の設定を巡ってジョン・ロメロらid Softwareのスタッフと不仲に陥ってしまった。
退職を決意したトムホールは、『コマンダーキーン』と『Wolfenstein 3D』発売元であるApogee Softwareに移籍。そこでFPS『Rise of The Triad』の製作などを主導するように。

「名作をいくつも手がけたあのトム・ホールがApogeeに入社した!」
そんなニュースを喜んだApogee Software社員アンディ・エドワードソンは、開発中だったスーパーマリオカートをMS-DOS上に1から移植したレースゲーム作品『Wacky Wheels』にトムホールを称えるイースターエッグを入れることを思いつく。
元々マリオ3の模倣から大ヒットしApogee大躍進のきっかけを作ったというコマンダーキーンの存在は、彼の手がけていたWacky Wheelsに酷似していたのだ。

登場のトリガーは、「任意のステージでブレーキを踏み続けながら左へハンドルを切り続け、その場で回転すること」。成功すると プレイヤーを覆い隠すようにドープフィッシュが現れ、ゲップをして去っていく。
発覚後も生みの親トム・ホールは気に入り、同Apogee Software(3D realms)最新作『Duke Nukem 3D』にもドープフィッシュを採用しようとした。

しかし、水中ステージの是非といった開発途中の紆余曲折によってドープフィッシュ自体の導入は適わず、同時期にトム・ホールは再びid Softwareへと再就職してしまう。
生みの親の去った『Duke Nukem 3D』に残ったのは、彼が壁に書き残した『DOPEFISH LIVES(ドープフィッシュは生きている)』という予告状だけだった。

生まれ故郷での再出発

次にドープフィッシュが現れたのは、『DOOM』ベースの新作として開発が進められていたFPS『QUAKE』。
今度はトム・ホールに加えてジョン・ロメロまでid Softwareメンバーと不仲になり、トム・ホールとロメロは『QUAKE』発売を待たずして「Ion Storm」を設立し移籍してしまうのだが、ドープフィッシュ自体は再びその姿をゲーム内に現すことになった。
登場箇所は水中ステージのシークレットエリア。『DOPEFISH LIVES』の合言葉と共に、ゲップをするクソ魚の巨大な顔を拝むことができる。

その後、トム・ホールのいなくなった後にも『QUAKE II』『QUAKE III arena』に 「ゾンビと化したドープフィッシュ」 が登場。
更に、移籍後の「Ion Storm」ではジョンロメロが『DAIKATANA』のシークレットにドープフィッシュを登場させ、その『DAIKATANA』の発売元「Eidos Interactive」が発売した「IO Interactive」開発の『HITMAN 2: Silent Assassin』にも登場。

これによって、2000年代初頭には緑のはらぺこクソ魚は繋がりのある会社だけでも「開発元であるid Software」「発売元であるApogee Software(3D realms)」「生みの親のいるIon Storm」「Ion Storm作品の発売元Eidos Interactive」「Ion Stormの同僚IO Interactive」の計5社にまたがって登場する存在となった。

ミームとしての他社への拡散

ゲップをする緑の魚、そして「DOPEFISH LIVES」の文字は、1997年頃には既に同時期の北米PCゲーム開発会社の間で有名な内輪ネタの一つとなっていた。
それから現在にいたるまで多種多様な北米産ゲームに登場したドープフィッシュ。列挙すると
  • Wacky Wheels
  • Duke Nukem 3D
  • QUAKE
  • QUAKE II
  • SiN
  • DAIKATANA
  • QUAKE III Arena
  • Jazz Jackrabbit 2
  • Descent 3
  • Battlezone
  • Kingpin
  • Anachronox
  • MaxPayne
  • Hyperspace Delivery Boy
  • SiN episodes
  • Rise of the Triad(2013)
  • Deus Ex: Human Revolution
  • DOOM(2016)
  • DOOM Eternal
などなど。
ゲーム会社の倒産や開発メンバーの世代交代によって2010年以降は目にする機会もさほど多くなくなってしまったが、
そんな90年代レトロゲームの気風をリスペクトした『DOOM(2016)』『DOOM Eternal』がドープフィッシュネタの数少ない継承者となっている。







追記・修正は小魚たちを集めてからでお願いします
この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • FPS
  • id Software
  • 緑のクソ魚
  • Dope Fish
  • ネットミーム
  • ドープフィッシュ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年11月17日 19:20
添付ファイル