異修羅

登録日:2021/01/03 (日曜日) 19:39:43
更新日:2024/02/28 Wed 10:06:53
所要時間:約 10 分で読めます





全員が最強


全員が英雄


一人だけが勇者。



『異修羅』とは電撃の新文芸から刊行されているライトノベル

レーベル:電撃の新文芸
著者:珪素
イラスト:クレタ

【概要】

カクヨムおよび小説家になろうで掲載されていた作品を書籍化したものであり、2024年2月現在9巻までが刊行されている。
「本物の魔王」と呼ばれる存在が何者かに討たれた後の異世界を舞台に、魔王を討った「勇者」を見つけ出すために開かれたトーナメントで「修羅」と呼ばれる圧倒的な強者たちが争うというのがおおまかな内容。
ジャンルとしては群像劇の形式をとっており、人間やエルフ等といった一般的なファンタジー種族からワイバーンやスライムといった種族まで、さまざまな修羅が登場する。

アニメ化が決定し、2024年1月から放送開始。アニメーション制作はパッショーネ。

【あらすじ】

魔王が殺された後の世界。
そこには魔王さえも殺しうる修羅達が残った。
一目で相手の殺し方を見出す異世界の剣豪、音すら置き去りにする神速の槍兵、
伝説の武器を三本の腕で同時に扱う鳥竜の冒険者、一言で全てを実現する全能の詞術士、
不可知でありながら即死を司る天使の暗殺者……
ありとあらゆる種族、能力の頂点を極めた修羅達はさらなる強敵を、“本物の勇者”という栄光を求め、新たな闘争の火種を生み出す。
全員が最強、全員が英雄、一人だけが勇者。“本物”を決める激闘が今、幕を開ける――。

【用語】

修羅()
この作品のタイトルにもなっている単語。
それぞれが万夫不当・一騎当千であり、通常の存在とは隔絶した力を持つ
その強さも単純な強さから舞台の裏で糸を引く盤外戦の強さまで、様々である。

詞術(しじゅつ)
広義の意味と狭義の意味の2種類が存在し、どちらも作中において重要な役割を果たす。
・広義の詞術
作中世界では基本的に『言語』と呼ばれるものが存在せず、登場人物たちは皆いわば「本人だけの独自言語」を話している。
ではどうやって意思疎通をしているのかというと、この詞術が発した言葉をリアルタイムで翻訳してくれているのである。
そのため、『術』と呼ばれてはいるがどちらかというと法則のほうが近い。
また、こちらの影響で作中世界では文字などがほとんど発達していない。
これが適用されない種族は「心がないもの」として扱われ、子供が遊び半分に猫を殺しても野生動物に近づく危険を注意される以外は何も言われないなど適用される種族からの扱いが非常に雑。
・狭義の詞術
いわゆる魔法と呼ばれるものであり、作中で「詞術」と出てきた場合には大抵こちらのことを指す。
後述する『客人』が使えないのはこちら。
上記の「広義の詞術」を用いて物や生物に働きかけることで、物を燃やす、傷を癒すなど様々な効果を発揮する。
とはいえ万能というわけではなく、十全に効果を発揮するには対象への理解と共感が必須であり、慣れ親しんだもの以外へ効果を発揮するにはそれなり以上の熟練が必要。
そのため、他者への直接の詞術の行使や自分が住んでいる場所から離れた場所での詞術の行使は難易度が高いとされている。
作中では炎やといったエネルギーを作り出す『熱術』、物質の運動量を操り制御する『力術』、物質の形状を操作する『工術』、傷を治したり水を酒に変えるなど物の性質に働きかける『生術』の4つが主な区分として挙げられている。

客人(まろうど)
作中世界とは異なる世界から転移してきた、いわゆる異世界転移者。
通常イメージされる異世界転移者とは逆で、「転生してチートを得た」のではなく「チート過ぎて元の世界を追放された」人たち。
彼らは詞術こそ使えないものの何かしらの逸脱した能力(戦車をなます切りにできる戦闘力や、丸腰から一国の王になれる政治力、珍しいものだと転移した時に持ってた定規一本からメートル法を世界に普及させた「吝嗇なるヴィクトル」なんかもいる)を持っており、それによって元居た世界から追放されこちらの世界に流れ着いている。
追放と言っても人為的なものではなく、「世界そのもの」から異物と判定され追放された模様。
また、彼らは転移してきた時点から年を取らない不老の存在となるため、見た目から年齢を判断することは不可能である。
転移してくるのは人間だけでなく他の生物や非生物も含まれており、ドラゴンの祖先や魔剣と呼ばれる超常の武器も異世界からやってきたと見られている。

黄都(こうと)
作中における統一国家の首都であり、主な舞台となる都市。
セフィトという女王が統治していることになっているが実権は黄都二十九官と呼ばれる官僚たちが握っており、彼らによって都市も運営されている。
黄都が「本物の魔王」を倒した「本物の勇者」を見つけるための催しとして「六合上覧」と呼ばれるトーナメントを開催する、というのがこの作品の発端となる。

本物の魔王()
作中世界を恐怖と混乱に陥れていた存在。
本編前に「本物の勇者」と呼ばれる何者かによって殺害されているが、それでもなお世界中に深い傷跡を残している。

魔王自称者()
「本物の魔王」が現れるまで魔王と呼ばれていた者たちのこと。
ちなみにこの魔王というのは魔物のトップとかそういう意味ではなく「正当な王ではない(魔なる王である)」として黄都側が認定しているもの。
…要するに黄都に都合が悪い存在をそう呼んでいるだけである。
なので魔王を自称していなくても魔王自称者と呼ばれる。

余談だが、この用語をもじって「読者自称者」と自称する読者もいる。

二つ目の名()
いわゆる「二つ名」と呼ばれるものであり、基本的に登場人物は(それこそ街中のおばちゃんまで)全て二つ目の名を持っている。
通称というよりは苗字のような扱いであり、代わりに苗字は存在しない。

種族()
ファンタジー作品の例に漏れず作中では様々な種族が登場する。
基本的に住んでいる場所や特徴から名前が付けられていることが多く、例としてエルフならば森人(エルフ)
スケルトンならば骸魔(スケルトン)といった呼び方がされている。
人間の場合は人間(ミニア)と呼ばれており、これは「森でも山でもない『間』の地に住む」というのが由来となっている。
一般的な認識とは異なる特徴を持った種族もおり、例えば山人(ドワーフ)と呼ばれる種族は大柄で体躯に恵まれた種族となっている。


【登場人物】

(やなぎ)(つるぎ)のソウジロウ

「――柳生宗次朗。このオレが、地球最後の柳生だ」

剣豪(ブレード)人間(ミニア)
客人であり、最強にして最後の剣豪。
爬虫類めいた顔をしており、赤いジャージを愛用している。
刃がつぶれた訓練用ので斬鉄すら可能とする絶技とも呼べる剣技と、あらゆる物質の急所を一目で見抜く超常の観察力を持つ。
元の世界では米軍主力戦車M1エイブラムスをなます斬りにしている。

星馳(ほしは)せアルス

「……欲しいものがあるんだ……」

冒険者(ローグ)鳥竜(ワイバーン)
この世界のあらゆる伝説を踏破した冒険者。
冒険の果てに手に入れた多種多様な魔法の武器や道具を所持している。
通常の鳥竜に腕が無いところを三本の腕を持って生まれた奇形であり、それを用いて自身の持つあらゆる武器・道具を十全に使いこなすことができる異常なほどの適性を持つ。

世界詞(せかいし)のキア

「もしもあたしが『死ね』って言えば、みんな死んじゃうんだから!」

詞術士(ウィザード)森人(エルフ)
小さくのどかな村で過ごしていた一人の少女。
異常なほどの詞術への適性を持ち、区分の得手不得手も、対象への理解も、特別な詠唱も何も必要とせず一言発するのみであらゆる事象を引き起こすことができる。
というか、「慣れ親しんだものにしか行使できない」「詠唱が必要で声が届く範囲にしか使えない」などの前述の詞術のルールをガン無視しており、もはや詞術といえるのかすら不明。
天候すら一瞬で塗り替えることが可能であり、全能とすら呼べる力を持つ。

(とお)()のクゼ

「ふへへ、ひどい世の中だよ、まったくさ……」

「教団」と呼ばれる宗教組織に所属している人間であり、始末屋。
自身の持つ鎧と大楯で身を守ることには長けているものの、一切攻撃を行わない。
にもかかわらず彼と敵対した存在は皆死んでいるという。
本人曰く「自分には天使様がついている」らしいが……?
+ ...
(しず)かに(うた)うナスティーク

「…………」

暗殺者(スタッバー)天使(エンジェル)

クゼに憑いている、創世の時から存在するといわれる天使。もとい、通り禍のクゼのスタンド能力。
クゼ以外のあらゆる存在に知覚されず、認識されず、クゼを殺そうとしたものに対して反撃を行う。
「死の牙」と呼ばれる短剣を持っており、これに刺された生物は必ず死ぬ

無尽無流(むじんむりゅう)のサイアノプ
「――ならば全霊。五度は殺すぞ」
格闘家(グラップラー)粘獣(ウーズ)
はじめて本物の魔王に挑んだ、『最初の一行』の一員にして、ぷるぷるのスライム。
「本物の魔王」戦において力不足であるため置いて行かれたことを心残りとして、21年間武の修行を続けてきた。
「彼方」から伝わった中国武術を極めており、不定形なので足運びなどの初動がなく、流動することで相手の攻撃を逃がしたり、逆に自身の功夫を100%伝えたりできる。

音斬(おとき)りシャルク
「……俺は、誰だ」
槍兵(スピアヘッド)骸魔(スケルトン)
地上最速。本人も記憶喪失であるためよくわかっていないが、「勇者の骨」を自称する。
実際のところは不明だが生前からきわめて強力なの使い手であったことは確かであり、
さらに骸魔(スケルトン)生前の筋力と技能は据え置きで質量は骨部分のみの15%になるという種族特性を持っており、生前よりもはるかに速い。ついでに骨の組み換えも可能であるため、間合いの見切りも不可能。



濫回凌轢(らんかいりょうれき)、ニヒロ

「いい景色だ。眺めておくといいよ――全部粉微塵になってしまうだろうから」

騎兵(カタフラクト)屍魔(レヴナント)
ミステリアスな雰囲気を持つ、ゾンビの少女。
「単機で一軍を滅ぼした、記録上最悪の生体兵器」として黄都に幽閉されており、『埋葬のヘルネテン』という名の蜘獣(タランチュラ)と呼ばれる巨大な蜘蛛をベースにした生体戦車に搭乗し、戦場を蹂躙する。
ヘルネテンはあらゆる攻撃で傷つかない超常の装甲で覆われており、既に死亡しているニヒロには呼吸も不要であるため通気口のような隙間も一切存在せず外部からの干渉を受け付けない。

(いまし)めのタレン

「戦端は私が開く。その才と武を振るえる修羅の世界こそが、貴様らの望みだろう」

元黄都二十九官の一人であり、現在は黄都に対して反逆を起こした魔王自称者。
「本物の魔王」が倒れた世界を恐怖によって支配すべく、複数の修羅を率いて立ち上がる。

(かささぎ)のダカイ

「だから俺、剣士じゃないんだけどな」

盗賊(バンディット)人間(ミニア)
スーツ姿に裸足という一風変わった服装をした客人。
銃弾すら見切るほどの動体視力と超常の洞察力によってあらゆるものを奪い取る盗賊
敵の攻撃速度を必ず上回る、《ラズコートの罰の魔剣》と呼ばれる絶対先制の魔剣を持つ。

夕暉(せっき)(つばさ)レグネジィ

「新公国に歯向かったクズどもは一人逃さず殺れ」

司令(コマンド)鳥竜(ワイバーン)
大量の鳥竜を指揮する、高い知識を持つ鳥竜。
この世界で唯一の「空軍」を持つ存在であり、それらを一つの生命体の如く自在に操る。
指揮下にある鳥竜たちは自分の命すら顧みないほどレグネジィに忠実に従うが……?

(うみ)たるヒグアレ

「はい。無論、全滅させることはできます」

剣奴(グラディエーター)根獣(マンドレイク)
植物生命体である根獣の、寡黙な傭兵。
種族の特徴として微量でも死に至る致死性の猛毒を持つほか、数多の決闘を通して研ぎ澄まされた戦闘技術を持つ。
そして、それらを自身の持つ大量の触腕により振るい敵を圧倒する。


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最終更新:2024年02月28日 10:06