SCP-2434-JP

登録日:2021/01/10 Sun 00:04:11
更新日:2024/04/18 Thu 12:30:20
所要時間:約 7 分で読めます





誤伝達部門より通達

付随の説明書には不要な情報、及び一部存在していない情報があります。これは意図されたものではありません。説明書を読んでご不明のことがある際は、誤伝達部門にご連絡ください。

— 瀬戸博士 誤伝達部門日本支部

この項目は、型番:SCP-2434-JPのやかんの説明である。
分類:Kettle。




概要

型番:SCP-2434-JPは製造元・組成が不明なやかんである。
やかんは湯沸かしのみならず、液体の運搬にも利用される他、中に水を入れた状態で放置することで加湿器としても使用可能である。
しかし、やかんは鈍器、インテリア、容器内の充填物として扱われるものではない。

やかんの取り扱いについては以下の説明書からの引用を参考にしていただきたい。

⚠取り扱いの際の注意⚠

現在サイト-8154の調理室にて使用されています。
使用中の表面への接触は火傷を引き起こすため、注意してください。
使用後は中性洗剤を染み込ませたスポンジで洗い、水分をよく拭き取ってから乾燥するようにしてください。
本製品は十分に取扱説明書をお読みいただいたうえでご利用ください。また、本製品の取扱説明書は毀損せず製品と一緒に大事に保管してください。
説明書に変更が必要であると思われる場合は誤伝達部門に連絡してください。
本来の使用用途に合わない目的への使用は使用者に予測できない被害を及ぼします。

最後に、上記引用の説明書における注意に違反した結果起きた事故を引用しておく。

使用者 事故の詳細 事故の発生原因
20代主婦 顔面の火傷 鈍器としての使用
30代研究員 使用者を含む同僚5人のオブジェクトクラスに関する知識の喪失 オブジェクトクラスの付与
30代研究員 指の骨折(2回) やすりを用いた成分分析(2回)
30代研究員 財団記録・情報保安管理局(RAISA)データベースの80件の報告書の消失 不適切な説明
20代Dクラス職員 複数の使用機器の爆発によるサイト-8154の損壊、ならびに12人の負傷(内使用者のみ死亡) カント計数機や重量計等を用いた測量
(無人) 要注意団体の襲撃による収容ロッカーの破損(1日おきに3回) 収容ロッカーに入れて長時間放置(3回)













なんだこの記事って思った方は、一度下記のCCライセンス表示から元ページに飛んでいただきたい。
上記の内容がまさにそのまま載っていることがおわかりいただけるであろう。

しかし、なんとなく「この記事の言いたいことがわかるようなわからないような……」ともどかしくなったことだろう。
ということで、ここからがアニヲタ支部の役目、『ネタバラシ』である。

まず誤伝達部門ってなんやねん

誤伝達部門は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場する、財団内の部署の一つ。
英語ではDepartment of Miscommunications(DoMC)と略される。

誤伝達部門の役割は以下の通り。

正確に説明することが困難になるように言語やコミュニケーションを操作するアノマリー。
正確な収容をある程度困難にするために上記を行うアノマリー。
それらのようなことはしていないが、十分な知識を持たない観察者にはそうしているように見えるアノマリー。
上記を支援する、言語的および物理的な技術の作成と維持。
ミーム学、言語学、反ミーム学、対抗概念学、形而上学、分析学、パラ-および異星言語学、データベース管理などの分野間における曖昧な学際的空間の探求および規制。

簡単に言えば、「報告書そのものの表現を置き換えにくるアノマリーに対して、その影響下でその異常性を伝達すること」を目的とした部署である。
わかりやすく言えば、なんかが挙げられる。
まあ私に関しては置き換えがわかりやすいうえ報告書内でばっちりその置き換えを言及できているから、
わざわざ誤伝達部門が私の管理に乗り出す必要も薄いだろうけどね。

ここで重要なのは認識災害や反ミーム特性とは異なる点である。
認識災害であれば、執筆者の認識そのものに影響を与えることになる。
かつて図書館だったSCP-2602は「軍事施設だが、見た人にかつて図書館だった建物であると認識させる」認識災害特性と、「異常性及びアノマリーの本質(=本当はそもそも図書館だった事実はなく軍事施設のたぐいであるということ)を理解しているかに関わらず、かつて図書館だった建物であると言及させられる」情報災害特性を有するが、
誤伝達部門が管轄するのは後者だけである*1
前者は記憶補強薬とかの話になるからそちらの部署が頑張ってください。

この都合上、通常のフォーマットでは説明できないので必然的にフォーマットスクリュー*2ばかりになる。
このやかんも、そういった都合上フォーマットスクリューになっているのである。
しかも、この都合上「違和感を読者に与えた上で、読者に本来の異常性に気付かせてあげる」必要が出てくる。
アニヲタ支部ではたまに「オチを書くのは無粋だろう」という理由でオチが書かれない場合はあるが、
SCP Foundation本サイトではそもそも特性上オチを書きようがない(というか書いたら異常性と矛盾する)。
ただでさえフォーマットスクリューは読者の評価が厳しいのに、「答えを明示しないけど自力で答えに辿り着ける」構成にするのは
『682と076-2を超えるバケモノを』書くくらい難しいと言えよう。

この『やかん』はどう『あかん』のか

SCP-2434-JPは、「やかんとして扱われないとあかん」とばりに、
「やかん本来の用途と異なる取り扱いを行うと、何らかの形で使用者に障害を齎す」やかんである。
異常性だけを見ればふつうのことだが、起きる障害が通常とは異なる形になる。

おそらく、このやかんはどこかの家に置かれており、20代の主婦は夫婦喧嘩かなんかでやかんを投げつけたのだろう。
その結果、なぜか自分が火傷することになってしまった。
喧嘩でやかんを投げつけるとき、必ずしも火にかけたやかんを投げるわけではないだろうし、
仮にそうだとして火傷するのは自分ではありえない。投げつけられた旦那の方だ。

で、財団が収容に至るわけだが、アノマリーを収容して『オブジェクト』に指定するにあたって、
オブジェクトクラスを指定せねばならない。
逆に言えばオブジェクトクラスを指定するというのはやかんをやかんではなくアノマリーとして扱うということであり、
やかんとしての本来の取り扱いに反している
そのため、担当職員はオブジェクトクラスってなんだっけとなり、
「やかんはやかんである」とKettleに分類されたわけである*3

また、やかんはヤスリで削るものではない。

で、とりあえず普通にSCP報告書を執筆するわけだが、やかんに付随する説明書の形式としては明らかにおかしい。
やかんに付随するのはSCP報告書ではなく取扱説明書だ。

また、やかんを使うのに正確なヒューム値や重量を確認する必要はない。
やかんはお湯を沸かすか、水を運ぶか、加湿器として使うものであって、測定されるものではない。

で、財団は「調べられないなら、しまっておこう」としたわけだが、やかんはしまわれるためにあるものではない。
インテリアや容器内の充填物として用いられてはいけない。お湯を沸かすために使うものである。

……ということで、現在SCP-2434-JPはサイトにて普通のやかんとしてお湯を沸かすことに使用される。
加湿器としての用途もやかんの本来の用途ではない気はするが、水を入れてるからセーフなんだろうか








追記・修正……しようと思ったらパソコンがフリーズしました。大人しくコーヒー淹れてきます。
そこのあなたは何がいい?お茶?紅茶?バンホーテンのココアもあるよ?


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最終更新:2024年04月18日 12:30

*1 なおSCP-2602は誤伝達部門の誕生より前に創作されたオブジェクトなので誤伝達部門は関わってこない。

*2 通常のフォーマットを大幅に逸脱している記事。

*3 メタ的な話だが、Kettleはケトル、すなわちKeter=ケテルとのダジャレでもある。なお日本ではケトルというと電気ケトルを意味するが、英語ではやかん全般を指してケトルという。