四足歩行型の巨人(進撃の巨人)

登録日:2020/02/24 wed 01:18:29
更新日:2023/12/02 Sat 13:12:06
所要時間:約 4 分で読めます






進撃の巨人19巻以降のネタバレを含みます













ジーク戦士長


敵兵力多数接近


麓まで来ています


画像出展:進撃の巨人19巻 諌山創 講談社 初版第1刷 2016年


四足歩行型の巨人とは、漫画及びアニメ『進撃の巨人』に登場する巨人の一種。

四つん這いになっていること以外は目立った特徴は見当たらず、おっさんの顔を縦に引き伸ばした様な間の抜けた顔からは想像もつかないが、知性があり言語を解するなど他の巨人とは一線を画した存在である。


概要

初登場は75話「二つの戦局」。

ウォールマリア奪還作戦において、獣の巨人と多数の無知性巨人が一斉に出現した後に獣の巨人の傍に居るのをエルヴィンが発見。
荷物を運ぶ鞍を付けている事から、他の無知性巨人と同時に出現した存在では無く、調査兵団側からは知性を持った巨人と推測された。
「四足歩行型」という名は作中でエルヴィンから便宜上付けられた名前である。

戦闘では自身が攻撃を仕掛ける事はせず、斥候として調査兵団の接近をジーク/獣の巨人ライナー/鎧の巨人に報告、ベルトルト/超大型巨人の入った蔵や「獣」が投げる為の岩を運ぶなどといったサポートに徹していたが、戦士達全員が敗北し巨人体から引きずり出されると一転して前線に出撃。


調査兵団の一瞬の隙を突き、捕食する形で三人のうち二人を救出してまんまと逃げおおせた。


多大な犠牲を払って得た成果である巨人化能力者を二人も奪い返され、更に逃亡された事によって敵に情報を与えるという勝利とはお世辞にも言い難い状況に持ち込まれた事を考えると、直接兵士を殺傷する事こそ無かったものの、調査兵団に与えた損害は少なくないといえるだろう。


考察

非常に短い出番であったものの、その他の巨人と明らかに異なった行動を見せた事から読者に強い印象を与え、初登場からしばらくは

  • (イルゼが遭遇した巨人の様に)知性を持った喋る奇行種の一種ではないか?
  • ライナー、ベルトルト、ジークの様に変身している人間がいるのでは?

等という風に読者の間では正体について様々な議論が交わされた。












そして…(世界の真相に関するネタバレを含みます)











登録日:2020/02/24 wed 01:18:29
更新日:2023/12/02 Sat 13:12:06
所要時間:約 30 分で読めます






人間に戻るのは2ヶ月ぶりだからね その度に二足歩行を忘れてしまうよ



画像出展:進撃の巨人23巻 諌山創 講談社 初版第1刷 2017年


正式名称は車力の巨人と言い、超大型女型進撃と肩を並べるれっきとした九つの知性巨人のうちの一つ。

変身者の名はピーク・フィンガー
ライナー、ベルトルト、アニ達の同胞であり、滅んでなど無かった壁の外の世界の国、マーレから車力の巨人の力を授かった「マーレの戦士」の一員の女性である。


女性である






これの正体が


画像出展:進撃の巨人19巻 諌山創 講談社 初版第1刷 2016年


このべっぴんさんである

画像出展:進撃の巨人23巻 諌山創 講談社 初版第1刷 2017年


そうはならんやろ

なっとるやろがい


人物

身長:155cm
体重:42kg
声優:沼倉愛美*1

パーマのかかった黒髪と垂れ目が特徴の薄幸の美女、気だるげな言動や行動が目立つが、実際には非常に聡明な頭脳の持ち主。
後輩や部下に対しての面倒見も良く、戦場下ではキビキビと部下に指示を与え、時には冷徹に任務を遂行するプロの軍人。

任務中は常に四足歩行の車力の巨人の姿を維持している影響か、人間の姿に戻ると二足歩行の仕方を忘れるらしく、しばらくの間歩行には杖が必要で「こっちの方が楽だから」と四つん這いで廊下を歩いて同僚のポルコをビビらせたり、戦士達の会議中は猫のようにソファにうつ伏せになったりしている。
上述の気だるげな言動や行動は、その影響なのかもしれない。

マーレに住むエルディア人*2達は悪魔の末裔と呼ばれ人種差別を受けており、それは彼女の一家も例外ではない。
外出許可書が無ければ市内を出歩けずまともな医療も受けられないといった劣悪な環境に晒されており、唯一の肉親である病床の父親に医療を受けさせる為にマーレの戦士*3に志願したという経緯がある。

各国の軍事力が発展した事で『巨人の力』が世界に通用しなくなっている事から、マーレに付き従っても自分達エルディア人に未来が無い事を悟っており、マーレという国に対して心から忠誠を誓っている訳ではない。
その一方で、共に戦ってきた戦友達との絆は強く、マーレに対して見切りを付けている彼女が未だに「エルディア人の生存権の獲得」*4を目的としてマーレの戦士として戦い続けているのもその為であると思われる。


作中でマーレは、タイバー家*5当主、ヴィリー・タイバー主導の元、パラディ島敵勢力から始祖の巨人を奪還して地ならしを食い止め、それによる物語を作り上げる事で、パラディ島をエルディア人全体に対する世界へのスケープゴートにする作戦を開始。
軍人であるピークもその作戦に参加する。

当然それをよしとしない、パラディ島敵勢力…つまりエレンアルミン達調査兵団とお互いの生存権を賭けて再び激しい激闘を繰り広げる事になるのであった。


車力の巨人



画像出展:進撃の巨人29巻 諌山創 講談社 初版第1刷 2019年

変身者の正体に合わせてかデザインが少し変化、*6髪の毛や睫毛が伸び、唇が艶やかになるなど少し顔つきが女性らしくなった。それでもあんまり可愛くない

他の巨人の様に特殊な能力に恵まれている訳では無いがそれと引き換えに、巨人体の持続力が非常に高く、上述の通り二ヶ月間も巨人体を維持する事が出来る他、数百回以上連続で変身する事が可能*7

それに加えて四足歩行による圧倒的な走破性も合わさって、「壁をよじ登り、数百キロも遠泳出来る等、何処でも動ける、非常に高性能な偵察兵、もしくは巨人戦車」となる訳である。

更に兵装を付け変える事で様々な作戦に対応可能。作中では
  • 重機関銃武装を装着して、立体機動装置に対抗。
  • 高射程砲を装着する事で遠距離から巨人の急所を狙う。
  • 変身解除して巨人の跡に身を潜める事で死亡したと誤認させての「騙し討ち」
  • 逆に兵装を全く背負ってない事を活かし強引に変身と変身解除を繰り返し空中を跳び回る、いわば擬似的な立体機動で次々に巨人をなぎ倒す。
といった様々な活躍を見せている。


ただし、前述の通り『持続力』と『四足歩行による敏捷性及び走破性』以外の固有の能力は全く存在しない。

顎の巨人の様に爪や顎が硬質化して何でも破壊出来る訳でも無く、鎧の巨人の様に硬質化能力で身体を護る事も出来ず*8、重傷を負った際の再生能力も劣る。

上空から飛び回り射角の範囲外から一発一発が即死レベルの「雷槍」を飛ばしてくる立体機動装置は天敵と言っても過言では無く、前述の通り重機関銃武装を用いて対抗して数名を撃破する等善戦するが、数の暴力まで覆すことは出来なかった。

力を使いこなすには戦局を見極める判断力と兵装に搭乗するチームとの連携が欠かせない、活かすも殺すも変身者次第と言える非常にピーキーな能力をした巨人と言えるだろう。



因みに四足歩行の特性上、人を運ぶ際には口の中に入れて運搬するが、ハンジやジャン曰くとても臭いらしく、ハンジから歯磨きとかしないの?と好奇心で聞かれた際には「…失礼ですよ女性に対して」と憤慨していた、まったくだ。
え?2ヶ月間も巨人になってる間本体はどうしてるかって?

パンツァー隊

車力の巨人の背負う兵装に搭乗し砲台で敵を殲滅するピークの部下達*9
全員がピークの事を慕っており、具体的には一人がピークに抱きつかれた事で他の皆が恐ろしい顔で睨みつける程。車力サーとその姫

因みに腕章を付けて無い事から分かるが全員マーレ人である。ピークちゃん恐るべし。
ピンチを顎の巨人に助けられた時に「ありがとよ ポッコ!」と気さくに礼を言っており、単純にエルディア人への偏見がない(もしくは少ない)メンバーで固められている様子。

アニメでは、兵装内にピークとパンツァー隊の集合写真が貼られているのが確認できる。ついでにピークの横顔の写真もある
彼らの絆の深さが垣間見えるシーンだが、カルロ(眼鏡をかけた兵士)がサシャ・ブラウスに狙撃され死亡するシーンにも映っており、一転して哀愁が漂うシーンに変わっている。


活躍

レベリオ区襲撃

臨時召集された兵士に扮したイェレナによって、ポルコ共々落とし穴*10に誘導され無力化されるが、兵士の容姿・言動を不信に感じていた事もあり、ばったり遭遇したパンツァー隊に接触し、自分達を尾行させるよう命令した事で救出されすぐに脱出。
その後、対調査兵団様の機関銃を装備して巨人化してジーク、ポルコと合流、調査兵団と交戦する。

調査兵団数名を撃破する事に成功するものの、潜んでいたスナイパーによって、パンツァー隊の一人が射殺される、それによって動揺した隙を付かれ、潜伏していたジャン率いる調査兵団に雷槍を叩き込まれパンツァー隊は全滅し自身も瀕死の重傷を負う、トドメを刺されかけるものの、ファルコが身を呈して庇った事で何とか戦線離脱に成功する。戦闘終了後、マガトにジークに対する推測を進言し、ライナーによってパラディ島への奇襲作戦が提案された事で「車力」の力を使い、他の戦士達より先にパラディ島に潜入する。

マーレ強襲

エレンがガビに対して助けを呼べと脅す最中に突如現れて見張りの喉をナイフで一突きし刺殺、エレンに対して銃を突きつけ脅迫するも、逆に始祖の巨人を殺すことはされていない、捕食という形で奪還できなければ軍規違反になると見破られ脅し返される、するとあっさりエレンに降伏、始祖の巨人の力を使えばマーレを倒せるのではないか?と裏切りを仄めかす

当然エレンからは警戒され、味方になる為に証明しろと言われると、なんと建物の屋上から街に潜む仲間の位置を教えると言い出し、巨人化を封じる為にガビと片手ずつ手錠で繋がれ*11屋上に連れ出される。
尊敬していたジークに続いてピークにも裏切られたショックにより泣き出すガビ、だがそんなガビにピークは安心させるかの様な微笑みを見せ…

示せ 敵はどこにいる?

そこ

と、エレンに対して指を向ける。
やはり裏切りは演技であり、エレンの真下からポルコ/顎の巨人が出現、間一髪エレンが回避した事で仕留め損なうが、本来の目的である始祖の巨人の位置を暴き、屋外への誘導する事には成功する。


ガビ… 私が仲間を売ると思ったの?

でも!!マーレに仕えても私達に未来は無いって!!

私はマーレを信じてない エルディア人の解放を願っている

ただ…私は 一緒に戦ってきた 仲間を信じている


その後、ポルコに手錠ごと手を切断してもらう形で痛みの余り汚い叫び声を上げながら巨人化してガビと共に戦線から一時離脱、マガト隊長もとい元帥率いるマーレ軍と合流した事で兵装を装着し、マガトを載せて再び戦場に赴く。

搭乗したマガトが、遠距離から高射程砲でエレン/始祖の巨人の脳みそや「騙し討ち」による、獣の巨人のうなじに潜むジーク本体を撃ち抜くといった活躍を見せるが調査兵団の妨害もあり、一発でジークを仕留め損なった事で叫ばれてしまう。*12
更に二発目でトドメを刺したと思いきや、ジークは変身解除して攻撃を回避する「死んだフリ作戦」によって生きてる事が判明。
再びエレンを食い止めようとするものの、ミカサ、アルミン達の妨害によって2人の接触を許した事で地ならしが発動してしまい…

最終章

壁の中の巨人が世界中を潰して回るのを止められず、マガト共々途方に暮れている所にハンジとリヴァイが2人に接触。
地鳴らしを停めるという利害が一致した事で、イェレナの引き渡しを条件にハンジ率いる旧調査兵団と共同戦線を結ぶ事となる。*13

戦いの中で、戦友であるパンツァー隊やポルコ、敬愛する上司であるマガトを失い、更に地ならしが既に故郷レベリオを潰していると知った事で迷いを見せるが、
死んでいった仲間に報いる為に、マガトが残した「力を合わせて為すべき事を為せ」という最後の指令を果たす為に戦い続ける事を決意、飛行船に乗って最終決戦に望む事となった。


死んだ仲間達に報いなくてはなりません

戦士としての務めを果たします

知性型巨人の中でも性能不足(人員がカツカツで兵装運用が出来ない)かつチーム自体急造だったものの的確にジャンとの連携をこなす等、その優秀さを見せる。
その後は目前で家族含むすべてのエルディア人が無垢の巨人化する悲劇に見舞われるも、ミカサ達のエレン討伐に貢献した。

その後

災厄から人々を救った”英雄”として最終決戦後もアルミン達と共にいる。

世界から全ての巨人の能力が失われたため、任期に伴う寿命もなくなった。
(パンツァー隊も草葉の陰で喜んでいることだろう)

余談

読者からの人気

(後に呉越同舟という形で共闘したとはいえ)調査兵団と対立する敵役と呼べるキャラであるが
  • あの不気味な巨人の正体が儚げな雰囲気を醸し出した女性というギャップ。ギャップなんてレベルじゃねーぞ!!
  • 作中で見せる有能っぷり
  • 普段は後輩や部下たちに優しい仲間思いな人格者
等といった理由から読者からはコアな人気を獲得している。ピークちゃん可愛い!!


名前について

苗字が判明するのが126話と初登場から2年近くかかっており、アニメの公式サイトの登場人物紹介でもピークとのみ紹介されている、と言っても別に伏線だったわけではなく単に言及される機会がなかっただけである。


で、何で初登場時と顔そんな違うの?

別冊マガジンのインタビューによると、当初人間態は初期の車力の巨人の顔そのままのおっさんとして設定されており、ネームまではそのままだったのだが原稿を描きあげていく最中に気まぐれで急に女性に変更したらしい。*14
仮におっさんだった場合どんなキャラになっていたのか非常に興味深い所である。


追記修正は車力の巨人の背中に乗ってその体温を感じながr
嫌です何ですか急に気持ち悪い

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最終更新:2023年12月02日 13:12

*1 車力の巨人時にはボイスを加工している。

*2 別名:ユミルの民、一言で説明すると『巨人になれる種族』。かつては巨人の力によってエルディア帝国を築き上げ世界を支配していたが、マーレによって打倒されると当時の王カールフリッツ145世によって大半数のエルディア人がパラディ島に逃げ込み壁を築き上げて閉じこもった。この壁を築き上げて閉じこもったエルディア人達がアルミンやジャン達、壁の中の人々の先祖であり、置いて行かれてマーレの捕虜になった一部のエルディア人達がピークやライナー達の先祖である

*3 マーレの戦士本人とその家族は名誉マーレ人として認められ、マーレ国内での自由な生活と安全を保証される

*4 マーレはエルディア帝国を打倒し、『九つの巨人』の内七つを簒奪した後、かつてのエルディア帝国の様に巨人の力に物を言わせて他国を侵略し植民地を増やして来た、その為、敵対する各国からは巨人の元となる事からマーレ共々憎悪され世界中からのエルディア人に対する根絶の声は一層大きくなっている、また、巨人の力が世界に通用しなくなっている事からマーレ上層部の一部からも用済みと見做す声が挙げられている

*5 エルディア帝国の元貴族家、エルディア帝国に対してマーレの英雄ヘーロスと共に最初に反旗を覆した事から、救世主の末裔として讃えられ実質的にマーレを支配している。

*6 アニメでは初登場のシーズン3からこっちのデザインにされている

*7 参考までにエレン(進撃&始祖)は3回連続で変身すると暫くは変身不可能な状態に陥る

*8 アニやジークの様に部分硬化を使わない事から、おそらく脊髄液による能力発現がしにくいタイプの巨人。

*9 メンバーは5人いるが兵装の砲台は4門しかない。ピークに抱きつかれた肥満体の男が砲台に乗っておらず、レベリオ収容区戦で登場して以降は登場しないため生死は不明。

*10 巨人化能力者をマーレ軍が拘束する設備。幅が非常に狭く、巨人化してもまともに身動きが出来ず、最悪圧死する仕組みとなっている。

*11 巨人化すると至近距離にいるガビが爆風で死亡する

*12 脊髄液を投与したエルディア人を一斉に無垢の巨人に変えるジーク特有の能力

*13 その過程でかつての戦友アニと再会を果たす、アニちゃんと親しげに呼んでおり、アニの回想では寡黙なアニを気にかける描写があった事から同性同士比較的仲が良かったのかもしれない

*14 進撃の巨人展Finalにキャラ設定の没ネームが公開されており、それによると当初の名前はオリヴァー・ピークという名前だったようだ