シャークネード ラスト・チェーンソー 4DX

登録日:2021/05/23 Sun 15:57:00
更新日:2024/02/16 Fri 09:42:29
所要時間:約 12 分で読めます





「みんなは、俺のヒーローだ」


シャークネード ラスト・チェーンソー 4DX(The Last Sharknado: It's About Time)』は2018年製作のテレビ映画。
作品を重ねるごとに破壊対象をメタまで含めてエスカレートさせ続けた年一ペースのお祭り騒ぎ、
シャークネード・シリーズの第六作にして、完結作。
日本では「テレビ映画である」という枠もぶっ壊し、4DX映画として全世界で唯一劇場公開された。*1

「例によって派手なことを演出するほど酷くなるCG」
「仮にも時間旅行作品でありながら物語が進むほど道理が投げ捨てられ支離滅裂になるシナリオ」
「終盤入るとサメも嵐ももはや脅威にならなくなる
など単体の映画としては控えめに言っても粗だらけの作品であることは否定しがたい。
それでも、多くの喪失を抱えてシャークネードに抗い続けた主人公:フィン・シェパードと
作品が増えるごとに扱いがおかしくなっていくヒロイン:エイプリルの物語に明確に終止符を打ち、
シリーズがまともなサメ映画の範疇にある限りでは到底不可能だったエンディングを実現してみせたこの作品は、
「何でもありのシリーズを文句なしの形で完結させる」という役割を期待以上に果たしてくれている。

「ここまでシリーズを本気で追ってきたすべての人に贈るグランドフィナーレ」であることが、今作の全てであろう。
綺麗に終わらせたんだからいくら割り切ったB級作品だからって続編は出ないと信じたい。




■あらすじ


全てを失った戦いの後、息子ギルの尽力により時間を超えたフィン。
恐竜種絶滅の日に現れた”シャークネード1号”を時空を超えて集められた仲間たちと共に消し去ったフィンは、
ギルの足跡を追うように「渦」に飛び込み、中世ブリテンへと辿り着く。
かくしてフィン一行は史上すべてのシャークネードを葬り去る最後の戦いへと挑む。
―――その果てに待つ未来が、彼らを救わないだろうことを自覚しながら―――


■登場人物+α


フィン一行

シャークネードと数奇な運命で結ばれたタイムトラベラー達。
ギルの”Semper Paratus”によって待ち受ける死の運命から回収された者たちによるドリームパーティ。

  • フィン・シェパード(アイアン・ジーリング)
シリーズの顔、無敵の主人公。
一行で唯一、かつての退場シーンがない。敢えて後に揃えて言えば一作目代表ということになるか。
前作にて乗り込んだギルの車で恐竜時代へと辿り着くもそこにギルの姿はなく、
彼に託された”翼のバッジ”を胸に歴史を駆ける。
メンバーの中でもそもそもの行動目的からして割と今更感あるが過去への積極的干渉には否定的であるが、
その裏には「シャークネードの抹消が完遂されればエイプリルとの復縁から始まるすべてはなかったことになり、探し求め続けた息子ギルは歴史から消失する」という
家族愛に生きる男には余りにも残酷な結末が待っていることへの苦悩があった。
奇跡的に巡り合えた仲間たちをまた取りこぼすことを嘆き、新たなる”脅威”に苦しめられながら征く彼を待つ未来とは……
「俺は、息子の成長も見れなかった」

  • エイプリル・シェパード(タラ・リード)
シリーズヒロインたるフィンの奥様。
シャトル破片落下直前から回収された、三作目代表。タイミング上、左腕以外は生身。
恐竜時代にプテラノドンを飼い慣らし空を舞うなど、改造人間でなくてもアグレッシブな奥様であることを改めて見せつける。
期せずして最愛の妻と再会したことはフィンを奮い立たせるも、やはり海では分が悪いのか1997年にてサメからノヴァを救出しようとした際に犠牲となり、
その時発生した偶発的事態も含めて彼を大きく苦しめることに。
「プテラ、隕石を跳ね上げて!」

  • もう一人のエイプリル(タラ・リード)
フィンと共に時空を超えた、かつてエイプリルだった機械仕掛けの首。
役名こそこうだが、シリーズ直系の方の奥様はこっち。一行の面子から考えると実質的には四作目代表と言えるか。
一度死亡認定乗り越えた人だ、前作で死亡者扱いだったのは忘れよう。
首だけになっても目からレーザー出してシャークネードを消し切るなどそのスペックは今まで以上に強烈。
ただ、思いがけず改造前の妻と再会したフィンが無意識的にこちらを妻と見れなくなったことが、
「乱暴に扱わないで」

  • ノヴァ・クラーク(カサンドラ・スケルボ)
家族の愛情に飢えた、対サメ復讐鬼。日本での空挺直後から回収された五作目代表。
時間移動を通じてどうにか祖父の死を回避できないか模索し続けており、
歴史改変に消極的……な主張に反して成り行きでガッツリ歴史や一族と絡んでしまうフィンと激しく衝突。
1997年への時間移動を強行し祖父の救出を目指すも、意に反して彼女の手によって釣り船は座礁。
懸命に集い来るサメに抗うも、かつて逃げ延びたサメの群れに貪られ生を終える。
「あなたは散々家族を助けてきたでしょう!今度は私が家族を助ける番よ」

  • ブライアン(ジュダ・フリードランダー)&ニュー・ブライアン(デブラ・ウィルソン)
フィンの友人にしてメッツ狂。地下鉄での救命活動直後に回収された二作目代表。
実は物理と歴史の教師だったらしく、行く先々でその知識とNY以来の超巨大バットで一行の危機を度々救うも、
時空移動の影響で一時的に女体化する一幕を経て、繰り返される時空移動の中自分を失うかもしれない不安から戦意喪失。
自らの知識を活用して歴史に埋没することを選び、独立戦争期アメリカにて一行と別れる。
「どうだここは!シティはちょっと遠いけどな!」

  • スカイ(ヴィヴィカ・A・フォックス)
姉御肌な性格のフィンの元カノ。
ブライアンと別れた一行が西部開拓時代にて出会った、フロン爆破寸前から回収された二人目の二作目代表。
二人して保安官に捕まったシェパード父子救出に大いに貢献し、頼れる女として活躍。
1997年の座礁の悲惨な結末の中でもフィンを鼓舞し共に次なる未来を目指すも、
彼らの把握していなかった歴史変動によって異様な状態となった20013年へと漂着。
事態の実行犯に果敢に挑むも、まるで歯が立たず瞬間的カーボン冷凍によって沈黙する。
「エイプリルの惑星よ」


各時代の人々

本作のやりたい放題パート。
サメ慣れしていない方が多く、逆に新鮮な反応も多々。

  • モルガナ(アラスカ)
中世にて出会った魔女。魔術は実在した。
支配欲を剥き出しにし、迫りくるシャークネードを魔術で竜属性付与するなど一行を妨害する。
選ばれし者を待つ岩に刺さったチェーンソーをフィンが抜いてしまったため、
彼の抹殺に躍起になっているところをドラゴンシャークブレスによって黒焦げにされた。

  • マーリン(ニール・ドグラース・タイソン)
中世にて出会った魔術師。ギルを保護していたが、ギルに教えられることも多かったとか。
時空移動に同行したプテラノドンをドラゴンとして従える。

  • ベンジャミン・フランクリン(レスリー・ジョーダン)
  • ジョージ・ワシントン(ダレル・ハモンド)
  • アレクサンダー・ハミルトン(ベン・スタイン)
独立戦争期にて出会った皆さま。
総じてフィン一行への胡散臭さを隠さないが、現実にサメが降ってくる状況と
ブライアンの口八丁によって一行との協力を決断する。
ベンジャミンがエイプリルの手がかり提供も受け成功させた集電実験は、
一行の新たなる時空移動のカギとなる。

  • 30歳のギル(クリス・オーウェン)
フィンの息子。フィンの待つ現代へ向けた時空移動の途中の姿。
西部開拓時代にて保安官に捕まり現地協力者の力を得ての脱獄を狙っていたが、
実行中にフィン一行が着陸してしまったため失敗。
縛り首になるのを待つ中、牢越しにそれと知らぬまま父フィンと家族を救う意志を固め合う。

  • ビリー・ザ・キッド(ジョナサン・ベネット)
西部開拓時代のアウトローにして、ギルの現地協力者。
ギルには未来への同行を報酬として提示されていたがその計画が破綻し、
更なる時空移動を目指す一行の前に立ちはだかる。

  • 保安官(ディー・スナイダー)
シェパード父子を牢にぶち込んだ保安官。
スカイの助力もあって脱走した二人を食い止めるべくその早撃ちの腕を存分に披露する
……も、空からサメが降り注ぐ中ではまともな銃撃戦にならなかった。

  • レイ・マーティン(トリ・スペリング)
  • ギリー・シェパード(ディーン・マクダーモット)
1950年代にて出会った若かりし日のフィンの両親。演者もご夫婦。
パロディ要素の塊。特にキャラ立ちが弱かったレイの方が露骨。惚れこむにはフィンは濃すぎたがな
”ギル教授”に託されたレーザー兵器によって、教授が去った後に残された嵐の後始末に勤しんでいた。
一行に試作時空コンバーターを託すなど、ガッツリタイムトラベラー達と関わったことがノヴァの暴走を招くことに。

  • クイントのシンガー(アンソニー・C・フェランテ)
1950年代にて、大流行中のシャークダンスなる曲を演奏していたバンド、クイントのシンガー。
何やってんですか監督。

  • グランパ・クラーク(クリストファー・ナイト)
  • 幼い頃のノヴァ(カタリーナ・スケルボ)
1997年、自らを襲う悲劇を知らぬ老人とその孫。
孫の演者にはノヴァ役の姪が起用されている。
ノヴァの名前の由来は祖父が付けたあだ名だったことが判明した。過去を振り切るための名前って言ってませんでした……???
一連の混乱の中で二人救命ボートに乗せられたが、その後彼らがどうなったかは明かされていない。

  • サンティアゴ船長(イスラエル・サエス・デ・ミゲル)
闇取引に身を染めるサメ漁師。
本来はフィン登場前にシャークネードに殺されていた男。
誰がコイツの船がシリーズの歴史の重大分岐点になると思っただろうか。


その他

  • サメ
とうとう本作でもサメが機械化して襲ってくるようになった。
しかし、散々「サメが空から降ってきて人を襲う映画」が続いた果てが
「最も重要人物を殺し主人公を苦しめたサメは、普通に海にいる嵐と無関係のサメ」なのはどういうことなのか。
この世界では古の時代より人間と戦っていた。

過去から遡る以上出番がないかと思えば伝説の武器として登場したり
過去のチェーンソーアーカイブが勢ぞろいしたりと要所できちんと出てくれる。
お約束はナシ。もう、ハッピーエンドのために血みどろになる必要はない。

  • 時空移動
本作の中核を占める癖にパロディ塗れのギミック。ギルが解明したシャークネード根絶の最後の可能性。
シャークネードの渦が発生させる時空間のゆがみに向かって、時速140km超で突っ込むことによって新たなる時空へと突入できる。
時空コンバーターがあれば渦の代用になるが、どのみち速度は必要。
過去へ向けた移動は一人一回が限界であり、これによりギルはフィンとの同行が不可能になった。
目的上シャークネードは消去が必須なので、一行は新時代突入→シャークネード消去→歪みが残存している内に時速140kmの確保、の流れを非常に慌ただしく行わざるを得ない。

  • シャークネード
先の慌ただしい時間旅行スケジュールや、エイプリルの首の秘める超絶な破壊力もあり、
だんだん出オチみたいにやられるように。ホント何の映画なんでしょうねこのシリーズ。






Fin



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最終更新:2024年02月16日 09:42

*1 日本で展開されているもう一つの4D規格であるMX4Dでは上映されなかった。また、映像ソフト版の邦題は『シャークネード6 ラスト・チェーンソー』となっている。