友好色/対抗色(MtG)

登録日:2021/05/28 Fri 23:13:00
更新日:2023/11/18 Sat 18:18:12
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友好色/対抗色とは、TCGに登場する色の組み合わせの相性である。
主に色で属性分けをしているTCGで使われる用語であり、代表的なものはTCGの開祖『Magic the Gathering』のもの。
そしてこれを踏襲した後発のTCGにおいても散見される概念で、『デュエル・マスターズ』や『バトルスピリッツ』においても同様の概念が存在する。

ここでは主にMtGにおける友好・対抗色について解説する。


概要

この項目に来ているという事はご存じであろうが、MtGにはという色が存在する。他のTCGにおける「属性」「文明」「タイプ」などの概念と同一であり、むしろそのはしりともいえる。
これらの色は魔法を使うために必要なマナの性質及び(知的種族ならば)その人の思想や性格を体現する、MtGにとって重要な要素である。
各色の思想的/ゲーム的な特徴についてはそれぞれの色の個別項目で詳しく説明しているため、そちらも参照することを推奨する。

色によって思想に違いがあるが、それらの中には共通点があり、互いに尊重できる色の組み合わせと、相容れない点があり、互いに否定しあう色の組み合わせがあり、前者を「友好色/Friendly Color」、後者を「対抗色/Enemy Color」(あるいは敵対色)と呼ぶ。
各色に友好色、対抗色は2つずつ存在し、友好も敵対もしない色というのは存在しない。強いて言うなら、自分の色のみが当てはまらない。

また、MtGにはカラーパイ(またはカラーホイール)という色の性質や特徴、配列を包括する概念がある。それに沿って色を円形に並べた時、自分の色から見て隣り合う2色が友好色、向かい合う2色が対抗色になる。
     
     
    

友好色の組み合わせとしては、
  • 「協調」「法律」の白の友好色は「共存」の緑「思考」の青
  • 「思考」「狡猾」の青の友好色は「法律」の白「利己」の黒
  • 「利己」「破壊」の黒の友好色は「狡猾」の青「暴力」の赤
  • 「暴力」「自由」の赤の友好色は「破壊」の黒「野生」の緑
  • 「野生」「共存」の緑の友好色は「自由」の赤「協調」の白
逆に対抗色の組み合わせは、
  • 「正義」「秩序」の白の対抗色は「邪悪」の黒「混沌」の赤
  • 「思考」「人工」の青の対抗色は「感情」の赤「自然」の緑
  • 「死滅」「邪悪」の黒の対抗色は「生命」の緑「正義」の白
  • 「混沌」「感情」の赤の対抗色は「秩序」の白「思考」の青
  • 「自然」「生命」の緑の対抗色は「人工」の青「死滅」の黒
といった具合である。

各2色の組み合わせは「」「」のように単に色名で呼ばれることもあれば、ラヴニカで登場したギルドにちなんで「セレズニア」「イゼット」のように呼ばれることもある。

ちなみに、友好色同士にも互いに快くない部分というものがあり、友好色の友好色が自身にとっての対抗色なところからもうかがえるだろう。
例えば、は「力を合わせて協力する」という点に対しては共感しているが、白からしてみれば緑は暴力的に思えるし、逆に緑からしてみれば白は抑圧的に思える、といった具合である。
この辺はタルキール時代に合った色の擬人化コラム(「青なのです」で有名なアレ)に詳しく載っている。友好色同士でつるんだり、対抗色に喧嘩売ったりしているのがなかなか面白く、色の組み合わせに興味を持った人一度見てみるといいかもしれない。
また、対抗色同士でも一部に共通点がある。特に黒と緑は「の真の友好色は」とネタにされるほど相性がいい。

特に初期は友好色では互いに強化したり参照するカードが多くあったり、対抗色と比べてサイクルが多いなどの利点があり、逆に対抗色では対策するカードがあったり*1する傾向が強く、現在のゲーム上でもこの概念が薄れつつあるものの影響している。

友好色や対抗色は勢力を構成する際に使われることもある。友好色なら「イニストラード」の勢力や「タルキール龍紀伝」の龍王及びその氏族、対抗色なら「ストリクスヘイヴン」の各大学などがあげられる。
友好色対抗色問わず10種の組み合わせすべてに勢力がある場合もあり、ラヴニカ次元のギルドやカルドハイム次元の領界が有名どころだろう。

二色の土地などによるマナ基盤に関しては、しばらくは友好色優遇が続いたが、近年は色基盤に関しては友好色対抗色それぞれで差があまり出ないようになっている。
例として、色マナを出すと1点ダメージを受ける2色地形である『ペインランド』は「アイスエイジ」にて友好色版のみ登場、その後「テンペスト」で対抗色版が出たが『タップインペインランド』と露骨に弱体化を喰らっていた。
その後セット自体が対抗色がテーマとなった「アポカリプス」になって約6年越しに対抗色版のアンタップインの『ペインランド』が収録されて10色サイクルになった。
デュアランのように初めから10種の組み合わせすべてで出たサイクルもあるが…

ストーリー的に対抗色同士は必ず敵対関係にある、という訳ではなく、前述したギルドのほか、白のギデオンと赤のチャンドラが結構いい仲になってたり、むしろ対抗色の「敵」設定は白黒以外は次第に薄れつつあったりする。
そのうちカラーパイ的に対抗色とされていた色が仲が良く、逆に友好色となっていたものが敵扱い、なんて次元も出てくるかもしれない。

とはいえ一方で赤と青の双子が何度か対立するなど、対抗色ゆえの対立が完全に無くなったわけではない。
また、その双子もかつて通っていたストリクスヘイヴンの各大学も対抗色の組み合わせだが、こちらは「2人の学部長がそれぞれ互いの方針を快く思っていない」など、対抗している要素も存在する。


3色において

ここまでは2色での友好、対抗の組み合わせを紹介してきた。3色の組み合わせでは、これを発展させた「弧3色」、「楔3色」というものがある。
  • 弧3色
弧3色は先述のカラーパイ上で構成色をつなげると「弧」のように見えることからその名がついた。中心色とその友好色で構成される。
例えばを中心にその友好色であるといった具合である。
     
     
    

組み合わせと通称は以下の通り。
  • : エスパー、ドロマー
  • : グリクシス、クローシス
  • : ジャンド、デアリガズ
  • : ナヤ、リース
  • : バント、トリーヴァ
通称の前者は弧3色がテーマとなった次元、「アラーラ」の断片*2、後者は上古族ドラゴンに由来する。
「アラーラの断片」以後はそちらの通称が一般化し、上古族ドラゴン由来の呼び方は廃れ気味。
他にもこの人に代表されるエルダー・ドラゴンなどもこの色の組み合わせである。

  • 楔3色
楔3色はカラーパイ上で構成色をつなげると「楔」のように見えることからその名がついた。中心色とその対抗色で構成される。
例えばを中心にその対抗色であるといった具合である。
     
     
    

組み合わせと通称は以下の通り。
  • : アブザン、ネクラ、テネブ、ドラン
  • : ジェスカイ、ラッカ、ヌーマット、トリコロール
  • : スゥルタイ、アナ、ヴォラシュ
  • : マルドゥ、デイガ、オロス
  • : ティムール、シータ、インテット
1つ目は楔3色がテーマとなった次元、「タルキール」の主要な氏族
2つ目は「アポカリプス」収録の「単色でキャスト可能、対抗色2色をキッカーとして持つ」というボルバーサイクル、
3つ目は「次元の混乱」収録の「楔3色をキャストコストとする」伝説のドラゴンサイクルに由来する。ドラゴン多いな。
白黒緑はこの色の≪包囲の搭、ドラン/Doran, the Siege Tower≫が強力であったことからドランカラーと呼ぶ人もいた。
また青赤白は伝統的にトリコロールと呼ばれていた。
弧3色と同じく「タルキール」以後はこの通称が一般化し、他の通称は廃れている。


実際のゲームにおいて

「テンペスト」などの黎明期はマナ基盤が大きく水をあけられており、対抗色が手を組むことは難しいということをプレイヤーに印象付けていた。
しかし色の関係がそのまま本当に友好的かというと、黎明期の頃からまったくそんなことはない
大昔から有名だったのが《ファイレクシアの抹殺者》と《ショック》の話。友好色として本来仲良くしているはずの黒と赤だが、スーサイドブラックにとって不倶戴天の敵は赤である。

黒緑のカードはアポカリプスの頃から強力なものが多く、発掘といい万能パーマネント破壊といい妙に強いカードが揃っているので特に下環境で猛威を振るう。
一方で青黒や黒赤のカードの場合はそのレベルまで取り回しのいいカードというのがほとんど存在せず、このせいで「黒の友好色は緑」などと皮肉られることも多い。
特に青黒は「コントロールやるならドローとカウンターとハンデスと除去が揃う」といううってつけの色なのだが、
実際には「青単独、黒単独で出来ること」の寄せ集めであり、じゃあ青黒でないと出来ないことは?というとライブラリー切削というボード・アドバンテージに絡まない効果をあてがわれることが多く、黒側も青側も「ライブラリーを破壊するだけなら仲良くしたくない」と手厳しい意見を述べている。
最近ではマナ基盤にも大して差が生まれなくなったどころか、パイオニアではフェッチランドが使えない事から、アンタップイン可能な土地が対抗色の方が多いという逆転現象が起きている。

つまりプレイヤーの意識はまったくの別問題ということ。別に白使いだから黒を憎悪しなきゃいけないなんてことはないし、逆に黒を嫌う赤使いや青使いがいてもいいのだ。


余談その1:4色において

友好色、対抗色の概念とは異なるが、色の組み合わせの話として、4色についても語る。4色サイクルは存在するのだが、2~3色のように「カードセットで4色推奨」のように共通性をもたせた物が存在しないので、現在は通称で呼ばれることがない。
ちなみに4色カードは出来ることが多すぎて作るのが難しいということでネフィリムサイクル、統率者2016の統率者サイクルで各1枚ずつ、赤緑白青(黒抜き)と緑白青黒(赤抜き)が追加で1枚と各色2~3枚しか存在しない。
んでその赤緑白青の追加の1枚は、スタンダード最速禁止を喰らっているアレである。

ちなみに統率者戦2016には構築済み4色デッキ×5があり、それらのデッキ名を見るとハブられた色の軽視・苦手意識がわかる。

  • :無規律な反乱 |  利己と混沌
  • :公然たる敵意 |  進軍と暴力
  • :確固たる団結 |  利他と協調
  • :致死性の優位 |  忍耐と成長
  • :優越性の仮託 |  技術と人工


余談その2:MtG以外の他TCGにおいて

  • デュエル・マスターズ
MtGの弟分デュエル・マスターズについては色に当たる文明をMtGと同じく5つに分けているとあり、内容自体はほぼ同じである。デュエマでは「文明」なので友好文明、敵対文明の方が正しく思うかも。
初期はMtGのノリを引きずって背景ストーリー上で対抗色同士が手を組む事はほぼなかったが多色が初めて登場した聖拳編辺りから段々と緩くなっている、
デュエマの背景ストーリーは大体文明間抗争をやっててもそれどころじゃないレベルの強敵の出現で全文明が一致団結して戦いを挑むという流れが多いので意外と対抗色であっても仲が悪いままという事は少ない。

因みに原作漫画では主人公の切札勝舞が白にあたる光文明と赤にあたる火文明を組み合わせて使っていた事と光文明使いの白凰と仲良くなっていった事を反映してかこの二色は対抗色ながら背景ストーリー上でも割と仲が良い。

また3色の組み合わせの通称にはMtGの上古族ドラゴンサイクルやボルバーサイクルの名称が使われることが多い。
ちなみにどちらも初出が2000年頃とかなり古く、MtG側では通称が変わっていったこともあってMtG由来の通称なのに当のMtGプレイヤーには通じなくなりつつあるという奇妙な現象が起きているのは興味深いところ。

  • バトルスピリッツ
元MtGのデザイナー、マイケルエリオット氏が基本ルールの作成を行っているため似たような概念を持つ。
ただしこちらは6色であるため少し事情が変わる。
     
      
     
の六角形を形成し隣り合う色が友好色、反対側の色が対抗色、それ以外の2色は特に関わり合いがない色となっている。
詳細については属性一覧(Battle Spirits)を参照のこと。


追記・修正は色対策にめげずにお願いします。

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最終更新:2023年11月18日 18:18

*1 友好色でもないわけではないが、1つの色がすべての色に対策するサイクル上、といった具合である。

*2 もとは1つの次元だったが、5つに分かれたうえそれぞれから2つの色が失われ3色で構成されるようになった、という設定。