ドラゴンキラー編(聖剣伝説LOM)

登録日:2021/06/26 Sat 11:30:56
更新日:2024/03/02 Sat 23:19:30
所要時間:約 9 分で読めます




ドラゴンキラー編とは、聖剣伝説LEGEND OF MANAで展開されるストーリーである。

【概要】

聖剣伝説LOMはマルチ並行シナリオを採用されており、68個の個別クエストが用意されておりそれを大きく分けて10+αのストーリーに沿って進行していく。
ドラゴンキラー編はその中でも宝石泥棒編エスカデ編と一緒にメインストーリーとして位置づけされている。

他の二編と比べて登場キャラクター、シナリオ共に少なく、またやることもはっきりしている。
キャラクターの心理描写も少な目…というか登場人物全員が良くも悪くも感情的なのでそういう意味ではわかりやすい。
とにかく「ダンジョンに潜って奥にいるドラゴンを倒す」クエストばかりであり、正にドラゴンキラー、話もそれほど複雑ではない。
尤も単純な勧善懲悪というわけでもなく、裏設定も豊富。視覚やフィーリングで話を理解しなければならない場面も多く、完全に把握しようとすると他の二編に匹敵するほど難解である。


【あらすじ】

ある日主人公は不気味な石板と、それに吸い込まれる魂を発見する。
1人(もしくはペット、ゴーレムのみを連れている状態)でそれを調べると、突然吸い込まれてしまう。
(ちなみに仲間がいると吸い込まれない代わりにそのキャラが感想を述べる。テキストはこの時点で仲間に出来ない2人を除いて全員分に用意されている、後半キャラのレディパール等は少しレアかも)
吸い込まれた先は「奈落」死者がたどり着くと言われる場所だ。

そこに現れたのは、真紅の鎧に身をまとった獣人。
名はラルク、「ティアマットのドラグーン」と名乗るこの男は、これ以上知りたければ共に下層に来いという。
主人公とラルクは共に奈落を進んでいき、時には命を落とした人物と意外な再会をしながらも奥に進んでいく…。


【主要人物】

CVは外部作品によるもの。

ラルク

CV:武内駿輔
奈落に堕ちた主人公を出迎える騎士。
本人は既に死んでいるらしいが…。
片手斧を得意とする腕利きであり、NPCで唯一威力C以上の技を使いこなす。
ぶっきらぼうで高圧的な態度だが冷静な性格で意外と気遣い上手。
奈落に堕ちたばかりの主人公に「お前のペースで歩け」とあわせてくれたり、竜退治の件も「俺のやることが気に入らなければ好きにしろ」と言ってくれる。
しかし同時に力を渇望しており、敵対する者は弱者であっても容赦なく惨殺する。


シエラ

CV:安野希世乃
短剣を操る女性の獣人騎士。
他者にも自分にも厳しい激情家だが、漫画版では女性口調で話す面が見られた他後述の台詞からくるおちゃめな姿も見せる。
ティアマットとは敵対しており、彼の野望を止めるためにラルクや主人公の命を狙っている。
しかしラルクとの間には何か関係があるようで…?
そのけもけもしいルックスはケモナーに人気である。

姉弟2人合わせてアーティストの「L'Arc~en~Ciel」になるが、意識したかは不明。


知恵のドラゴン

ラルクと主人公が討伐することになる相手。世界の秩序を守っているとの事であるが…?


【主要クエスト】


「紅き堕帝」

あらすじの通り、主人公が奈落に堕ちるところから話がスタートする。
ラルクに言われるがまま奥に向かい、腕試しということでボス「ゼーブル・ファー」と戦う事となる。
無事倒すと、更に奥地に連れていかれる。そこにいたのは「ティアマット」と名乗る一人の老人。
今でこそ単なる力のないジジイであるが、かつては世界をすべし「竜帝」と呼ばれるドラゴンであった。
しかし彼の力を妬んだ3体の龍が力を奪い、奈落に封じ込めたのである。
彼は力ある主人公にそのドラゴンの打倒を依頼する。
唐突な願いに混乱する主人公であるが、しかし断ることは不可能…。うっかり奈落に堕ちたことで半霊体となっており、いずれは消滅してしまう運命にあったのだ。
生き残る為には彼に協力するしかないということで、主人公は渋々契約を結ぶこととなった。

とはいえゲーム的には何のデメリットも無く、このままストーリーを放置しても主人公が消滅することはない。
ラルクも完全クリアまでは仲間から外す時も「運命からは逃れられんぞ」と脅してくるが、普通に逃げる事が可能である。

ちなみにこのシナリオクリア後は自由に奈落に入ることが可能となる。
またこのダンジョンでは宝石泥棒編で死んだ珠魅達やエスカデの剣の師匠であるオールボンの姿も見られる。
勿論NPCと一緒に突入可能。彼らも別に半霊体になったりはせず、前述の死んだ珠魅との特別な会話が存在する。


「群青の守護神」

まずは手始めにノルン山脈にいるメガロードを退治しにいく。
山脈の入り口に入ると謎の女騎士シエラと出会う。ラルクと因縁があり、ティアマットの企みを知っているようだが、この時は何もわからない。
メガロードは知恵のドラゴン達の中では若いが柔軟な考えの持ち主で、多数の人間と共存し練り固まった風習を変えようとしている明らかに善玉の龍である
その為彼と戦う前にはドラグーンである「風読み士」のリーダーたちがボスとして立ちふさがる。
リーダー達が斃れてもなお一般風読み士が道をふさぐが、彼らはラルクに瞬殺されてしまう…。
こうして風読み士達を倒していき、山頂にてメガロードと対峙。
風の力を使いこなす難敵を倒したあと、彼が守っていたマナストーンを見つける主人公達。
ラルクはマナストーンの力を解放し、ティアマットに与える事となるが、その後現れた生き残りの風読み士が今際に口にした「何故こんな恐ろしい事を…」という問いには沈黙するだけであった…。

ちなみにここで訪れるノルン山脈は聖剣LOMの一般ダンジョンで唯一対象クエストが一つしかない。
とはいえドラゴンキラー編の他のダンジョンも対象クエストがそう多くない…すなわち知恵のドラゴンの為の場所となっているが。
だがダンジョン自体が長くボス戦も多いため、そういう意味では印象に残るだろう。
また他のダンジョンのような謎解きがあったり迷いやすい構造ではない。そういう意味では主のメガロードらしいダンジョンと言えるだろう。
そして同時にドラゴンキラー編ダンジョンで一番訪れる可能性のある場所でもある。理由は後述。


「課外活動」

次に打倒するのは「紫紺の怨霊」ジャジャラ。
その名の通りドラゴンゾンビのようなドラゴンであり、多数の死者を地上に縛り付けてドラグーンに仕立てている。
『波間に眠る追憶』で出てきたトーマの弟・トーナもそんな死人の一人であり、そのイベントを起こした後だと、彼の魂を解放するためにも戦っている感があるかも…?
メガロードと違い明らかに悪役の彼を倒す…前に、彼の本拠地「骨の城」の前で課外授業をしている魔法学院の生徒達をどうにかしないといけない。
というわけで厳密にはドラゴンキラー編シナリオでないものの、彼らの課外活動を手伝う事となる。
彼ら曰く骨の城の植物は強力との事だが、どうにもここで授業するのは教師であるテセニーゼの意向が強いようで…。

ちなみにこのシナリオは厳密にはドラゴンキラー編ではない一般クエスト。
だが下記シナリオのトリガーにもなっているという少しややこしいものである。


「紫紺の怨霊」

出鼻を挫かれたがいよいよジャジャラとの決闘。
しかしその先には3人いないと発動しないトラップがあるため、このダンジョンのみペットかゴーレムが必要となる。
ほぼ一本道だったノルン山脈と違いあちこちにトラップが仕掛けられているが、それを死者達の助けで突破して行く事となる。人望無いな…。
バラバラになった仲間を探す中、ノルン山脈で出会ったシエラと再会。主人公がティアマットに加担している事情を聞いてくるが、どちらの選択肢を選んでも戦うことになる。
仲間を見つけて先へ進むと、不死皇帝というボスが登場する。こいつはかつてラルクが死ぬ事となった要因であるが、今はジャジャラのドラグーンにまで落ちぶれている。
だが同時に彼から解放される事を望んでおり、主人公たちに打倒されると彼らがジャジャラを打倒する可能性に喜び姿を消す。本当人望無いなジャジャラ…。
そしてついに奥にいるジャジャラとの戦い。
骨となりながらも未だ生きながられている旧世代の龍は一度倒しても復活するほどしぶとかったが、メガロード程の強さは無く、ティアマットへの恨み言を言いながら今度こそ死亡した。
なお小説版では前の不死皇帝と合わせて「時代遅れの戦法」と一蹴されていた。
奥にあるマナストーンを解放した後、ラルクは「俺たちが蘇る日も近い…」と言うのであった。

その後不死皇帝はジャジャラの死体と合体、更に力を得た彼は骨の城を根城にブイブイ言わせる事となる。
これはシナリオにもなってない隠しボスであり、ドラゴンキラー編をクリアすると戦えなくなる。
ドラゴンキラー編の進行には差し支えないが、ある条件を満たすと戦闘前に特殊なイベントが発生し、倒すとサガフロンティア2に登場した丙子椒林剣が手に入る。

ちなみに前述のテセニーゼは不死皇帝の元妻。
彼女がここにいた理由は元夫の気配を察したからなのだろうか…。


「白妙の竜姫」

ティアマットの力を取り戻す最後の龍を倒すべく、主人公たちは全然白くない白の森へと足を向ける。
奥で待ち構えていたのは女騎士シエラ。
彼女曰く、ティアマットが力を得るのは復讐の為ではなく、再び地上世界に君臨する為だというが、ラルクはそれを知ってなお戦い続けていた。
シエラは秩序を守る為、たとえ弟が相手でもティアマットの野望を止めるべく命がけで戦おうとするが、それをヴァディスが制止する。
平和主義者であるヴァディスはマナストーンの位置をすぐに白状し、ラルクは言われるがままここのマナストーンも開放する。
彼は「手は考えてある、案ずるなシエラ」と1人嘯くと共に、主人公に「お前の役目は終わった、自由にしろ」とお礼の品を渡して去って行くのであった。
しかし巻き込まれる形でとはいえ、既に2体の龍を殺し、悪しき支配者を復活させる計画に加担した主人公に逃げることは許されず、シエラとヴァディスに自身の力を示す事になる。結局戦うんかい。
倒されたヴァディスは主人公の力を認め、改めてティアマット打倒を依頼するのであった。


「真紅なる竜帝」

ラルクとティアマットを止めるために再び奈落にやってきた主人公。
入口で再会したシエラと共に奥地に行くと、既にティアマットが復活しようとしていた。
だがラルクはティアマットと同時に復活し、生き返った暁にティアマットの打倒を考えていたのである。
「復活の暁に勝負し、勝者のみが地上に戻る」それが彼らの契約であった。
…だが、力を得たティアマットは既にラルク等敵ではなく、むしろ彼に過剰な力を与え暴走させることも安易にしてのける。
そうして生まれた「鉄巨人ラルク」を主人公達に嗾けティアマットは高笑いの末姿を消す。
そのラルクをなんとか倒すが、正気に戻った彼は既に虫の息…。
「俺がやっていることが間違いなのはわかっていた しかしそれでももう一度 姉さんと過ごしたかった…すまない」
詫びの言葉を述べて消えて行くラルク。彼の力もティアマットの物となってしまった…。
それに呼応してか突如として奈落の崩壊が始まる。
主人公達もそれに巻き込まれ、吹き飛ばされてしまう。
「ぐずぐずしているからだぞ!」「弟が死んだのだぞ!この人でなし!!」「元から死んでたじゃん!!」「…はっ!そうだったわー!!」

しかし次に目覚めたとき、吹っ飛ばされたはずなのに傷一つ無い状態であった。
主人公たちはヴァディスによって助け出されていたのだ。
そして彼らがいる場所は焔城。 奈落の底から現れた燃え滾るその城の奥に竜帝が待ち構えている。
ちなみに焔城は奈落を潰す形で登場するため、これがあるうちは奈落に入れなくなる。また地形のマナも変化する。
圧倒的な力を持つティアマットだが、それでも彼には弱点があるとヴァディスは言う。それは孤独ということ。
全ての命には絆が存在し、その命の声が主人公たちの力になると述べる。
ここで主人公は選択肢として「ティアマットを止めなければ世界は大変な事になってしまう」と表示するが、選べるのはこれだけ。その絆を断とうとする彼は是が非でも倒さなければならないのだ。
ヴァディスは主人公とシエラにティアマット打倒を願う。

一見単純な構造に見えて数々のトラップがあり複雑怪奇となった焔城。
それを何とか突破した主人公は、遂にティアマットと対峙する。
世界中のマナの力を得たティアマットは圧倒的な力を要し、100均ショップで購入した主人公の剣を折り、マッハパンチトトスペシャルも通じない強靭な鱗を持ち強力な攻撃を仕掛けてくるが、しかし1人孤独に戦う彼に勝利は無い。
激戦の末孤高の竜帝は力尽き、最後には炎の中に沈んでいく。
そして彼の死と共に、焔城は奈落へと戻っていくのであった…。

ティアマットが死に、ラルクは戻った。
だが彼との契約自体は生きている。ティアマットの血の呪いの為、向こう千年は奈落に縛られるという。
更に彼の体に触れればその呪いは別の者にも伝染する。
それでもシエラはラルクと共にその呪いを背負おうとするが、ラルクは「これは自分の罪だ」と拒絶「俺なら千年も掛からない、それに奈落の生活にも慣れている」と強がりを言う。
シエラはそんな弟に対して、優しく嘯く。
「いつもそうだったな。散々心配をかけた挙句、姉さんには関係ない、だ」
だが奈落に縛られていても、触れることができなくても会う事はできる。
戦乱によって引き裂かれた姉弟であるが、形はともかく再会できたのだ。
そしてシエラは宣言する。

「今度は私がお前に会いに行くさ」


その後しばらくして、ティアマットに奪われたマナは全て元に戻り、メガロードとジャジャラも復活する。ジャジャラは骨のままだし、結局行方不明になるし、何なら(人間の基準では)悪党なので復活させなかった方が良かったかも? とはいえ姿を消したのは今の自分はこの世界に相応しくないと考えた結果なのかもしれない。
そして、白の森にいるシエラとヴァディスの元にラルクが現れた場面で、ドラゴンキラー編は終わりを迎える。
この後シエラ、ラルク共に自由に連れ出すことが可能。ラルクも別に奈落専用というわけでなく、普通に色んな所に連れて行く事が可能となる。
ゲーム的な都合もあるが、もしかしたら本当に千年も掛からずにティアマットの呪縛から開放されたのかもしれない。


【余談】

  • 漫画版では第一巻の内容がほぼドラゴンキラー編である。ティアマットに加担した理由は『何でも欲しいものを与える』といわれて『本物のキスティス』をゲットしようとたから(結局反故にされたが)。上記の「ぐずぐずしているからだぞ!」「100均の剣」等のセリフもそれが元ネタ。なお問題解決の際にヴァディスが褒美を与えるということで、折れた剣の代わりを貰う事となった。「これで元の鞘に収まったってわけだ」
  • PS版発売の頃の小説版『あまたの地、あまたの人』では第二章がドラゴンキラー編。第一章のエスカデ編では関わったもの全てが死んでしまった為主人公も落ち込んでしまい、半死人のような生活を送っていた矢先に奈落に堕ちてしまいラルクと出会うという物*1。こちらはゲームと同じくハッピーエンドで、解決後主人公のメンタルも随分と持ち直す事となる。
  • ドラゴンは復活したが風読み士は復活しなかったらしく、ノルン山脈に訪れるとその事を言うNPCがいる。襲い掛かってくるわけではないが、多大な野望に気付かずに殺めたことは忘れてはならない。
  • しかしそのメガロードは山頂に行くと「腕試し」という名目で何回も戦うことが可能である。もちろん経験値もボスを倒したときと同じだけくれる。「腕試しに来たか!若造めが!」 前述のノルン山脈に訪れる理由は彼の存在がある。尤も宝石泥棒編のラストダンジョンにはもっと便利な腕試し対象がいるが…。
  • このドラゴンキラー編、二次創作においてかなり厄介なエピソードである。簡単に言えば「悪役が主人公を利用して野望を達成しようとする」展開であるため、「主人公がティアマットに騙される」パターンならまだしも「主人公がティアマットの企みを察する」パターンだとティアマットの協力を拒みかねず、話が進まなくなるのである。「いかにティアマットの目的に気付きつつ、協力せざるを得ない状況に持ち込むか」を考えるという点では上級者向けになるかもしれない。












追記・修正は不気味な石板に感想を述べてからお願いします。


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最終更新:2024年03月02日 23:19

*1 本当に死んでしまう生活は送ってない、と地の文で反論していたが。