レアリティ・レジスタンス

登録日:2021/07/15 Thu 19:02:22
更新日:2024/04/17 Wed 08:45:29
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2016年、年始。これまで、スーパーレア&ベリーレアたちに虐げられていたコモン&アンコモンの反逆が始まった。レアリティ・レジスタンスと呼ばれるその反乱戦争は、コモン・アンコモン軍の奮闘により、一時、スーパーレアたちを撤退させるまでの成果を上げた。レアはただ、様子を見ていた。



《レアリティ・レジスタンス》は、デュエル・マスターズに登場する呪文である。


概要


レアリティ・レジスタンス P 水文明 (4)
呪文
バトルゾーンとマナゾーンにあるベリーレアとスーパーレアのカードをすべて、持ち主の手札に戻す。

DMX-22 「超ブラック・ボックス・パック」に登場した呪文。
通称「レアレジ」。

効果は超闇鍋特有のぶっ飛び効果で、「バトルゾーンとマナゾーンのSRとVRを手札にバウンスする」というもの。
カードのレアリティを参照する効果というのは前代未聞……に見えて一応MtG兄貴が《Rare-B-Gone》でやっている。

当たり前といえば当たり前だが、基本的にTCGというものは強いカードは必然的に高レアリティに集まりやすいため、
このカードがメタれる範囲は意外と広い。
例えば【連ドラ】や【カイザー刃鬼】などは高レアリティのカードを惜しげもなく詰む様を『札束』と揶揄されることもあるが、
このカードを唱えれば場もマナもすっからかんに出来る。
他方、【黒緑速攻】や【バニラビート】のような貧乏デッキには全く刺さらないという特徴を持つ。

なお、このカードの能力は自分にも被害が及ぶ。そのため通常はデッキ構築が縛られてしまうのだが、抜け道は実は存在している。

裁定

このカードは出た当初は、多くのチャンピオンシップで禁止カードとされていた。
プレミアム殿堂ではないにもかかわらずチャンピオンシップで禁止にされた理由の一つが、
デュエマの基本的な考え方である「カードの性能は収録されたバージョンのうち、最新のものを参照する」という点に、
このカードが引っかかるためである。

例えば、《バルキリー・ドラゴン》や《グレイト・カクタス》。
2体とも初出時のレアリティはスーパーレアであったが、再録時にはレアに格下げされている。
こういうカードの場合、どちらのレアリティを参照するかと言えば、
上述のルールより「そりゃレアだろ」となるのである。

だがおりしもデュエマは当時革命編。公式がチャンピオンシップを単なる非公認大会ではなく、
DMポイント適用対象の公認イベントとして手を入れたことで、競技性が上がる結果に。
このため、「最新のカードを両プレイヤーが正しく判断できる必要」が生じてしまうため
円滑な大会運営を阻害しかねないカードであるこのカードは禁止にせざるを得なかったのである。

しかし2016/05/10に公式大会で使用可能な旨が発表された上、事務局裁定で
「《レアリティ・レジスタンス》の効果の対象になるかどうかは実際にプレイされているカードのレアリティを参照する」という
裁定が出たため、以後はチャンピオンシップでも使用が解禁された。

……これが別のややこしい問題を生んでしまったのである……。

注意点

このカードが対象とするのはあくまでスーパーレアとベリーレアだけである。
よって当時流行していた【赤単レッドゾーン】にはほとんど刺さらないカードであった。
というのも、《轟速 ザ・レッド》はコモン、そして《轟く侵略 レッドゾーン》はレジェンドカードである。
レジェンドカードはスーパーレアより上のレアリティだが、対象じゃないのでバウンスできないのである。
同様に、ビクトリー、ダブルビクトリー、マスターカード、キングマスターカードも対象外。
またこのカード自体もそうだが、収録弾によってはレアリティがないカードもある。
こうしたカードももれなく対象外。

そして再度言うが自分にも影響が及ぶ。
そのため、自分が使うカードはできるだけスーパーレアやベリーレアを回避し、
同じカードでもレアリティが低かったり、レアリティがないカードを使用するようにしよう。

環境での活躍

正直、上述の通り、めちゃくちゃ何にでも刺さるわけでもなく、トップメタにはSRとVRを回避しているケースもあったため、
登場当初はあくまでジョークカードという立ち位置に過ぎなかった。
しかも《松本大先生》や《ハムカツのイラスト百烈ペン》などと異なり、リリース当時は裁定の問題もあって
上述の通りチャンピオンシップでの使用は主催者側で禁止されることが多かった。
そして公式で使用可能になってからも、採用率自体はそこそこでしかなかった。

……この「そこそこ」というのがだいぶ問題な点であった。
全く使われないとか、たまにネタデッカーが入れて活躍する程度なら、笑いの種で終わるのだが、
このカードはたまに環境トップのデッキに入り、そんでもってたまに活躍したのである。

例えば《聖霊左神ジャスティス》を用いた【ジャスティスループ】と呼ばれるループコンボデッキでは、
自分のベリーレアの《聖霊左神ジャスティス》を回収し、再利用するためにこのカードに白羽の矢がたった。
本来、このデッキでは《連弾スパイラル》*1と《ミスティック・クリエーション》*2を用いて、
ジャスティスを回収しつつ相手の場を空にしていくのが鉄板ムーブなのだが、
《ミスティック・クリエーション》の代わりにこのカードを使えば、疑似上位互換版《連弾スパイラル》としても機能するのである。

しかも【ジャスティスループ】はチェインコンボ系デッキであるため、ループ証明ができず手順を省略することが認められない*3
このようなデッキでは操作回数を減らせる《レアリティ・レジスタンス》はうってつけのカードだったのである。

その後【ジャスティスループ】は消滅したものの、水単色4マナというそこまで重くもないカードであるため、
デッキ次第ではいくらでも採用は可能であった。
特にSRとVRがデッキの半分を占める【シータミッツァイル】相手にはメタとして《レアリティ・レジスタンス》を採用するケースも見られた。

環境に何度も出てくるカードになると、当然競技層のプレイヤーからは《天使と悪魔の墳墓》同様、無視できない存在となる。
やがて「構築段階で《墳墓》と《レアレジ》のケアをしないのはそのプレイヤーの落ち度」という風潮が生まれていった。
こうなると更に別の問題に発展してくる。「再録でレアリティが設定されるカード」問題である。

本来、再録は過去にそのカードを手に入れていなかった人も手に入れる機会が増え、喜ばれることである。
MtGで言うならタルキール覇王譚で友好色フェッチランドが再録されたことで相場が数千円下がったというケースもある。
このように、適切に再録されることで新規プレイヤーや復帰勢にも敷居が下がるようになるのである*4

だが、デュエル・マスターズでは度々「以前の収録時にはレアリティがなかったが、再録時にレアリティが設定される」ケースが起こる。
これにより「スーパーレアやベリーレアになってしまったためレアレジの影響を受ける」ため、
「競技性の高い大会では使用するわけにはいかない」。ひいては「再録が実質再録として機能しない」という問題に繋がるのである。
ちなみに《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》はなぜか逆に再録時にレアリティを失ったことで完全上位互換扱いされたりしている。

実際競技層は「相手の《次元龍覇 グレンモルト「覇」》がたまたま再録版(SR)であったため、バウンスに成功して勝てた」などという話をすることがある。
これは相手側の立場になってみれば、「デッキ構築の段階でレアリティのないものを使用しなかった」という明確な落ち度になる。

《レアレジ》が環境に存在する限り、仮に再録版のイラストがめちゃくちゃかっこよかったりしても、「見た目は確かにかっこいいけど、初出版の完全下位互換なので採用はできない」という事態に陥る。せっかく再録されても、再録版には目もくれず初出版のみを取引されるようになってしまった。

よってレートは当然下がることはないし、新規プレイヤーや復帰勢の敷居も上がる一方である。
これは競技層からしても、同好の士を増やせないことは結果としてTCGデュエル・マスターズの寿命にも関わるため問題だ。
「タカラトミーは過去のカードを再録する際レアリティを付与するのをやめて欲しい」という声明を出していたプレイヤーもいた。

この状況に対し、なんと2021年6月23日に、デュエチューブでこのカードをプレミアム殿堂にする(2021年7月1日施行)ことが発表。
おそらく「そもそもの原因である《レアレジ》のほうを規制をかけたほうが早くないか」と判断したものと思われる。
こうして、《ヘル・スラッシュ》《ロスト・チャージャー》《フューチャー・スラッシュ》同様に、
「カードパワーとは別のトラブル回避の目的」によって*5プレミアム殿堂となった4例目のケースとなった。

関連カード

本項ではレアリティ他、普段あんまり参照しないようなものに関係する効果を持つカードを取り上げる。

  • 《サイチェン・ピッピー》
  • 《巡霊者ウイニング・スター》
  • 《巡霊者スーパー・ウイニング・スター》
  • 《鬼姫ローリエ》
  • 《炎龍秘伝カイザー・フレイム》
  • 《希望の絆 鬼修羅》
いずれもビクトリークリーチャーをサポートしたり、ビクトリークリーチャーのあるときに追加効果を発生させるカード。
特に《鬼姫ローリエ》は進化ビクトリークリーチャーをサーチしてそのまま進化できるという能力を持っている。
このため、《燃える革命 ドギラゴン》が仮にビクトリークリーチャーであればもっと運用しやすかったのではないかとも言われている。
……逆に言えば、進化ビクトリークリーチャーの設計の枷になってしまっていたから最高レアリティがすげ替えられたとも言える。
やっぱりレアリティ依存効果は扱いが難しいのではないだろうか

スパイク・スピーゲル P 水/火文明 (3)
クリーチャー:ヒューマノイド/アウトレイジ/ハンター 3000+
スーパーレアのクリーチャーとバトル中、このクリーチャーのパワーを+9000する。
このクリーチャーがどこからでも自分の墓地に置かれる時、かわりに山札に加えてシャッフルする。
このクリーチャーが、自分の手札以外のどこからでもバトルゾーンに出た時、カードを2枚引く。

対スーパーレアメタ。といってもパワーが12000になるだけなのでそこまでメタ効果にはなっていはしないが。
カウボーイビバップの主人公スパイクの、「相手が高額の賞金首だとやる気を出す」というフレーバーをカードに落とし込んだもの。
  • 《ハムカツのイラスト百烈ペン》
  • 《松本大大大先生》
イラストレーターを参照するカード。
MtGでも何枚か存在はしている。

スーパーしりとりガー P 火文明[ジョーカーズ] (6)
クリーチャー:ジョーカーズ/スペシャルズ 2000
スーパー・S・トリガー(このクリーチャーを自分のシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ召喚してもよい。その時自分のシールドが1つもなければ、このクリーチャーにS能力を与える)
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の手札を1枚捨て、その後、カードを2枚引く。
S−このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手の、名前の最後が「ん」の音のクリーチャーをすべて破壊する。

カード名の終わりの音が「ん」のクリーチャーをメタるカード。
これのせいでDMWikiには大真面目に『終音「ん」』というカテゴリが作られている。
こいつのおかげで《緑神龍ガラギャガス》は《緑神龍グレガリゴン》の完全上位互換だったり、
《爆速 ダビッドアネキ》は《音速 ダビッドソン》の完全上位互換だったりする。

マキシマムザ亮君(暴天覚醒MAXIMUM神羅曼象) P 闇文明 (7)  
NEOクリーチャー:デーモン・コマンド/ヒューマノイド 13000
NEO進化:自分の、名前に《・》を含まないクリーチャー1体の上に置いてもよい。
T・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、名前に《・》とあるクリーチャーをすべて破壊する。
相手は名前に《・》とある呪文を唱えられない。

名前に中黒が入っているカードをメタるカード。
「マキシマム ザ ホルモン」とのコラボカードだが、よく彼らはマキシマム・ザ・ホルモンと書かれてしまうことに憤っており、
それがこの徹底して中黒をメタる効果に繋がるのだろう。
なお《蓮根の槌》のように、たまに再録版によるエラッタでルビから中黒がなくなるケースもあるので要注意。
この記事を書いている時点でこの中黒は3726枚も該当カードを有するDMにおいても数の多い名称カテゴリとなっている。
終音「ん」が1284枚なのでダブルスコアである。
メタれる範囲が異様に広く、《スーパーしりとりガー》のように面倒な条件も必要ないため、中黒を持つ呪文がデッキの大半を占めこれ1枚で機能停止する【カリヤドネループ】が存在した超天篇など、環境によっては大真面目に採用が検討されることもある。

開発部の守護者 ミッチー P 火文明 (6)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ガーディアン 9000
ガードマン
W・ブレイカー
相手のクリーチャーが午後6時から午前8時の間にバトルゾーンに出た時、このクリーチャーはそのクリーチャーとバトルする。

時間参照クリーチャー。夜だと強くなる。
COVID-19のせいで、時差によるトラブル回避の目的でリモートチャンピオンシップでは使用禁止、
または効果が発動しない時間で固定された扱いにされることが多い。

鋼龍 クシャルダオラ P 水文明 (7)
クリーチャー:メタル・コマンド・ドラゴン/ハンター 7000
W・ブレイカー
このクリーチャーが攻撃する時、相手のクリーチャーを1体選び、タップする。そのクリーチャーは、次の相手のターンのはじめにアンタップしない。
相手がクリーチャーを選ぶ時、その地域で風に関する注意報か警報が出ていれば、このクリーチャーを選べない。

死神の精度 レイン P 水/闇文明 (5)
クリーチャー:サイバー・コマンド/デーモン・コマンド 4000
音楽が鳴っている間、自分のシールドゾーンにあるこのクリーチャーに「S・トリガー」を与える。
スレイヤー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、カードを3枚引き、その後、自分の手札を2枚、好きな順序で山札の上に置く。その後、今日この街に雨が降っていなければ、このクリーチャーを山札の一番下に置く。

天候参照カード。レインのほうは更に会場で音楽がなっているかも参照する。
対面での効果発動は気象兵器を起動するなり神に供物を捧げて雨乞いすればいいだけなので簡単だが、
やはりこちらもリモートチャンピオンシップでは自分の地域を参照するのか相手の地域を参照するのか混乱するため、
使用禁止あるいは快晴時にプレイしていることにされてしまう。

  • 《炎舌実況DJ・ショー》
  • 《アゲアゲ実況DJ・ショー》
  • 《漆黒の四男 一松》
  • 《「ライジンオー見参!」》
  • 《デュエマの神店員 デュエ神さま》

会場に条件を満たす人物や動物がいれば効果を発動するカード。

超竜ファイバード P 火文明 (8)
進化クリーチャー:アーマード・ドラゴン 13000
進化−自分のアーマード・ドラゴン1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、進化ではないファイアー・バードをすべて、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。デュエルロードでプレイしている場合は、さらに進化ファイアー・バードを好きな数、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
T・ブレイカー

デュエルロードでプレイしている場合のみ効果を発動するカード。
なお現在はデュエルロードというイベントは行われない(デュエマフェスに名称変更した)ため効果が発動しない。

余談

上記にビクトリーやレジェンドカード、マスターカード、キングマスターカードは影響を受けないと書いたが、
実は単なるレアも影響を受けない。

そのためか、レアはコモン・アンコモン軍の様子を黙ってみていたようだ。



追記・修正はコモン・アンコモンな人生を送っている方にお願いします。

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最終更新:2024年04月17日 08:45

*1 同名カード全バウンス

*2 マナゾーンから3枚回収

*3 デュエル・マスターズでは明らかにループが成立することが証明可能な場合、その手順を省略することがルール上認められている。しかし毎回プレイするカードが変わるチェインコンボは「どこかで止まるかもしれない」ためループが成立することが自他共に不明であるケースも多く、省略対象にならないのである。

*4 無論再録を頻発してしまうことで相場が暴落してしまい、カードショップが取り扱いをやめるケースもあるので難しいものではあるが。

*5 もっとも、これらのカードは実際の性能も大分イカれているが