SCP-843-JP

登録日:2021/07/20 Tue 06:47:23
更新日:2024/03/26 Tue 09:17:22
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注:本記事の食事中の閲覧は推奨しません。

SCP-843-JPはシェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するSCiP。オブジェクトクラスEuclid

概要と収容プロトコル

コイツを端的に言うと、2本鎖DNAウイルスである。既存のウイルスの変異体ではなく、恐らく人工ウイルスであると思われている。同じEuclidのウイルスにはT-ウイルスモドキがいるが、あちらは粘膜感染するのに対し、こちらは注射で接種しないと感染しない。

SCP-843-JPに感染すると、普通の風邪のような症状(微熱、倦怠感など)が現れる。咳やくしゃみは無く、潜伏期間は存在しない。つまり感染した直後に症状が出る。そこからが本題。

感染から6時間が経つと、感染者の脳は液状化する。粘性は高いままのため、すぐに脳の形が崩れたりすることはない。思考力にも影響はない。ただ、強い衝撃で崩れると知能が低下する。

液状化が完了すると、今度は鼻に違和感を覚え始める。ちょうど蓄膿症になった時のように、鼻が詰まった感覚にさいなまれる。

ここで鼻をかんでしまうと、鼻から液状化した脳が出てくる。しかも知能をつかさどる部分*1から排出されるため、かむたびにバカになっていく。感染者は自分が出しているものが鼻水ではなく脳だと自覚するらしいが、知能の低下により、鼻をかむことを優先する。最終的には生理機能(呼吸とか心臓を動かすとか)を担う部分を出して死亡する。

こんな対魔忍アサギもビックリな現象を提供するウイルスだが、(今のところ)注射によってしか感染しないため、Euclid指定で留められている。特別収容プロトコルも、一般的なウイルスと同様の方法で収容し、実験にはクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要、と非常にシンプル。

経緯

このウイルスは、誘拐容疑のあった新潟県のとある男性の家で、保管された状態で発見された。警察の調査で、この家から脳の無い奇妙な遺体が見つかったこともあり、かねてより財団の注意を引いていた。

ちなみにその男性、とある要注意団体の構成員だった。
石榴倶楽部である。

ざっくり説明すると、人肉食を愛好する者の集まりで、それを楽しむために異常存在や要注意団体に積極的に手を出そうとする厄介者集団である。
彼らは人肉を「ザクロ」と呼び、人肉を食べる理由こそ人それぞれだが、一貫して食に気品を追求する。現に、SCP-031-JPの「ウメハル」は上品さがないという理由で追放されている。

ここからは男性の自宅に残されていたメモを引用しながら記述する。
…先に言っておくが、SCP-843-JPは正直気品の欠片も感じられないオブジェクトである。

本名を渋沢というこの男性は、石榴倶楽部内では「椎名」のコードネームで通っていた。そんな彼はある時、倶楽部の会合*2の長を任されることになった。

次回の会合は私に任されることになった。ようやく私も年長組の仲間入りというところだ。最高級のグレナデンシロップゼリーを用意する。皆を唸らせる1品を。

グレナデンシロップは本来、ザクロの実を使用した甘く赤いシロップを指す。が、まあ「ザクロ」から分かる通り、彼が用意しようとしているのは人組織のゼリー、言い換えてしまえば脳である。
…ん?

グレナデンはすぐ味落ちをするようだ。→事前の用意は難しい。

彼は全く人肉食に抵抗がないのか、様々なテストと味見を繰り返した。しかし、脳みそはどう保存しても腐ったり味が悪くなったりする。生きたまま調理するにも設備がなく、会合に間に合わない。そんな折。

グッドニュース! [判別不能]から技術供与。 生きたままグレナデンシロップの抽出→鮮度問題なし やはり持つべきは人脈か。

どっかの組織からSCP-843-JPを貰ったらしい。この手のろくでもない組織は一体財団世界にどれだけいるのだろうか。
その次のメモではSCP-843-JPの取り扱い法について記述されている。概ね報告書と同一なため、省略。

会合は大成功。[判別不能]には感謝しなければならないな。次回の会合の主催も私に任せてくれるとのことだ。嬉しい悲鳴だ。

ともかく、彼の用意した「グレナデンシロップ」は好評だったらしい。それは次のメモにも表れている。

会長から直接の連絡があった。グレナデンがお気に入りらしい。都合がつくときに私の家を訪れるそうだ。

その時は″生きた″グレナデンをご所望らしい。鼻に入れた麦稈から濃厚なグレナデンを直接。

麦稈はストローの日本的な言い方である。

…冷静に考えてみれば、彼らは「人が鼻をかんで出てきた」「脳を」食べているのだ。あるいは調理したのかもしれないし、食べているのは鼻水ではなく脳だが、明らかに生理的嫌悪感を感じる絵面ではないか。それに最後のメモ。これはつまり、鼻をかむ前の脳を直接頂くということだが…

想像してみてほしい。人の鼻にストローを突っ込み、ゴクゴクとその"濃厚なグレナデン"を飲んでいる様子を。少しネット文化に詳しい人ならストローおじさんと言えば通じるだろうが、やっていることはあれと同じである。

ところで、このオブジェクトのメタタイトルを言い忘れていた。


SCP-843-JP じゅるじゅる、ずずっ。


おえっ。

余談

かなり気持ちの悪い記事だが、著者ページの裏話によると、著者が小学生のころに教師から言われた「そんなに鼻ばっかり嚼んでると脳みそが出てきちゃうぞ」という言葉が元になっているとのこと。

追記・修正は、鼻にストローを刺してからお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-843-JP - じゅるじゅる、ずずっ。
by yzkrt
http://scp-jp.wikidot.com/scp-843-jp

千原獣医師の人事ファイル
by yzkrt
http://scp-jp.wikidot.com/author:yzkrt

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最終更新:2024年03月26日 09:17

*1 大脳新皮質

*2 彼らは定期的に集まり、そこで人肉を吟味することが多い。