ジェゼール・ブレット

登録日:2021/10/01 Fri 02:08:13
更新日:2023/11/29 Wed 01:39:12
所要時間:約 11 分で読めます





ホソナガ「教授の食卓にいた英国婦人の名は、ミス・ジェゼール・ブレット‥‥」

「勇盟大学、医学部‥‥被害者の研究室にいる、留学生だそうです。」


ジェゼール・ブレットとは『大逆転裁判シリーズ』に登場する人物である。


■概要

大日本帝国の《帝都勇盟大学》の医学部に籍を置く“淑女(レディ)”。大英帝国の帝都・倫敦からの『研究留学生』。初登場時24歳。

花飾りがついた青いドレスと頭に白鳥が座っているかのような巨大な帽子、というド派手で目立つ服装をしている。髪型は渦巻いた茶髪。
常に帽子や棒付きの仮面で目を隠しながら喋るミステリアスな雰囲気を持つ。
帽子の白鳥はどういうわけか意思を持っているような動きをし、ジェゼールの心情によって鳴き出したり羽ばたいたりする。ちなみに仮面もよく伸び縮みする。
スタイルも良くドレス越しでもボディラインが強調されている。
ファッションとして倫敦の社交界の流行だという、革紐を編み上げて作った中身の見える手鞄(ハンドバッグ)を常に持っている。
素顔こそ見えないが美しく高貴なる貴婦人と評されており、大日本帝国と大英帝国が友好条約を結んだばかりで日本が英国に対してかなり腰が低くなっている社会情勢も含めて、
亜内武土検事や大日本帝国の裁判長等、日本の男性陣を虜にしている。

帝都勇盟大学では、医学博士のジョン・H・ワトソンの研究室に所属しており、薬品の研究をしている。
ワトソン博士には世話になっており、いつも一緒に昼食を取っていた。
また大学長との会食の約束を取り付けているらしく、色々な相手と”交流”している身であるようだ。


■作中での活躍

※ネタバレ注意
  • 『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』
第1話「大いなる旅立ちの冒險」に登場。
洋食堂《ラ・クワントス》にてジョン・H・ワトソン博士と食事中、彼が何者かに拳銃で殺害されてしまう事件が発生。
事件が発生した瞬間、ジェゼールはワトソンの向かいの席でビフテキを食べていた。
英国との友好関係を何よりも優先する大日本帝国にとって英国人が殺人事件に関わることは絶対にあってはならない、という意向により
警察本部は給仕長として潜入していた細長悟刑事はに《特務指令》を出し、彼女を事件現場から退去させた。
しかも店内にいた他の客で事件の証人にも彼女の存在を口外しない事を言いつけることで、現場に”英国婦人”がいたという事実は隠蔽されていた。
だが、被告人の成歩堂龍ノ介の立証により事件現場にいたもう一人の人物の存在が発覚し、身元を確かめていた細長に確保され大審院に召喚された。
留学生でありながら日本語が話せないらしく、細長の通訳を通して証言する。
彼女は「龍ノ介が被害者を撃った瞬間を見た」と証言し、弁護側は彼女こそが本当の”敵”だと確信した――

なお龍ノ介は「観察眼には自信がある」と豪語しておきながら、上記のような目立つ格好をしている彼女のことをワトソンと食事をしていた”女性”としか思い出せなかった。
そのため親友で弁護人の亜双義一真「(観察眼は)”フシアナ”以下だな」と呆れられていた。


※以下さらなるネタバレにつき注意。




















当初は国家ぐるみで存在を秘匿されていたり、尋問前に不敵な笑みを浮かべたりと色々察しはつくが第1話の真犯人

新たに提出された証拠から龍ノ介が被害者は拳銃で撃たれた時にすでに死んでいた可能性を示し、目の前で食事をしていたジェゼールはそれを知っている可能性が浮上した。
新たに証言を求められると、

Ah‥‥よろこんで、ご協力、いたしますわ。

我が国と、貴国‥‥大日本帝国との《友好》のために。

――と、初めて日本語を喋り出した。
ここから彼女自らの口で会話するようになるが、その本性は尊大かつ腹黒で、日本が英国に対して弱腰なのをいいことに警察の捜査や司法の未熟さを「”コドモ”の遊び」であると見下している。
最初は日本語を話さなかった理由も英国語こそが最も美しい言語で、日本語という野蛮な言語を口にしたくなかったという酷いもの。
気性も荒く、追いつめられると口調が荒くなり、物凄いハクリョクでShut up!と他人の言葉を封殺してしまう。(黙りなァ!と大体用法は同じ。)

当初被害者は銃殺されたと思われていたが、実際は《クラーレ》という猛毒を用いて”毒殺”されていた。
クラーレは全身の筋肉を麻痺させ、最終的に呼吸が出来なくなり窒息死させる恐ろしい猛毒で、被害者はこの猛毒入り炭酸水を飲んだことで死亡した。
被害者は意識はあるが声を出せない状態にされゆっくりと死に至ったため、周りの人間には毒が盛られたことに気付かなかった。さらにクラーレは日本では存在しない毒物なので、帝都警察の捜査でも毒を検出できなかった。
以上のことは法務助士の御琴羽寿沙都がワトソンの研究室から借り受けた「ジェゼールの研究レポート」に詳細が記載されていたことから、彼女がクラーレを使用した可能性が提示された。
疑いをかけられたジェゼールは法廷の人間の前でグラスに入れた炭酸水を飲み干した。それでいて死亡していないことで、炭酸水に毒が入っていないと証明しようとした。
しかしクラーレは「傷口から侵入する」ことで毒性を発揮するため、事件当時抜歯して口内に傷があったワトソンのみ死亡し、ジェゼールは同じ水を飲んでも無事で済んでいた。

それでも猛毒の存在を認めず、彼女は衆目の中で堂々と毒入り炭酸水の硝子瓶を粉砕し、証拠を消し去った上に龍ノ介が被害者を拳銃で撃って殺したと主張する。
ここで龍ノ介は記憶を辿った結果被害者のテーブルの上のビフテキ皿に”血痕”があったことを思い出した。被害者の目の前の皿に血痕が付くのは、テーブルを挟んで正面から撃った時であり、それが出来るのは向かい席にいた彼女のみであると立証された。
そして細長が押収していた「ジェゼールのビフテキ皿」に血痕が確認され、彼女の犯行の全容が明かされた。
なお事件があった時間、別の客がある人物の小判の窃盗を行っており、それを隠蔽するために自分のビフテキに小判を隠した後、彼女の皿と自分の皿をすり替えていた。よって血痕付きのビフテキ皿はその窃盗犯のテーブルの上にあった。



日本人が‥‥日本人ごときが。この、ワタクシに‥‥信じられない‥‥

ブレイクモーションは胸を押さえながら上記の台詞を呟いた瞬間、突如帽子の白鳥が咆哮しながら羽ばたき出す

きゃああああああああああああ
ああああああああああああああ
ああああああああああああああ
ああああああああああああああ

悲鳴を上げながら白鳥に引きずられ、弁護人、検事、裁判長の下にヒヨコを巻き散らしながら証言台を右往左往し出す。
最後は両手を合わせ祈りのポーズを取りながら、召されるかのように天井に向かって飛んで行った

その後地上に降りた後、殺人の罪を自白した。
当初はワトソンが毒を飲み死亡したら、即座に洋食堂から立ち去る予定だった。
しかし死亡前に龍ノ介が被害者に挨拶したため立ち去るタイミングを逃してしまった。
とっさに彼に罪を着せる計画を思いつき、彼がワトソンの拳銃を拾った瞬間スカートの下に隠し持っていた自分の拳銃で被害者を撃ち抜き、遺体を椅子ごとを回転させ現場の工作をした。
全てを自白した後、裁判長と「2人だけで話し合い」の約束を取り付けた後、龍ノ介に詫びを入れ退廷した。
日本の捜査方法の未熟さ、外交関係での弱さを利用した立ち振る舞いや、猛毒の入った炭酸水を飲み干す度胸、ステーキ皿のすり替えに気付かなければ逃げ切りに成功していた*1可能性等から
逆転裁判シリーズ』の第1話の犯人の中では中々の強敵であった。
さらに被害者含めた周囲の人間の誰にも気づかれずに硝子瓶に毒を入れたり、拳銃で相手を撃つなど明らかに普通の留学生とは思えない手際の良さを見せていた。

このまま彼女は日本で正当な裁きを受ける…と思いきや領事裁判権が発動し上海の領事裁判所へ身柄を移送する予定だという。
先の日本と英国の友好条約により英国の領事裁判権は撤廃され、両国にとって政治的に重大な事件でなければ発動しないはずであった。
しかし一介の留学生のために領事裁判権の”密約”を交わすのは不自然だと亜双義は語っており、ますます彼女が普通の留学生ではないという疑念が大きくなっていった。
彼女の正体は何者なのか、そして彼女がワトソンを殺害した理由は何なのか
ジェゼール・ブレットに関する謎は『大逆転裁判1』中では解明されず、次回作『大逆転裁判2』まで待つこととなった。


  • 『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』
第1話「弁護少女の覚醒と冒險」にて再登場。
ゲームを開始し第1話を選択すると、日本に帰国した寿沙都さんの独白が始まる。
その直後水着姿のジェゼール・ブレットが映し出された。
彼女は砂浜に倒れ、背中から大量に出血して命を落としてしまう

‥‥もう一度言う。


命を落としてしまうのである。


※大事な事なので2回言いました。

なんと前作第1話の真犯人であった彼女が、本作第1話の被害者となってしまった。
第1話の真犯人が後のエピソードで殺害され被害者となるのは前例はあったが、作品を跨いで殺害されてしまうのは彼女が初である。

9か月前の裁判で殺人の罪が暴かれたにも拘わらず、ジェゼールは裁かれるどころか牢に収監されることもなく、(監視付きだが)大学で研究を続けていた。
そのような扱いに周囲は不満が募り、特にワトソンの教え子だった女学生・村雨葉織は顔を合わせる度に、彼女に対して激しい憎悪の念を抱いていた。
そして移送の前日、日本での最後の思い出に(刑事の見張り付きで)海水浴に出かけ、その海水浴場で葉織からのある詰問に嘲笑いながらいなしていた。
…その瞬間背中を刺され彼女は絶命し、その場にいた葉織が逮捕された。
被害者が被害者だけに葉織を弁護するものは誰もいなく、彼女の親友である寿沙都は男装をして大審院に弁護士として立つことになった。

審理の末明かされた真犯人は「自分の仕事を国ごと馬鹿にした挙句、国外へ逃げ出そうとする者に正義を下した」と語る。
真犯人の行動は決して正しいものではないが、ジェゼールは最後まで傲慢な態度を取り日本を見下し続けた結果自分の死を招く羽目になった。
さらに彼女の真の死因は勇盟大学の医学部が開発した新種の劇薬を用いた”毒殺”であった。
「大日本帝国では存在しない毒」で他人を殺害した彼女が、「大日本帝国で開発されたばかりの毒」で他人に殺害されるという、皮肉な最期を迎えた。


こうして彼女は死亡し、「何故ワトソンを殺害したのか」は永久にわからず仕舞いであった。
このまま物語から退場した…と思いきや最終盤でその存在が再び浮上し――



  • 余談
「ジェゼール・ブレット」の名前の由来は、小説シャーロック・ホームズシリーズの長編第1作「緋色の研究」に登場した「ジェゼール弾(Jezail bullet)」より。
その小説内ではイギリス軍の軍医だったワトソンがジェゼール弾を肩に撃たれ負傷したため本国に送還された時にホームズと出会った…、と語られている。
本作のジェゼールもワトソンを拳銃で撃ったことで彼を負傷させた(実際の死因は別だったが)。

『大逆転裁判 公式原画集』によると『大逆転1』第1話の舞台《ラ・クワントス》は元はビフテキではなく軍鶏料理を出す店にする予定で、序盤から鳥要素を出しておくことで彼女のブレイクモーションの伏線にするつもりだったとのこと。


「追記・修正してくださいませね。‥‥wiki籠りさま。」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 逆転裁判
  • 大逆転裁判
  • 大逆転裁判2
  • ジェゼール・ブレット
  • ジェゼール弾
  • 勇盟大学
  • 淑女
  • 留学生
  • 医学部
  • 大英帝国
  • 英国人
  • 白鳥
  • ドレス
  • 仮面
  • 巨乳
  • メカクレ
  • ミステリアス
  • 悪女
  • 腹黒
  • 毒舌
  • Shut up!
  • ネタバレ項目

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年11月29日 01:39

*1 気付けたとしても、小判という明らかな物的証拠が無ければ立証は困難だった可能性が高い。