キャプテンコマンドー(漫画版)

登録日:2022/01/22 Sat 16:25:02
更新日:2022/10/28 Fri 20:19:25
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本項目では、ゲーム作品『キャプテンコマンドー』の漫画版について解説する。
なお、厳密には同ゲームのコミカライズ版は田渕健康原作と戸橋ことみ作画によるものの他、草壁嘉紋が作画を担当したものも2話分存在するが、
そちらは単行本化されてないため、本項ではコミックスに纏められている戸橋ことみ作画版のみを取り扱う。


概要

CAPCOMのベルトスクロールアクションゲーム『キャプテンコマンドー』のコミカライズ版として発表された作品。
新声社の「コミックゲーメスト」誌にて、コミックス収録分のエピソードは1994年2月号から1995年4月号にかけて14話分が連載された(ここら辺の事情は後述)。
著者は原作を「ゲーメスト」誌ライターであった田渕健康、作画を後に『KOFシリーズ』の小説版で挿絵を担当した事でも知られる戸橋ことみが担当した。
単行本はゲーメストコミックスより全2巻。

内容は当時のゲームコミカライズ作品らしく、基本物語性がそこまで多くない原作ゲームの設定などを独自の脚色で大きく膨らませた内容に仕上がっており、
この手のコミカライズでは決して悪くない、むしろ良作と言っても過言でないクオリティに仕上がっている……のだが、
残念なことにコミックゲーメストでの連載が雑誌の路線変更で打ち切りになった影響か、物語は未完、それも連作エピソードの中途で単行本収録が止まってしまっている。
よって、コミックスだけで漫画を追っていた読者は、その結末を知ることすら困難という有様に陥ってしまっている。マジでキャプテンが何をした。


あらすじ

舞台は西暦2026年のメトロシティ。ここ最近、この街では政府認定の第3種凶悪事件が頻発し、犯罪発生率と検挙率も悪い意味で反比例の一縷を辿る有様であった。
記者のサラは自分たちの知らない裏で何かが動いている事を感じ取るも、編集長からは根拠の薄さを理由に相手にされず、歯がゆさを感じる日々を送っていた。
ある日、取材に赴かされた美術館で、正体不明の武装勢力による宝石を狙った強盗事件に鉢合わせてしまう。
武装勢力の手にかかろうとした彼女を救ったのは、巷で噂のメトロシティで活躍する正義の味方、「キャプテンコマンドー」であった。


登場人物

コマンドーチームと関係者

  • キャプテンコマンドー/マルス・カーライル
本作の主人公。
普段の姿はスターエレクトロニクス社の社長を務める26歳の若き企業家マルス・カーライルで、
有事の際には超弩硬スペースチタニウム製のプロテクターや超兵装に身を包み、「キャプテンコマンドー」として活動する。何というアイアンマン
その戦闘能力は徒手空拳のみでも非常に高く、多機能を搭載したゴーグルを用いれば衛星軌道上からの攻撃すら見切れると豪語するほど。
一人称は普段は「私」だが、ジェノサイドへの怒りで感情が昂ると「俺」になるなど、後年のナムカプなどに比べて熱血漢的なキャラ付けも目立つ。

幼少期に両親をジェノサイドがもたらしたテロに巻き込まれて喪った過去を持ち、組織には強い因縁と怒りを抱いている。
子供の頃からいじめっ子相手をシメたりと腕白坊主だったが、生前の父親・アレクサンダー博士から「強さを間違った方向に使ってはいけない」と諭された事を今でも心情としている。

単行本2巻のキャラクター紹介では「正義の名の元にジェノサイドに立ち向かうが、ここに於ける『正義』の概念は、勿論彼の主観100%のものであるのがミソ」とも解説されており、
連載が続いていれば彼個人の『正義』感により踏み込む展開も想定されていたのかもしれない。

  • 武神 翔(たけがみ しょう)
黒装束に身を包んだ、武神流忍法第一継承者にしてマスター。28歳。「雷光丸」なる刀を獲物とする。
本作では最初はコマンドーチームの一員ではなく、キャロル&ブレンダ姉妹にキャプテン抹殺の用心棒「S」として雇われる形での初登場だったが、
実はマルス(キャプテン)とは知古の間柄であり、当初こそお互いのその正体を知らず激突したものの、
「雷光丸」を見せた事で翔である事を知ったキャプテンから正体を明かされる形で和解、ドルグ戦を経てコマンドーチームに加入する。
戦闘能力はゲームとは異なりズバ抜けて高く、生身でキャプテン相手に互角の戦闘能力で渡り合うほど。
実は6年前に修行の名目で戦いを求めて日本を去っており、それ故に妹の茜が彼を探してメトロシティまで訪ねてくる原因にもなった。
第10話冒頭では口元にだけ覆面をした、別会社の某格ゲーの忍者みたいな素顔も描かれている。

前述の通り全2巻の打ち止めで終わってしまった本漫画だが、翔絡みの主要な掘り下げは単行本収録分にほぼ網羅されているため、そういう意味ではまだ恵まれている方。

  • ジェネティー
全身包帯姿の異星人。普段はスターエレクトロニクス社で「J」のコードネームで密かにマルス(キャプテン)の護衛任務に就いている。
原作ゲームではほぼ全編通して無言だが、本作では作劇上の都合かクール気味ではあるものの普通に喋って意思疎通する。
被っている帽子はキャプテンとの友情の証らしい。

単行本2巻のキャラクター紹介では、連載が続けば漫画でも彼の秘密が明らかになるようなことが匂わされていたが、打ち切りの結果そのような事は無かった

  • Dr.フーバー
「正義の超天才スーパーベイビー」を自称する赤ん坊。2歳。キャプテンが有する兵装は、ほぼ彼が製作したコマンドーチームの大黒柱。
登場はコマンドーチームでは一番遅く、第7話(単行本第1巻ラスト)の最後の最後となった。
漫画自体の打ち切りもあり、キャプテンコレダーのお披露目エピソードを除けば目立った活躍がほぼ無く、正直影が薄い。
単行本2巻のキャラクター紹介では「Hoover. J. Estefan」という本名が記載されている。

彼もまたコミックスの続きがあればその秘密が明らかになるような文言もあったか、そのような事は(ry
なお、ゲームにおける設定とは漫画の方は全く異なる設定になる想定だったことがキャラ紹介で示唆されている。

  • サラ・キサラギ
ある意味本作もう一人の主人公とも言える立ち位置のキャラクター。
メトロシティの報道機関「デイメスト」で働いている女性記者。ちなみに喫煙者であり、ちょくちょく煙草を吸っている。
街を脅かす闇の存在に感づきながらも、決定的な証拠を掴めずにいたため難儀していたが、ある事件でキャプテンコマンドーに助けられたことで、その存在を追う事を決意する。
一にも二にも自身の目で見た物しか信じない現実主義者であるようで、噂の風説でしか知らなかったキャプテンコマンドーのことは
当初こそ「ガキでも信じないヨタ話」と切り捨てていたが、いざ実在を知って以降は彼に対して一記者として熱意を秘めて迫っていくように。
ただし、その目的はスクープやゴシップ目当ての邪な物ではなく、純粋に「命の恩人に対して礼を言いたい」という真摯なもの。
本人曰く、通信講座でムエタイとテコンドーとカラリ・パヤットを習っているとの事で、後述するアヤとも壮絶なキャットファイトを繰り広げた事もあるが、基本的には非戦闘要員。

最終的にキャプテンコマンドーの正体がマルスである決定的証拠をカメラに収めるも、アヤの心からの言葉を受け、自らの良心に従いフィルムを破棄。
アヤに対して「マルスには興味は無くなったが、キャプテンコマンドーの活躍は記者として追いかける」と宣言し、和解した。

  • アヤ・マーベリック
スターエレクトロニクス社でマルス(キャプテン)の秘書を務めている女性。
キャプテンやコマンドーチームの内幕を知る数少ない関係者で、マルスには社長と秘書以上の感情を抱いているかのような面も見せている。
マルスの素性を探り真相に近づきつつあるサラとは当初は険悪な態度を見せてキャットファイトにまで発展した事もあったが、彼女の真意を知って以降は多少軟化する。
サラとキャットファイトで渡り合ったりと体術の心得はあるようだが、それでもジェノサイドの犯罪超人ドルグ相手には太刀打ちはできなかった。

  • 武神 茜(たけがみ あかね)
翔の妹で、武神流の銘を持つくノ一の少女。好物は天丼。
6年前に姿を消した兄を探して、前々から面識のあったマルス(キャプテン)を訪ねて単身メトロシティに来訪。マルスの事は「マルス兄さま」と呼ぶ。
戦闘能力はそれなりに高く、雑兵の忍者相手には棒術で複数人相手を蹴散らせる程度の実力は有している。


ジェノサイド勢力

  • ウーキー
ジェノサイドの戦闘員で、社会に不満を持つ青年たちが組織に雇われて戦闘員に仕立て上げられたもの。
一般人相手には強いが、基本的にコマンドーチーム相手の敵ではなく、劇中では多々蹴散らされている。

  • キャロル、ブレンダ
高飛車な姉のキャロルと、おっとりした妹のブレンダの姉妹。共にメトロシティ中の「美」を我が手にせんと、宝石などを対象に強盗を繰り返している。
武器はゲーム同様に電撃攻撃。
キャプテンに対する度重なる敗北が原因でドルグに粛清されそうになるが、キャプテンと翔に命を救われ、撤退した。

漫画ではそれ以降の再登場は無いが、キャラ紹介で「そのうち再登場するかもしれない」と書かれていたため、連載さえ続けばまた出番があった可能性もある。

  • ドルグ
ゲームでは1面ボス。31歳。
単に粗暴なだけではなく、ジェノサイドの理念や思想をキャプテンに語るなど、作者曰く「妙に哲学的な乱暴者」なキャラ付けをされている。
当初こそ巨体に似合わない俊敏さでキャプテンを翻弄して一度は敗北に追い込み、
キャプテンコレダーを持ち出しての第二ラウンドでもキャプテンが精神的に弱っていた事もあってかキャプテンコレダーの攻撃をも凌いだが、
アヤが傷つけられた事でジェノサイドへの怒りを燃やしたキャプテンが奮起して放った「コレダーフルバースト」を一撃を食らって落命。
「力無き者は死すのみ」とキャプテンに豪語した言葉が、皮肉にも自分自身に帰ってくることとなってしまった。

単行本コラム「ジェノサイドつーしん」に掲載されている4コマ漫画では、デフォルメしたドルグのコミカルな姿も描かれている。

  • シュトゥルムJr.
ゲームでは2面ボス……だが、漫画ではモノクロ頁の出番のためカラーは分からず、もしかしたらシュトゥルムかドラックの可能性もある。
銃器を獲物として使うだけの知性こそあれど、基本的には獰猛な怪物で、初登場時には犠牲者の片腕を口にくわえて喰らっていた
そこまでの強敵ではなく、キャプテンには居合わせたサラを庇いながらも終始優勢で立ち回られ、キャプテンコレダーで消し炭にされる最期を迎えた。

  • ドクターT.W
ゲームでは5面ボス。
ジェノサイドお抱えの典型的なマッドサイエンティストとでも言うべき人物であり、科学を妄信し、
神が創造された概念であるなら、そのベーシックを築いた人類(ホモ・サピエンス)がクリエイター・オブ・クリエイターになろうとも何ら疑問は無いと豪語する。

残念ながら彼の登場した第14話(コミックス第2巻収録)を最後に単行本は途絶えているため、その顛末は不明。

  • T-19(ティ・ナインティーンワン)/ティーナ
ドクターT.Wによって創造された被験体と思われる少女。ティーナの名は被験体としてのコードネームから咄嗟に名乗った偽名。
創造主の元から脱走してジェノサイドに狙われるも、キャプテンコマンドーの介入で救われ、更に逃げ延びたところを偶々居合わせたサラに保護される。
いざという時の追跡を目的に、体から一定の周波で疑似生体信号が発せられるように仕込まれている。

ドクターT.Wの派遣したウーキーの集団がサラの元に居候するティーナを「T-19」の名で呼んで狙っていた所にジェネティーが居合わせ、
彼女の素性に勘づく……ところで第14話、ひいてはコミックスの刊行が終わってしまったため、その後の顛末は一切不明。
一応、ドクターT.W並びにゲームの4面ボスである「モンスター」の設定に基づけば、その正体を連想する事は出来なくもないが……


その他

  • 御神楽 大和(みかぐら ヤマト)
ゲームにおける3面ボス「ヤマト」に相当するキャラクター。
漫画ではジェノサイドとは直接の関係はなく、翔と敵対する忍者勢力として登場。ちなみに仮面の下は割とイケメン。
かつて修業時代に受けた雪辱を晴らすために翔に挑むが、実は病を患っており、あまり長くは戦うことができない身の上だった。
正々堂々とした一面も持っており、マーディアが茜を人質にした際には彼女を叱咤している。
本人曰く「悪魔に魂を売った(それがジェノサイドの事かは不明)」力を会得しており、それをもって翔と激突するが、最終的には翔の「業技 雷斬狼月覇」の前に敗北。
マーディアに茜を解放させた後、自身が「強さ」の意味を掴むことができず、ただ力のみを拠り所とした末に他者をねじ伏せる事でしか「強さ」を証明できなかった事を吐露。
満身創痍のまま、マーディアに連れられて翔の前から姿を消した。

  • マーディア
ヤマトの部下であるくノ一。中々の美人。
主君を異性として慕っており、彼のためなら茜を人質に取るなど汚い手も使うが、
決して妄信している訳ではなく、翔に対して不器用な愛憎を取る事しかできなかったヤマトの事を「戦いの中でしか自分を表現できない不器用な人」と評しており、
去り際には茜に対して「あなたは何のために戦うの?何のため強くなるの?」と問いを投げかけている。
単行本のキャラ紹介でも触れているが、とてもゲームでは口からゲロ吐いて攻撃してくるようなキャラとは思えない別人ぶりである。


用語

本作の敵役で、名前が初めて出たのは第8話から。
メトロシティで頻発していた数々の犯罪事件の黒幕とも言うべき勢力で、かつてマルス(キャプテン)もジェノサイドによるテロ事件で両親を喪っている。
漫画が打ち切られたため組織の全容は不明だが、断片的に描かれた描写から、力による秩序と選民思想で自分達にとっての理想郷を築かんと目論んでいる事が示唆されている。
構成員としては上述した面子の他にも首領ジェノサイドが存在のみ言及されており、イメージでドッペルなどの姿が描かれる場面がある。

  • キャプテンコレダー
ゲームでもキャプテンのアクション技として実装されている必殺武器。
漫画では第8話で初登場。フーバーが新たに開発したキャプテン専用の追加武装で、両腕に装備して超高圧の電流を放出する一撃必殺の武器。
使用者の感情の起伏によって武器の火力を加減できる「サイコリンクシステム」を搭載しており、
それ故に通常のエネルギーの他に多大な精神力も要するため、使用は一日に一度が限度とフーバーは見ていたが、
キャプテンはジェノサイドへの怒りを燃やす事で気力を昂らせ、二連続でコレダーを使用しドルグを屠っている。

  • 天丼
ゲームでも回復アイテムとして登場する、文字通り食べ物の「天丼」。
単行本の背表紙ではアイコンとして天丼の絵が描かれている他、作中でも茜が大好物として大量の天丼を平らげていた。


追記・修正は、天丼を山ほど平らげてからお願いします。

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最終更新:2022年10月28日 20:19