悪魔のいけにえ3 レザーフェイス逆襲(映画)

登録日:2022/03/03 Thu 16:08:09
更新日:2024/04/19 Fri 07:10:32
所要時間:約 17 分で読めます




1990年1月12日に公開されたアメリカ合衆国のホラー映画。

【概要】

日本での公開は1991年10月12日(東京国際ファンタスティック映画祭'91で上映)。原題「Leatherface The Texas Chainsaw Massacre III」。アメリカのホラー映画シリーズ『悪魔のいけにえ』の第3作目である。

配給は『エルム街の悪夢』シリーズや後に『13日の金曜日』シリーズの配給権も手にしたニューライン・シネマで監督は前二作を担当したトビー・フーパーではなく「ステップファーザー2」で狂人の父親の姿を描いたジェフ・バーがメガホンをとった。
脚本は後に「クロウ/飛翔伝説」に関わったホラー作家デヴィッド・J・スコウが担当。キャストは「ゾンビ」の主人公を演じたケン・フォリーや後に「ロード・オブ・ザ・リング」でアラゴルンを演じるヴィゴ・モーテンセンと映画ファンにとっては豪華な顔ぶれが存在。

一応原題邦題共に「3」を冠しており冒頭で1作目の出来事が語られたり前作のある人物もチラりと登場していたりするが、それ以外に繋がりはなく何よりも前作でとんでもないことになっていたレザーフェイスが当たり前のようにいたり狂人一家の家族構成が変更されていることで独立色の強い内容となっている。このことに加え、スタッフが続編を意識しない製作体制をとったことや前作の結末のことも考えると前二作に限りなく近い出来事が起きたパラレルワールドの作品とも解釈できる。

本作は1作目やそのモチーフとなったエド・ゲイン事件を意識したものとなっており、遺体遺棄やアルマジロ、写真を売りつける不気味な男、暗闇から突如現れるレザーフェイス、善人と思っていたら殺人鬼の仲間だった展開など1作目のオマージュが多い。
その一方でクールさを意識した演出やロック調のBGMを流したり味方勢キャラと殺人一家の人間のバトル、狂人ー一家のいかにも悪党なキャラとエンタメ要素も強く出ており、生々しさの強い一作目やコメディタッチの二作目とはまた異なる雰囲気を醸し出している。
ただ、上述した通り狂人一家の単なる悪党じみたキャラ故に狂気度が下がったのは否めず、全体的な映画の流れも1作目をなぞったものであるため1、2作目に比べるとストーリーにも狂気にもインパクトが欠けるところである。

興行収入は低く金銭的ダメージこそなかったものの商業的には成功とはいえないものになり、作品の評価もお世辞にも良いとは言いがたいものとなった。
コメンタリーで製作陣は前作のマネをしてもダメであり前作の流れに縛られないものにするというスタンスで作っていたらしく、その結果が「悪魔のいけにえ」のポイントを押さえつつ今までとは違う演出を取り入れた本作の作風だったのだろうが...。押さえるポイントと変えるポイントが違っていれば評価はより高かったかもしれない。

DVDは日本では2008年にキングレコードから「ホラー秘宝」のレーベルの一つとして発売。
メイキングドキュメンタリーや削除シーンに関する解説、オーディオコメンタリーやスチールギャラリーを収録。レンタルもされていることがあるので興味のある方は探して視聴しては。


【ストーリー】

テキサスを車で横断していた女性ミシェルと友人の男性ライアンの二人。道中にポツンとあったガソリンスタンドに立ち寄ってガソリンの補給をするがそこで不気味な店員アルフレドに絡まれてしまう。同じく店に立ち寄っていたカウボーイのテックスに助けてもらうも、その後ミシェルがトイレで用を足していたのをアルフレドが覗き見し、そのことでテックスとアルフレドが争いを始め、結果逆上したアルフレドがテックスをショットガンで撃ってしまう。
ミシェルとライアンは車でガソリンスタンドから走り去ることに成功するが、しばらくして車の修理をしていたところをチェーンソーの殺人鬼レザーフェイスに襲われさらにそこから逃げる道中で事故を起こしてしまい車が使えなくなる状況に。事故に巻き込まれた男ベニーに助けてもらったミシェルとライアンだが彼らの前に謎の男ディンカーが現れ、さらにレザーフェイスも再び出現。ミシェル達がいるのはレザーフェイス達狂人一家の縄張りだった。彼女達は一家の魔の手から逃れられるのか。


【登場人物】

■ミシェル
演:ケイト・ホッジ
主人公。
父の車を届けるためロサンゼルスからフロリダに向かっておりそのままニューヨークまで行って新しい生活を始める予定だった。ライアンとの仲は冷めておりフロリダで別れる予定だった模様。
テキサスを横断している中狂人一家の縄張りに入ってしまい狙われることになる。
レザーフェイスに追われる中で一軒家に逃げ込むが...。彼女の手がアレされたりアレしたりするシーンは本作で一二を争う痛々ポイント。
クライマックスでは(常軌を逸した出来事が頻発したためか)レザーフェイスを煽ったりアルフレドをキメゼリフっぽく口汚く罵るなど少しばかり頭がプッツンしちゃってたりする。

■ライアン
演:ウィリアム・バトラー
ミシェルの恋人。
ミシェル共々狂人一家の魔の手にかかってしまう。森の中で逃げる中虎ばさみにかかってレザーフェイスに捕まってしまい...。自分の誕生パーティーで不死身の殺人鬼の餌食になるのは別の話。

■ベニー
演:ケン・フォリー
ミシェル達の自動車事故に巻き込まれた武器をたくさん持った人でこの映画の功労者。(サバイバルゲーマー...ではないよな...。実弾持ってるし)ミシェル達を介抱する一方でソーヤー一家と生死を賭けた戦いを繰り広げることに...。銃火器をたくさんもってるような人だけあって戦闘力は高くレザーフェイスとある程度は渡り合った。ショッピングモールでゾンビと戦った過去はない

■サラ
演:トニ・ハドソン
冒頭でもチラリと登場しておりレザーフェイスに襲われていたベニーを助けた女性。物語開始時の一週間前に姉のジーナとテキサスを訪れた先でソーヤー一家の襲われ森の中に隠れ続けていた。彼女がベニーに渡したライターが後に対ソーヤー一家に役立つことに。

■ジーナ
演:ベス・デヴィパティエ
冒頭でレザーフェイスにハンマーで殺された女性でサラの姉。よく見るとこめかみに花の刺青がある。サラと共にテキサスを訪れた先で狂人一家に捕まってしまった。その顔はレザーフェイスの新しい顔に...。

■ストレッチ
演:キャロライン・ウィリアムズ
1カットだけ登場した前作のヒロイン。前作の一件からレザーフェイスへの復讐に人生を捧げているらしく、テレビレポーターとして死体遺棄現場に来ていた。死体遺棄現場のシーンでタバコを吸っていた女性が彼女である。

■テックス
演:ヴィゴ・モーテンセン
ガソリンスタンドまでヒッチハイクしていたカウボーイ。アルフレドに絡まれていたミシェルを助けるなど正義感溢れる人物。しかし逆上したアルフレドにショットガンで撃たれてしまう。その後レザーフェイスから逃げていたミシェル達の前に突如姿を見せるが...。実はゴンドール王の血を引く剣士だったりすることはない。

■ティンカー
演:ジョー・アンガー
事故が起きた後ベニーの前に現れた右手がかぎ爪になった謎の男。ベニーの頼みそっちのけでテクノロジーの良さを語り続けるが...。

■アルフレド
演:トム・エヴェレット
ガソリンスタンド「ラストチャンス」で働く不気味な男。写真を撮って売りつけたりミシェルに下衆な絡み方をする。テックスによると元々は食肉工場で働いたがクビになってしまいそれからおかしくなったらしい。ミシェルへの奇行からテックスとトラブルになって逆上、彼をショットガンで撃ってしまう。

■“ママ”
演:ミリアム・バード=ネザリー
狂人一家を統率している老婆。自力で声が出せず首に取り付けている人工声帯から声を出しており足も不自由で車椅子に乗っている。息子たちには慈愛に満ちた感情を向けるがミシェルには(当然っちゃ当然だが)非情な態度を向ける。グランパのことを「パパ」と呼ぶことから彼女達もソーヤー一家の家系である可能性が高い。

■少女
演:ジェニファー・バンコ
ミシェルが狂人一家の家で遭遇した少女。父親を超能力で殺害したりはしていない。

■パパ(グランパ)
ご存じじい様。今回に関しては本当にミイラで死亡している状態であるが血を飲まされる等家族からは生きている扱いである。過去に“ママ”にOTTを切られてしまったらしい。バトルランドでの一件で死亡し回収されたのだろうがドレイトン達はどうしたのだろうか...。

■レザーフェイス
演:R.A.ミハイロフ
おなじみ人皮マスクにチェーンソーの殺人鬼。なんとか生きていた模様。前作の終盤?腹?考えるな。「ジュニア」として“ママ”達の家族に養われている。
顔につけているマスクは冒頭で殺されたサラの姉ジーナの顔であり、こめかみの刺青がそのまま残っている。右足は前作の爆発のせいか器具を装着しており走ることができない模様。前半では通常のチェーンソーを、後半ではティンカーが装飾、前作でドレイトンも言ってた「Saw is the Family」の文字があしらわれたゴールデンチェーンソーを使う。
スタッフ曰く反抗期に入っているらしく、ティンカーに愛用のカセットプレーヤーを燃やされると激高して無理やり取らせるなどおどおどしていて家族に従順だった前二作から成長(?)している。それ以外にも車を運転出来たりベニーにチェーンソーを弾かれ揉み合いになるとすかさず電動カッターを出す等、知能が上がっていることを伺わせる描写も。その一方で上述した通りカセットプレーヤーの愛用や状況を見る限り意味はなさそうだが知育用の学習ソフトで勉強したりする等お茶目な一面は相変わらず。またシリーズでは初めてマスクを作る描写が描かれた。
一部のカットのアクターはスタントマンとして「13日の金曜日」シリーズのジェイソン役でおなじみのケイン・ホッダー氏が担当している。

◼️サリー
1作目で登場したヒロインであり、本作では名前のみの登場。

【余談】

予告編では湖に佇むレザーフェイスが写り、その後湖からゴールデンチェーンソーが(女神を思わせる手が持った状態で)登場。投げられたチェーンソーをレザーフェイスがキャッチし稲妻がチェーンソーに当たって運転。レザーフェイスが振り向くという本編とは一切無関係な内容となっている。





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最終更新:2024年04月19日 07:10

*1 レザーフェイス役のR.A.ミハイロフと脚本のデヴィッド・J・スコウ談。ただ前者は「はず」、後者は「予想できる」と話していて公式設定なのかどうかは不明である。