悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス(映画)

登録日:2022/03/05 Sat 12:34:43
更新日:2022/12/05 Mon 11:12:49
所要時間:約 19 分で読めます




1995年3月12日に公開されたアメリカ合衆国のホラー映画。

【概要】

名作ホラー映画『悪魔のいけにえ』のシリーズ第4作目。日本での公開は1995年10月21日。(東京国際ファンタスティック映画祭'95で上映。)
原題は「Texas Chainsaw Massacre The Next Generation」。
配給はコロンビア・ピクチャーズ。1作目で脚本を担当したキム・ヘンケルがメガホンをとり、製作総指揮は3作目で脚本を担当したデヴィッド・J・スコウが担当した。
キャストは当時「ザ・エージェント」でブレイクしていた女優レニー・ゼルウィガーと同じく着実にスターへの道を上り始めていた名優マシュー・マコノヒー。1作目のキャストもカメオ出演している。

冒頭のクレジットを読む限り前三作の流れを汲んではいるようだが、家族構成はまたも変更
「スローター」一家へと名字が変わりレザーフェイスの性格も3作目の荒っぽい性格から1、2作目の弱気な性格に戻っているなど前作以上に独立色の強い内容となっており(前作同様)過去作に限りなく近い出来事が起きた世界の話というところなのかもしれない。

内容は幾度1作目と同じくだりが繰り広げられる実質リメイクな内容となっており原典回帰を意識した作りに。狂人一家のマジキチなキャラは1作目に負けず劣らずで本作の異常性の恐怖を前に出したものに。
スプラッター表現も薄く血もロクに出ないなどシリーズで最もグロ要素は薄い。
ある意味で「悪魔のいけにえ」の本質に迫った作品といえる。

このように1作目の雰囲気には一番近い作品ではあるのだが上記のリメイク的な内容故にマンネリ感は否めず殺人シーンも二、三作目に比べるとインパクトに欠けるもの。
というかそもそもチェーンソーが人体を切断する場面は作中皆無でタイトル詐欺になってしまっており期待すると肩透かしを食らうことに。テキサス・チェーンソー大虐殺ってなんだよ。
それ以外にも新要素として狂人一家の裏に世界の裏で暗躍する謎の組織がいて狂人一家の真の目的が示唆されたりするのだが...世界観を広げていくつもりもあったのかもしれないが「悪魔のいけにえ」に必要な要素だったのか...。
どう考えるかは視聴者次第である。

原題の「Texas Chainsaw Massacre The Next Generation」は本国でのビデオリリースの際に改められたタイトルで劇場公開時の原題は「The Return of The Texas Chainsaw Massacre」。
公開スクリーンは全米中27館とかなり少なく興行収入は必然ではあるが185,898ドルとシリーズ中最低額の収入となった。*1
そして2年後に94分から87分に短く再編集され現在の原題で再上映、ソフト化がされたという経緯がある。その後しばらくソフトの再販などはされなかった*2が2018年に劇場公開版と再編集版を収録したブルーレイが発売された。

なお日本では1995年に大映株式会社からVHS、LDが発売された*3のみでこちらでは未だにDVD、ブルーレイ化はされていない。
そのため日本国内では視聴が難しい作品となっている...が、2021年になって動画配信サービス「U-NEXT」で配信がされとりあえずは気軽に視聴できる環境ができた。*4


【ストーリー】

高校のプロムパーティーを楽しんでいたジェニーと彼氏のショーン、友人のヘザーとその彼氏のバリー。
とあるいざこざが原因で車で夜のテキサスの森の中までドライブに走った彼らだったがその先で別の車と衝突事故を起こしてしまう。
一行は助けを求め近くのオフィスに立ち寄りそこにいたスーツの女性ダーラに彼女の夫ヴィルマに事故現場へ来てもらうよう電話してもらう。
現場へ戻ることにした一行だったがジェニーがはぐれてしまい、バリーとヘザーは一軒家を見つけるのだがそこにはあの殺人鬼レザーフェイスが潜んでいた。
やがてレザーフェイスの魔の手はジェニーにも。彼女はこの悪夢から逃れられるのか。

【登場人物】


■ジェニー
演:レニー・ゼルウィガー
主人公。母親とその再婚相手と暮らしており義父からは精神的DVを受けているが母には悲しませたくないために黙っている。*5性格もDVの影響かショーン以外の男性には恐怖心を抱いている。高校のプロムパーティーで(どういうわけか)ショーンと共にバリーの車に隠れておりヘザーとバリーのドライブに付き合うことになってしまいその先にある狂気の世界に踏み込むことに...。スローター一家からは気に入られたのか殺されるようなことはなくクイズを出されるわドレスを着せられるわと散々な目に遭う。

■ショーン
演:ジョン・ハリソン
ジェニーの恋人。
事故が起きた後一人気絶したロニーと共に残った。ダーラの連絡を受けて来たヴィルマに助けを求めるが...。

■ヘザー
演:リサ・ニューメイヤー
ジェニーの友人。
恋人のバリーの浮気現場を目撃してしまいヤケで彼の車でドライブに行こうとしたのが全ての始まり。頭は本編でのセリフを見る限りあまり良くなさそう。

■バリー
演:タイラー・コーン
ヘザーの彼氏。
ヘザーに浮気現場を目撃されてしまい、彼女が自分の車で飛び出そうとしたため慌てて同乗した。
浮気はするわ親の七光りであるわジェニーをブス呼ばわりするわと救いようのない性格の人物。父親の役職は医者だったり弁護士だったりとコロコロ変わるがどっちが本当だったのか...。*7

■ロニー・ブロック
演:ビンス・ブロック
ジェニーたちが乗った車に追突した車の運転手。気絶してしまいショーンに介抱されるが...。

■ダーラ
演:トニー・ペレンスキー
ジェニーたちが出会った中年の美女。おっぱいも見れるよ!ジェニーたちに友好的に接し、レザーフェイスに追われてきた際も優しく開放するが...。

■ヴィルマ
演:マシュー・マコノヒー
ダーラの夫。レッカー車で事故現場に現れる。
右足が不自由で専用の機器とリモコンで動かして歩行する。不気味な雰囲気を漂わせてるが...。

■W.E.(ウォルター・エドワード)
演:ジョー・スティーブンス
ショットガンを持った中年の男。
バリーに銃を突きつけ半ば強引に家に押し込める。格言オタクで何かと偉人の名言を出す。

■レザーフェイス
演:ロバート・ジャックス
ご存じチェーンソーの殺人鬼。
性格は荒々しかった前作から一転、1、2作目のような弱気な性格に戻っているうえ何かとギャーギャーわめいていてやかましく、挙句の果てに獲物であるジェニーに「黙れ」と言われておとなしくなる始末である。
ヴィルマの強烈なキャラと出番の多さもあってか今回は彼の影に埋もれがちな印象で、何より上述したがチェーンソーで殺人をする場面は一度もなく振り回しているだけというシリーズで唯一チェーンソー殺人をしなかったレザーフェイスである。
また1作目のときと同様、状況に応じて恰好を変えており、さらに本作では女装姿を披露。
黒いドレスにロングヘアのかつら、女性の顔や首の皮膚を纏っており作中屈指のインパクトを放っている。
その見た目から日本の某ニューハーフタレントを想像した人もいたとか...なおキャンピングカーの老人からは「バケモノ」呼ばわりされた。

■グランパ
演:グレイソン・ビクター・シルマッハー
おなじみじい様。
前作が死体だったのと過去作に比べて比較的生き生きしてるので今回は別人っぽい。(パラレルと解釈すれば本人の可能性もあるが...)
夕食の場にひっそりといたが、W.E.に一方的に話しかけられるだけで他の家族とはろくに絡みがなかった。W.E.がヴィルマに殴られ失神するとナイフを持って部屋を去ってしまった。

■ロスマン
演:ジェームズ・ゲイル
スローターの家にやってきたスーツ姿の謎の男。冷静沈着な性格だが...。

■スポディッシュ夫妻
演:アクセル・L・シラー(夫)、ジェリー・ウォルコット(妻)
終盤でキャンピングカーを運転しながらモーニングタイムを楽しんでいた老夫婦。
助けを求めたジェニーを一度は無視するがレザーフェイスを見たことで彼女を車に乗せた。

■ジェニーの母
演:スーザン・ローラン
ジェニーの母で優しい性格。再婚相手がジェニーに精神的DVを働いていることを知らない。劇場公開版のみ登場で現行バージョン(カット版)では一切登場しない。

■ジェニーの義父
演:デヴィッド・ローレンス
ジェニーの母の再婚相手。母親を悲しませたくないジェニーの気持ちを利用して精神的DVをしているクズ親父。彼も劇場公開版のみの登場で現行バージョンでは一切登場しない。

■ガーニーの患者
演:マリリン・バーンズ
終盤、病院でガーニー*8で運ばれていた女性患者。意味部下に登場し、警官に事情聴取を受けていたジェニーと目が合う。1974年の事件の生存者に似ているが果たして...。*9
ちなみにガーニーを押していた人物は1作目でサリーの兄フランクリンを演じたポール・A・パーティンが演じている。

■病院の警官
演:ジョン・デュガン
病院でジェニーに事情聴取していた警察官。過去に似たような事件があったことをジェニーに話していた。
演じたデュガンは1作目や後の7作目でグランパを演じた人物である。

【余談】

■上記で解説した通り本作には劇場公開版とカット版が存在している。主な変更点は
  • タイトルカットが変更
  • 舞台年が1994年から1996年に変更
  • ジェニーの母、義父の登場シーンがカット
  • ヘザーとバリーの車での会話が一部カット。
  • ヴィルマの初登場のシーンの後半部分がジェニー達がダーラのオフィスを出た後になっている。
  • 風呂でのジェニーとダーラの会話の最後の部分がカット。
といった具合。現在はカット版が主流で劇場公開版は本国のブルーレイ版か日本のVHS、LDでなければ視聴できない。

■本国ソフト版のジャケットに載っている本編とは似ても似つかない見た目の女装レザーフェイスのマスクはどういうわけか7作目のティーザーポスターにもしれっと写っていたりする。




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最終更新:2022年12月05日 11:12

*1 これは公開前になってゼルウィガーやマコノヒーがスターへの道を上がり始めたことで本作の存在が彼らの足枷になってしまうことを危惧したコロンビア・ピクチャーズとマコノヒーの関係者の影響であるとプロデューサーが話している。

*2 マコノヒーが自身の黒歴史にしたかったために権利を買い取って封印作品にしたといわれているが真偽は不明。ただ本当だとしたらそのためである可能性が高い

*3 ソフト化は何気に本国よりも先で原題も「The Return~」のまま、内容も劇場公開版だったりと珍しい状況となっている。

*4 内容はカット版

*5 現行バージョンではDVのくだりはカットされている。

*6 これは冒頭のDVのくだりとの対比にもなっている。

*7 後者はW.E.に詰め寄られ咄嗟に言ったことであるため前者が正しいと思われるがそもそそもどちらでもなくホラを吹いていた可能性もある

*8 車輪付きの担架のこと。

*9 その生存者は前作の冒頭で1977年に亡くなっているが本作をパラレルとも解釈すれば本人でないとは言い切れない。