自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath

登録日:2022/03/14 Mon 02:37:00
更新日:2023/11/19 Sun 22:11:19
所要時間:約 7 分で読めます





《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》とは、マジック:ザ・ギャザリングの伝説のクリーチャー。
登場したのはギリシャ神話をモチーフとした次元であるテーロスへの再訪セット『テーロス還魂記』。

そして、オーコの秋を乗り越えたもしくはいまだにオーコの脅威に晒されていたプレインズウォーカーたちに差し向けられた、シミックカラー*1のさらなる刺客である。


性能

自然の怒りのタイタン、ウーロ / Uro, Titan of Nature's Wrath (1)()()
伝説のクリーチャー — エルダー・巨人
自然の怒りのタイタン、ウーロが戦場に出たとき、これが脱出していないかぎり、これを生け贄に捧げる
自然の怒りのタイタン、ウーロが戦場に出るか攻撃するたび、あなたは3点のライフを得てカードを1枚引く。その後、あなたはあなたの手札から土地カード1枚を戦場に出してもよい。
脱出 - ()()()(),あなたの墓地から他のカード5枚を追放する。(あなたはあなたの墓地から、このカードをこれの脱出コストで唱えてもよい。)
6/6

まず目を引くのが多色とはいえ3マナにして6/6というフィニッシャー級のサイズ。しかしインフレの進んだ2020年当時でも流石にタダでは出せず、後述するデメリットを持つ。

最初の能力はそのデメリットである、戦場に出た時に脱出していなければ自身を生け贄に捧げる、という誘発型能力。この能力によって普通に手札から唱えた際は即自壊して墓地行きとなる。
もちろんリアニメイトなどで出しても自壊してしまうので早出しには別途これの誘発またはその解決を止めないといけない。
じゃあ自壊しない条件の脱出とは何か?となるだろうが、それについては後述する。

2つ目の能力は原始のタイタンのサイクルを彷彿とさせる戦場に出た時と攻撃時に誘発する能力。3点の回復とドローの後、任意に土地を戦場に出すことができ、堅実にライフと手札のアドバンテージを稼ぎつつマナ加速を可能とする。
1つ目の能力で自壊する際も戦場に出てはいるのでちゃっかりこっちも誘発する。

最後の能力が先に書かれた脱出能力で、4マナと墓地の他のカード5枚の追放をコストとすることで、自身を墓地から唱えることが出来る。
色拘束こそシビアだが、引き換えに4マナのサイズとしては破格の6/6が戦場に出せる。もちろん、戦場に出た時の能力も誘発する


……さて、そろそろこのカードの使い方がわかってきただろうか。
手札から唱える時はソーサリーのように扱い、ゲームが進行して墓地が溜まったらフィニッシャーとして墓地から蘇らせる、というのがウーロの使い方である。
ライフ回復と土地加速で序盤をしのぎつつドローで中盤以降への準備を整え、終盤は一度使ったカードでありながらフィニッシャーとして機能する。
すなわち、いわゆるランプデッキが悩まされてきた「マナ加速するカードとフィニッシャーの片方ばかりを引いてしまい、潤滑に動けない」「マナ加速に気を取られて、アグロに先にライフを削りきられてしまう」「フィニッシャーが大振りなので、打ち消しに弱い」といった諸々の問題を一気に解決してくれる、革命的なカードなのだ。

墓地から唱えられるという点も曲者であり、ただ打ち消したり除去しただけでは墓地にこのカードが残るため、後々再利用されてしまう。かといって墓地対策専用のカードを使うと、戦場に出た時の能力で既に1枚アドバンテージを稼いでいるので差し引き0にしかならない。

どんなデッキでも少なからず弱点があり、それをカバーできるカードは重宝される。だが、このカードについては後述の活躍を見るかぎり、「弱点をカバーするにしても万能すぎた」と言わざるを得ないだろう。

活躍

スタンダード

登場直後からそのカードパワーが注目され、【ティムール再生】や【スゥルタイランプ】といった緑青を含むデッキの大半で採用される定番カードとなった*2
基本セット2021以降は【4C再生】がトップメタとなり、最終的にそのキーカードである《荒野の再生》、その(ミラー)対策として使われてた《時を解す者、テフェリー》や、シミックカラーでウーロ以上の採用率だった《成長のらせん》が禁止されたものの、このカード自体は生き残っていた。片手間で墓地のウーロを追放できる《漁る軟泥》の再録が多少の向かい風とはいえ、シミックカラーの必須カードであることには変わりはなかった。

……しかしゼンディカーの夜明け発売に伴うローテーションと《創造の座、オムナス》の登場で少々事情が変化する。
ローテーションで去った《世界を揺るがす者、ニッサ》や《ハイドロイド混成体》に代わる相棒へこのオムナスを据えたウーロが【オムナス・ランプ】のフィニッシャーとして再びトップメタに君臨したのだ。
それによりウーロがオムナスの上陸の誘発を助け、そこから《僻境からの脱出》や《発生の根本原理》を絡めた暴力的なアドバンテージが乱舞し、ほとんどのデッキが太刀打ちできない魔境が生まれてしまったのである。
最終的に、【オムナス・ランプ】及び対抗するためのランプデッキのいずれもウーロを使用している状態が問題視され、2020年9月28日付で禁止カード指定と相成った。その後オムナスも仲良く禁止されたのはまた別のお話
オムナスを禁止するには早すぎたがゆえの代役という印象が少なからずある末路だったが、後々ランプデッキの系譜といえる【スゥルタイ根本原理】が環境で活躍したことを考えると、遅かれ早かれ同様の結果になっていたと思われる。
ウーロ及びオムナス禁止後には相手の墓地が肥えているほど強化されるカードを軸にしたクロックパーミッションデッキ【ディミーア・ローグ】が台頭、ゼンディカーの夜明け環境のトップメタとなった。その性質上墓地利用とは相性最悪どころか相手に利するようなデッキであり、ウーロに代わってそれぞれのデッキカラーに合わせた脱出呪文が対策として採用されるようになった。それだけウーロが環境に大きな影響を与えていたことがわかる。

ヒストリック、パイオニア、モダン

ヒストリックでは【スゥルタイランプ】、パイオニアでは【スゥルタイ再生】【ティムール再生】【5色白日ニヴ=ミゼット】【オムナスランプ】、モダンでは【オムナス原野】【バント石鍛冶】【シミックウルザ】【続唱ティボルト】といった感じで、やはり緑青を扱うデッキでは当然のように採用されていた。
モダンでは自然に墓地コストを工面できるフェッチランドが使える点もその強さを加速させていた。手札破壊や消耗戦を主軸とするモダンの定番デッキであったはずの【ジャンドコントロール】をすっかり駆逐してしまったと言えば、このカードの恐ろしさが伝わるだろう。

最終的に2021年2月15日付の禁止改定で上記の3フォーマットでまとめて禁止された……のだが、この改定の少し前にウーロが商品に含まれたSecret Lair Dropが発表されており、その際に「後々これのフォーマットで禁止する予定だから予約する時は気を付けてね(意訳)」と事実上の禁止予告がされるという、前代未聞の事態が起きていた。

レガシー

レガシーでは《アーカムの天測儀》と《氷牙のコアトル》の登場以来トップメタになっていた【氷雪コントロール】改め【Snowko】でオーコ共々採用された。天測儀とオーコは最終的に禁止されたが、こちらは脱出で活用するには4マナ必要なため、レガシーならば今はまだ壊れではなく強力なカードの域に収まると判断された模様。《剣を鍬に》で後腐れなく除去できる点も少なからず影響しているらしい。
その後も緑青を含むデッキなら採用に値する強カードとして活躍している。

関連カード

死の飢えのタイタン、クロクサ / Kroxa, Titan of Death's Hunger ()()
伝説のクリーチャー — エルダー・巨人
死の飢えのタイタン、クロクサが戦場に出たとき、これが脱出していないかぎり、これを生け贄に捧げる。
死の飢えのタイタン、クロクサが戦場に出るか攻撃するたび、各対戦相手はそれぞれカード1枚を捨てる。その後、これにより土地でないカードを捨てなかった各対戦相手はそれぞれ3点のライフを失う。
脱出 - ()()()(),あなたの墓地から他のカード5枚を追放する。(あなたはあなたの墓地から、このカードをこれの脱出コストで唱えてもよい。)
6/6

ライフ回復と条件付きのライフロス、自分のドローと相手のセルフハンデス、といった感じにウーロと対を成すタイタン。こちらはある程度早めのデッキ向き。
こちらもスタンダードでは《ぬかるみのトリトン》や《ティマレット、死者を呼び出す》といった墓地肥やしと組んで活躍し、下環境でもパイオニアの【ラクドスサクリファイス】などで使われる。
とはいえハンデスの選択権が相手にある、自分のリソースには関与しないので脱出補助がウーロより必要、といった点から強力だが環境を壊すほどではない良カード、といった評価に落ち着いている。

背景ストーリー

かつてテーロスの支配者であったが、数千年前に現在テーロスを統治する神々が仕掛けた戦争の中で《運命の神、クローティス》が自らと共に死の国に封印したエルダー・タイタンの1体。
海底と孤独を好むタイタンであり、海の底から浮上したが最後、海上のあらゆる船が転覆するという。

現状明かされている情報はこれぐらいでありフレーバーテキストでの言及も無いため、そのカードパワーによる印象深さに対して人となりは不明瞭な状態にある。
テーロス還魂記は背景ストーリー小説が存在しないため、どういうキャラクターなのか明らかになっていないカードがウーロに限らず多数存在している。*3テーロスを舞台にしたD&Dサプリメント「Mythic Odysseys of Theros」で初めて明かされた設定も数多い。
そこで明かされた設定によれば、彼らはいわば第一世代の神であるとのこと。
自然法則への純粋な恐怖から生まれた存在であるため、第二世代以降の神々と違い創造性や思慮深さを一切持たない破壊の化身なのだという。


余談

  • このカードが登場した時期は言わずもがななウーロとオーコの他にも《ハイドロイド混成体》、《成長のらせん》、《発現する浅瀬》といった強力なカードがシミックカラーに揃っていた時期だった、そのためプレインズウォーカー(MtGプレイヤー)たちからは「+1/+1カウンターで変なことをしていたころのシミックを返して」「緑青が弱かったのは本気を出すとドローと回復と土地加速を操る最強色になるからだった」という声が挙がっていた。

  • 《タイタンたちの軛》というカードではクローティスに封印されるウーロとクロクサが描かれている……だけではなく、もう2体別のタイタンがいることが確認できる。「Mythic Odysseys of Theros」によると、《Phlage, Titan of Burning Wind》(燃え立つ風のタイタン、フレイジ?)と《Skotha, Titan of Eternal Dark》(永遠の闇のタイタン、スコーザ?)という名前であることは判明している。長い期間をかけて《○の樹の木霊》サイクルが完成したように、いつかそれらが登場する日が来るのかもしれない。


追記修正は、お互いにウーロが脱出しあう泥沼を繰り広げてからお願いします。

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最終更新:2023年11月19日 22:11

*1 見ての通り「緑」と「青」の色の組み合わせ

*2 例外的に、インスタントソーサリーの採用枚数が少なく墓地が肥えにくい【ティムールアドベンチャー】では採用率が低かった。

*3 その後も公式ストーリーと小説とで登場人物が同じ別のストーリーが展開しているイコリア、プレインズウォーカー3人の問答だけで完結してしまうゼンディカーの夜明けと、ヴォーソスにとって不満の残るストーリーが1年ほど続いた。