ブラック企業の社員が猫になって人生が変わった話

登録日:2022/04/10 Sun 19:47:38
更新日:2024/03/18 Mon 17:28:32
所要時間:約 8 分で読めます




「ブラック企業の社員が猫になって人生が変わった話」とは、清水めりぃ氏制作の漫画。
ブラック企業勤めでありながら人間大の喋る猫に変身した主人公と、その周囲の人間たちが織りなす日常と時々滲む社会の闇を描くギャグ漫画で、
5巻まで発売されており複数の主人公が存在するが、いずれもブラック企業に在籍する社員という点は共通している。
作者のHPで無料公開されているWeb版と、Web版に描き下ろしエピソードを加えた単行本が存在する。略称は「ブラ猫」。

◎目次


◎あらすじ

主人公のモフ田はブラック企業勤め。残業代も支払われず、仕事は山積み。
ひたすら仕事に忙殺されていたモフ田だったが、ある朝突然猫になってしまった。
戸惑いつつも(仕事は待ってくれないので)受け入れてくれた上司や同僚と共に仕事を続けていく中で、モフ田を取り巻く環境に大きな変化が起こる…

◎猫人の特徴

立った時の身長は人間より頭一つ〜二つ分大きい程度。なおかつ体のバランスはそのままに巨大化しているのでかなり横幅がある。体格に比例して運動能力も上がっているようで、特に鍛えていない状態でも道路から建物の屋根へ軽く飛び乗ったり、人間一人背負って走ることができる。2足よりも4足のほうが速いらしい。
漫画ではデフォルメされているので怖さは感じないものの、4巻冒頭で描かれたリアルな姿は十分に猛獣と呼べるレベルだった。
発声器官は人間に準ずるようで人語を発するほか、猫の言葉を理解することが可能*1
一方で習性や体質にいたるまで猫そのものなので、昼間眠くなるし、レーザーポインターに興奮して追い回すのでプレゼンはしにくいし、カラスにでくわせば喧嘩するし、アルコールやカフェインは摂取厳禁、ついでに病院も動物病院なので人間の保険が使えず出費がかさむ*2…と困難も多い。
また、人間の服は大半形状が合わず着ることができないので、だいたい全裸である。

◎登場人物

・モフ田
「モフ田です。」
「さりげなくモフハラするのやめてもらえませんか?」
第1部の主人公。灰色トビ柄でやや目つきの悪い猫。
人柄は良く、ブラック企業に勤めながら同僚や後輩への気遣いもできる性格イケメン。
猫になってからも献身的で、「モフモフさせてほしい」と次々にやって来る社員たちをほとんど拒まないが、同意を得ずに触るのは「モフハラ」なので事前の許可は必要。
ちなみにモフモフは「癒やし猫業務」とされているので、本来の仕事が増えると中止される。
彼が猫になったことがきっかけで会社の業績と労働環境が改善し、彼自身も結婚するなど人生(猫生)がどんどん上向いていった。

・大川
「とりあえず病院でも行っといたほうが良いんじゃないか?」
モフ田の直属の上司。猫になったモフ田を(驚きはしたが)そのまま受け入れた。
かつては体調を崩した部下に厳しく当たっており、風邪をひいたモフ田に「休んで病院に行け(意訳)」と言ったら「幻聴ですよね!?」と疑われてしまった。
実は犬派で猫が苦手なのだが態度に出さないようにしたり、嗅覚の鋭いモフ田に気を遣って禁煙まで始めるなど割と気にしいな上司でもある。

・シバ山
「大丈夫か?モフ田、理性ある?」
「正直お前はすげえって俺は思ってるよ…」
モフ田の先輩。席が隣であり、モフ田と肩を並べて仕事をしている。
実家で猫を飼っていたこともあって社内でも特にモフ田の扱いが(猫的な意味で)上手く、気の利いたプレゼントをくれたりもする。

・マキ瀬
「チュー◯三ヶ月分でどうですか?」
モフ田が勤める企業の広報部に勤めている。主にSNSの企業公式アカウントの運営を担当。
猫になったモフ田を全面に押し出した結果アカウントのフォロワー数は大きく伸びたらしく、以降も精力的に活動している。
モフ田が猫になる前は社のブラック加減に退職を考えていたとのことで、会社を立て直し環境改善のきっかけになったモフ田には深く感謝しているらしい。

・万田常務
「続けて。」
「今日モフモフさせて貰いたい。」
モフ田ガチ勢その1。「鬼のように怖かった」とまで言われていたが、元々猫が大好きなせいでモフ田の虜になってしまい、毎日のようにモフらせてくれと催促してくるようになった…が、モフ田の仕事にも影響が出るほどの頻度のため、逆にあの手この手で遠ざけられる結果に。
モフ田が他の社員を癒やして疲れ果てていた時には他の経営陣と共に6時間に及ぶ会議を行い、社内の環境改善に尽力した。会議長過ぎませんか?
後述の須古さんも当然射程内だがモフ田のほうが好みだとか。

・遠野
「なんてあったかい人なんだろう…」
モフ田の妻でモフ田が勤める企業の社長令嬢。
元々猫好きだがどちらかというとモフ田の人柄に惚れており、モフ田に出会ったときは別のブラック企業勤務だったがモフ田に諭されて退職を決意しモフ田の会社に転職、その後猛アタックの末結婚した。結婚してからも働いている模様。

・須古
「打ち合わせの時はありがとう。須古です。」
「忙しすぎて人を愛する心は死んでしまったと思ってる…(ドロォ)」
ライバル企業に勤める二人目(?)の猫。見た目は巨大なスコティッシュフォールド。
つぶらな瞳とぽっちゃり体型がとてもかわいらしく言動も至って穏やか。そのお腹は至福の揉み心地とされる。
しかしこの体型は元を正せばブラック企業での心労によるストレス太りであり、モフ田曰く「間違いなくブラック企業で無体を強いられた目」をしているらしい…
会社の命令でモフ田の企業に出向することになったが出向中なのに元の業務もリモートで流れてくるブラック具合で、須古さん自身もブラック社員根性が染み付きすぎて労働環境が改善されると逆に不安に駆られるという有様。
仕事に関しては極めて有能であり、シバ山によれば「三人分くらいの仕事をサクサクやってた」とのこと。
そんな彼にも転機が訪れて…?

・タツオ
「も、もう一回お願いします…!」
モフ田の後輩の一人。モフ田ガチ勢その2。
不良だったが街でカツアゲをしていた際モフ田に壁モフされて改心し、真面目に就職活動をしてモフ田の会社に就職した。
自分が更生するきっかけを作ってくれたモフ田に心酔している。

・ハチ() (てる)
「俺も…猫になりたい…」
「…猫可のところでお願いします」
第3部「転職編」の主人公でモフ田の大ファン。
猫になる日を夢見ながらブラック企業勤めで心身を磨り減らしていたが、社を訪れたモフ田からの「猫になる前に 人でなくなっちゃうよ?」という言葉を受けて一念発起。ブラック企業を退職し…その翌日に猫になった。猫になった後は黒のハチワレにカギしっぽと縁起の良い特徴を備えた姿をしている。
以降は就職活動を続けながら独自に猫語通訳の仕事を始め、資格や語学の勉強を並行するなどキャリアアップにも余念がない。

・鴨くん
「猫に作業妨害されるのは夢だろ!?」
ハチ谷とルームシェアしている親友。
漫画家を目指しており受賞歴もあるが、今の所漫画で稼げてはいないため創作活動の傍らバイトを掛け持ちして生活費を工面する日々を送っている。料理は彼の担当らしく、趣味の釣りでゲットした魚を気前よく振る舞ってくれる。
加えて元々猫好きらしく、ハチ谷が猫になってからというものハチ谷の姿をSNSに投稿したりモフモフさせてもらったりしつつ、マタタビを差し入れたり猫用料理を調べて作ったりと甲斐甲斐しく世話を焼く。

・茶畑 トラ雄
「お父さんは猫であることを有効活用します!」
第4部「パパ編」の主人公で2児のパパ。見た目は茶トラのボブテイル。45歳。
彼もまたブラック企業に勤務しており、仕事でほとんど家にいないため妻は息子を連れて別居し、同居している娘とさえ1ヶ月以上顔を合わせずに過ごすなど家庭環境は最悪だった。
折よく会社がまるごと別企業に吸収合併され、新社長の一存によってまとまった休暇を与えられたため「これからは家族との時間を増やそう」と決意、関係修復に邁進する。
彼自身は非常に感情豊かで、ポンコツなところもあるが愉快な人物である。
ちなみに猫になったのは会社で居眠りをした瞬間であり、社内は一時パニック状態になったらしい。

・茶畑 ヒロ
「もういいから!私がやるから!お父さんはちゃんと家猫してて!」
トラ雄の娘。17歳。
トラ雄と同居しており、トラ雄が猫になる前は食事の用意など家事のほとんどをこなしていた模様。
母親が家を出ていった際には「一人で気ままにやりたい」と自らトラ雄のもとに残り、家庭内別居状態もある程度許容していた。家庭を顧みなかったトラ雄については特に恨んだりしていない様子。
初めて経験するトラ雄との共同生活やトラ雄の(猫由来の)奇行に戸惑いつつ、家族の絆を再確認していく。

・茶畑 ミチル
「逆に僕的には良かったかもしれない」
トラ雄の息子でヒロの弟。母親のエリとともに家を出ていったきり顔を合わせていなかった。
学校で描いた「家族の絵」にもトラ雄を描いておらず、小さい頃からトラ雄についての思い出が少なかったことがうかがえる。
そんなトラ雄を反面教師とし「自分はまともな父親になりたい」と勉強に励む一方でトラ雄を殊更責め立てるようなこともなく、歳に似つかわしくない落ち着いたメンタルを身に付けている。
突然現れた巨大猫が父だと知ってからは、それまでの分を取り戻すかのようにモフモフする日々を満喫する。

・茶畑 エリ
トラ雄の妻。ロクに家にいないトラ雄に愛想を尽かし、ミチルとともに家を出ていった(ヒロも連れて行くつもりだったが、本人の意思を尊重した模様)。
トラ雄が猫になった後しばらくして再会したが、この時とっさに「赤の他人猫」と誤魔化したため話がややこしい方向に…

・黒部
「働きたくな〜〜〜〜〜〜〜〜い!!」
「猫になったほうが人らしい生活が送れそうだな…」
第6部「くろべぇ編」の主人公。見た目は長毛の黒猫で、「猫っぽく呼ばれたい」という理由で自分のことを「くろべぇ」と呼ばせている。
例によってブラック企業勤めで猫になってからも働いていたが、我慢の限界を迎え机に退職届を叩きつけて会社を飛び出し、街を彷徨っている時に出くわした白須の家で(やや強引に)ルームシェアを始める。
生活費を稼ぐため色々なバイト先を渡り歩くが、猫でるが故にヒトでは起こらないような問題が生じることも。

・白須
「うちの会社って辞められたの!?」
黒部と同期(つまりブラック企業勤め)の女性。雨でずぶ濡れの黒部を放っておけず自宅へ連れて行き、その場で黒部の押しに負けてルームシェアを承諾する。「心配になるくらいチョロいな…」とは黒部の弁
寝に帰るだけの自宅には殆ど物が置かれていなかったが、徐々にくろべぇ用の猫グッズが増え始める。



◎余談

  • 発表当初は主人公のモフ田や大川チーフ以外は「先輩」とか「広報くん」等の通称で呼ばれ、氏名は出てこない状態が続いていたが、後に改めて名前が設定された。作者が公式HPで明かしたところでは「情報量を減らし、読者が読み疲れしないように」という考えからあえて名前を設定していなかったとのこと。


追記修正は、猫を愛でながらでお願いします。

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最終更新:2024年03月18日 17:28

*1 彼らが猫語を喋ることができるかは不明だが、モフ田曰く「大抵の猫は人語を理解している」とのことなので猫との意思疎通はできている。またモフ田と須古さんがマタタビで酔っ払って喧嘩を始めた時は人語を発することなく鳴き声を上げていた

*2 体重に比例して薬も多いので尚更