三色地形(MtG)

登録日:2022/04/29 Fri 11:45:54
更新日:2022/05/04 Wed 00:45:42
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■概要


三色地形は、MtGにおける土地の一種(通称)である。
一枚で3色のマナを出すことができる土地の総称。

ニ色地形より出せるマナが1色多いため、単純に便利。
マジック最古の三色地形はレイスランドで、1色を中心に2色をおまけとして持っていた。
初期の三色地形は3色が不均等で、二色地形に比べて生贄だのマナフィルターだのやたら使い勝手が悪いものが多かったが、棲み家を皮切りに三色均等で二色地形の上位種のように使いやすいものも増えた。
そしてアラーラの断片で登場した「タップイントライランド」以降は「基本はタップイン(=出したターンに行動できない)」というところを踏襲し、環境のグッドスタッフ化・高速化を抑制しつつ多様性を出すように調整されている。

MtGにおける色はの5種類あるので、3色の組み合わせは5C3=10通りあることになる。
そのうち、カラー・パイにおいて隣に位置する色を順番に3つ並べたものを「弧三色」、一つ飛ばしのものがあるものを「楔三色」と呼ぶ。
それぞれで5枚サイクルを為すのが基本となっているが、三色地形は下記の通りそもそも枚数が少ない上に例外が多い。
特に有用な三色地形が狭い環境にあると「4色グッドスタッフ」「5色デッキ」などの、パワーカードを雑に叩きつけていくような札束デッキが増えてしまい、新参プレイヤーに非常に不評である。

二色地形の記事では基本土地タイプを持つもの持たないもので分けられていたが、2022年3月現在基本土地タイプを持つ三色地形はトライオームと《つぶやき林/Murmuring Bosk》以外存在しないので、こちらの記事では同列に扱うものとする。

以下、弧三色は(白)(青)(黒)、楔三色は(白)(青)(赤)を代表土地として挙げる。


■サイクルをなすもの


レイスランド

Wizards' School
土地
(T):(◇)を加える。
(1),(T):(青)を加える。
(2),(T):(白)(黒)を加える。

3色土地の元祖……なのだが、その実態はマナフィルターが付いた無色土地に近い。
青マナは比較的軽いもののこれだけが目当てなら島でも積んでおいたほうがよく、白と黒に至っては都合3マナ支払ってやっと1マナを生み出せるという効率の悪さ。
当時は無色マナを参照するカードなんてなかったので本当に基本土地でも積んでおいた方がよかった。
一応登場当時はデッキ構築の制限から1枚差しされた例もあるが、あくまでも「発売されたすべてのエキスパンションから各5枚以上のカードを入れること」という構築ルールにおいて消去法を兼ねた数合わせとしてである*1。誇れるようなことじゃない。
そしてローウィンで(1),(T)で5色出せる完全上位互換のゆらめく岩屋が登場。このゆらめく岩屋の同型再販も多く、もはやレイスランドが見られることはないだろう。
褒められる点は「アンタップインである」「無色マナならいつでも生み出せる」「無色マナを生み出すときはデメリットがない」という点。
こう書くと一見悪くないように見えるかもしれないが、無色の部分を黒に変えると《沼》という基本土地になる

弧三色版がホームランドで出て以降、昔は友好色の概念が重んじられ、対抗色をくっつけるカードが少なかったこと、そしておそらくあまりのカードパワーの低さと上位互換の存在から楔三色版の音沙汰がない悲しきサイクル。
そもそもネタカードとして愛されているわけでもないのだ。再録されても誰も喜ばないので、忘れられていていいだろう。
こんな事情もあって、MTGプレイヤーにレイスランドについて尋ねた時は怪訝な顔をされることの方が圧倒的に多い上に現物を探す方が骨が折れる。ここまで来るともう資料上にしか存在していないようなものである。

インベイジョン版サクリファイスランド

Ancient Spring / 古き泉
土地
古き泉はタップ状態で戦場に出る。
(T):(青)を加える。
(T),古き泉を生け贄に捧げる:(白)(黒)を加える。

タップインで単色のマナを出し、生贄に捧げるとその友好色である2色を生み出すサイクル。イメージとしては「使い捨てにする代わりに2マナ生み出せる土地」。
タップインで1色しか出せない上に、メイン以外の色を出すには生贄が必要と単純な多色土地としてはかなり扱いづらい。
しかし生け贄に捧げると「1つの土地から2マナを生み出せる」というマナ加速にもなるため爆発力は随一。極端な話をすると、普通の土地なら4枚揃えても4マナしか生み出せないが、サクリファイスランドが4枚あれば5ターン目に8マナを生み出せるのである。
マナ加速としては幅広い活躍を見せた強力なサイクルである。肝心の多色土地としてはせいぜいタッチ程度だが……そしてレア度もコモンと非常に集めやすかった。
特にマナ加速としての用途が目覚ましく、どうせ土地が全部吹っ飛ぶのでデメリットがないも同然の【ターボ抹消】や、自分から土地を減らすことで《平等化》の効果を高める【ターボバランス】といった派手なデッキで用いられた。
レアカードを切り札にしたド派手なデッキは当時のカジュアルプレイヤーにも人気が高く、それを下地にしたカードがコモンということも手伝ってインベイジョン時代の黄金期を築く下地ともなった。

こちらも弧三色版しか存在しない。どうしても現代MTGのスタンダードではこういったサイクルは作りにくいだろうし、特殊セットでの楔三色版の登場が待ち望まれる。

棲み家

Dromar's Cavern / ドロマーの洞窟
土地 — 棲み家(Lair)
ドロマーの洞窟が戦場に出たとき、あなたがコントロールする棲み家(Lair)でない土地を1つ、オーナーの手札に戻さないかぎり、ドロマーの洞窟を生け贄に捧げる。
(T):(白)(青)(黒)を加える。

プレーンシフトでようやく登場した、三色を均等に出すことができる三色地形のサイクル。
棲み家でない土地を戻すことが必要なため、1ターン目に置くことはできず、しかもテンポとしては損となるが、それでもマナを出すことにデメリットのない三色地形は史上初。
現代の多色土地に比べて使いづらさは否めないが、それでも当時としては画期的だったのだ。
レア度はアンコモン。集めやすさも非常に嬉しい。

フレーバー的には上古族ドラゴンの巣穴を表した土地カード。
楔三色のドラゴン・サイクルも次元の混乱に存在するが、そちらでは楔三色のサイクルは作られなかった。
すでにラヴニカで、似たような出し方をする《ボロスの駐屯地》サイクル(バウンスランド)が作られていたことも関係しているだろう。あちらは土地破壊には弱いしタップインだが、1つの土地から2マナを生み出せるという点が重宝されている。
それに比べると1マナしか生み出せない棲み家サイクルはどうしても見劣りしてしまうだろう。

タップイントライランド

Arcane Sanctum / 秘儀の聖域
土地
秘儀の聖域はタップ状態で戦場に出る。
(T):(白)(青)(黒)を加える。

Mystic Monastery / 神秘の僧院
土地
神秘の僧院はタップ状態で戦場に出る。
(T):(青)(赤)(白)を加える。

三色のマナを生み出すことができる、タップインデュアルランドの上位互換。アラーラの断片で弧三色版が、タルキール覇王譚で楔三色版が作られた。
単純に三色デッキにおけるタップインデュアルランドとして使える。上述のカードと比べて驚くほど癖のない性能であり、当時のスタンダードではトーナメント級のデッキに4枚採用されることもざらにあった。
特にアラーラ時代は三色デッキどころか四色や五色といったデッキを作る原動力にもなり、特にこれまでの常識では考えられなかった三色の組み合わせの暴れっぷりから現在でも使われている「色の俗称」をプレイヤー間に定着させた。
比較的使いやすい三色地形だった棲み家サイクルすら過去にするレベルの使い勝手のよさなのに、レアリティがアンコモン。これまで有用な特殊地形がレアだったゲームだったこともあり、この点も驚きをもって迎えられた*2
特にタップインデュアルランドは一時期レアとして収録されたこともあり、その純粋な上位互換がアンコモンで手に入ることはプレイヤーの参入を大きく助けてくれた。現在でも統率者戦用のセットで積極的に再録されている。
手に入りやすく使いやすいこともあって、特に三色以上の統率者貧乏デッキを組む場合はこれと興隆ランドを必要数集めることがスタートラインとなる。

これらのサイクルには実は固有名詞が使われておらず、他の次元をモチーフにした際も違和感なく再録できるように配慮がなされている。
しかし今のところそれがうまく生かされた形跡はなく、特に《崩れゆく死滅都市》は、後述のように再録が検討されたこともあるが結局再録を逃してしまった。

サイクリングトライランド(トライオーム)

Raugrin Triome / ラウグリンのトライオーム
土地 — 平地
((T):(青)(赤)(白)を加える。)
ラウグリンのトライオームはタップ状態で戦場に出る。
サイクリング(3)((3),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

Raffine's Tower / ラフィーンの塔
土地 — 平地
((T):(白)(青)(黒)を加える。)
ラフィーンの塔はタップ状態で戦場に出る。
サイクリング(3)((3),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

タップイントライランドが基本土地タイプを持ち、さらにサイクリング(3)を持った上位互換。やけくそのようについた3つの基本土地タイプがまがまがしい。
楔三色版はイコリア:巨獣の棲処(2019)で作られた「トライオーム」という生物相、弧三色版はニューカペナの街角(2022)で作られたファミリーの本拠地を表現したものである。
先駆となった土地の名前を取って「トライオーム」と呼ばれる。
ただでさえスタンダードの土地としては破格の優秀さを持っていたタップイントライランドが、「サイクリングを持ったせいで終盤に腐らない」「基本土地タイプを持ったのでフェッチランドなどからサーチが可能」となってしまい、
イコリアのプレビューを見たプレイヤーはこぞって「こんな土地4枚必須になるに決まってる」と戦慄したものである。中にはタルキール期の四色デッキの悪夢を思い出す人もいた。
やはりその本領は基本土地タイプを持つこと。フェッチランドで持ってくることができたり、トライオームもタップインなので先に置きたいがシャドウランドをアンタップインさせられたり、《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》で割られた土地を埋め合わせることもできるのだ。
スタンダードでは色が合うデッキなら4枚採用された。サイクリングもマナフラッド避けとしてあるだけ困らないものであり、特にイコリア期のサイクリングデッキでは赤白の二色デッキなのに採用される例もあった。

ただし下馬評ほど強いかと言われると実際はそうでもなく、「絶対にタップインになってしまうので速度を求める場合には噛み合わない」「サイクリングコストが3マナと重いので案外サイクリングしている暇がない」「フェッチランドから持ってこれるといってもアンタップインの二色の方が小回りもきく」といった弱点が次第に明らかになり、
モダン以下の環境では色の合うトライオームを1~2枚お好みで入れる程度の立ち位置に、パイオニアでも多色カードを満載にした【五色ニヴ=ミゼット】以外のデッキでは1~2枚程度に落ち着いている。
スタンダードでは色の合うデッキなら4枚採用されたが、これ自体はアラーラ・タルキール時代のタップイントライランドもまったく同じことである。
レアリティはレア。性能が高いだけに手に入れにくいが、手に入った暁にはデッキを支える堅実な活躍を約束してくれる。


■サイクルをなさないもの


三色地形は二色地形よりもサイクルをなさないものの割合が多く、それぞれが特徴的な性質を持つ。

つぶやき林

Murmuring Bosk / つぶやき林
土地 —
((T):を加える。)
つぶやき林が戦場に出るに際し、あなたは自分の手札からツリーフォーク(Treefolk)・カードを1枚公開してもよい。そうしなかったなら、つぶやき林はタップ状態で戦場に出る。
(T):(白)(黒)を加える。つぶやき林は、あなたに1点のダメージを与える。

緑以外の色を出すのに1ダメージが必要なペインランドのような土地だが、ツリーフォークを公開することでアンタップする。三色地形としては珍しいアンタップイン可能な土地。
ローウィンで登場したツリーフォークに対応する土地で、他の部族土地は三色土地ではない。
特筆すべきは「森の基本土地タイプを持つ」という点で、フェッチランドや《ムウォンヴーリーの酸苔》でサーチしてくることも可能。
現在ではトライオームのおかげでまったく珍しくなくなった戦略だが、ローウィン期ではそもそもフェッチランドで出せる特殊地形がデュアルランドとショックランドくらいしかなかった。
ツリーフォーク云々という部分を無視しても強いという土地、というかそもそもツリーフォークデッキ以外で用いられることの方が多かった。当時のマナ基盤の弱さや、基本土地じゃないのにフェッチランドから持ってこれるというその物珍しさもあって様々なデッキで用いられた。場合によってはレガシーですら用いる人がいたほどである。
黒緑白の色の組み合わせのデッキに「ドラン」という略称をつける原動力になったとても優秀な特殊地形であり、このギミックに気づけなかった人がエクステンデッドで世界の広さを思い知らされたという公式記事が書かれたほど。どうしてその優しさを白黒赤に分けてあげなかったんですか?

レアリティはレア。一時期はローウィンの部族土地の中でも圧倒的な値段の高さを誇っていたが、現在はモダン需要と環境の変化によって落ち着いている。


永遠衆の墓所

Crypt of the Eternals / 永遠衆の墓所
土地
永遠衆の墓所が戦場に出たとき、あなたは1点のライフを得る。
(T):(◇)を加える。
(1),(T):(青)(黒)(赤)を加える。

破滅の刻で登場した、三色のフィルターランド。
フィルターランドだけあって、レイスランドのように使いづらい…と思いきや、アンタップインのライフゲイン土地として考えると決して悪い性能ではない。
《光輝の泉/Radiant Fountain》のライフゲインが1点に下がった代わりにおまけのマナフィルターを得た土地で、当時有用な三色地形がなかったこともあってコントロールデッキで少数採用された。ただ結局「2マナ支払ってお目当てのマナを出す」という弱さから、主流とはいかなかった。
おまけのようにくっついているライフゲインに不自然さがあるように感じるかもしれないが、これはこのライフゲインがなければ当時のスタンダードに存在した《色彩の断崖》(先述のゆらめく岩屋のほぼ同型再販)の下位互換になってしまうため。

レアリティはアンコモン。フレーバー的にはボーラスの支配に関するカードで、生み出す色もボーラスに関連する3色。
元々このカードではなく、もっと使いやすいタップイントライランド《崩れゆく死滅都市》を再録する計画が持ち上がっていた。ストーリーも折しも「死体が雑務を行う都市が崩れていく」ためイメージ的にも問題はなかった。
しかし「3色がテーマというわけではない」という点が疎んじられ、このカードが新たに作られたという経緯がある。何のために固有名詞を避けたかこれもう分かんねぇな


試合場

Tournament Grounds / 試合場
土地
(T):(◇)を加える。
(T):(赤)(白)(黒)を加える。このマナは、騎士(Knight)か装備品(Equipment)である呪文を唱えるためにのみ使用できる。

騎士と装備品に対応した部族土地。エルドレインの王権における騎士の色である赤白黒のマナを生み出すことができる。
使い道が非常に限られ、しかも能力や出来事に使えない弱点があるとはいえ、アンタップで三色が出せるだけでなく、使い道を問わない無色マナも出せる土地であるのは魅力。
当時は部族を指定して5色のマナが出せる《手付かずの領土/Unclaimed Territory》亜種のカードが存在せず、騎士を主体にしたデッキにたまに使われることがあったが主流とはいかなかった。さすがに環境が環境だからねぇ……。
レアリティはアンコモンで、リミテッドにおいても活躍が見られた。


高層都市パリアノ

Paliano, the High City / 高層都市パリアノ
伝説の土地
高層都市パリアノをドラフトするに際し、これを公開する。あなたの右隣のプレイヤーは色を1色選び、あなたは別の色を1色選び、その後あなたの左隣のプレイヤーがさらに別の色を1色選ぶ。
(T):《高層都市パリアノ/Paliano, the High City》という名前のカードをドラフトした際に選ばれた色のうちの1色のマナ1点を加える。

「ドラフトするに際し」の一言に疑問を持ったかもしれないが、これは特殊なルールを持ったカードをドラフトして遊ぶコンスピラシーに収録されたカード。
1色自分で選べるアンタップインの土地だが、その他はドラフトしている他のプレイヤーが選ぶので不利な色になってしまう場合もある。
逆に早期にこれをピックすれば、上家と下家の指定した色にある程度寄せることもできるが肉となる札がなくなってしまう。ドラフトするタイミングの時点で非常に面白い駆け引きを得られる、多人数戦ドラフト用ならではのカードである。

しかし構築戦においてはそもそもドラフトという行為自体をしないので色を選ばれることはなく、従って無色含めてマナを一切出せないバニラの伝説土地と化す。
構築戦では滅茶苦茶弱いとはいえ一応能力を持つ《Sorrow's Path》やタップインだが一応マナを出せる《ダンジョンの入口/Dungeon Descent》すら真っ青の最弱の土地として名高い。
ただしこれはあくまでも「特殊な遊び方に際して作られた土地」であり、統率者戦専用の《統率の塔》などでも構築においてはまったく同じ扱いになることは忘れてはならない。あくまでその特殊な遊び方がドマイナーすぎるだけなのだ。
統率者戦のコミュニティによっては「ドラフトする」を「戦場に出す」に読み替え、土地を出すにあたって上家と下家に色を選ばせるという「相手に選ばせる興隆ランド」のような使い方をすることもある。
その使い方にしても強い土地ではないが、さすがに絵の描いてある紙切れにするよりはいいだろうという配慮である。こういったこともあってか、基本土地より弱い土地にもかかわらずそれなりの値段で売られている


■余談

ペインランド

Yavimaya Coast / ヤヴィマヤの沿岸
土地
(T):(◇)を加える。
(T):(青)か(緑)を加える。ヤヴィマヤの沿岸はあなたに1点のダメージを与える。

これ自体は二色地形なのだが、現在では「事実上アンタップインの三色地形」として扱われることも多い特殊なパターンなので三色土地の用途に限ってここで紹介。
ペインランドは「フェッチランドで出せない」「色マナを出すたびにダメージを受ける」という点から通常のマナ基盤としては弱い土地として扱われている。公式サイトのコラムでもこれは説明されている。
しかし「ゲートウォッチの誓い」で収録された「無色マナであることを参照する」カードの収録により事情が変わってくる。
無色マナを色拘束として要求するカードを使用する場合、このカードはアンタップインかつ「1点のダメージを受けて色マナを生み出す」能力に加えて「ダメージを受けずに事実上の色マナを生み出す」能力まで持っていることになる。
つまり特定のデッキにしか採用できないとはいえ、そういったデッキでは事実上の「アンタップインの三色地形」という破格の強さを誇ることになる。
一時期のモダンの「エルドラージゲー」に多様性を与えた立役者でもあり、場合によってはレガシーやヴィンテージでも用いられる。
「無色+ペインランドの片方の色」という二色地形として使うこともでき、その場合ももう片方の色をタッチできるという強みにもなるなど非常に独特の立ち位置を得たカード。
かつては二色地形の基本として隆盛を誇りながらスタンダードを去っていったサイクルだが、エルドラージの登場によって新たな強みを得て再び歴史の表舞台に立ったのだ。

無色マナを参照するカード自体は「ゲートウォッチの誓い」でしか登場していないが、《歪める嘆き》《変異エルドラージ》《世界を壊すもの》のように有用なカードが数枚含まれるため当時のスタンダードでは必須級のマナ基盤となった。
現在でもパイオニア以下の環境でひそやかに根強く需要を持ち続けている。
なお他のペインランド亜種の場合は見向きもされない。あくまでもこのペインランドサイクル特有の現象である。さらに現在では2色デッキ+エルドラージという組み合わせを用いるデッキ自体が少ないことや、トロンやポストを除いても《ウルザの物語》《ラムナプの遺跡》や《荒地》+《虹色の眺望》などの優秀な無色マナを生み出す地形も多いことなどから、この使い方もされなくなってきている。
しかし今後無色マナを参照するカードが充実すれば、あるいはペインランドがみたび返り咲くかもしれない。備えよう。


多色土地、特に二色土地のレア度は高めな傾向にあるが、三色地形にはアンコモン以下のものが圧倒的に多い。そうでなければカジュアル勢がアラーラやタルキール、ニューカペナのような多色環境に参入できないからだろう。
ただしレアでありカードパワーの飛び抜けて高いトライオームは値段が高く、その中でも比較的高めな《ラウグリンのトライオーム》は2022年3月現在1000円以上する。

三色地形はマナ基盤として見ると二色地形よりもよほど強い。そのためスタンダードの環境をぶっ壊しかねず、アラーラ時代やタルキール時代は「五色残酷コントロール」「ダークジェスカイ」などの四~五色のデッキを流行させた。
しかしこれ自体は実は三色地形のせいというわけではなく、あくまで「三色地形の前後にとんでもないマナ基盤があったから」という事情がある。アラーラ時代ならフィルターランド(ハイブリッドランド)、タルキール時代ならバトルランド。
そのため実は三色地形自体はバランス調整にかなり腐心されたカードであり、それはトライオームが「強い土地ではあるが下馬評ほど活躍できなかった」程度に落ち着いたことからもうかがえる。
さらにモダン以下の環境では、フェッチランドによるサーチを前提にしたトライオーム以外はほとんど使われない。これはタップインという速度的な遅さや対抗馬となるカードの充実に加え、《血染めの月》《基本に帰れ》《不毛の大地》などの特殊地形絶対殺すマンであっさり停止するからである。
そのため値段も安い傾向にある。比較的高額な《ラウグリンのトライオーム》も、使える環境の数を考えればそこまで値段が高いというわけではない。ただし「統率者戦需要」などもあって、これ以上安くなることもなさそうだ。


■おまけ

キング・セル

新世界王の権威 KGM //文明 (マナコストなし)
キング・セル
G・ストライク
このカードを自分の手札からマナゾーンに置いた時、アンタップする。

新世界王の創造 VR //文明 (マナコストなし)
キング・セル
G・ストライク
このカードを自分の手札からマナゾーンに置いた時、アンタップする。

Volzeos-Balamord(ヴォルゼオス・バラモルド) KGM ////自然文明 (9)
キング・クリーチャー:ディスペクター/ニュー・ワールド・ドラゴン 555555
自分の手札またはマナゾーンに3種のキング・セル《新世界王の権威》《新世界王の思想》《新世界王の闘気》が揃っていれば、合体させ、コストを支払ってこのキング・クリーチャーを召喚してもよい。
エクストラEXライフ(このクリーチャーを出す時、自分の山札の上から2枚をシールド化する。このクリーチャーが離れる時、かわりにそのシールドのうち1つを墓地に置く)
スピードアタッカー
ワールド・ブレイカー
このクリーチャーは、出たターンの間、ブロックされない。
このクリーチャーが攻撃する時、相手は自身の手札をすべて捨てる。
自分が「G・ストライク」を使った時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置き、相手のクリーチャーを1体選んでタップしてもよい。

新世界秩序(ニュー・ワールド・オーダー) VR ////自然文明 (13)
呪文
自分の手札またはマナゾーンに2種のキング・セル《新世界王の創造》《新世界王の破壊》が揃っていれば、コストを支払ってこの呪文《新世界秩序》を唱えてもよい。
ドラゴンではないクリーチャーをすべて、持ち主の手札に戻す。
自分のマナゾーンと墓地から好きな数のドラゴンを出す。次の自分のターンのはじめまで、それらに「スピードアタッカー」と「ブロッカー」を与える。

おいちょっと待て……と思われた方は正しい。
なにせ、これはMTGではなくデュエル・マスターズのカードなのだ。

デュエマにもMTG同様のマナシステムが存在し、どんなカードでも土地のようにマナゾーンに置けて、そのカードが持つ色のマナを出す。
多色のものに関しては、タップインデュアルランドやトライランド同様にタップインすることがルールで定められている。*3
しかし、キング・セルは手札から置かれた場合のみアンタップインできるだけでなく、所定の種類を揃えることで『同面』のクリーチャーや呪文を使うことができるのだ。*4

MTG風に例えるなら、アンタップインのトライランドで、ウルザランドのように揃えるとミシュラランドのようにクリーチャーになる、MTGプレイヤーからすると頭のおかしく聞こえるカードである。
しかしながら、全てのカードが土地と呪文の性質を持つデュエマのゲーム性では、土地カードはこれ程の性能でもないと使われないのだ。

……でもなんで「(MtG)」って書いてある記事に別のゲームの解説が……?


アニヲタwikiでは、暇な時間への畏怖から、追記や修整は呼吸に近いほど行われつくされている。

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最終更新:2022年05月04日 00:45

*1 残りの4枚は《鋸刃の矢》というアーティファクトが用いられた。

*2 基本セット2010前後のWotCは《稲妻》の再録や再録禁止カード《Fork》のほぼ道警再販を収録したり、対抗色フェッチランドの収録、デュエルデッキにおける《悪魔の教示者》の再録、再録禁止カードを「Foilは要項に含まれないのでセーフ」という理論でFoil版を再録といった形で既存の中古市場の打破を狙っていた節がある。アラーラは当時のレガシーでも用いられたカードの宝庫だったこともあり、これもそういった行為のひとつだろう。

*3 なお、多色と言う概念が出てから10年以上は効果としてカードに書かれていたが、《天地命動 バラギアラ》の登場によりルールにエラッタされた経緯がある

*4 つまりクリーチャーや呪文側がメインであり、カードの短手側にキング・セルの効果が、長手側にクリーチャーや呪文の名前やテキストが書かれている