バブル(アニメ映画)

登録日:2022/05/04 Wed 06:27:35
更新日:2024/02/12 Mon 21:10:15
所要時間:約7分で読めます







重力は壊れた、好きに跳べ。



荒木哲郎(「進撃の巨人」)×虚淵玄(「魔法少女まどか☆マギカ」)×小畑健(「DEATH NOTE」)が放つ、圧巻のグラビティ・アクションに没入せよ。



『バブル』とは、2022年4月28日に動画配信サイト「Netflix」で配信、2022年5月13日に劇場公開のオリジナルアニメ映画。劇場公開の配給はワーナー・ブラザース映画が担当。


●目次

◆概要

メインスタッフとして、
という豪華制作陣が揃っており、プロモーションも大規模に行われている。

配信開始前はあの虚淵脚本という事もあり、どのようなエグい展開が待っているのかと恐れ、怯えていた人も多かったが、
蓋を開けてみると事前の本人のTwitterでの告知通り、一見虚淵玄とは思えないほど切なくも爽やかな純愛物語となっており、多くの人を驚かせた。
……だが、劇中で度々言及されているように『人魚姫』をモチーフにした物語という事でヒロイン周りの設定には鬱要素が散見され、
また主人公とヒロインの関係性や作品テーマは、あの『沙耶の唄』と共通する精神的続編となっているという、やはり虚淵は虚淵な内容であった……。

一方で良くも悪くも虚淵玄らしくない爽やかで王道的なストーリー展開や世界観の説明不足な点が指摘されており、評価は賛否割れている。

また、本作はパルクール要素が全面に押し出されており、プロのアスリートを招聘して監修させたほどの動きのこだわりようと圧倒的なカメラワークが醍醐味の作品でもある。


◆あらすじ

世界に降り注いだ泡〈バブル〉で、重力が壊れた東京
ライフラインが断たれた東京は家族を失った一部の若者たちの住処となり、ビルからビルに駆け回るパルクールのチームバトル「バトルクール」の戦場となっていた。 
ある日、危険なプレイスタイルで注目を集めていたエースのヒビキは無軌道なプレイで重力が歪む海へ落下してしまった。そこに突如現れた、不思議な力を持つ少女ウタがヒビキの命を救う。
驚異的な身体能力を持つウタは、ヒビキと彼のチームメンバーたちと共に暮らす事になる。そこには、メンバーたちの面倒を見ながら降泡現象を観測し続ける科学者・マコトの姿もあった。
賑やかな仲間達と他愛のない会話で笑いあう日常生活に溶け込んでいくウタ。何故か2人だけに聴こえるハミングをきっかけに、ヒビキとウタは心を通わせていく。


◆登場人物

  • ヒビキ
CV:志尊淳

渋谷を拠点とするバトルクールチーム「ブルーブレイズ」のエース。
身体能力に優れるが、幼い頃から特殊な聴覚の持ち主で、人付き合いが苦手なため、ヘッドフォンが手放せない。
5年前に降泡現象が発生した際、タワー展望台で爆発に遭遇し、唯一の生き残りとなった。
それ以来、タワーから聞こえる不思議な音に惹かれ、タワー挑戦中に落下した海中でウタと出会う。

  • ウタ
CV:りりあ。

タワーから落ちて海中を漂うヒビキを救い、一緒に暮らす事になった謎の少女。
最初は言葉を発せず、動きものようだったが、運動神経の良さからヒビキ達「ブルーブレイズ」のメンバーとなり、彼らと暮らすうちに言葉を覚え、次第に人間らしくなっていく。
童話『人魚姫』の物語が大好きで、ヒビキを自分の王子様と信じている他、ヒビキだけに聞こえていた音に反応する様子を見せるが……?。

  • マコト
CV:広瀬アリス

NPO法人より都内に派遣された現地調査員の科学者。
渋谷に漂着した測量船・令洋で「ブルーブレイズ」と共に生活をしながら、降泡現象と壁泡内で暮らす若者達を調査している。
でかい。

  • シン

水没した東京に留まり、研究や視察のために壁泡内を訪れる人の案内をして生活している。
バトルクールの立案者で、審判人を務める。かつてはパルクールの選手だったが、5年前にタワーの爆発で妻子を失い、彼自身もタワー登頂に挑んで失敗し、片足が義足となっている。

  • カイ
CV:梶裕貴

「ブルーブレイズ」のリーダー。
お調子者で口は悪いが、仲間思いの熱血漢でチームプレーをとても大事にしている。
令洋を再び動かせるようにしたがっている。

  • ウサギ
CV:千本木彩花

「ブルーブレイズ」の最年少メンバー。
とても身軽でわんぱく。カイを兄のように慕っている。

  • オオサワ
「ブルーブレイズ」の最年長メンバーで、温厚な性格。
令洋内の裁縫仕事を一手に引き受けている。

  • イソザキ
「ブルーブレイズ」で一番足が速く、理知的でチーム内では戦略を担当している。

  • アンダーテイカー・リーダー

お台場を拠点とするバトルクールチーム「アンダーテイカー」のリーダー。
バトルクールの映像を外部に配信することで多くのスポンサーを集めており、そこから得た豊富な資金によって揃えた高性能ブーツなどでヒビキ達を脅かす。
男性なのにCVが女性なのは、音声ソフトを使ってしゃべるという設定のため。

  • 電気ニンジャ・リーダー
CV:畠中祐

秋葉原を拠点とするバトルクールチーム「電気ニンジャ」のリーダー。
幼馴染チーム的な協力プレーが得意。

  • 関東マッドロブスター・リーダー

練馬を拠点とするバトルクールチーム「関東マッドロブスター」のリーダー。
荒くれ者だが、人情に篤い。

  • 鈴木
小説版にのみ登場。渋谷の廃ビル内に形成された商店街で本屋を営む老人。
彼女のように住み慣れた街を離れるのを拒んだ高齢者も多く残っており、「ブルーブレイズ」はバトルクールの戦利品の一部を彼らに配っている(映画では尺の都合で削られた設定)。


◆商業的な話

冒頭の通りNetflixで先行配信後に劇場公開に踏み切った本作だが、公開初日の興行収入は1500万円、初週国内映画ランキングで初登場9位、最終興行収入成績は1億6600万円という、300館以上公開の長編アニメ映画としてはかなり厳しい結果となってしまった。
制作陣は動画配信の口コミでバズらせて劇場公開の足掛かりにしたかったのかもしれないが、本作の大きな売りであるダイナミックなパルクールアクションと音響はTVやスマートフォンで見た場合、インパクトが半減してしまう感は否めず、
結果として、劇場公開前から映画サイトの口コミ評に多数の低評価が付けられてしまい、売り上げに大きな影を落としたと言われている。
なお、配信開始からある程度遅れての劇場公開となったためか、現在でも映画館と配信の同日公開に事実上否定的なスタンスを示しているTOHOシネマズやT・ジョイ、及びそれらの系列の劇場でも公開された。

反面、最初に劇場で見た観客の感想はアクションシーンの躍動感や迫力から中々好評な様子。


◆余談

  • 本作のヒロインであるウタの元ネタは、オフィシャルブックによるとフェデリコ・フェリーニ監督の初期作品『道』のジェルソミーナとの事。
    知恵は足らないが、人々を笑顔にする明るさや、その最期などに通じる所があるかもしれない。

  • ノベライズは『響け! ユーフォニアム』シリーズの武田綾乃が担当。本編でははっきりと描かれなかったブルーブレイズの活動や登場人物の過去、泡〈バブル〉の正体及び目的などが描写されている。



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最終更新:2024年02月12日 21:10

*1 大樹連司、佐藤直子との共作。ちなみに大樹連司は『スマガ』や『楽園追放』、アニメ映画版『GODZILLA』のノベライズ作品を手懸けているなど、虚淵及びニトロプラスとそれなりに関わりがある。