大映テレビ

登録日:2022/05/10 Tue 21:21:23
更新日:2024/02/28 Wed 10:10:54
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大映テレビとは、日本のテレビドラマ制作会社である。

概要

映画会社大映*1のテレビ制作部門として設立され、
1971年の大映倒産前に別会社として独立した。
大映からは映画監督の増村保造や俳優の故・宇津井健など、ドラマに関与している人物も多い。


大映ドラマ

そして大映テレビを代表する作品と言えば、1970〜80年代に制作されたドラマ群であろう。これらの作品はほぼ春日千春氏と野添和子氏の二人のプロデュース作品である。
大きく分けて以下のような特徴(特に春日千春プロデュース作品に多い)がある。

・主人公が運命の悪戯に翻弄されながらも幸運を手に入れるシンデレラ・ストーリー
・おおよそ非現実的かつ衝撃的な展開。そして無意味に大仰でヒステリックな演出、かつ視聴者向けの過剰なまでの説明台詞
・ストーリーに必ず一人(時には主人公に)存在する複雑な家庭環境を持つ人物
・ナレーションは「この物語は……」の台詞で始まるが、ストーリーの最中では一見冷静な体裁をとりつつ、時に状況をややこしくする
・主題歌は当時流行していた洋楽を日本語訳したカヴァー曲が多い

なお、ドラマには原作付き作品も多いが、当然のようにレイプされている。
中には原作者がレイプと公認したものまで。

キャスティングは演技未経験でもピンと来た女性アイドルを見つけて主演に置き、脇役には前述の宇津井健や石立鉄男、伊藤かずえ、岡田奈々*2、梅宮辰夫、名古屋章といった俳優が起用されることが多かった。

ナレーションについては制作側が幼少時に親しんだ講談本や紙芝居の口上を意識したことと、21時台の放送ということで画面を見なくても(≒家事をしながら)状況が分かるように配慮したものとしている。

さすがに90年代以降はこうした演出をした作品は少なくなったが、名場面集などでは必ず取り上げられるほか、
同社制作の2時間ドラマでこれらの要素がちりばめられたものもしばしば。
最近では鈴木おさむ脚本の『奪い愛シリーズ』など、大映ドラマをオマージュした作品が今なお作られている。
また、韓国ドラマはとりわけこうした展開を得意としており、その原点として大映ドラマが注目されることもある。


おもな作品

  • 特記が無いものは全てTBSテレビでの放送。

東京警備指令 ザ・ガードマン

1960年代を代表する作品。
当時はあまり知られていなかった警備員の活躍を描いた作品で、警備員=ガードマンという和製英語を定着させた。
制作には警備会社大手のセコムが協力しており、酒や女がらみのシーンを出さないという条件もあったという。
ちなみにガードマンと称しているがスーツ姿での活躍がほとんどで、実質刑事ものと変わらない。
最盛期には国内各地や海外ロケも実施されるなど人気を博し、6年間で全350話が放送された。
1989年には当時のスポンサーだったサントリーで、本番組出演者が勢ぞろいしたリバイバル版CMが放映された。

赤いシリーズ

1970年代を代表する大映ドラマ。
赤は番組スポンサーだったサントリーのワインに因んだもの。
伝説のアイドル・山口百恵を主演に、考えられる限りの逆境と苦しみと運命に翻弄されながら幸せをつかむまで描くのが基本的な流れ。
実際山口はこのシリーズで三浦友和という生涯最高の伴侶と出会い結婚、そのまま芸能界を引退するというドラマをはるかに凌駕する大エンディングを迎えた。事実はドラマより奇なり。
なお「赤いシリーズといえば山口百恵」とのイメージが強いが、水谷豊や柴田恭兵を主演にした作品もある。

2005年には、当時山口が在籍していたホリプロの女優3名(石原さとみ・綾瀬はるか・深田恭子)によるリメイク版が制作された。

噂の刑事トミーとマツ

1979~82年に放送。
国広富之演じる岡野と松崎しげる演じる松山のはみだし刑事コンビが事件に挑む。
松山が岡野に「お前なんか男じゃない、おとこおんなで十分だ! おとこおんなのトミコ!」と揶揄すると、
岡野がブチ切れ謎の拳法で悪人をなぎ倒す、という漫画のような展開が毎回のお約束だった。
殉職者が存在しないという当時の刑事ドラマとしてはかなり型破りな作風で人気を博し、国広&松崎のコンビは本作終了後も他作品でたびたび共演を果たしている。

スチュワーデス物語

1983~1984年に放送。
大映テレビと言えばこの作品を思い浮かべる人が多いだろう。
日本航空の社員であった深田祐介の小説を原作としているが、その面影は一切無い
堀ちえみ扮する主人公・松本千秋が風間杜夫扮する村沢教官との恋や同期生との友情を通し、1人前のスチュワーデス(現:客室乗務員)になるまでを描く。
特に代表的なキャラクターが片平なぎさ扮する村沢の元恋人である新藤真理子で、義手に嵌めた手袋を口で外すシーンでおなじみ。
松本の懸命な姿とオーバーすぎるど素人な演技が人気を博し、「教官!」はその年の流行語ともなった。「ドジでのろまなカメ」も忘れちゃいけない。
また某アニメこのドラマをパロった……もとい意識したエピソードが描かれたことは有名。主な視聴層であるキッズが元ネタを判ったかは定かではない。

スクール☆ウォーズ

1984~1985年に放送。
大映テレビといえばこの(ry
山下真司扮する元日本代表フランカー・滝沢賢治が不良で荒廃した高校に教師として着任し、
無名だったラグビー部を全国制覇をするまでの軌跡を描いたもの。
初の対外試合で100点差を付けられ大敗し、ロッカールームで生徒の覚醒を促すために滝沢が一発ずつ殴るシーンが有名。お笑いコンビ・ザブングル加藤の「悔しいです!」はここが元ネタ。
モデルは京都市立伏見工業高等学校ラグビー部を全国制覇の常連に導いた山口良治。
実は1990年に少年院を舞台とした続編が放送されたが、原作は野球小説で、設定が大きく改変されたことから1クールで打ち切りとなった。

不良少女とよばれて

1984年放送。いとうまい子主演。
300人の不良をまとめ上げる「相模悪竜会」会長である主人公が非行から立ち直り舞楽の道を進むまでを描く。
原作は女性舞楽家・原笙子の自伝小説*3で、小説の舞台が戦後の混乱期である一方、ドラマは(放送当時の)現代を描いたもの。
そのため小説とは不良の描写に大きな隔たりがあり、原は「自分はこんな恐ろしいことはやっていないのに」とドラマに否定的な見解を示したという。

少女に何が起ったか

1985年放送。
小泉今日子初主演のテレビドラマ作品。
北海道で母親と暮らしていた少女・森雪が母の死の間際、父親の正体が世界的なピアニストであると聞かされ、その真相を探るために上京。音大の特待生となり、自らもピアニストを目指す。

本作では
・夜中にいきなり不法侵入して主人公を「薄汚いシンデレラ」と罵る謎の男
・手書きの紙鍵盤でピアノの練習をする主人公
・練習のために辰巳琢朗扮する先生と夜通しピアノの特訓をしただけで「不純である」と罵られる
・ピンチの際に赤いハンカチを窓の外にぶら下げると、宇津井健扮する謎の男が登場していろいろサポート。
……などなど、たった1クールの放送ながら隅から隅までツッコミどころ全開の作風で強いインパクトを残した。
ちなみに後年小泉が出演した「あまちゃん」では、本作をオマージュしたシーンが存在する。

家政婦は見た!

1983~2008年にテレビ朝日の「土曜ワイド劇場」で放送されていた作品。
大映テレビ(ry
市原悦子扮する石崎秋子が勝ち組家庭の欺瞞を暴く現代版『水戸黄門』。
原作は松本清張の『熱い空気』で、家政婦が自分の愉悦の為に引っ掻き回し観察するというものだった。
作品は放送当時の時事ネタを題材にすることが多く、毎回終盤秋子がちょっとした怪我をするのがお約束。ちなみに連ドラ版もある。
後に『家政婦のミタ』『家政夫のミタゾノ』といったオマージュ作品が作られた。

悦子が|∀・)…←こうやって覗いているシーンは誰もが一度は見たことがあるはず。

赤い霊柩車

1992~2020年にフジテレビ系で放送されていた2時間ドラマ作品。山村美紗原作。
京都で若くして葬儀社の2代目となった石原明子(演:片平なぎさ)が、恋人である黒沢春彦(演:美木良介→国広富之→神田正輝)とともに殺人事件を解決するもの。
葬儀社の事務員として原作者の娘である山村紅葉が当然のように登場、同じ葬儀社の一級葬祭ディレクター・秋山(演:大村崑)とコントのようなやり取りを見せるのがお約束
冒頭は京都・化野念仏寺の西院の河原に着物姿の片平が立ち、葬儀の問題について語りかけるシーンから始まる。




この物語は、ネットにはびこる冥殿に挑んだアニヲタたちの追記・修正の記録である。

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最終更新:2024年02月28日 10:10

*1 現在は角川映画に権利を譲渡。両社との資本関係は存在していない。

*2 AKB48/STU48に在籍していた同姓同名の女性アイドルとは無関係。

*3 ドラマのオープニングでは原本人が舞楽を踊るシーンが挿入されている。