ムーンナイト(ドラマ)

登録日:2022/06/05 (日) 15:47:45
更新日:2024/04/27 Sat 20:10:17
所要時間:約 9 分で読めます




◆ムーンナイト











『ムーンナイト(Moon Knight)』とは、ウォルト・ディズニー社のインターネット動画配信サービス「Disney+」にて配信されているテレビドラマ。
第1話は2022年3月30日より配信され、以降毎週1話ずつ配信された。全6話。
MARVEL社のコミックヒーロー「ムーンナイト」の実写化作品であり、MARVELコミックヒーロー映画化シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)」のドラマ第5作である。




概要


今作で登場するムーンナイトは、「多重人格者」という異色のヒーロー。
精神病者という特性上、原作の作風からしてかなりダークに描かれており、どちらかというと『デアデビル』といったNetflix配信のドラマシリーズに近い。
第1、2話は「スティーヴン」の人格の視点から描かれ、一般人と思っていた自分が「ダークヒーロー」としての人格を有することを知るという、意図的に情報量を少なくすることで視聴者を混乱させる手法が取られた。
さらに、物語が進むにつれて、ドラマはさらに混沌と化す。あたかも『ムーンナイト』の物語そのものが精神病者の妄想の類ではないかと錯覚してしまうような、視聴者にとっては地に足がつかなくなる、全く安心できない作品と化していく。

そして、今作はMCUを制作しているマーベル・スタジオ作品ではあるものの、作中では「アベンジャーズ」や「サノス」といったヒーロー、ヴィランに関する単語は一切登場せず、「MCUと同一世界観であるのか」すら、実は曖昧な状態である。
一応、監督のモハメド・ディアブは「MCUの他ヒーローとの共演予定はある」と語っているが、それが同一世界観での共演なのか、はたまたマルチバースを超えての共演なのかについてはぼかされている。

主演は、『スター・ウォーズ』続三部作のポー・ダメロンを演じたオスカー・アイザック。
クールな百戦錬磨の傭兵「マーク」と冴えないインテリ気質の「スティーヴン」を見事に演じ分けている。
対するヴィランには、『プリデスティネーション』『マグニフィセント・セブン』等、様々な映画に出演しているイーサン・ホークが充てられた。








ストーリー


スティーヴン・グラントは、ロンドンの博物館の売店に務める、夢遊病の症状を患う冴えない青年。
仕事でも失敗ばかりで怒られ、女性にもモテず、孤独な生活を続けていた。
そんな中、彼の夢遊病が深刻になっていく。夢の中では、彼はある宗教団体のコミュニティに入り込み、「スカラベ」の金細工を盗んで逃走するという大立ち回りを繰り広げ、更には所々の記憶が途切れるという不可解な活躍をする。その期間は長くなり、私生活にも影響が出始め、夢の中で盗んだスカラベは彼の部屋から出てきた。

そして、彼の部屋から一台の携帯電話が発見される。電話に出た女性は彼を「マーク」と呼び、自分の元に戻るよう説得するが、当然スティーヴンには身に覚えがない。
やがて、博物館に現れる謎の怪物。怯えて逃げる彼に、「鏡の中の自分」が「代われ」と語りかけ、そして異形の「神」が笑いかける。
承諾した彼は、その「もう一人の自分」によって白装束のヒーローに変身。
その人物こそ、彼の中で眠っていた「本来の自分」―――「マーク・スペクター」だった。

マークはエジプトの月の神「コンス」と契約を交わし、彼の化身(アバター)として罪人を誅罰する闇の仕置人となっていたが、コンスにいいように使われる生活に嫌気が差し、妻のレイラとも離れて「スティーヴン」という別人格に体を預けて生活していたのだ。
だが、コンスの命令で盗んだスカラベを狙って、罪と罰の女神アメミットを信仰する教団の教祖ハロウの魔の手が迫りつつあった。

マークは嫌がるスティーヴンを無理矢理抑えてエジプトへと飛び、アメミットを現世に復活させようとするハロウの野望の阻止に動く。
スティーヴンによってレイラも彼の居所を知り、彼女もまたマークとスティーヴンに協力することに。

果たして、エジプトの神の代理戦争の行方は?マークとスティーヴンの対立関係はどうなるのか?

……そして、この物語は本当に「現実」なのか?











登場人物


  • マーク・スペクター/ムーンナイト
演:オスカー・アイザック/吹き替え:関智一
幾多の戦場を渡り歩いてきた元傭兵のトレジャーハンター。主人格。
寡黙で頑固な性格だが、妻のレイラへの愛情は本物であり、彼女の幸せを願って自分から離れた。
戦闘術に長けており、如何なる相手も力でねじ伏せることが出来るが、頭を使うのは不得意。
副人格の「スティーヴン」に体を預けていたものの、ハロウに狙われたことで再び表に現れ、今度はスティーヴンを邪魔者扱いするが、実は彼にもある負い目を感じていた。
エジプトでの戦闘で傷ついた後、寺院で力尽きようとしたところコンスに唆され、彼の化身となってその後死ぬという契約を交わし、「ムーンナイト」となった。
武器は三日月形の短剣「クレセント・ダガー」。白いフードにマント姿で、マントで滑空するようにして飛行することも可能。


  • スティーヴン・グラント/Mr.ナイト
演:オスカー・アイザック/吹き替え:関智一
マークの副人格でもう一人の主人公。
温厚で知識欲が強く、特にエジプト神話に関する興味は人一倍強く博識。しかし気が弱く、思ったことは口に出せない。
マークによって体を預けられ、自分を夢遊病患者と思い込んでロンドンの博物館の売店係として生活していたが、ハロウからスカラベを盗んだことにより徐々に生活が狂い始め、自身が多重人格者と知る。
当初は矢継ぎ早に起こる事件に疲労困憊し、厄介事から逃げようとしていたが、マークに無理矢理従わされ、そしてレイラに心を惹かれるようになり、彼に協力するようになった。
そして、自身の臨死体験によって、「スティーヴン」の人格がなぜ生まれたのかを知ることとなり……。
コンスの加護を得て自身も背広に覆面の白ずくめのヒーロー「Mr.ナイト」に変身する。ムーンナイトと比べて非力ではあるが、頑健さでは上回る。


  • コンス
声:F・マーレー・エイブラハム/吹き替え:金尾哲夫
エジプトに祀られている月の神。鳥の骨の頭を有する。
夜盗を働く罪人を「悪」と断じ、化身であるマークにその罪人の誅罰を命令し、服従させている。
高慢かつ冷酷な性格であり、化身であることを辞めたいマークをあの手この手で従わせようと弄び、そのやりすぎな性格からかエジプトの神々からも厄介者扱いされていた。
「罪を犯す前」から「悪人」と決めつけるアメミットを許さず、彼女の封印に執念を燃やしているが、その際の独断行動が問題となり、神々によって封印されてしまい……?


  • レイラ・エル=フーリー
演:メイ・カラマウィー/吹き替え:小松未可子
マークの妻のトレジャーハンター。
マークを愛しているが、独断で突き進もうとする彼の態度には若干辟易している。
ある日突然姿を消した夫を探していたが、別人と化してしまったマーク/スティーヴンに困惑しつつも、彼の戦いに協力することになる。
父親は偉大な考古学者であったが、何者かに殺されており、そのことがトラウマとなっていた。
だが、ハロウに父の死の真相を知らされ、マークに疑念を抱くようになる。


  • アーサー・ハロウ
演:イーサン・ホーク/吹き替え:咲野俊介
女神アメミットを信仰する教団の教祖。
「アメミットの下す審判は絶対」という教義の下、全ての人間をアメミットの審判で善人か悪人かを判断し、悪人を皆殺しにして世界の浄化を目論んでいる。
かつてはコンスの化身だったが、彼にいいように使われ、その偽善性に辟易して決別し、アメミットを信仰するようになった。
マークとスティーヴンを善か悪かを判断できない「混沌」と断じ、彼を排除しようとする。


  • アントン・モガート
演:ギャスパー・ウリエル/吹き替え:北田理道
古美術コレクターで、レイラの知り合い。
アメミットの墓を示す棺桶を所有し、マークとハロウのどちらかに譲ろうとしたが、結局ハロウに決めたのでマークと敵対する。
演じたギャスパー・ウリエルは2022年1月にスキー事故で急逝したため、本作が遺作となった。


  • アメミット
声:サバ・ムバラク/吹き替え:高乃麗
罪人の魂を食らう凶悪な女神。巨大なワニの姿をしている。
罪人であるかどうかの判断を自分の独善で判断し、その魂を食らって自分の糧とする。
罪を犯してから判断するコンスとは敵対関係にある。


  • タウエレト
声:アントニア・サリブ/吹き替え:潘めぐみ
女性と子供を司る女神。カバの姿をしている。
現世と彼岸の境界である「ドゥアト」を管理しており、死後の世界へと向かおうとする魂の本質を査定する役割を担う。
善と悪の天秤が非常に複雑なマークとスティーヴンに興味を抱き、彼らを助けようと協力する。


  • ウェンディ・スペクター
演:フェルナンダ・アンドラデ/吹き替え:佐古真弓
マークの母親。スティーヴンがしょっちゅう電話をかけている「母さん」である。





用語集


  • 多重人格
別名:解離性同一性障害。一人の人間の中に複数の人格を有する精神病の一種。
多くの場合、幼少期のトラウマが原因とされている。
別人格に変わっている時点では記憶を共有せず、その期間の意識は空白の状態のようだ。


  • 化身(アバター)
神々が現世に介入するための依代となる人間のこと。
主に、神が乗り移って他の人間への働きかけや会議の出席がその役割である。
コンスの場合、勝手な誅罰を繰り返しているため神々には問題行動と取られた。


  • スカラベ
エジプトの聖なる甲虫であり、聖遺物にも使われている。
アメミットの墓を示す道標であり、棺桶の地図と合わせると場所が分かる。


  • アメミットの杖
アーサー・ハロウが所有している遺物であり、アメミットの審判の依代となる杖。
これを人間にかざすことで、アメミットが善悪を判断し、「悪人」とした人物の命を奪う。


  • エネアド
エジプトの神々の会合。会議の際は化身に乗り移って行う。
コンスを危険分子と見なしており、逆にアメミットの脅威を軽視していた。


  • ドゥアト
現世と彼岸の境界に位置する世界。
死んだ人間の魂は一度ここに招かれ、彼岸への船旅の途中で魂の質を判断する。
その際、その人間の魂の在り方が具現化する。
少しでも悪に転じた場合は砂の海に住まう亡者に引きずり込まれる。














「今、追記修正やらなかったか?」
「いや、お前じゃないのか?」









































































  • ジェイク・ロックリー
演:オスカー・アイザック/吹き替え:関智一
マーク・スペクターの中に潜んでいた「第3の人格」にして、コンスに忠実なる化身。
物語の途中でマークにもスティーヴンにも身に覚えのない殺戮は彼が行っていた。
マークが辞めたと思っている化身は、彼が忠実に行う。そして、それに2人が気付くのはいつのことか……。





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最終更新:2024年04月27日 20:10