明日また君の家へ/れんあいごっこ

登録日:2022/06/15 Wed 20:36:05
更新日:2023/02/07 Tue 23:57:42
所要時間:約 5 分で読めます




ハロー、私のことは覚えていますか

私の名前は

君の側に居ていい私の名前は



久しぶりだね

どこから話そうか

面白いネタが

けっこう溜まったんだ

【概要】

『明日また君の家へ』『れんあいごっこ』は百合コミック単行本。
株式会社オークスが刊行した百合アンソロジー誌に掲載されていた作品群を単行本化したもの。
2013年10月10日に『明日また』、2015年2月25日に『れんあいごっこ』が発売された。

作者はまんがタイムきららMAXにて『ステラのまほう』を連載していたくろば・U。
所謂「きらら作家」が連載中に同人や趣味絵としてR-18を描く、あるいは連載の前後に商業成人漫画を描くといった事例は多々あり珍しくもないのだが、
本作は「商業で」「きらら系列誌での連載と並行して」執筆・掲載・単行本化を成し遂げたエロ漫画という珍しいケースである。
ちなみに2作ともレズセックス描写があるが『明日また』は全年齢扱い、『れんあいごっこ』はR-18指定で、性的表現や修正の程度も異なる。
プレイは指止まりで作画も万人に訴求するものじゃないので実用性は高くない気がするのは内緒だ

『明日また君の家へ』には1話完結の短編3本とメインとなる全5話の中編「Virtual」が収録。
「Virtual」は物語の補完として作者自身による外伝同人誌『Virtual.reality (.125 - .375)』も出ている。
『れんあいごっこ』は『明日また』に準レギュラーとして登場していた少女・羽村由真に焦点を当てた連続ストーリー構成となっている。
短編3本、「Virtual」、「れんあいごっこ」はそれぞれ独立した作品として成立しているが、全作品が世界観と登場人物を共有しており相互にリンクしている。

作風は「ドロ百合」「暗黒百合」と形容されるようなもの。
劇的な鬱展開やバッドエンドではないものの、どの作品も一筋縄には幸せに終われない、小さな棘が残されるシビアでビターな味付け。
作者の二次創作や『ステま』にも見られた青春の痛み、秘密、別れ、そして毒親も登場する。

【あらすじ】

Virtual

クラスメイトになった事で幼馴染の心と3年ぶりに再会した菜々花。
関係を深めていき、いつしか二人は結ばれて一線を越え、恋人同士になる。
しかし、菜々花には心に7年間隠し続けている秘密があった。

れんあいごっこ

同級生や上級生に次々と声をかけてはセフレを増やしていく付き合っていく少女、由真。
そんなある日、下級生の霞に「れんあい」を教えて欲しいと告白され、初めてプラトニックな「恋愛」を始める。
ただ一人の彼女になって欲しいという霞のお願いに応え、付き合っていた少女達と次々に別れていく由真であるが……

【登場人物】

Virtual

  • 野宮菜々花(のみや ななか)
中3。7年前に両親が離婚し、以来父親と2人で暮らしている。
心からは「みっちゃん」と呼ばれている。
  • 相川心(あいかわ こころ)
菜々花の幼馴染。学年は1つ上だが、とある事故によって1年休学していたことで菜々花と同級生となった。
生まれつき目が悪いが眼鏡はかわいくない&コンタクトは怖いという理由からカメラや双眼鏡を駆使して視力を補っている変人。
菜々花からの呼び名は「こころちゃん」。
  • 野宮美空(のみや みそら)
菜々花の双子の姉。彼女こそが本物の「みっちゃん」。
両親の離婚の際に母親に連れられて家を出ていき、菜々花や心と離れ離れになった。
物語終盤、「みっちゃんはもういない」という事実に向き合うことで、菜々花と心の二人はようやく本当に結ばれたかに見えたが……

その他(明日また君の家へ)

  • 羽村由真(はむら ゆま)
たらしの子。学年は中2→中3。
「色んな人のココロに触れたい」と言い同級生ときどき上級生に次々と粉をかけては食いまくっているメスぱっくん
ロリ体型……という程でもないが盛ってもAカップで、身長も発育も既に止まっており2個下の妹に追い付かれている。
収録1話目の「Skew Lines」から登場しており、「Virtual」を含め『明日また君の家へ』の全エピソードに登場。
「Skew Lines」「よりみち」ではエピソードの主役であるが、相手の視点で進行するため彼女の視点と内面は描かれない。
  • 七ツ辻蒼巳(ななつつじ そうみ)
「Skew Lines」に登場する由真の友人。毎年由真と同じクラスになる腐れ縁。
お嬢様育ちで家の古風で厳格な教育を嫌っている。ノンケである。
『れんあいごっこ』ではボサボサだった髪を整えてイメチェン、女子から熱い視線を向けられるようになる。ノンケである。
  • 松前景(まつまえ けい)
「again」に登場する3Bの生徒。喋ることや会話がとっても不得意な女の子。
帰宅部の鍵っ子で、毎日学校が終われば家で孤独に過ごしていた。
  • 森本夏樹(もりもと なつき)
同じく「again」に登場する3Bの担任教師。生徒や他教師に慕われているが根は結構奔放。
孤独で単調な日々を送っていた景を見かね、二人だけの「部活」を始める。
  • 羽村莉歩(はむら りほ)
「よりみち」に登場する由真の妹。中1。
昔はお姉ちゃんっ子だったが、性に節操のない今の姉は良く思っていない真面目な子。

れんあいごっこ

  • 羽村由真(はむら ゆま)
前作から引き続き登場するたらしの子。同時期の物語なので学年は前作と同じく中2→中3。
本作では全編通した主人公を務めるが『明日また』同様に彼女の側の視点は描かれず、抱かれる相手の視点を通して彼女に迫っていく。
同級生と年上にしか手を出していなかったが、下級生の霞に告白されたのを機に初めて真剣な「恋愛」をしようと努力を始める。
途中で「2年の途中までは普通の少女であったが、ある時から急に同級生に手を出し始めた」という事実が明かされる。
「ココロに触れたい」理由は彼女の過去にあるようであり、物語終盤で過去回想と共に初めて彼女の内面心理が描かれるが……
  • 緒野江霞(おのえ かすみ)
斜に構えた自意識を抱えた思春期の女の子。学年は由真の1学年下(中1→中2)。
由真に告白し「れんあい」を始めるが、由真の前で見せる「恋に一直線のぶりっ子」像は全て演技であり内面はスレている。
貧乳揃いの両作登場人物達の中でただ一人はっきりと胸の大きさが強調されている。
  • 棚平希理(たなひら きり)
霞の同級生にして幼馴染。
自身の何気ない言葉が切っ掛けで霞が由真と交際を始めるが、百合作品の幼馴染の例に漏れず彼女の事が大好き。
霞が由真に弄ばれていると思い込みを募らせていき、やがて百合作品の幼馴染の例に漏れず彼女の感情は危険な領域に突入する……
おっぱい魔人みたいなヘアスタイルだが別に大きくはない。
  • 伊佐蛍灯(いさ ほたるひ)
由真の同級生の新聞部員。自分の名前が好きではないので名字で呼んでほしい派。
記者魂から由真に興味を持ち取材を持ちかけるが、その交換条件で付き合う事に。
  • はにわトーン

【余談】

  • 本作の難点はなんと言っても紙の本は絶版&電子書籍の配信ほぼ無しという入手の難しさであろう。
    リアル/ネット古書店にも滅多に並ばず、紙の本の入手はネットオークション等で出品を根気強く探し続けるのが一番の近道になってしまっている。
    加えて出版元のオークスが2017年にオークラ出版に吸収合併される形で消滅、オークラ出版に旧オークス作品の電子版を配信する動きが無い。
    そんな中『明日また』は諸々の電子書籍配信サイトの中で唯一Renta!でのみレンタル・買い切り両方で電子版が販売されている(経緯は不明)
    興味を持たれた方はまずはここで『明日また』電子版を購入して読んでみるのがいいだろう。
  • 『ステま』原作には本作の小ネタが隠されている。
    モブに本作のそっくりさんが登場していたりもするが、他人の空似なのかスターシステム的な遊びなのかは不明。



誰だったっけ

——誰かが言っていた気がする

大人になるためには知りたくない追記・修正も

受け止めなければならない——って

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最終更新:2023年02月07日 23:57