アシエン・エメトセルク

登録日:2022/07/07 (木) 05:25:30
更新日:2024/04/09 Tue 09:48:47
所要時間:約 50 分で読めます





まったく……。ため息をつきたいのはこちらの方だ。
せっかく役目を演じきって、寝ようってときだったんだぞ。それを、ラハブレアの爺さんが死んだからって呼び出されて……。
本当に、エリディブスの心配性は厭になる。……お前もそう思うだろう?



FINAL FANTASY XIV(以下FF14)の登場人物。

CV:高橋広樹





!注意!
この項目にはパッチ5.0『漆黒のヴィランズ』以降の重大なネタバレが含まれます!




















概要



歴史の影で暗躍する黒法衣の集団アシエンのひとりであり、その中でも特別な立場にある「オリジナル」の一体。
一部が白くなった黒髪と金の瞳を持った中年男性で、常に気怠そうな半眼と猫背が特徴的な人物。額にはガレアン族*1特有の「第三の目」と呼ばれる器官が存在している。
主な口癖は(いや)だ」、ことあるごとに面倒臭がり寝ようとするなど、とてもではないが数々の混乱を引き起こしてきた人物には見えない。


しかし、その外見に反して、かつて辺境の小国であったガレマールを作中屈指の覇権国家へと変貌させ、共和政であった同国を帝政へと変化させた人物。
即ち、ガレマール帝国の初代皇帝ソル・ゾス*2・ガルヴァスその人である


ソル帝自身は作中でも序盤となるパッチ2.4の時期に老いと病によって崩御しているのだが、そもそも彼らアシエンにとって肉体は器に過ぎない。
ガレマール帝国自体がアシエンの「世界を混乱させ、霊災を起こしやすくする」という目的のために産み出された手駒であり、ソル帝としての死も「単にソル帝としての仕事を終えた」というだけの話である。

冒頭のセリフからも分かるように、本来はその後しばらく休息に入る予定だったらしい。が、パッチ3.0にて同じオリジナルであるアシエン・ラハブレアが消滅したことによって再び彼の出番が回ってきたようだ。



ソル帝として



ガレアン族が生んだ戦略戦術の天才。
16歳でガレマール共和国軍に入隊。当時は内気な一兵卒に過ぎなかったが急速な出世を果たし、第六星歴1513年にわずか24歳で軍団長に就任。
先天的にエーテル*3を放出する能力が低く、魔法を使えないが故に辺境に追いやられたガレアン族に「魔法の代替となる力」として『魔導兵器』をもたらした。

実用化されたばかりの青燐機関*4を利用した魔導兵器は当初こそ疑いの目で見られたものの、ソル帝が編み出した数々の軍略と彼が推進した軍の機械化は近隣諸国との戦いで絶大な戦果を挙げた。
特にそれまで近隣諸国からの襲撃に怯え、厳しい土地に追いやられていたガレアン族たちはその鬱憤を晴らすかのようなソルの快進撃に酔いしれ、次第に彼への感情は尊敬を通り越した崇拝の域にまで達することになる。

ソル帝が28歳の時、国民からの圧倒的な支持によって国家の全権者『独裁官』に就任。
その後の5年間で周辺諸国の武力統一を成し遂げると、ガレマール共和国の帝政への転換を宣言。
自らを初代皇帝としたガレマール帝国を誕生させたのだった。


帝政への転換後、東州オサード小大陸*5へと遠征したソル帝はその道中、かつて相次いで行われた蛮神召喚によって環境エーテルを根こそぎ吸い取られた、後に「永久焦土帯」と呼ばれる死の大地『ザ・バーン』を目撃。
その光景を見て蛮神を「星を蝕む脅威」と認識したソル帝により、「蛮神の討滅」というガレマール帝国の国是が据えられることになる。
これが従来の「拡張主義」と合わさったことにより、「野蛮な信仰により蛮神を生み出すガレアン族以外の『蛮族』を一掃すべし」という大義を得たガレマール帝国は、より苛烈な侵略戦争を展開していく。

傍から見れば順風満帆なソル帝の全盛期だったが、その裏では親友と思っていた人物に裏切られ、長男は早くに病死するなど災難に見舞われることも少なくなかったとされる。



エオルゼアにおける想定外の苦戦によって帝国の進軍が停滞した本編(パッチ2.0)序盤では既に88歳という老齢にあり、老いと病によって苦しめられていた。
そして、前述した通りパッチ2.4の時点で崩御。その際、ソル帝が後継者を指名せずに死亡した事で国内は混乱。
長男の病死もあり、ソル帝の次男と孫のヴァリスによる内乱が発生することとなった。



……以上がソル・ガルヴァスという男の生涯だが、これら全てはエメトセルクによる「演出」。
ガレマールという国が手駒に選ばれたのは、諸国によって追い詰められ恐怖に怯えていた民衆にとって英雄という偶像が用意しやすかった為。
そして彼が後継者を指名せずに死亡した(曰く、「七面倒な退場の仕方」)のは不手際などではなく、「人の世を混乱させるために作った国を更に混乱させる為」という、完全にアシエンとしての都合である。


とはいえ完全に冷酷な計算だけで動いていたかといえばそういうわけでもなく、例えば彼には「演劇好き」という一面があったという。
特にジェノミス・レクセンテールが立ち上げた劇団『マジェスティック』をいたく気に入り、文化勲章の授与のみならず専用劇場艇プリマビスタを建造させ、下賜したほど。彼自身の言動も、まるで演劇のように芝居がかった大仰なものが多い。
劇団マジェスティックはパッチ4.0時点でヴァリス帝により極度の冷遇状態に追いやられており、故あってオサードを訪れた事がレイドコンテンツ「リターン・トゥ・イヴァリース」の始まりとなる。観劇した劇の続編構想が持ち上がっていたと知ったら一体どんな反応をするやら

また、かつての寒冷地における軍事訓練の際、兵と共に食したとされるレンズ豆と栗のワイン煮のレシピが『エンペラースープ』として残っているなど、人間性の感じられる面も多かったようだ。
ちなみにエンペラースープという名前のゲーム内アイテムも存在し、プレイヤー側も調理師になって作ったり、アイテムとして使用すれば食べることもできる。料理を食べると一定時間はレシピに応じてステータスが上昇するのだが、この料理は生まれつき魔法が使えない種族の国で作られたレシピであるにもかかわらず、スペルスピード(魔法の詠唱速度)が上昇するという皮肉な効果を持つ。


尚、彼がいつから『ソル』であったのかは不明。アシエンは死体であっても憑依することが可能な為、元々生者としてソル・ガルヴァスという人物がいたのかも判然としない。
パッチ6.0のナレーションでちらりと語られた「内気な一兵卒」としてのソルについても、憑依前の本来の人格とも、単に今後のために雌伏の時を過ごしていたともとれる。
2代目皇帝となったヴァリスがソル帝の真実を知った時期も不明瞭だが、作中の行動から察するにソル帝崩御後〜パッチ4.0のどこかで知った、あるいは知らされたと思われる。





能力



アシエンに共通する能力として、空間を自在に渡る術と、他者に憑依する能力を持つ。
他者への憑依は、例えば同じオリジナルであるラハブレアやエリディブスが行なっていたようにその相手のパーソナルを保ったまま憑依する(つまり、他者の肉体をそのまま使う)方式ではなく、作中では一貫して肉体を自分用に調整していた。


また、冥界とも称されるエーテル界を「視る」能力に殊更長けており後述の「魂の色を視る」という行為もその延長線のもの。
公式ショートストーリー『漆黒秘話』曰く「冥界に愛されている」者であり、意識を向ければ生命の巡りをどこまでも遠くまで見通し、エーテル界に直接接続して力を引き出す事が出来る数少ない人物。
そうした能力故か、コンテンツファインダー上でも「冥王」と呼称されている。


これまで登場してきたアシエン以上に芸達者な場面が多く、例えばパッチ5.0中盤ではヤ・シュトラが使用したエンシェントテレポ*6を地脈の揺らぎから察知し*7、「魂の色から人物を特定して地脈から引き上げる」という離れ業を披露している。
パッチ3.0でヤ・シュトラを地脈からサルベージする際はグリダニア方面へ漂流してしまっていた事もあり、グリダニア最高指導者であり幻術皇と名高いカヌ・エ・センナ及び同地の大精霊の力を借りて地脈から探す事になり、
更に大精霊は人間との感覚との違いから外見などの物理的な情報に頼る事が出来ないため、血縁者であり似たエーテルを持つヤ・シュトラの妹に協力して貰う必要があったなど、かなり大掛かりな準備を要した。
プレイヤーに捜索のための地脈探しは任せていたが、これらを自身の桁外れなエーテル視能力とフィンガースナップ1つであっさりやってのけている。彼の文字通り人間離れした魔道士としての実力がうかがえる一幕である。

こういった魔法を行使する際には指を鳴らす動作を行うのが癖らしく、「手首をくるくる回して手を振る」という動作と並んで彼を象徴するモーションのひとつとなっている。



劇中の活躍(『漆黒の反逆者(ヴィランズ)』)




原初世界から第一世界へ


初登場はパッチ4.4『狂乱の前奏曲』から。
この時点ではソル・ゾス・ガルヴァス名義。
ソル帝がアシエンであること、アシエン・エメトセルクというオリジナル・アシエンが存在する事は明かされていたのだが、エメトセルク=ソル帝であることが明かされたのはパッチ5.0からである。

エリディブスに進軍を急かされるヴァリス帝の前に突如として現れ、いきなりヴァリス帝に射殺されるという衝撃的な登場を果たす。
が、その後全く同じ姿ですぐに再登場。
後になって明かされたことだが、この若いソル帝の肉体は古代アラグ帝国*8の生体複製技術を利用したクローンらしく、その技術の実験台としてソル帝の肉体は量産されていた。アシエンは憑依した肉体を自分用に調整する事が可能とはいえ、最初から調整済みの肉体であれば手間が省けるとしてエメトセルクは(皮肉だが)ヴァリスに礼を言っている。

この時点ではヴァリスやエリディブスの行動を皮肉混じりに眺めているだけだったが、パッチ4.5にて『光の霊災』を仕上げる為に、かつて1万年以上前に分かたれた鏡像世界のひとつ第一世界へと向かう事となり、パッチ5.0『漆黒のヴィランズ』の物語が幕を開けることとなる。


パッチ5.0でも当初は『光の氾濫*9』で滅びかけた第一世界を愚痴りながら傍観していたが、何故か突如としてプレイヤーと『暁の血盟』一行の前に現れ、協力関係を持ちかけるという予想外の行動に出る。
これは本人曰く、「プレイヤー達を殺しにかかることも考えたが、それはかつてラハブレアの爺さんがやってたことと同じ。先人の失敗からは学ぶべきだろう?」とのこと。
「霊災を起こすことによって鏡像世界を原初世界に統合させ、自分達の神『ゾディアーク』を復活させる」というアシエンの宿願を考えれば、第一世界を救おうとするプレイヤー達は明らかに邪魔者でしかないはずなのだが、「互いを知らないまま殴り合うことほど野蛮で不毛なこともない」「当世の英雄が何を願い、何を為すのかに興味を持った」「プレイヤーもアシエンの行動の理由を知らないはず」と語り、奇妙な協力関係が始まる。


その果てに、案外……わかりあって手を取り合う道も、あるかもしれないぞ?





アシエン、その真実



こうしてプレイヤー達と奇妙な協力関係を結び、時には共に旅しながらアシエンの知識を気まぐれに披露したりしていたエメトセルクだが、プレイヤーがラケティカ大森林の大罪喰い*10を倒した帰り道、キタンナ神影洞と呼ばれる古代の遺跡にて彼の口から今までのプレイヤーの常識を覆す発言が飛び出すことになる。


その遺跡には遥か古代に描かれたと思われる不思議な壁画が存在し、その壁画を見たエメトセルクは「懐かしい光景」と口にする。
それについて問われると「むかしむかしは誰もが知っていた話」と前置きしつつ、エメトセルクは────古代の知恵を持つアシエンは語り始める。


かつて、世界が原初世界と鏡像世界に分たれる前。そこには非常に栄えた文明があった。
しかし、未曾有の災厄によってその文明は危機に立たされた。
その文明の人々は、祈りと犠牲によって『星の意志』を生み出した。その名はゾディアーク
ゾディアークによって災厄は鎮められたが、ゾディアークの強大過ぎる力を封じるべきとする人々によって枷となるもの、ハイデリンが生み出された。
ゾディアークとハイデリンは戦い、ハイデリンの渾身の一撃によって世界は原初世界と14の鏡像世界に分かたれ、ゾディアークもまた分割されて封印された。


彼自身は何気なく語ったこの話は、ゾディアークとハイデリンが「この星にもとよりいた神」ではなく、「人によって生み出された、最古にして最強の蛮神だった」という、恐るべき真実だった。
しかし、同時にそこで疑問が生じる。もしもそれらが事実なのだとしたら、それを知るアシエンとは一体何なのか?


やっと、ついに、それを問うか……。私とは、アシエンとは何者か……。
私たち、とくにオリジナルと呼ばれるアシエンはな……
ゾディアークを召喚せし者。つまり、分かたれる以前の世界の人だよ。


今までプレイヤーが漠然と「歴史の裏で暗躍していた謎の人物」程度に思っていた彼らは、実際には遥かな古代の「真なる人々」だった
アシエンが霊災を起こして世界を統合しようとするのも、「自分達が元々いた真なる世界の姿に戻したい」という、彼らにしてみれば当然の欲求だったのである。





黒き海の底、テンペストへ



光に侵された第一世界を旅してきたプレイヤーと『暁』一行。
その旅路で出会った人々の力も借りて遂に最後の大罪喰い、かつて退廃した享楽都市ユールモアの元首であったヴァウスリーの討伐に成功する。

しかし、ここでプレイヤーに異変が起きる。
実は、今までプレイヤーが討伐してきた大罪喰いの力である『光』は消えたわけではなく、あくまでもプレイヤーの持つ『光の加護』によって抑え込まれていただけであり、ラケティカ大森林でヤ・シュトラと合流する時点で既に身体に異変が生じ始めていた。
そして5体目の大罪喰いであるヴァウスリーを倒した事で遂に限界を超えてしまい、プレイヤーの魂の許容量を超えてしまった事で溢れ出してきてしまったのである。
あわやプレイヤーが新たな大罪喰いにという場面で、これまで謎の協力者であり、プレイヤー達を第一世界に召喚した張本人である水晶公が登場。
この状況は彼の予定通りであり、水晶公はプレイヤーを救う為に自ら大罪喰いの光を引き受けて別次元へと旅立ち、そのまま次元の狭間で自爆同然に消え去ることで身代わりになろうとしていたのだった。


だが、その水晶公を背後から銃撃するという形でエメトセルクが現れる*11
ここでエメトセルクの目的が「大罪喰いの光を全て取り込み、その上で制御できたならプレイヤーを味方に引き入れる。もしも断られてもプレイヤーを殺せば溜め込んでいた光が解放されて新たな大罪喰いが生まれ、また以前の第一世界に戻る」というものであったことが語られる。
つまり、光そのものを別次元に持ち去られてはこの目的は破綻してしまう。水晶公の計画はエメトセルクにとって非常に厄介なものだった。

エメトセルクにとってプレイヤーは現生人類の可能性、力を測るテストケースだった。その為期待していたことも事実、教えたことも事実。
だが、プレイヤーは大罪喰いの力を制御できず、その肉体は外見こそ変化しないもののほとんど罪喰いと化してしまう。
結果としてプレイヤー、そして現生人類に心底失望したエメトセルクは、せめてもの特殊な知識と技術を持つ水晶公を手土産にしようと彼を連れ去ってしまうのだった。

絶望的な状況に置かれたプレイヤーだったが、水晶公の過去と、彼がなぜそこまで自分にこだわるのかを知ったことで再び歩み出す。
そしてエメトセルクが残した『テンペスト』という言葉から、コルシア島の沖合にある黒き海黒風海の底にある彼の居城へと向かった一行は、その海溝の奥での光景に言葉を失った。

そこにあったのは、海溝の上に築かれた超巨大都市だった。
その名はアーモロート。かつて世界が分割される以前、古代人たちの首都であった都市をエメトセルクは魔法によって海溝に残る遺構*12の上に再現していたのである。

その幻影都市で、プレイヤー達は多くの事実を知ることになる。
かつての古代人たちは現在の人類とは比較にならないエーテルを持ち、『創造魔法』と呼ばれる力によって星を開拓していたこと。
アシエン達の起源が、古代人の意思決定機関『十四人委員会』にあること。
かつて古代世界を襲った『終末』と呼ばれる災厄が、さながら星が腐り落ちるかのような悲惨なものであったこと。
そしてゾディアークの創造と、その後の星の再生にあたり古代人達はその4分の3を犠牲にしていたことと、アシエンたちは統合した後の現生人類を代わりの生贄とすることでかつての同胞たちを復活させようとしていること。


というか……根が真面目な彼のことだ。厭だ厭だと言いながら、背負ったものを、誰にも託せなくなっているんだろう。
……残酷な役回りだよ、本当にね。


……幻影都市で出会った、かつてのエメトセルクの友人・ヒュトロダエウスの幻影はそう語る。

彼らアシエンが求めているのは過去。ゾディアークに取り込まれた同胞達。
そして、プレイヤーと『暁』が求めているのは今と未来。アシエンの計画が成就すれば、古代人の身代わりとしてゾディアークに捧げられてしまう人々。
1万年以上もの間、途方もなく重いものを背負ってきた真なる人との決戦は避けられないものとなっていた。




漆黒のヴィランズ


再びエメトセルクと対面した一行に対し、エメトセルクは遂にその思いの丈を吐露する。


私を見ろ……! ほかの誰よりも長く、お前たちに交じって生きてきた!
ともに飯を食らい、戦い、患い、老いもした。傍らで死を見送り、ときには子を成したことさえある。
そうして幾度も測り、その度に判じてきたのだ! お前たちは愚かで、弱く、この星を護って生きていくには足りないと!


エメトセルクはかつてこう語った。古代世界では人々は頑強な魂を持つが故にほとんど永遠の時を生き、余裕のなさから来るさもしい争いもなかったと。
そんな理想郷を見てきた男にとって、現在の人類は僅かな寿命を愚かな争いや悲しみに費す「人間のなりそこない」でしかない。
もしも古代の終末が再び起きた時、果たして今の人類は古代人たちのように自らを捧げることができるのか……エメトセルクほどの長い経験がなくとも、明らかに不可能であろうことは世界を見てきたプレイヤー達にも理解できた。


……そんな「なりそこない」どもに、任せておけるものか。
私は必ず、同胞を、友を、善き人々を蘇らせる。世界は……私たちのものだ。


だが、だからといってプレイヤー達も引くわけにはいかない。
追い縋るプレイヤー達に、エメトセルクは「証明」を求める。果たして現生人類が古代人の犠牲の上に生き残るべき存在なのか————古代のアーモロートを襲った終末の災厄を再現し、それに挑ませることによって再度「なりそこない」の可能性を測ろうと言うのである。


プレイヤー達は再現されたかつての星の終わりを進み、終末をもたらした獣たちを倒していく。
そして、最奥にて終末の獣『メガセリオン』を打倒した一行の前に再びエメトセルクが立ち塞がった。

現生人類ではトップクラスの実力者であるプレイヤーと『暁』を、「なりそこないの中では相当まとも」と評しつつも、エメトセルクは未だその力は古代人に及ばないと判定を下す。その言葉を証明するかのように、最古の魔道士たる彼の前に、ひとり、またひとりと『暁』は倒れゆく。
『暁』の最高戦力たるプレイヤーは大罪喰いの光によって心身共に崩壊寸前となり、もはや戦える状態ではなかった。

だが、プレイヤーの味方は尽きていなかった。この第一世界に来て以来、その傍にはかつて戦った『闇の戦士』アルバートの魂が付き添っていたのである。
そして、プレイヤーとアルバートの魂のルーツ*13は、古代世界において1人の人物だった
……ヒュトロダエウス曰く、その人物はエメトセルクにとって思い入れのある、特別な人物であったようだ。

かくして、アルバートの魂と統合したことで復活したプレイヤーとエメトセルクは最後の戦いを繰り広げることとなる。


いいだろう……そこまでして望むなら、最後の裁定だ!
勝者の歴史が続き、負けた方は、反逆者として名を記される。この星の物語における悪役がどちらか、決めようじゃないか!
我は真なる人にして、エメトセルクの座に就きし者……
己が名を、ハーデス! 冥きに眠る同胞がため、世界を奪い返す者なり!


プレイヤーと、エメトセルクの「檻」から這い出してきた水晶公、水晶公によって呼び出された鏡像世界の英雄たち、『暁』の仲間たち……
まさしく総力戦の果てに、最古の魔道士、十四人委員会の一員にしてオリジナル・アシエンであるエメトセルクは倒れた。


エメトセルクも全力で戦った。本当に叶えたい願いだったのだから、逃げ出そうとも考えなかった*14
その上で敗北したエメトセルクは、しかしどこか憑き物が落ちたように穏やかな表情だった。
何か重いものを背負っていたかのような猫背でもない。
彼は、ようやく重荷を託せる相手を見つけたのだ。


ならば、覚えていろ。
私たちは……確かに生きていたんだ。


プレイヤーにそう語りかけ、その魂はいつか還るところへと旅立ち、その身体はエーテルへと分解され消えてゆく。
いつもの彼らしい皮肉そうな、しかし、確かに満足気な笑顔を遺して……





パッチ5.3『クリスタルの残光』



パッチ5.0にて彼自身は倒れたため、その後本人は登場しない。
しかし、彼の死が残る最後のオリジナル・エリディブスに影響を与えた他、彼との経験はプレイヤーに「たとえ敵同士だとしてもわかり合うことはできる」という考え方をもたらすことになった。

そしてパッチ5.3にて、再び幻影のアーモロートを訪れたプレイヤーは、エメトセルクが『十四人委員会の記憶のクリスタル』を保持していたことを知る。
エメトセルクやラハブレアのような数少ないオリジナルとは違い、基本的に他のアシエンは『転生組』と呼ばれる者達で構成されている。つまり、かつて終末の際に十四人委員会であったものの、ハイデリンの一撃で魂を14に分かたれた者たち、その魂を受け継ぐ者のことである。
魂を受け継いでいても記憶や力は基本的に現生人類のそれと変わらない為、その記憶と力を取り戻させる為の「教材」としてエメトセルクは記憶のクリスタルを保持し、いわばアシエン候補達を導いていた。中にはめちゃくちゃヤバい奴もいたが。

だが、そのクリスタルには本来必要のない物が含まれていた。
終末の際、ゾディアークの創造を決議した十四人委員会だが、ひとりだけそれに反対し、十四人委員会を離脱した人物がいたのである。
その人物はいわばアシエンにとっては裏切り者であり、そんな裏切り者の記憶も必要ないことからアシエンの席は13人と決まっていた。

……しかし、なぜかエメトセルクはその裏切り者のクリスタルを保持していた。ご丁寧に、彼の死後プレイヤーにそのクリスタルが渡るように用意までしていたのである*15
加えて、そのクリスタルにはその人物が生前に得意としていた「ある術」が込められていた。
たったひとつ、されどひとつで就いていた人物を物語れる術--―「しかるべき星を喚び寄せる」術を。
エリディブスとの戦いの中で、その術は発動した。


命のかぎり歩み 地上の星々を繋がんとした親愛なる者の記録をここに
お前が手繰れば 運命は集うだろう たとえ今は天地に隔たれ 心隔たれていようとも
第十四の座————その名を アゼム


十四人委員会の裏切り者アゼム。その座の役目とは、世界の今を知り、問題があれば十四人委員会に報告するという役目だった。
だがその座に就いていた人物は相当な変わり者で、解決できる仲間を喚び寄せて自分達で解決してしまうというような人物だった。
アゼムのクリスタルに込められていたのは、そんな「望みを叶えるために必要な仲間を召喚する」という術*16

また同パッチ内では、エリディブスが鏡像世界の英雄達の力を利用して変貌した『ウォーリア・オブ・ライト』討滅戦において、アシエンが追いやられた亜空間へとプレイヤー達が落とされた際、謎の人物が同様の術を用いて元の場所へと帰還させている。
この人物、一切の説明がないのだが幻影の古代人達と同じ格好をしていること、エリディブスが知己としての反応をしていること、術の行使の際に指を鳴らし、手首をくるくると回す変わった手の振り方をして去っていくことなど……
……ここまで来たプレイヤーであれば、誰の仕込みなのかは言うまでもないだろう。



今、私の魔法はすべて破れ。
残すところは、己の存在のみとなった。

それすらも崩れては、風に舞う砂のように還っていく。
もはや、息のひとつもできはしない。
それほどの戦いだった──そうでなければ駄目だった。
己のすべてを懸けて、叶えたい願いだったのだから。

幾度となく視てきたように、エーテルが冥界へと誘われる。
その流れの中で、永い過去を、そして僅かな未来を想う。

結末は、この手を離れた。
しかし役者たちはまだ──ひどく奇妙な形でもって──舞台の上に揃っている。

それならば、あと少し。幕を下ろすべきは、今ここではないだろう。

もはや形を成さぬ手で、それでもひとつ指を鳴らす。


──ご覧あれ、この物語のエピローグを。





暁月の終焉(フィナーレ)




────そうしてまた お前は1歩を踏み出した

彼自身は漆黒本編で消滅してしまっているが、『暁月のフィナーレ』では物語の先々で彼らしき声のナレーションが流れている。
果たして彼が、この星と命の物語の最終章にどんな役割を果たすのか……是非、プレイヤー諸氏のその目で見届けてもらいたい。





関連人物



プレイヤー

原初世界の英雄であり、第一世界においては光に侵された世界に夜を取り戻した『闇の戦士』。
彼らアシエンの目的を幾度となく阻んできた人物であり、アシエンにとっては史上最大の障害と言える。
エメトセルクもパッチ5.0まではガレマール帝国の軍事力や非人道的な毒ガス兵器「黒薔薇」*17までも用いて殺害するつもりだったが、なぜか第一世界でプレイヤーを直接目撃してからは、その存在に拘りを見せ始める。
その理由は、プレイヤーの魂にあるようだが……?



アシエン・ラハブレア

作中で最初に登場したオリジナルであり、パッチ3.0までプレイヤーの前に立ちはだかってきた人物。魔導城でフルボッコにされることでもお馴染み。
エメトセルクからは「爺さん」と呼ばれており、どうやら元々歳の差があるようだ。彼ら不滅のアシエンにとってその年齢差にどれほどの意味があるかは不明だが。
……ぶっちゃけ設定が固まっていなかった時代の弊害でオリジナルとしてはかなり情けない面が多く、その理由付けとしてエメトセルクの口からは「コロコロと憑依する身体を変えていた上、その身体を調整せずに使っていた為に魂が擦り減っていた」と語られている。
なお、普通あれほどのスパンで身体を変えていると自我や記憶にも影響が出るらしく、「よくやったよ」と呆れ混じりに褒めている。



アシエン・エリディブス

作中では二番目に登場したオリジナルであり、黒法衣のアシエンとは異なる「調停者」と呼ばれる白法衣の人物。
黒法衣のアシエンとは時に対立するかのような行動をすることもあり、中々真意の掴めない人物であった。声が石田彰だし。
エメトセルク曰く「心配性だが、調停者としての判断には間違いがない」との事。不思議とエメトセルクの口からはそれ以上の話が出てこなかったが……



アシエン・イゲオルム

第十三世界の担当だった人物。
パッチ3.0でアシエン・ラハブレアと行動を共にし、彼と共に散った。すぐ肉体が持たなくなる事に定評がある。
後述の主なセリフ一覧の中にある「張り切ったイゲオルムがやり過ぎた」という発言は、鏡像世界の統合計画が本格始動した直後に彼女が第十三世界でやらかした事を指しており、オリジナル3人からすれば戦犯級の大ポカをやらかしていた。



アシエン・ファダニエル
パッチ5.3最後のムービーで登場した『転生組』の1人。
エリディブスの封印後に、どこから調達したのかアサヒの遺体に憑依し、他のアシエンとは異なる法衣を纏ってゼノスの前に現れ、彼に与して文字通り世界を引っ搔き回すために動き出した。
どこか芝居掛かった口調と所作はエメトセルクに似ているが、彼と決定的に違うのは態と余計な一言を足したり挑発的な口調でケンカを売る所であり、
使命感に突き動かされていたオリジナル組には相当苛立っていたようで、オリジナル組が全滅したと悟るや否や「もうカビ臭い使命を押し付けられない」と文字通り狂喜乱舞し、登場から僅か数分でプレイヤーのヘイトを買った。
アサヒの顔と声の効果もあるかもしれないが


ヒュトロダエウス

幻影のアーモロートで出会った人物。
この幻影都市の古代人は「終末で滅びる前のある日」を再現したものなので、基本的に現実の時間軸を意識することはない。
しかし、彼だけは現実を理解するだけでなく生前に近い能力を持っているなど、幻影の中でも特別な存在となっている。
その理由を彼自身は「エメトセルクが自分を再現する時に雑念が混じったから」と推測している。どうやら生前はエメトセルクと仲のいい友人だったらしい。
後述の『記録:楽園の蹟』によれば、「あの人」と夜は3人で騒いでいた事が数万回はあったらしく、旧友という一言で片付けるには余りにも永い間柄だった事がうかがえる。
『漆黒秘話』によればエメトセルク同様エーテルを視ることに長けており、「視る」という行為に限定すればエメトセルクよりも上手であったとされる。実際、他の誰も言及しなかったアルバートの存在を初見で言い当てた。
また、同漆黒秘話では「エメトセルク」の座は元々ヒュトロダエウスが就任する予定だったが、彼がオファーを蹴ったためハーデスにお鉢が回ったという。
プレイヤーとアルバートの魂のルーツがある古代人にあることを知っているらしく、「『あの人』らしい運命」と語っている。


「あの人」

前述のヒュトロダエウスが語った人物。
プレイヤーとアルバートの魂のルーツであり、エメトセルクにとっても思い入れのある人物らしいが……



ルキウス・ガルヴァス

長らく設定資料でも名前すら明らかになっていなかった謎に包まれた人物。
国母であるヒュパティアとの間に儲けた長男だが、ヴァリスの幼少期に若くして病死しており本編には登場しない。
彼の死はエメトセルクの計算によるものではなく本当に偶然だったようだが、「ソル帝」崩御の際に発生した後継者争いは本来皇位継承権を有していたであろう長男の死もあって悪化する事になった。
彼に連なるヴァリスとゼノスが現生人類としては規格外に大柄な体格なのは、生まれたばかりの長男を抱いたエメトセルクが我が子に一瞬の情が湧いてしまい、
無意識に発動した創造魔法の影響で非常に優れた体格に成長し、それが息子達に遺伝したためである。



ヴァリス・ゾス・ガルヴァス

現ガレマール帝国皇帝であり、ソル帝としての孫。
その軍事的才覚を色濃く受け継いでおり、ガレマール帝国の軍事的責任者『大将軍』を9年もの間勤め上げた人物。ガレアン人としてはかなり大柄……というか、基本的にヒューラン族*18に近い同人種としては規格外の偉丈夫である。
「アシエンに裏から操られている世界を、真に人の手に取り戻す」という志を秘めているが、一方でその方法は「真なる人に戻ることでアシエンに対抗する」というほとんどアシエンの方法論に乗っかったもの。
本人もその事を自覚しているのか、元々彼の仮初の崩御で国内に多大な混乱が発生したという事もありソルの遺体が納められた棺に唾を吐く程度には嫌悪感を持っていたようだが、その後は仮にも祖父であるエメトセルクを「化け物」と吐き捨てるなど相当に嫌っている。
まだ若い頃はソル帝の真実を知らず、祖父であり国父である彼に認められようと努力していた時期もあった。しかし、エメトセルクからはほとんど肉親としての対応はされなかったようだ*19


ゼノス・イェー・ガルヴァス

現ガレマール帝国の皇太子であり、ヴァリスの息子。つまりソル帝のひ孫。ヴァリス帝同様ガレアン人としては規格外の偉丈夫であり、こと武才に関しては飛び抜けている戦の天才。
一方で曽祖父や父とは違い自身の欲望を最優先する人物で、強敵と呼べる相手との戦いに飢えている。
「至上の戦いをする」目的の一環として力を得ることに関しても貪欲であり、自らに『超越者計画』という人体実験を施した結果、ガレアン人でありながら『超える力*20』を有している。

実は幼少期から古代人の終末を夢に見る、という経験をしていた。世界分割直後は古代世界を夢に見るような人々もいたようだが、現代ではほとんどいない。
その理由については明らかになっていないが、作中やスタッフの話からは「エメトセルクからの隔世遺伝の影響」「長男誕生時にエメトセルクが無意識に使った創造魔法の影響を受けている」という理由が推測されている。


水晶公

第一世界に唯一残存するノルヴランド大陸レイクランド地方の反抗都市クリスタリウムの主。
正体は、ギムリトダーク戦線への黒薔薇の投入により第八霊災が発生した未来の原初世界から世界線と時間軸を超越し、第八霊災発生のトリガーである第一世界の統合を防ぐ為に渡ったグ・ラハ・ティア。
彼がクリスタルタワーと共に光の氾濫で混迷を極めていた第一世界に現れ、クリスタリウムを興し希望と共に繁栄させた事はエメトセルクにとって想定外であり、停滞による統合が第一世界側の時間で100年近くに渡り支障をきたす事となった。
パッチ5.0終盤まで水面下で腹の探り合いを演じており、水晶公が自分とどっこいどっこいな位にプレイヤーに対し思い入れを見せている事を怪訝に思い探りを入れていたが、水晶公自身が当時正体を一切明かしていなかったため独自に調べるしかなかった。
しかし、自身が嘗て建国と繁栄に関わったアラグ帝国が建造したクリスタルタワーに関する権限を有するのは、アラグの皇血を有する者のみであるという点から最終的にある程度彼の正体を看破した。
一方、原初世界からやってきた人物であると看破は出来たが生身で世界線を越える手段については、アラグ帝国どころか古代人達も到達できなかった領域という事もあり解明は出来なかった。
エメトセルク自身も「ソル帝」の肉体を保持したまま第一世界に渡ることは出来ず、「第一世界在住の不幸などこかの誰かさん」に憑依して作り変えている。



サンクレッド・ウォータース

暁の賢人の1人であり、ラハブレアに憑依された被害者。
ラケティカ大森林でエメトセルクが唐突に離脱した場面の英語版字幕を意訳すると、「ラハブレアのほうがマシだな」と彼の読めない行動に辟易としており、
エメトセルクも警戒心を顕にして度々突っかかるサンクレッドに辟易としながらあしらい続けるという水と油のような関係だった。
彼が保護した当代ミンフィリア(後のリーン)がナバスアレンの大罪喰いを探知できないという事態に瀕した際、彼女の中に原初世界のミンフィリアの人格が宿っている事を察知しており、
「人格の統合を行い、どちらかが人格の主導権を完全に握れば光の巫女として覚醒は果たせるが、主導権を譲った側の人格が消滅するだろう」と推測した。
サンクレッドはそれを知った上で原初世界のミンフィリアと第一世界のリーンの両者への想いから切り出せずにひた隠しにしていたため、踏ん切りがつけられないまま彼女にとって不都合な事実でありいつかは直面すると分かっていた事を今の今まで隠していた事を非難した。


ヤ・シュトラ・ルル

暁の賢人の1人であり、第一世界で魔女「マトーヤ」を名乗る才女。
ラケティカ大森林にて解毒剤の確保と引き換えに断崖から身を投げ、エンシェントテレポで危機を脱した彼女をサルベージし生命を掬い上げた。ついでに服も奢った*21
一度も顔を合わせていない状況で的確にヤ・シュトラの魂の色を地脈から見つけ出しており、ラケティカ大森林に入って早々に面倒だからと離脱した後もプレイヤー一行を追跡していたか、エーテル視で監視していたのだろうか。
裁定の途中だったとはいえ、そのままそれなりの嘘を吐いて彼女を見殺しにする選択肢もあったにもかかわらず、敵対する意思がない事を表明するために一行に手を貸すあたり根底にある真面目さと面倒見の良さが滲み出てしまっている。
彼女にしてみれば命の恩人であるためか、パッチ5.1以降彼について度々彼への考察を口にする。


ドン・ヴァウスリー

滅びゆく第一世界において、ただ世界の終わりを退廃的に享楽に耽りながら過ごそうという享楽都市ユールモアの元首。
人とは思えないほどの巨大な肥満体を持つ男で、なんと罪喰いを意のままに操るという特異な能力を持っている。
その能力を持って世界の救世主、全能者を名乗るが……実際にはその昔、エメトセルクの策略によって先代元首の妻が身籠っていた胎児のヴァウスリーに大罪喰いの因子を組み込んで生まれた人間。
先代元首が権力欲に塗れた俗物であったことも手伝い、ワガママ放題の独善的な人物となってしまった。
アシエンの本来の策略だと、彼によって第一世界を統一させ、そのままゆるやかに人類は衰退……すなわち光に属する「停滞」の状態となり、世界統合がなされる予定だった。
つまりどの道、彼には未来なんてなかったのである。その様はまさしくユールモア同様の道化と言える。

追い詰められた彼は自分に都合のいい楽園を築き上げるためにグルグ火山を浮上させ、最終的に大罪喰い「イノセンス」に変じるもノルヴラント大陸の人々との縁をフル活用して乗り込んだプレイヤーに討伐された。
プレイヤーは彼の今際の際にヴァウスリーの生まれる前の出来事を過去視で垣間見て誰の策略でヴァウスリーが今に至ったのかを悟るも、上述のように溜め込んだ光のエーテルが遂に許容量を超えてしまう……。



関連コンテンツ




終末幻想 アーモロート



さあ、終末のアーモロートに案内しよう……


種別:1〜4人用インスタンスダンジョン(ID)
レベル:80
必要平均アイテムレベル(IL):410〜(440を超えた場合、装備の性能が適正レベルにシンクされる)
BGM:死の刻 ~終末幻想 アーモロート~


パッチ5.0のラストダンジョン。
前述した幻影のアーモロートにて、エメトセルクがプレイヤー達への審判として再現した「かつての星の終末」。
このIDではエメトセルクのナレーションと共に進んでいき、終末の災厄がいかに恐ろしいものであったのかが描写されている。


星の理は、唐突に乱れ、ほつれていく……
創世に用いられてきた術もまた、暴走して獣を生んだ……
祈りが蛮神を生むように……人の恐怖が、獣に転じる……

迫りくる最後の獣を見て、人はついに思い知る……
途方もない犠牲を払わねば、もはや星は救えない、と


ストーリー上では非常に盛り上がるIDでその点での人気は高いのだが、一方で周回が恐ろしく面倒なことでも有名
理由は主にふたつあり、ひとつはILシンクの低さ。FF14では基本的にILが上がっていけば「ILの暴力」と言われるほど過去IDの攻略が楽になるのだが、それがILシンクによってダンジョンの適正レベルにシンクされた結果、どれだけ装備が強くなろうが意味がなくなる

もうひとつは、単純に道中・ボス共にギミックが厄介な点。例えば道中では通常と違い、タンク役が取った敵視を無視してPTメンバーを攻撃してくる敵がいるため、それに気付かないと知らないうちに戦闘不能になっていた……なんてこともある。
ボスも連続したギミックが多く、特に1ボスの隕石ギミックは冷静に対処できないと全滅の可能性すらありうる。

様々なボーナスが貰えるが対象ダンジョンからランダムで選ばれるコンテンツルーレットでは間違いなくハズレ枠とされる。
もっとも6.x現在では多くの人が通うエキスパートルーレットから外れていることもあり、そこまで遭遇率は高くない。ストーリー中は多少の苦戦も盛り上がりと思って楽しんだ方がいいかもしれない。
なお、このIDで入手可能なレアミニオンは、ストーリーの端々で度々顔を出しておりマーケットボード*22でも高額取引されているハシビロコウである……。



ハーデス討滅戦


種別:1〜8人用討滅戦
レベル:80
必要平均IL:410〜
BGM:影をもたらす者 ~ハーデス前哨戦~、砕けぬ思い ~ハーデス討滅戦~


さあ、己に命ありと叫ぶなら、私を倒してみせよ……!


パッチ5.0のラストを飾る討滅戦。
自らの真の名「ハーデス」を明かし、その全力を解放したエメトセルクとの最後の戦いとなる。
この戦いではエメトセルクは「転身」と呼ばれる肉体の変異によって人間体とは大きく異なる姿をしており、最古の魔導士らしく様々な魔法を用いて攻撃してくる。
前半戦では手に紫水晶から削り出したような巨大な杖を携え、その杖の意匠にはゾディアークを含んでいる。
更に左腕には赤い線が渦巻いているがこれは彼岸花がモチーフであるという説が強く、もしそうであれば彼岸花の代表的な花言葉は「悲しい思い出」である。

基本的に使用してくる攻撃は範囲、マーカー付き範囲、タンクへの強攻撃、頭割り……とほとんどが一度は見た攻撃なので、未予習初見であってもそこまで難易度は高くない。
終盤は小細工一切なしで全力の全体攻撃を繰り返す上に時間制限が発生するため、兎に角ヒーラーはサポートに徹する必要がある。
落ち着いて今までの経験を活かせばちゃんと一度の制限時間内でクリア可能な討滅戦となっている。神龍の悲劇は繰り返されなかった。

今までの討滅戦以上に演出が凝っているのも特徴で、特に終盤での「光の解放」を絡めた演出は非常にカッコいい。
この討滅戦からプレイヤー以外のメンバーは「統合されていない鏡像世界から召喚される」ということになっているので、開始演出も見応えのあるものとなっている。
だから初見募集なのにカエルとかニワトリとかナマズオで行くなよ絶対だぞ。CFでの募集で当たった場合はまあ……諦めよう。初見であればドレスコード指定での募集が没入感を高める上でもいいだろう。

音楽面でも漆黒のメインテーマである「Shadowbringers」のアレンジである「影をもたらす者」から始まり、後半の「砕けぬ思い」に至るまでバトルをしっかりと盛り上げてくれる。その重厚なサウンドはまさに「漆黒のヴィランズ」というタイトルにふさわしいものだろう。



極ハーデス討滅戦


種別:1〜8人用討滅戦
レベル:80
必要平均IL:450〜
BGM:影をもたらす者 ~ハーデス前哨戦~、砕けぬ思い ~ハーデス討滅戦~


全力で来い……! 私もまた、在るべき姿で迎え撃ってやろう……!


討滅戦のエンドコンテンツ版である「極」のハーデス戦。
ノーマルでは大まかに前半、後半だったフェーズが大幅に増えており、特にこれまでに登場したアシエン・ナプリアレス、イゲオルム、ラハブレア、イゲオルムとラハブレアの融合体であるプライムの幻影と戦う、通称「アシエン(もしくは影)フェーズ」が特徴。
特にランダムギミックや各ロール毎に異なる処理を要求されるデバフなど、覚えることが結構多い。過去のレイドで使われたギミックも多いので、レイド経験豊富であればその分覚えは早いかもしれない。

ノーマル時点でも見応え十分だった演出は更に豪華になり、ハーデスの台詞も増えている。
報酬武器の名前はいずれも、ギリシャ語において「憎悪」「羨望」「驚愕」などの様々な感情を意味する名詞となっている。ダークなエフェクトのかかったイメージ通りのものが多いので、エメトセルクやハーデスに思い入れのある人は是非チャレンジしてもらいたい。
また、他の多くの極コンテンツと同様、クリア報酬として稀に「笛」と呼ばれるマウント修得アイテムや、特殊なエフェクト付き武器や調度品の素材となるアイテムが手に入る。
その素材「ハーデスの結晶片」は、説明文によると、ハーデスの想いが封じ込められたものとのこと。





記録:楽園の蹟



遠い遠い、遥か過去の時代。
その星は「人」の楽園でした。

翳りを知らず。喪失を知らず。理不尽を知らず。

「人」は、永遠にも似た寿命を持ち、
穏やかに生きていたのです。


ソーシャルゲームアプリ『NieR Reincarnation』のコラボイベント「記録:楽園の蹟」の主役にまさかの抜擢。
曰く、『NieR』側から「是非ハーデス(エメトセルク)で」というオファーがあり、FF14のP兼Dを務める吉田氏がシナリオライターの石川夏子女史を呼び出したという。
ちょうど「暁月」が一段落したタイミングで呼び出されたため、石川女史としては「何かをやらかした」という心当たりがあったらしく気が気でなかったそうだが
同イベントシナリオでは、エメトセルクにとっての楽園であったアーモロートが崩壊し世界が分断された後の顛末が掘り下げられている。


ハイデリンとゾディアークの死闘の後、発生した分断の瞬間をラハブレア、エリディブスと共に力を合わせ辛うじてやり過ごして生き残ってしまったエメトセルク。

ここからが、全てを喪った彼の地獄の始まりであった。
生き残った彼らが見たものは、あるべき形を見失った生命達だった。
文明も、言葉も、知性すら失い、か弱く矮小になってしまった人間を「なりそこない」と嘆き、卑下するようになってしまった。

こんな結末は認められない

そうして動き始めた、霊災を用いた世界の統合計画。
10年、100年、1000年と計画が粛々と進められる中で、「なりそこない」達は文化を築き、新たな言葉と神を見出した。
それはエメトセルクにとっては悍ましいことであり、魔法をうまく扱えず、弱く、脆く、愚昧で、狭量で、儚い命を持つ彼らはまさしく「古代人のなりそこない」であった。
そんなものが自分達に取って代わろうとしていることは、いつどんな時もとても悍ましく、哀しいことだった。

エメトセルクはそれでも生きてしまった。
楽園を取り戻す為に、長い長い時を戦い続けてしまった。
必要とあれば「なりそこない」に紛れ込み、別の名と仮面を被り仮初の人生を演じてしまった。
いつしか背中は草臥れたように丸まり、顔は疲れ切っていた。
そんな彼の目に留まるのは、妖精郷イル・メグへ逃げ込まんとする「なりそこない」--―即ち、プレイヤーの一団。
同時に、魂を見抜く眼でもって嘗ての友人と同じ色の魂を見出す。
しかし、楽園の名残を見つけても寂しさを感じる事も期待を持つ事も無くなる程に、重荷を放り出す事も出来ないまま彼は擦り切れてしまっていた。
寂しさを感じる事も、期待を持つことも、もうそんな事はとっくにやり尽くしていた。
文字通り数え切れないほどに重ねた失望、オリジナル・アシエン2人の変質、そして元々の性格が災いし、唯一アシエンの悲願を正しく記憶していた彼も精神面が限界を迎えつつあった。
それ故に、ただ粛々とその事実を計画に組み込んでいた。捨てきれない願いを、微かな余地として残しながら。
その先に、漸く重荷を託す相手を見つける事になるとは知らないままに。


なお同イベントでは、イベント報酬武器として『FF14』側では極ハーデス討滅戦でドロップする素材を使って製作する武器の1つ『ミソス』が登場。
それにともないウェポンストーリーも実装されたが、そこに記されていたのはあまりにも重たい内容の極ハーデス武器の名前の真相とそれが生み出された理由であった。

時は心を摩耗させ、どれほど強く願った想いも心焦がす想いもその形を失っていく。故に「彼」は想いを形とした。
魔法は強き想いを以て現象を引き起こす。しかし激しすぎる想いは心を疲弊させると考えて、使命を果たす為に、いざというときのために幾つかの感情を切り離した。
「彼」は己の心を護るために長い時間を眠りに費やし、目覚めると決まって蜃気楼の如き街を歩き、取り戻すべきものを思い出し、憎悪の象徴たる剣に指を滑らせその深さを再確認した。
そして、破れた「彼」は己の誇りにして魔法の源たる想いの幾つかを手放した。前に進む者にこそ必要な力であると信じて。
つまり『ミソス』を始めとした彼の残滓から作り出される武器は、己のパーソナリティを護るために生み出されたものであると同時に彼からの一種のエールだったのである。





余談




・漆黒三大沼

登場当初こそ「また胡散臭いおっさんが出てきた」「はいはいアシエンアシエン」「もうアシエンはお腹いっぱいです」と酷評されたエメトセルク。
しかしパッチ5.0をプレイするや否や、ほとんどのヒカセンが手のひらを返した。ヒカセンの手首は球体関節
そのアシエンらしからぬフランクな態度、プレイヤーと共に旅するという展開、そして背負った重すぎる使命とプレイヤーへの秘められた想い……など、様々な要素が見事に絡み合った結果、FF14キャラクターの中でも屈指の人気を獲得。
同じく5.0で大きな役割を果たした水晶公、闇の戦士アルバートと合わせ、誰が呼んだか漆黒三大沼
『漆黒のヴィランズ』はFF14の転換点とも言えるほどの大きな功績をもたらしたが、その成功は彼の存在なくしてはありえなかっただろう。


・FF大投票6位の男

NHKで行われた『全ファイナルファンタジー大投票』。総投票数46万票以上にも上る大企画だが、なんとそのキャラクター部門においてエメトセルクは数ある人気キャラクターをごぼう抜きにして6位という順位を獲得。
ちなみに彼の上にいるキャラクターは、
1位:クラウド・ストライフ
2位:ユウナ
3位:エアリス・ゲインズブール
4位:ビビ・オルニティア
5位:ジタン・トライバル
というそうそうたるメンツばかり。
他シリーズの主人公であるティーダライトニング、ヴィランとしてはあのセフィロスをも上回る順位となった
ぶっちゃけイケメンでもないオッサンの彼が何故そんなに人気なのかはFF14未プレイの人間にはさっぱり分からない上、存在そのものが重大なネタバレに等しいこのキャラクターについては多くのヒカセンも口をつぐんで「漆黒はいいぞ……」としか言えなくなっていた。漆黒はいいぞおじさん!?
未プレイの視聴者にとってはリアルに「なんだこのオッサン!?」状態だったのである。
その為、14プレイヤーによる悪ふざけの組織票なのではないかなどと勘繰られることになったが、ヒカセンにとっては本気の投票というなんともカオスな有様になった。その裏でふたばの組織票によって53位になった男が数年後に謎のブレイクをしようとは誰が予想できようか……
なお、本番組でナレーションを務めたフリーアナウンサーの松澤千晶女史は、「なぜエメトセルクはこんなに人気なんだろう?」と疑問を抱きFF14をプレイ開始。無事沼にハマって現在は立派なヒカセンになった

一応この結果は『漆黒』が当時では最新のFFコンテンツであったこと、『FF7リメイク』がまだ発売していなかったことなどから時期が違えばFF7勢の順位が変わっていたとも言われている。
だとしても驚異的な結果には違いなく、パッチ5.3配信前のタイミングでの投票結果だったため、パッチ6.1現在再度総選挙を行った場合は再び変動する可能性がある。

ちなみに彼のボスとしての姿であるハーデスはボス&召喚獣部門で3位という、これまた快挙と言える結果である。
作品部門でもFF14は5位に入賞し、「かつての伝説レベルのクソゲーがよもやここまで……」と感慨深くなったレガシーヒカセンもいた模様。


・FF総選挙1位の男

2022年にニコニコ動画で行われた『ファイナルファンタジーシリーズ35周年総選挙』。
総票数こそ11169票とNHKには及ばないものの、この記念すべき投票にてエメトセルクはキャラクター部門にて遂に1位を獲得した
所詮ローカルじゃないの? と思われるかもしれないが、これの凄いところはまさにニコニコというローカルで行われた人気投票だったという点。

何故かというと、この総選挙でのキャラクター部門2位はFF10のワッカ
……なんかもうこの時点で分かる人には分かるだろうが、この2022年という年はFF10、そしてワッカというキャラクターにとって飛躍の年だった。なぜかとはあえて語るまい。
言ってしまえばネットミームによって投票が荒らされる可能性が高いニコニコというアウェーで、それを正面からエメトセルクはキャラ人気だけで叩き潰したのである。おい、言葉を慎めよ……!
そのせいで一部のニコニコユーザーからは「悪いインターネットに打ち勝った英雄」という謎の栄誉を称えられることになった。

余談だが、またしても主催側にFF14の知識がない状態だったため「アシエン(14)」とかいう謎の表記がなされた結果、エメトセルク14歳の幻覚を見るヒカセンが続出した。罪深い男である……

・アシエンの設定変更

パッチ5.0までアシエンはプレイヤーにとって「悪の秘密組織」でしかなかった……というのは上記の通りだが、実は開発スタッフ的にも似たような扱いだった
そもそもアシエンの存在は根性版こと旧14から既に登場していたのだが、とにかくゲーム自体がアレな出来なので各種設定もふわっふわな状態。
たとえばアシエンの座の名前はFINAL FANTASY TACTICSFINAL FANTASY Xllの舞台である『イヴァリース』にかつて存在した『光の異形者』から取られている。これは単なる裏設定ではなく、実際に旧版の時点では関係があった……らしい。
「らしい」というのは結局その設定が新生するにあたってなかったことになった為。というかアシエン関係はマジで開発スタッフも頭を悩ます存在であり、現在の設定が決まったのもパッチ3.xの途中くらいだったとか。その為、4.0以前と以降では明らかにアシエンの描写が異なっている。
ラハブレアの爺さんもその煽りを受けてあんな中途半端な退場になったわけだが……果たして『万魔殿パンデモニウム』にて面目躍如となるか否か。
ついでにイゲオルムも設定変更の影響でとんでもない大ポカをやらかした事になってしまった


・年齢設定について
外見年齢は「クロックワーク・ソル」の説明文から逆算すると、劇中で見せた姿は推定33~42歳頃の可能性が高く、そこから更に逆算すると42歳頃には孫であるヴァリスを儲けた事になる。
なお、ミニオンであるクロックワーク・ソルは帝政9周年を記念したもので、属州にも配られた模様。
なんという金のかかった大規模な嫌がらせを…


・担当声優・高橋広樹

エメトセルクの担当声優は遊戯王デュエルモンスターズ城之内克也などでお馴染み、高橋広樹氏。
FF14においてはエメトセルク以外にも海賊・断罪党の首領であるヒルフィルを担当している。
飄々としたエメトセルクとは違ったドスの効いた声で、一度聞いただけでは中々同じ人とは分からない。声優ってすげー。





主なセリフ



「私は、ガレマール帝国の初代皇帝ソル。同時に、その他もろもろ戦乱呼ぶ国々の立役者……。しかして、その実態は……」
「『アシエン・エメトセルク』と申し上げる」
初めてプレイヤーと『暁』の前に姿を現し自己紹介。この時初めて、ソル帝=エメトセルクという事実が明かされた。大体予想はついてたけど。


「お・ま・え・が! 大罪喰いを倒してくれたものだから、光は大きく減退! 私たちの計画、全部パー!」
第一世界を統合する計画を邪魔してくれたプレイヤーに直接文句を言うエメトセルク。多くのヒカセンがその物言いに「ええ……(困惑)」となった。


「お前が聞く耳さえ持つことができたなら、私はいつでも、真実の淵から語りかける」
「 いつか来たる選択に向けて……不滅なる古き者、アシエンのみが知り得る理を、隠すことなく」
「……では、引き続きがんばれよ」
「見ている私が、退屈で寝ないくらいにはな」
クリスタルタワーの星見の間にて。
意味深なことを言っているように見えるが、
要は「情報を聞いてくるなら隠さず教えてやるぞ」とめちゃくちゃ遠回しに言っているだけ。
実際これ以降フィールドにNPCとして登場した際に話しかけて(聞いて)みると、
下記のように本編に関わるかなり重要な情報や割と個人的な想い出や愚痴
などを内包したヒントトーク*23を予告もなくさらっと語り出す。
この時点で後々判明する真面目さや律儀さが隠しきれていない。



「その眼前に地平が広がるならば、行って滅せよ、平らげよ! ……っと。ソルをやってたころは、こうしてよく旅したものだ」
「行く先々の国を征伐、そして征服。おお、げに偉大なる、我がガレマール帝国!」
ラケティカ大森林にて。彼がソル帝として人民を扇動していたことが改めて分かるワンシーン。


「ああ、そんなことか。私たちアシエンは、いわば水……肉体というのは、入れ替え可能な器にすぎない」
「そして、奪い取った肉体を、そのままの形で使う奴もいれば、再創造して、己の好きに作り変える奴もいる……」
「私は、仕事で変えざるを得ないタイミングがくるまでは、極力同じ容姿を使い続けるようにしているからな。この世界の『適当な誰か』を、使い慣れたソルに変えたわけだ」
「対して、器にほとんど調整をほどこさなかったのが、お前たちが殺したラハブレアだ」
「いやぁ……あれだけ姿かたちを変えると、普通、自己ってものが崩れてくるものなんだがな……よくやったもんだよ、あの爺さん」
ヒントトークでサラッと重要なことを教えてくれるエメトセルクその1。
ラハブレアが弱体化していたというフォロー事実と、アシエンの肉体に関するメカニズムについて。あとラハブレアを消滅させたのはトールダンであってプレイヤーではない。まあ白聖石持ってたらやってたけど。


「なら声をかけるな! さてはあれか? 沈黙に耐えられないタイプか。面倒な英雄様め……」
上記のヒントトークに出てくる選択肢で「特に聞きたいことはない」を選んだ際の反応。ヒカセンは話したがり。


「……あんな風に、抱き合って感動の再会を果たした奴らも、いずれは反目しあい、互いを裏切るかもしれない」
「なあ、そう思うだろう? お前たちときたら、いまだにそんなことの繰り返しだものな」
「いいか、アシエンは争いの種を撒く。なぜって、必要だからだ……争いは進化を促し、野望を生み、その果てに大抵だれかがやらかして、霊災が起きる……」
「しかし、私たちが撒いた種に、黒い感情を注いで育て、花を咲かせたのは……いつだって、お前たちだったよ」
ヤ・シュトラ救出後。
一見ひねくれた物言いだが、1万年もの間人類を見続けてきた彼だからこそ重みのある言葉と言えるだろう。


「ふむ、今は私だけだ。別に複数で押しかけちゃならない決まりもないんだが、最近は人員不足で空位の『座』も多くてな……おお世知辛い」
「私たちの活動に、堅苦しい決まりはない。最初のころは世界ごとに担当がしっかりあったんだが、まー……はりきったイゲオルムが、やりすぎたからなぁ……」
「昨今では、必要に応じて手を組むし、ひとりでコツコツやりたければそれで……という気風だ。お前のところにだって、ペアで現れた奴もいただろう?」
「ああ、ペアといえば……長らく第一世界で活動していたのは、ミトロンとアログリフという、仲のいいふたりだった」
「結果、そろって100年前の『光の戦士たち』にやられたけどな。まあ、どちらも転生組だから、やろうと思えば替えがきくわけだが……」
サラリとヒントトークで重要なことを教えてくれるエメトセルクその2。プレイヤーの「第一世界に他のアシエンはいるのか?」という質問に対する答え。
意外と世知辛いアシエンの内情なのであった。しかしここでサラッと出てきたミトロンとアログリフは、別の場面で……


「あの洞窟でも言っただろう。私たちオリジナルのアシエンは、わかたれる前の世界の『人』だ。そしてゾディアークは、私たちに創られた存在である、とな」
「現代の人は、神降ろしをしたり、蛮神のエネルギーを身に受けることで、強制的な同調……テンパード状態になるだろう?」
「実のところ、私たちにも、同じことは起きている。精神への干渉こそ、いくらかは防げるが、あれほどの存在を顕現させれば、どうしても引っ張られるのさ」
「結果、アシエンはゾディアークの有する力……『闇』とも呼ばれる、活性と激化の力に寄った存在に、ならざるを得なかったわけだ」
「そんな我々の、たゆまぬ活動のせいもあってか、闇と悪を同義に語る者も少なくない……が、それは実に無知で愚かな判断だと言えるだろう」
「……以上、こんなところでサラリと大事な話をする、私、アシエン・エメトセルクなのだった……」
サラリと以下略。ゾディアークとアシエンの関係を問うプレイヤーへの答え。
ちなみに太字の部分は、FF14のイベントにて高橋広樹氏による生アフレコが聴ける。


「ほほう、自意識過剰だ引っ込んでろ……ということか。いいだろう、今回はちょうど、昼寝でもしながら留守を任されようと思っていたところだ」
上記のヒントトークで「聞きたいことはない」を選んだ場合。別にそこまで言ってないが?


「敵対していると厄介なだけだが、こうして内側から見るとよく分かる……」
「お前たちは確かに善良だ。誰かが頑張れば救われるというときに、その『誰か』になれる」
「だが、そんな傑物でさえ、この一瞬、目の前のものを救おうとするだけとは……」
「矮小にして狭窄、限定的で刹那的。ひ弱で短命な生物では、やはりそこが限界か?」
『暁』を傑物と評しながらも、物事をマクロな視点ではなくミクロな視点で見ていると指摘するエメトセルク。
現生人類からすれば不滅なるアシエンならではの見方だろう、と突っ込みたくもなるが……


「違う、特別なのは私の方じゃない!」
「……昔は誰だって、永遠に近い時を生きていた。お前たちが、それを捨てたまま歩んできただけだ」
その指摘に対してのエメトセルクの反論。アシエンが特別なのではなく、現代の人こそがおかしいのだという決定的な価値観のズレ。
このセリフは普段の飄々とした態度から一転して真剣な声色で語られており、言った後のバツの悪そうな表情からも、この時点での彼の数少ない本音と言えるだろう。


「ああ、そのことか……その話をするなら、恐らくお前たちがしているであろう、勘違いを正すところからだな……」
「エリディブス、ラハブレア、イゲオルム、ナプリアレス……それらアシエンの名は、いわゆる『本名』ではない。とある職責を司る『座』の名前だ」
「とすれば、当然、別人が継承することもできる。これだけ長く活動していれば、当然脱落した奴もいるが、そのときは、誰かをその『座』に就ければいいという話だ」
「それが顕著なのが転生組だな。彼らは……彼らのもととなった人物は、ハイデリンの一撃で、魂ごと14に分断されてしまった……」
「努めてポジティブに言えば、14人の候補が誕生したわけだ。それの中からいずれかを、私たちオリジナルが引き上げ、使命と力を取り戻させて『座』に就ける」
「まあ、縁も由来もない奴を就任させることもできなくはないが、ゾディアークの召喚者たる我々は、魂すら奴に侵食されている。……最初から染まった魂の方が、失敗しないというわけだ」
サラ以下略。オリジナルと転生組のアシエンについての回答。
なお、ここでエメトセルクの本名について聞くこともできるが、ここでははぐらかされてしまう。


「どうあっても意見が異なる……いくら話しても納得できない……そんな相手との決着のつけ方を、知ってるか?」
「簡単なのは、力で打ちのめして、相手の主張を葬ることだ。アラグでもガレマールでも、結局大勢はそれを支持したし、事実、手っ取り早く繁栄をもたらした」
「一方、戦いの末に、勝者の願いが優先されることになっても、敗者もまた尊重され、ある種の和解に至ることがある」
「そういう決着にもっていくのは、とても難しい……。勝者が敗者を見下さず、憐れまず、敗者が勝者を仇としない。その両方が必要だからだ」
享楽都市ユールモアでの戦いのあと、改心して働き始めたユールモアの住民たちを見て。
多くの国を見てきた彼ならではの為政者としての物言い。見方によっては「たとえ最終的に戦うことになっても分かりあうことはできる」という考え方でもある。


「しかしまあ、にぎやかなことだ……。同志が集うと活気づくのは、私たちの時代から変わらないな」
「なんだ、アシエンや古代人には、血も涙もないと思ったか?」
「心外だ、お前たちが持ち得る感情を、私たちが有していないわけがないだろう!」
「……普通にいたさ。太古の昔、真なる世界に……家族も、友も、恋人だって」
「いい世界だったんだ、穏やかで朗らかで……。真なる人は頑強な魂を持ち、ほとんど永遠の時を生きられた」
「だから、余裕のなさから生じる、さもしい争いをしなかった。ときに異なる意見を持ったとしても、同じ分だけ認め合えた」
「アーモロートの街並みは壮麗で美しく、高い塔の更に上、遥かな空から日差しと風が注いでいた」
「……なんて。言ったところで、思い出すわけもないか」
活気付く第一世界の住民たちを見ながら、真なる世界を回想するエメトセルク。
彼がかつての世界にどれほど思い入れを持っているのかを表すシーン。同時に、古代からの魂の欠片を持つプレイヤーへの期待と諦念がうかがえる。
なお、ここでエメトセルクは古代世界の一般論を語っただけで別に彼に恋人がいたとかではない。多分アゼムとヒュトロダエウスのせいで恋人とか作ってるヒマなかったと思われる。


「残念だ……本当に……心底失望した」
「お前なら、すべての光を取り込んでも平気かもしれない……そう思っていたのに、なんだそのザマは? 化け物になりかけているじゃないか」
「それじゃ、交渉する価値もない。今の『なりそこない』の人類には、その程度が限界か」
ヴァウスリーの討滅後、光を抑えきれず暴走し始めたプレイヤーを見て。
いかに分割された欠片といえど、アゼムの魂を持つプレイヤーに本当に期待をしていたことが窺い知れる。だからこそ、それが期待外れに終わったことは彼にとっては現生人類に見切りをつける大きな理由となったのだろう。


「我が手が掴む、この星の未来を!」
「友の祈りよ、明日への希望よ、翼とならん!」
ハーデス討滅戦でのセリフ。主人公かな?








……ふと思ったのだが。
きちんと項目を立てて、「ある」ってことは示したんだ。そして私は追記・修正できるわけじゃない。つまり、始終連れ立って編集画面にいるのは無意味な行為と言える
加えて本音を言うと……早々で申し訳ないが面倒になってきた。ROM専によさそうな項目に移動したい、うんそうしよう。
……ではまた、後ほど。

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最終更新:2024年04月09日 09:48

*1 作中に登場する国家『ガレマール帝国』の主要民族

*2 ガレマール帝国における皇帝を示すミドルネーム

*3 作中で万物の根源とされるエネルギー。体内のエーテルを外界に放出することが「魔法」の基礎的な考え方である

*4 油のようによく燃える『青燐水』と呼ばれる天然資源を利用した発動機。要するにエンジン

*5 作中でのドマ周辺

*6 禁術と呼ばれる転移魔法。通常のテレポとは違い、術者と対象者が大地を巡るエーテルの流れである「地脈」の中に行き先を指定せずにエーテル体として飛び込んでいる為、運よく地上付近を流れる地脈を通過して打ち上げられるか、何らかの手段で地脈からサルベージされない限り肉体をエーテルに変換したまま戻れない可能性が高く、長時間救出されずにいるとエーテルに完全に溶け込んで手遅れとなってしまう危険性もあるため禁術とされている

*7 更に「地脈の揺らぎは1度感じたが、2度目は感じていない。恐らく入ったまま出てこれていないんじゃないか」と彼女の状況を正確に推測していた

*8 本編の約5000年ほど前に栄えた超大国。特に技術力に関しては現代の遥か先を行っている。またアラグか!!因みにアラグ帝国自体もガレマール帝国と同じく霊災を引き起こすための手駒としてエメトセルクの暗躍によって作り上げられた国であり、最終的にはアシエンの期待通り内乱の末第四霊災を引き起こして滅びている

*9 鏡像世界が特定の属性に偏りすぎた結果、属性の力の暴走によって滅びる現象

*10 光の氾濫の影響により、生物の体内エーテルが光属性に偏った結果として生まれたモンスター『罪喰い』の上位個体。倒してもその相手に取り憑いて新たな大罪喰いとなるため、『光の加護』を持つプレイヤーにしか討伐ができない

*11 この時の銃は、レベル61以上で参加可能なインスタンスダンジョン「漂流海域 セイレーン海」で入手できる「ゴーストバーク・リボルバー」と同デザイン。なお、「ゴーストバーク」武器はレベル59以上で参加可能な「禁書回収 グブラ幻想図書館」で入手できる武器の色違いかつ染色可能バージョンで、図書館の方では「ガレアン・アンティークリボルバー」が手に入る。

*12 原初世界にも遺構はあったが度重なる霊災により殆ど失われてしまっており、一度も霊災を経験していない第一世界の海底には遺構がほぼそのままの形で残されていた

*13 FF14世界において、死者の魂は『星海』という場所で浄化され、また再び誰かの魂となる

*14 アシエンはいざとなれば魂の状態で逃げ延びることができる。それを封じる『白聖石』というアイテムもこの戦いで使われたのだが、戦いの最中に砕かれていた

*15 実際にプレイヤーに渡したのは前述した幻影のヒュトロダエウスだが、彼も「自分の意思か、自分を再現した「誰かさん」の遺志か分からない」と発言している。

*16 なお、メタ的な事を言ってしまうとコンテンツにおいて「プレイヤーはどっから仲間を集めてきた?」という疑問を解決する為の設定である。パッチ5.0以前は「冒険者部隊」という言い訳を使っていたのだが、別世界でまでそれはおかしいだろうということで設定された

*17 ガイウス・バエサルがガレマール帝国を離れる以前から開発が進められていたとされる兵器。一度は危険視したガイウスの手により開発中止に追い込まれ既に精製されていた分も破棄されていたが、彼がガレマール帝国を実質離反したパッチ2.1以降に開発・量産が再開され、それを知ったガイウスとその一派により製造プラントの破壊工作は進められていたが、当時戦況が帝国不利に傾きつつも膠着状態にあったギムリトダーク戦線に黒薔薇が投入され、同時期に第一世界が統合完了した事が第八霊災の引き金となった

*18 FF14世界の主要種族のひとつ。現実の人間にもっとも近く、成人男性でも精々2m行かない程度の身長が多い

*19 その理由は漆黒秘話で語られているが、前述のように生まれた長男に一瞬情が湧いてしまったことで創造魔法が無意識のうちに発動してしまったらしく、現生人類らしからぬ大柄な体格へと成長してしまったらしい。その様は現生人類の倍以上の背丈がある古代人≒同胞を連想させてしまうらしくエメトセルクにとっては生贄でしかない現生人類に情が湧いたという気の迷いを突きつける存在でしかなかった。実際「自分の何が気に入らないのか」とヴァリスに直接問われた際には「その図体」と吐き捨てている

*20 プレイヤーなど一部の人間が持つ異能。言語の壁、時間の壁、物質的な壁など様々な障害を超える力

*21 服を着せるシーンではフィンガースナップと同時に目を伏せており、彼なりに配慮した事がうかがえる。もし彼が服もサポートしていなかったらサンクレッドがたった1匹の相棒(現地調達したナッツイーター)で隠すつもりだったようである

*22 フリートライアル時は使用できないユーザー間のフリーマーケット

*23 カットシーンではなく、フィールドでNPCに話しかけることで聞けるセリフ