反射衛星砲

登録日:2022/08/20 Sat 23:10:00
更新日:2024/03/14 Thu 15:01:06
所要時間:約 3 分で読めます




「忘れたのかガンツ、我々の最新兵器」

「反射衛星砲だよ」



【概要】

反射衛星砲は、『宇宙戦艦ヤマト』に登場する架空の兵器。
ヤマトを絶体絶命に追い込んだ強力な兵器で、後の様々な日本SF作品にも多大な影響を与えるインパクトを残した。

シュルツが指揮する冥王星前線基地に配備された新兵器で、わずか一門の砲ながら強力な防衛兵器となっている。

反射衛星砲本体は、冥王星の海の深くに氷に閉ざされて隠されている。
その破壊力はシュルツいわく「波動砲を上回る」というが、劇中の描写から流石にそれは誇張すぎる表現と言うべきである。
しかし一発の命中でヤマトを中破、三発目まではなんとか耐えられたが四発目で戦闘続行不能なほどの大破状態に追い込んでいるため、少なくともガミラスの戦艦の砲撃をはるかに上回るほどの威力は有している。
ただし有効射程はあまり長くなく、せいぜい衛星軌道上までが限度で、かつ砲の射界もあまり広くない。

だが、この兵器の真骨頂は砲単独ではなく、冥王星の衛星軌道に多数配置された静止衛星に仕込まれた反射板に砲本体から発射した光線を反射させることを繰り返すことで、冥王星のどこにいる敵も正確に射撃できる恐ろしさにある。
ヤマトもこの点に最初気づけずに連続攻撃を受けてしまい、あわや撃沈寸前まで追い込まれた。
弱点としては、
  • 衛星の反射板が開いたら「撃ってくるぞ」という合図になってしまう
  • 屈折させる光線という前提なために水面に当たると光線が跳ね返ってしまって水中の敵には無力
といった点がある。
それでも反射衛星砲本体は氷の海深く隠されており、敵が直接攻撃することは困難。反射衛星も普段は無害な静止衛星にしか見えないのもやっかいなところ。

本来ならば冥王星に向かって特攻同然の攻撃を仕掛けてくるかもしれない地球艦隊への防衛策として配備されたと思われる。
もし地球艦隊が決死の突撃でガミラス艦隊を突破して基地に肉薄しようとしたとしても、反射衛星砲で狙撃されて全滅したであろうことは想像に難くない。


【活躍】

冥王星にヤマトが接近してきた際に、基地司令官シュルツが使用を決断する。
まず彼はガミラス艦隊と超大型ミサイルを使って、ヤマトがそれを突破してくるように陽動をかけた。
もっとも、この時ヤマトは冥王星基地破壊を目標としていたため、ヤマトは一直線に基地めがけて突進、願わずとも反射衛星砲の射程に入ってしまった。

第一射は直接砲撃でヤマトに命中、ヤマトは大きな損傷を受けて暴走状態に入ってしまう。
そのままヤマトは冥王星の裏に回り、冥王星の月にロケットアンカーを撃ち込んで停止に成功し、ここが死角になるだろうからと修理に入る。

だが、まだヤマトはそこがシュルツの手のひらの上だということを知らなかった。

「反射衛星砲はどこにいても使えるのだ」

衛星軌道上の反射衛星が開き、シュルツは「発射」の言葉とともに異形のスイッチを押す。
すると、発射された光線は衛星の反射板で跳ね返り(描写から、鏡で跳ね返すというより力場を作って屈折させているように見える)、冥王星の裏に隠れたヤマトに命中、ロケットアンカーも外れてしまったヤマトは冥王星の海に墜落してしまう。
そのまま第三射もヤマトの真上から命中、大破したヤマトはついに沈没。
しかしヤマトはそれでもギリギリ生き延びており、冥王星基地を直接破壊するべく特別攻撃隊を送り込んだ。
特別攻撃隊はヤマトに向かってわざと反射衛星砲を撃たせることで、余剰エネルギーの放出口となる排気口を発見して基地内に潜入、ヤマトもこの頃には反射板の仕組みを見抜いており、反射板が開くと同時に潜水して砲撃をやり過ごした。
その後、特別攻撃隊は基地内のトラップで仲間を失いながらも砲本体に時限爆弾を仕掛けて退避に成功。
しかし損傷で酸素供給機が破損して、もはや潜水の限界だったヤマトは浮上を余儀なくされ、ついに四発目の衛星砲を食らってしまい、後が無くなってしまう。

その時、ついに時限爆弾が炸裂、砲の爆発のエネルギーで氷が溶けて冥王星基地も完全に水没、壊滅する。


〔その後〕

「冥王星で見たガミラスの反射衛星砲にヒントを得て」
「密かに開発しておいた空間磁力メッキが役に立ったよ」

最終回において、おなじみヤマトの工作班長・真田志郎が反射衛星砲から着想を得て防御兵器「空間磁力メッキ」を開発&実装していたことが判明。
この空間磁力メッキ、ひとたび起動させれば波動砲級のエネルギーさえも跳ね返すという圧倒的な防御性能を誇っており、更に反射したエネルギーを敵に当てることができれば攻防一体の兵器としても機能するという優れ物。
地球への帰路を急ぐヤマトを追撃してきたデスラー艦から放たれた決戦兵器「デスラー砲」のエネルギーを跳ね返し、逆にデスラー艦を撃破するという、逆転の大戦果を挙げた。

なお、上記の台詞の通り真田さんはこの強力な防御兵器を秘密裏に開発していたため、島を初めとした他の船員たちは存在すら知らなかった。
実用テスト無しの一発勝負で空間磁力メッキは完全に機能したことになり、真田さんの技術力の高さを物語るエピソードとなっている。
……というか、ストーリー展開的に完成したのはガミラスを滅ぼした後、イスカンダルから帰る途中のどこかのタイミングであるはずであり、本来ならもう戦う敵も居なくなっているのに黙々とこの超兵器を開発していたことになる。限りなく真田さんの趣味の産物だったのではなかろうか。


【新反射衛星砲】

宇宙戦艦ヤマトⅢでは強化型の新反射衛星砲が登場。
バーナード星調査に訪れたヤマトに対して、ガルマン・ガミラス帝国軍のダゴン将軍が使用する。

変更点は、旧型では一門であった砲が、基地からエネルギーを無数にある中継センターの砲に供給することで、一撃の威力は落ちたが連射速度ははるかに上がっている。
また、反射板を衛星から反射板を搭載した航空機に変更することで、常に相手を反射板の包囲網に置いておけるようになっている。
この変更点によって、ヤマトはビームの雨に対して反射衛星砲の攻撃を思い出して反射衛星を探すが、戦闘機の反応しか見つけられずに困惑してしまう。

しかし探索に出撃したヤマト艦載機のコスモハウンドによって反射板搭載機が発見されてしまったことで形勢が逆転。反射板搭載機は非武装なのでコスモハウンドには歯が立たず、一機が撃墜されてしまう。
基地側はは急いで護衛戦闘機を発進させるが、ヤマトも対抗してコスモタイガーを発進させる。そして熾烈な空中戦の末、反射板搭載機は全機撃墜されてしまう。
反射板のタネが割れてしまえば怖くないという旧型の欠点はここでも現れてしまったといえるだろう。

一方で地上の中継センターは無数にあることで破壊しきれず、基地の防備も艦載機の攻撃や上陸作戦では攻略不能だと判断したヤマトは基地の直接攻撃を決断。
ダゴンは基地に接近してくるヤマトに対して中継センターから直接攻撃することで時間を稼ぎつつ、惑星破壊ミサイルでヤマトを爆破しようと企む。
だが、ミサイルの命中直前にヤマトの波動砲が火を噴き、新反射衛星砲ごとバーナード星基地は完全に消滅した。


【ゲーム作品】

PSゲーム「遥かなる星イスカンダル」でも登場。
豪華にムービー付きで、反射衛星が開くところから光線が屈折していくところまで当時最新のCGで惜しげなく再現している。
ヤマトは原作通りに大破して海底で息をひそめ、その間に白兵戦で基地を攻略することになる。
序盤のステージなので難度はまだそう高くはないが、最後の電撃トラップも即死罠として再現されているのでアナライザーを使って攻略しよう。
最後の爆破シーンまでムービー付きという優遇されっぷりである。

【ヤマト2199において】

第1作目のリメイク版である『宇宙戦艦ヤマト2199』でも登場。
ただし設定が改められ、冥王星基地にヤマトが近づきつつあることを知ったヴァルケ・シュルツが、咄嗟の思いつきで地球攻撃用の遊星爆弾の点火システムとして運用されていた「大口径長射程陽電子砲」を単体攻撃可能な兵器に転用したものとされた*1
そのため決戦兵器ではないが、ヤマトの波動防壁を貫通し一時行動不能に陥らせていることから威力は相当なもの。
命中精度も元々遊星爆弾に改造された小惑星を正確に照準・射撃するため相当高く、兵器として運用しても問題はなかったようである。
また、リメイクに際してビーム反射に使用する反射衛星も反射板そのものでビームを反射するのではなく、衛星のリフレクターが形成する反射フィールドによってビームを反射するというメカニズムに変更された。

第1作目同様ヤマトを冥王星の海に沈めることに成功するも、これは相手を油断させるためのフェイク。3発目が撃たれた段階で反射衛星砲の仕組みはヤマト側に見抜かれており、ビームが命中する寸前にヤマトのミサイルが反射衛星を破壊。更にヤマトの艦載機隊に砲台も発見され、艦載機隊から情報を受け取ったヤマトは当該座標に向けて三式弾を発射。
実体弾の曲射と言う(ガミラスのテクノロジーからすると)原始的な手段で死角の問題を解決して砲台を破壊し、艦を脅かす反射衛星砲と地球を苦しめた遊星爆弾を一挙に無力化することに成功した。


【後年のアニメ作品において】

監督があの人なのでたっぷりとヤマトをオマージュしたネタが出てくる中で、反射衛星砲も「バベルの光」という古代アトランティス文明の遺産として登場。
元々は恒星間通信システムであったが、その強大なエネルギーは兵器としても利用可能。
バベルの塔というレーザーシステムから垂直に発射されたビームを、衛星軌道上のしもべの星と呼ばれる人工衛星で屈折させて地上を攻撃する。しもべの星をふたつ使えば地球上のどこでも攻撃可能。
ガーゴイルが作らせたレプリカでも島ひとつ消し飛ばす威力を見せ、レッドノアに搭載されたものもN-ノーチラス号をおおいに苦しめた。


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最終更新:2024年03月14日 15:01

*1 後に語られた設定によると、これは第二次世界大戦中の北アフリカ戦線において、エルヴィン・ロンメルが8.8cm高射砲(いわゆる「アハトアハト」)を対戦車攻撃に転用したエピソードのオマージュとのこと。