ジオン・ズム・ダイクン

登録日:2022/09/05 Mon 13:56:25
更新日:2024/01/14 Sun 10:17:52
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「父の死因となった心臓発作は、デギンが仕掛けたのは事実らしい。それを悟られぬために、デギンは公国制を敷いたとき、父の名前のジオンを、国の名前に使ったわけだ」

「宇宙移民者の独立主権を唱えた父は、宇宙の民をニュータイプのエリートだとしたところに、デギンのつけ込む隙があったのだな。宇宙移民者はエリートであるから地球に従う必要はない、という論法にすり替えられたのだよ……」


ジオン・ズム・ダイクンは、アニメ『機動戦士ガンダム』の回想を初出とした人物。シャア・アズナブルやセイラ・マスといった同作の中核を為したキャラの父親である。

CV:津田英三(THE ORIGIN) 長克巳(SDガンダム GGENERATION SPIRITS


【人物】

ジオニズムニュータイプ*1の提唱者であり、サイド3の独立運動の指導者。

元は地球連邦議会の議員でハト派の人物*2であり、コントリズム*3を提唱していたが、アースノイドの管理を大前提とする地球連邦政府には到底受け入れられないものだった。
この思想で連邦内でも孤立し、今のままでは自身の目的を叶えられないと自覚した。
よって宇宙世紀0052年にサイド3へ移住、翌年に同サイドの首相に就任し、
盟友であり、武闘派の政治家として知られたデギン・ソド・ザビと共にサイド3を拡大。
それから6年の歳月が過ぎた宇宙世紀0058年にサイド3が自給自足とある程度安定した環境を確立したことで、ここにジオン共和国を設立した。*4

同時にジオン国防隊を設立したが、ダイクンの思想やコロニー初の国家設立、しかもその国が軍隊(正確にはまだ軍ではない)を持つといった行為に及んだこと、
および共和国設立過程でデギンにより連邦のサイド3残留部隊が切り崩された経緯なども加わり、
地球連邦政府から非常に危険視され、「サイド3への経済制裁」「連邦軍の増強」「監視体制の強化」など様々な圧力を掛けられることになる。
またこれが、ジオン国民の連邦への悪感情をさらに増加させることにも繋がった。*5
また盟友であるデギンとも考え方の違いから対立*6することが多くなり、ダイクンは内外の軋轢に苦しむことになる。

(ただ、実はジオンが独立した0058当時、仮想敵である地球連邦には軍備がほぼなかった。特に宇宙軍は、0060からの「60年代軍備増強計画」で発足したほど*7で、ジオン国防軍発足より遅い。コロニーが百以上あり住民が90億もいるんだから、事故防止や救難のためにも、警備艇・警備隊ぐらいは相当規模あっただろうが……
 0064には「新型艦による観艦式」も行ったようだが、マゼランサラミスセイバーフィッシュなど本格的な宇宙軍戦力の配備は70年代からであった*8
 60年代の連邦の姿が全く描写されないため不明瞭な点は多いが、国防軍も擁するジオン共和国に対して、連邦が軍事力でどれほど圧力を掛けられたかは疑問符がつく)

それでも理想主義を捨てられずデギンを抑えながら連邦政府と交渉をして、自身が最初に提言した「コロニーを始めとする宇宙移民全体の自治権の確立」を目指していたが、
宇宙世紀0068年にて病死し、今際の際に指名されたと宣言したデギンが二代目首相に就任。
彼は後に共和国に公王制を敷き、やがてジオン公国*9として名や体制を変えることに繋がる。
結局一年戦争後は、ジオン共和国に名前が逆戻りしましたけど。

彼の死は公には病死とされているが、関係者にはデギンによる暗殺と見做す者もいた。
アニメ本編では断定されておらず、第38話でシャアが回想場面でジンバ・ラルが
「(病に倒れたジオンが)最期にデギンを指さしたのは自分の暗殺者がデギンだと言おうとした」
と話してたという、又聞きとしての暗殺説*10と、
「それは本当のことかもしれない」とセイラにシャアが告げる程度のあっさりしたものだったが、少なくとも息子は暗殺と信じ、ザビ家への復讐を誓うことになったのである。
後に「密会 アムロとララァ」*11では作中で暗殺と明言されていて、サンライズ公式設定としてはやはり暗殺というのがこの時に富野由悠季により確定した。。


ちなみにニュータイプ論を唱えたダイクンだが、小説版のセイラの話から彼はニュータイプではなく、
その可能性を信じた只の人間(俗に言うオールドタイプ)だったらしい。


【家族構成】

正妻:ローゼルシア・ダイクン
内妻:アストライア・トア・ダイクン
第一子:キャスバル・レム・ダイクン
第二子:アルテイシア・ソム・ダイクン


【ジオニズム】




宇宙世紀0050年代にダイクンが提唱した思想。ジャイアニズムではない。
まずダイクンは先に記した「コントリズム」と地球環境の保全を図るべきとする「エレズム」を提唱していた。
そしてこの二つを統合したのがこの「ジオニズム」である。

一つ一つ解説していくと非常に長く複雑な内容になるので、端的に説明すると「全ての人類をニュータイプにすることで全人類を宇宙に上げ、地球の保全と再生を進める」というものだった。
つまり連邦からの独立や自治権、国家設立すら過程にすぎず、彼の究極的な目的は「全人類を宇宙に上げる」というものだったのである。*12
ここからも分かる通り、ダイクン自身はスペースノイドやアースノイドの軋轢等、欠片も望んでいない。大前提として地球連邦の高官だったダイクンが連邦との対立を望む筈もない。一見優遇されているように見える地球の「実情」を知っていれば尚のことである。
彼の主張は穏やかな生き方と地球の保全だったのだが、彼の死後にこの主張は(都合の良いように)どんどん捻じ曲げられ、一年戦争から続く長き宇宙戦争の中で名前ばかり一人歩きしていくことになる。

特に何の因果かダイクン自身すら曖昧に定義していたニュータイプ(と、思われた者たち)が一年戦争時期に多く現れ、しかもこの能力がダイクンが理想とした世界から最も掛け離れた環境である戦争にて頭角を示したことも、ニュータイプやジオニズムが曲解されることになった大きな要因の一つである。

このジオニズムを最も捻じ曲げ、利用したのが他でもないジオン公国である。
元々、地球連邦に対して悪感情を抱いていたジオン国民は「自分たちこそが、ダイクンが提唱した進化した人類『ニュータイプ』である」「地球連邦に与する連中は、進化に遅れた旧人類『オールドタイプ』であり、これらは絶滅させるべきである」*13と語り、それに対して「独善や傲慢が過ぎる」と反論しジオンを叩こうとしたのが、地球連邦である。
平和と平等、なによりも人類の未来のために提唱した思想が、長きに渡る闘争の発端となったのは、まさに人類の業としか言いようがないだろう……

ダイクンの長子であるシャアは「人類全てをニュータイプにする」という理想を掲げた。*14
そしてシャアが実際に起こした行動は、地球に巨大質量であるアクシズを落とすことで核の冬を起こし、地球を長い期間休眠させるというものである。
演説ではこの行動の目的は、今までの宇宙戦争において争点となった地球を人類が住めない星に改造することで金輪際戦争そのものを封印するという説明をしていた。
しかし、徳間版逆シャアでナナイの前で打ち明けた真実は、地球をただの星のひとつだと思っているような世代がスペースノイドの中に多くなってしまったことによる無関心さが地球連邦政府を独善的にさせているとシャアは感じていたので、その対策としてスペースノイドに地球という存在を思い出させるというのが真の狙いだったのである。

少なくともシャアは一年戦争終盤から「アースノイド絶滅」を決めており、ネオジオン蜂起過程で思想が変化したわけではない。
劇場版のテキサスコロニーで実妹セイラ・マスの前ではっきりと「オールドタイプは殲滅するのだ」と語っており、「古きものの全てが悪しきものじゃないでしょう!」と諫められても考えを変えなかった。

最後に上記の台詞は、ジオンに属していた著名人物たちで、ジオニズム引いてはニュータイプという存在をどう思っていたかを端的に表した言葉である。
明確にダイクンの言葉やニュータイプという存在を戦争のために利用していたギレンは兎も角、
その他の人物は、ニュータイプ(強化人間)であるが故にニュータイプ、そして人類という存在に苦慮した加害者であり被害者とも云える者たちだろう……


機動戦士ガンダム(小説版)

アニメ版の設定を補足しながらも、ストーリーラインはまったく異なることで有名な小説版だが、ダイクンに関してはほぼ立ち位置は変わらず、アニメの尺では行われなかったキャラクターの掘り下げが行われた。
アニメ作中では、ギレンやシャアの回想で登場するダイクンに関して、ギレンは彼を酷評して思想もジオン公国を動かすために利用していたと言っていたが、小説では「若き革新家」「二枚目であって情熱家」「若い女性に一目ぼれさせる」させると語り、同時に父デギンと同じくダイクンもまたギレンにとって尊敬し憧れた存在でもあった模様。
ただこれもギレンが若い時だった評価で、後年にはダイクンは政治的には優れた存在ではなかったと考えを改め、
最終的には「ジオン・ダイクンの死は当たり前のものではなかったのではないか」*15
と言われてしまった*16
また、ギレンの回想と言う形ながらも、ジオンの生前の演説・論文も触れられている。


【機動戦士ガンダムTHE ORIGIN】

アニメ版、小説版とも異なるパラレル設定であるORIGINでは、それに倣って、ダイクンも、髪や髭が白髪(原作の第38話で確認できる)から黒っぽくなり、ギレンとさほど変わらない老人からやや若そうな容姿へと設定変更されている。
パラレルということでORIGIN独特のかなり違った設定がなされ、宇宙移民から希望の象徴と見なされていたのは同様だが、本人の人格は、極めて独善的かつ好戦的である。
原作の「ダイクン→理想を追い求めた、デギン→現実のために夢を曲げた」という相対的な描写は同じだが「追い求める」「夢を曲げる」の解釈が旧作と異なり、
「理想」である独立と自治権取得のために地球連邦との徹底抗戦を唱え、軍を増強するという武闘派。
旧作のデギンですらここまでのタカ派ではなく、地球連邦と適当なところで手を打とうと交渉に当たったりしていたので、どちらかというとギレンより。
劇中では時系列的にギレンの方がダイクンに似ていることにされ、デギン曰く「ダイクンの無念があれに乗り移った」とのこと。*17
さらには自身の子であるキャスバル(シャア)の誕生を大々的に喧伝したり、自分の存在をイエス・キリストに喩えるといった狂信的かつ選民思想的な部分もある。
このような人物だったからか、正妻であるローゼルシアやアストライアとも家庭間の問題が絶えなかった模様。
特にアストライアは夫の奇行とも言える言動にかなり心を痛めていたらしく、演説の草稿について深夜に声高に主張する彼を、長男であるキャスバルは寝たふりをしながらかなり冷ややかな目で見ていた。

そしてORIGINにおけるダイクンの死は原作者である安彦良和氏曰く「ただ死んだだけ」で、暗殺されたとは確定していない。
元々はザビ家が連邦を貶めるために、ダイクンの死を「暗殺」と民衆に広めたのである。
結局キシリアがダイクン家をジンバ・ラルに奪われたため、そのまま暗殺の濡れ衣を着せたが、今度はそのジンバ・ラルが「ザビ家こそがダイクンを暗殺した」とキャスバルに刷り込んだため(あるいはそう思いこみ)、復讐を誓ったという流れである。

ただし、キャスバルの復讐の最大の動機は母の不遇な死の方であり、ジオン内の派閥争いに関しては二の次と安彦氏は語っている。*18
この辺りの描写変更の大きな理由の一つは「ザビ家を「悪役」として描かない為」ともしている。

こうなると、後の世に続くシャアの行動の動機付けの解釈が大きく変わる。*19

【宇宙島のガルマくん】

機動戦士ガンダムさん』で連載されていたお話。
「ザビ家一同が下町の労働者一家」という強烈な出だしだったのだが、スターシステム的なものではなくTV本編のパラレル前日談(当然正史ではない)でガルマが幼稚園時代のサイド3が舞台。
そこでダイクンは労働者の組合のリーダーをやっていたデギンの元に労働者票集めのため訪ねてくる(そんなに大物でもない)政治家として登場。

デギンは政治のことはよくわからなかったものの、ギレンは彼との出会いをきっかけに政治家の能力に覚醒しダイクンに協力。ギレン以外のザビ家の人たちも次第にダイクンの側近になり、
そしてダイクンの宇宙移民党はサイド3の第一党、ダイクンも首相になる(デギンも少し前に推され議員になっていった)という本人が驚くほどの大出世を遂げる。
だが、急激に多忙になって家にほどんど戻れなかったギレン達がガルマの誕生日にだけは予定を開けていたところ、当日帰宅したギレンの元に「ダイクンが倒れた」との連絡が入り…

【外部出演】


第4次スーパーロボット大戦

原作外の作品であり、本人も登場しないのだが、クワトロの口からどういった人物だったのかが語られる。
なんでも、この世界線のダイクンは原作よりもはるかに長生きしていたらしく、あのビアン・ゾルダークの右腕であり、DCの思想的な支えになっていたという。
彼の思想は「来るべき宇宙からの脅威に備えて人々が自らの意識を革新すべき」というものであり、ビアンの強硬策には最後まで反対していたがザビ家の手により*20凶弾に倒れ、
DCにとってストッパーになっていたダイクンを失った結果、ザビ家の後押しによって起きてしまったのがDC戦争であり、その後DCは再興する度にどんどんダイクンの思想とは程遠いものになってしまったとシャアは明かしている。
そして、ブレックスが暗殺されたルートだとシャアは「そのまま思想を受け継ぐつもりはない」としつつも共鳴できる部分はあったとして演説を行うのであった。でもEDでやっぱり姿を消す
しかし、旧シリーズ開始直前ぐらいまでは長生きしていたように見えるのによく息子のキャスバルの顔がDC内で出回ってなかったものである

【余談】

様々な媒体で描かれている人物であるが、同時にかなり解釈が違う書かれ方をする人物である。
原作ガンダムのアニメ劇中では、人物像や生前の活躍の情報はあまりなく、精々が聖者のように描かれる程度であった。


後のUC世界観では、原作と小説版の設定を折衷したような形で扱われることが多い。





追記、修正はニュータイプに至ってからお願いします。

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最終更新:2024年01月14日 10:17

*1 ダイクンの説くニュータイプの定義は、彼自身も具体像を思い描いてはいなかった。ただ曖昧ながら地球から離れた土地(異星や宇宙のコロニー)であっても独自の文化と生き方が出来る人類と定義していたらしい

*2 この「ハト派」とは、のちの盟友デギンとの対比の意味合いが強い。後述する彼の経歴・行動はハト派という言葉が寓意する穏健派とは言いがたく、さっさと議論を打ち切り議会を離れて、独立して連邦軍より早く軍備も整えるなど、過激派の臭いも強い。連邦内部の立ち位置を語るなら極左ということになるだろう。彼より遙かに「タカ派」なザビ家や息子がいるから、相対的にハト派に見えるだけである。

*3 コロニーの自治権獲得や独立国家の建設を目指す思想。

*4 規模や環境は違うが、木星開拓と国家樹立を成し遂げたクラックス・ドゥガチの先駆けとも云える

*5 元々コロニーの移民は貧民や敗戦国の民が多く、地球に住む者たちは特権階級の人間が多かったので(というのは宇宙移民者の誤解で、貧民層も当然いるのだが)、この立場の違いから両者の軋轢は根強いものがあった

*6 後の歴史でも度々ダイクン派とザビ派が登場するので、二人の思想の違いと対立は派閥の問題もあり、かなり根深かったようである

*7 しかもルナツーの軍事要塞化など、下準備と言ったところ。陸軍は先行して成立していたのか、61式戦車の配備が行われたが、逆に言うとジオン独立まで61式戦車もなかった。

*8 そのおかげで、0069年に公表されたミノフスキー粒子、およびこれを活用したミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉とメガ粒子砲が連邦軍艦にも採用された。

*9 当然デギンはデギン公国と名付けたかったが、宇宙移民者にとっては史上初の希望の星だったダイクンの影響力は絶大であり、結局共和国に続いてジオンの名が付けられた

*10 なお、このダイクンが死ぬ回想場面中でデギンが他ではつけていない大粒の宝石が付いた指輪を右手人差し指に嵌めていること、死亡タイミングが「指さされたデギンがダイクンの手を握った直後」であること、この時指輪の宝石が光って「ここに注目」と言わんばかりの描写があること、などから「(それまで毒を持ってたかどうかは別に)指輪に毒針か何かが仕込んでそれがとどめでは?」とする説もある。

*11 富野監督自ら「TV版、映画版の『機動戦士ガンダム』の原作であると評論されるようになるでしょう」とした小説

*12 といっても幾ら彼が理想家でもこの目的は飛躍が過ぎるので飽く迄、宇宙移民全体の自治権を得るまでの建前だったとも見られる。

*13 当然ダイクンはここまで言っていない。ジオンが勝手に自分たちを「進化した人類」と自称し、尚且つ実際に現れたニュータイプが超常的な力を発揮してしまったが故の曲解である。

*14 ただシャアはダイクンのニュータイプ論やジオニズムをスペースノイドの拠り所を作るための彼の方便であると見抜いており、実際小説の記述からその推察は正しい模様

*15 この文章だけだと分かりづらいが、要はダイクンは暗殺されて当然だったという意味である

*16 上述した通りダイクンは理想家過ぎる部分があり、共和国設立もデギンの武力と政治力が大きく貢献している

*17 デギンから見ればダイクンもコロニー落としのような蛮行をしかねない人物だったのだろうか…

*18 作中でもアストライアの死を聞かされた時点から表情、言動ともに大きく変化している

*19 キャスバル視点から見れば、母の死は父であるジオン・ダイクン、ザビ家、ローゼルシアと父とその周囲の人間が関わっているためか、ジンバ・ラルに毒の講釈を聞かされている時も興味なさそうな素振りをしていたりと、当時から父にはさほど執着していない。戦争になるのを承知した上でガルマを焚きつけて蜂起させたのも、脱出するレビルを見逃したのも、ザビ家への復讐を果たした後も戦い続けたのも、地球への贖罪など掲げていたお題目は全て建前で、父やザビ家含む愚かな民衆、すなわち宇宙世紀そのものへの復讐とも取れる。

*20 とは第4次作中では言われていないが、シャアは第3次で原作通りガルマを謀殺しているのでまず間違いないだろう。