SCP-3309

登録日:2022/09/22 Thu 01:30:00
更新日:2023/05/21 Sun 15:30:46
所要時間:約 22 分で読めます




SCP-3309とは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。

項目名は『薄れ、消え去る時、私達は何処へ行く』。

オブジェクトクラスKeter
なのだが、その後Thaumielに変更されている。
すなわち、財団の秘密兵器ということになる。

また、現在は明言されていないものの、このオブジェクトは 空想科学部門 原点ともいえる作品。
他の空想科学部門作品とのつながりは浅いが、それでもSCP-001の「S・アンドリュー・スワンの提言」を先に読んでおくと理解が深まりやすいだろう。

財団記録・保安管理局より通達


あなたが読もうとしているファイル、"SCP-3309"は多数の下層物語層が交差する、予測不可能な物語型異常存在です。この文書には複数の物語災害が含まれているため、対抗物語接種が必要です。対抗物語接種を受けていない職員は、物語改変を受ける可能性があります。
続行してもよろしいですか?


用語がいくつか出てきたが、1つずつ説明していくと

  • 下位物語層」とは、自分たちの世界を物語として見た時の、自分たちの世界から見て物語の中の世界のこと。ドラえもんやハリーポッターの世界が下位物語層にあたる。ちなみに、自分たちの世界の創作者がいる世界を「上位物語層」という。SCP財団の世界から見た上位物語層は我々の世界だ。
  • 物語災害」とは、シンプルにいうと物語の要素と伝達様式*1に影響を及ぼし、時には物語ごと破壊してしまうという異常性質のことである。SCP-2747は物語災害の1つである。
  • 物語改変」とは、そのまま物語が書き換えられることである。多くは上位物語層の作者が起こすが、SCP-3812のように、物語改変を起こすSCPオブジェクト(物語型異常存在)も存在する。
  • 対抗物語接種」とは、報告書内に明言は無いもののおそらく物語災害を予防するものだと思われる。


そういうわけで、普通にSCP-3309報告書を見てしまうとSCP-3309報告書の物語災害によって物語改変を受けてしまう。
そういうわけであなたにも対抗物語接種を受けてもらう。



時には遠く時が過ぎ去るまで私達が消え去る事はない。

私達は朽ち果て、朽ち果てて死骸のみとなった。そして最後に、色褪せるものは何も無い。それは忘れられている。思い出、希望、夢、私達は忘れ去られている。どのように、人々が彼らの思い、希望、夢を持つことが出来る事を知り得るのか。最初に何も存在しないなら、どうすれば忘れ去られる事が出来るのか。私たちは他人の心には存在しなくなるが、私達自身からは消えない。私達が死ぬまで、私達はそれと共に存在している。私達が平和に暮らせる方法があった事を忘れるまで。それこそが、真にそれが消え去る時だ。

薄れ、消えていく。


接種が完了しました。続行できます。



前置きが長くなってしまったが、ここから報告書を紐解いていこう。




概要

SCP-3309とは、財団が確認しているSCPオブジェクトSCP報告書勝手に消えていく現象である。
これまでにSCP-3309によって消えていったオブジェクトたちに関係性は無い。

「異常存在が消えてくれるのなら財団にとっては嬉しいじゃん!」と思うかもしれないが、SCP-3309で消えていくのはSCPオブジェクトとその報告書だけではなく、消えていくオブジェクトと接触したアノマリーの文書も含まれる。
だから、あるオブジェクトにおいて、それ自身はSCP-3309影響下にならなくとも、そのオブジェクトが別のSCP-3309で消滅したオブジェクトに関係していたら、その関係していたことを示す文書も消えてしまう。

現在、消えてしまった文書のうちなんと71%が、消失していない他のオブジェクトに関係しているとされており、これによって財団の収容ネットワークが弱体化。最悪の場合ADK-クラス全異常存在不安定化シナリオを引き起こすとされている。だからオブジェクトクラスもKeter。


ちなみに、SCP-3309には前兆がある。
SCP-3309が発生する24~39時間前、消えていくオブジェクトの報告書の一番下にとある文章が出現する。これをSCP-3309-1と指定する。

その内容がこちら。


あなたがこの記事の著者ではなく、この記事を改稿したいという場合は、この投稿に返信してこの記事を改稿する機会を求めることができます。著者の許可を得てください。


まあ、異常性自体は単純。「収容しているアノマリーが消えて、消える直前に文章が出現する。」

しかし、このSCP-3309-1の内容はどういうことなのだろうか。「著者」?「改稿」?
ピンときた方もいらっしゃるだろうが、種明かしはもう少し待っていただきたい。


補足資料Ⅰ. 倫理委員会裁判所(TS/3309/極秘)


君が来るのは墓石によって予言されていた。長い循環はほぼ完結している。


SCP-3309は、今では1ヶ月につき40ほどのアノマリーに影響を与えているのだが、なんと研究者たちはSCP-3309が発生するアノマリーのパターンを発見した。

  • 影響下にあるアノマリーは、過度な封じ込め手順(例えば、重いチタン合金で作られた収容室)が含まれていると記録されています。これは異常性質の誤解、またはそれを管理する専門家におおよそ適切ではないレベルを示します。
  • アノマリー自体は、K-クラス世界終焉シナリオを引き起こす程に強力です。 文書は、このアノマリーの正しい結果を説明する事に失敗し、封じ込め手順の特徴は、通常、1つ目の基準と一致します。
  • 記述された補遺を含むアノマリーの文書は、記述が不適切、または構成が不適切で、文法ミスや論理の破綻で満たされています


要するに、SCP-3309で消えていくアノマリーは、報告書がダメダメなのだ。

そこでSCP-3309研究チームは思いついた。


逆に、わざと報告書をダメダメにすれば自由にアノマリーを消せるのでは!?


もちろん、これは財団の理念「確保、収容、保護」に違反する。アノマリーを収容するのが財団の仕事であって、破壊したりするのはGOCの仕事である。
そういうわけで、SCP-3309を利用するか否かは倫理委員会特別裁判所で議論されることとなった。


結果は賛成 21 反対 20 棄権 2

ということでギリギリ可決。
このプロジェクトはプロジェクト・テーパードスピアと名付けられ、KeterだったオブジェクトクラスはThaumielに変更された。


補足資料Ⅱ. プロジェクト・テーパードスピア(TS/3309/極秘)


宝石の王は、駒にされた。


さっそく、プロジェクト・テーパードスピアの予備試験が開始された。

消滅させるオブジェクトは「SCP-4663」というもので、簡単に言うと時間とともに広がっていく沼地である。これによって砂漠だったところが潤ったりしているのだが、SCP-4463によって生成された水は生態系に悪いので無意味。
ちなみに、SCP-4463を止めなければ50年以内に北アメリカ大陸が水没する*2
よってSCP-4463はKeterクラスに指定されている。

さて、これの報告書をめちゃくちゃにしてみる。
「scp 4463-J」のようにわざと誤字脱字をしてみたり、「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」とか書いてみたり、無関係な画像を添付してみたりする。

ちなみに変えられた後の報告書は「SCP-4463-J」というジョークオブジェクトになっている。気になる方は調べてみていただきたい。


ちなみにその結果、SCP-4463は28時間以内に消滅、砂漠だった場所は砂漠に戻った。
アノマリーがまるでもとから無かったかのようになったのだ。



SCP-3309の正体


ここでSCP-3309の正体について説明していこう。

ピンと来た人もいると思うが、SCP-3309という現象はSCP本家wikiの低評価削除という仕組みのことである。

SCP本家wikiでは、ほとんどの場合は作品の右上に「評価モジュール」があり、高評価ボタン(+ボタン)と低評価ボタン(-ボタン)がある。

そして、「(高評価数) - (低評価数)」を計算した値を評価と呼ぶ。これも評価モジュールに書かれている。

SCPwikiの風潮として、「低評価はマナー違反ではない」というものがあるため、サイトメンバーが作品をつまらないと感じたら躊躇いなく低評価をする。

そして、SCP-3309のある英語版ではこの「評価」が-10以下になると、不人気な記事とみなされてサイトスタッフの削除投票を経て強制的に削除されてしまう。これが「低評価削除」である。

SCP-3309とは、投稿されたSCP報告書が低評価削除によって消えていく現象そのものである。S・アンドリュー・スワンの提言でも言及されている通り、SCPオブジェクトの本質はSCP報告書である。だからそれが消えれば対応するSCPオブジェクトも消える。

SCP-3309の対象になったSCPオブジェクトの報告書がダメダメだったのは、その作品の評価がとても低かったから。

SCP-3309-1とされていたあの文章は「削除投票の開始通知」であり、「低評価だからこの作品消すよ!」というスタッフからの忠告である。これがされてから、第三者による改稿要求がなく、スタッフ3名が削除に同意すれば記事は削除される。
(ちなみに日本語版では評価が-3以下の状態が72時間以上継続した場合に低評価削除される。そのため削除投票は存在せず、通知の文章にもSCP-3309-1の文章は含まない。)

先のSCP-4463のように、削除された作品はアーカイブをとられもせずに、まるで最初から無かったかのように扱われる。

そして、削除された作品はいつしか人々の記憶から薄れ、消えていく。



ここで、SCP-3309担当職員の1人、「アダム・スモールズ研究員」が残したメモがある。みていこう。


一度実験をするだけで大いにストレスを感じるとは。今朝初めて白髪を見た気がする

塵と消える — それはどういう感じなのだ? 病気と同じように私の感覚に負担をかけるのか? それとも、感覚が全て消え去ってしまうのか?

どうやらこの研究員は、SCP-3309で消えてしまったオブジェクトがどうなってしまうのかが気になってしまうらしい。
たしかに、死とはまた違う何かの感覚があるのだろうが。メモの続きを見ていこう。


何かが間違っている。

私は自分の事務室に閉じ籠った。私は麻痺している。これは私が望んでいたものでは無い
しかし、終焉は一人の男の欲望と必要性を気にしないだろう? ここにはもう、何も、何もない

しかし、私以外の誰もが、そのアノマリーに何が起こったのか忘れてしまったように思う。それは単純な事だったのか? 我々は単に忘れてしまったのか?


スモールズ研究員は考える。SCP-3309とは「アノマリーが消える」だけの現象なのだろうか。
SCP-3309研究チームは複数名いるが、スモールズ研究員を除いたすべての職員が、アノマリーに何が起こったのか忘れてしまったように思うという。


そんなに単純なのか? 単に忘れ去られてしまったのか?

私は忘れ去られたくない


SCP-3309のその先はどうなっているのだろうか。そもそもSCP-3309についてはまだよくわかっていない。


財団は、切り札としてSCP-3309を利用している。
しかし、それは本当に正しいのだろうか。


スモールズ研究員がメモに残した「私は忘れ去られたくない」にはどれほどの感情が込められていたのか。


スモールズ研究員はミーム部門と情報災害部門の職員である。そして彼は、なんと99%のミーム抵抗値を持っている。なんだかわからないがとにかくすごそうだ。
だから、ほかの研究員には感じ得なかった違和感を感じ取ることができた。

そして、その後のこと。

補足資料Ⅲ. [________________]



彼の心は穴が開き、我々はそれを埋めていた。


今晩の後半の実験に、スモールズ研究員は現れませんでした。彼はもはや我々の実験行程の何処にも現れず、彼の名前は私のプロジェクトファイルから抹消されました
私が知らされていなかったプロジェクトの変更やスケジュールの変更がすぐにあった場合は、早急に私に連絡してください。

—ジョン・カルツァローリ研究員


なんとスモールズ研究員が失踪してしまったという。
それどころか、実験の企画書ファイルからもスモールズ研究員の名前が消えてしまったのだという。

この報告をした(おそらくSCP-3309担当職員である)カルツァローリ研究員は、実験に何らかの変更があったのかと思い上司のウッズ博士に相談するが…


カルツァローリ研究員、大丈夫ですか? ええ、確かに3時間のスケジュール変更がありましたが、 "スモールズ研究員"という人物はこのプロジェクトには一度も関与していません。加えて、スモールズという研究員はここで働いていないと断言できます
ジョン、休憩を取ってください。ストレスがかかっているはずです。ここ数週間の試験は極めて厳しいものでした。私もそれを感じていますから。

—ロバート・ウッズ博士


そう、ウッズ博士はそもそもスモールズ研究員は存在しないというのだ。
そしてカルツァローリ研究員に対しても「疲れてるんじゃない?休みな??」という。

いやいや、そんなはずはない。スモールズ研究員は昨日までともにSCP-3309を研究していた間柄だったはずだ。


あなたは間違っています。あなたはその男を知っている筈です。彼は我々の中で最も優れたミーム学者ですから。

しかし、貴方が本当にスモールズ研究員がいないと主張するのなら、これには裏があるはずです。SCP-3309はアノマリーとそれに関連するファイルを消去します。これらのアノマリーがどこへ行くのかについてはまだ議論していませんでしたが、我々の全員が疑問に思っていたはずです。私が覚えている限り、 私が覚えている限りでは、スモールズは最初の発見時点からSCP-3309に割り当てられています。

貴方は職員だけは消去されていないと、そう言い切れるのですか?

[アカウント削除済]


そう、SCP-3309が消去するのは、なにも報告書データだけではなかった

メタ的に考えて、例えば1つの報告書が低評価削除されたとして、その報告書にしか登場しないキャラクターはもちろん消えてしまう。
スモールズ研究員もおそらくSCP-3309にしか出てこないキャラクターなのだろう。だから消えてしまった。

そして、上のメッセージを送信した人の名前。実は「ジョン・カルツァローリ研究員」ではなく「[アカウント削除済]である。

すなわちジョン・カルツァローリ研究員も消えてしまったと考えるのが自然だろう。


なんてこった。

—ロバート・ウッズ博士


FROM: [アカウント削除済]

[メッセージ削除済]



SCP-3309はSCPオブジェクトを自由自在に消せる超便利Thaumielだと思いきや財団職員をまるごと消し去ってしまう大変なものだった。

こうなってくると気になるのは、「SCP-3309で消えたモノはどこへ行くのか」という問い。
この世界のすべての人に忘れられ、そして行き着く先に待っているものは何なのか。



1つ言っておくと、おそらくスモールズ研究員以外の人々やSCPオブジェクトがどこに行ったかは不明である。考察しようにも考察材料が少なすぎる。

しかし、スモールズ研究員だけは消息が少しわかっている。
先ほど述べたとおり、スモールズ研究員はミームや反ミームに対しての耐性を持っている。

だから、とある場所に行くことができた。











それは、「SCP-3309」のディスカッション欄
ディスカッション欄とは。アニヲタwikiのコメント欄みたいなもの(それよりかはちょっとお堅い)で、作品の感想を書いたり、その作品を批評したりする場所である。

そこに、彼は現れた。




Researcher Smalls 9 Apr 2020, 09:42

もしもし? 何が起こったんだ?

Reply Options


何だ?*3
Researcher Smalls 9 Apr 2020, 09:47

待て、サイトはどこだ? これは何だ? 3309がこれを引き起こしているのか?

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管理者ポスト - Open
Zyn 9 Apr 2020, 09:50

ここに投稿する前にガイドを読むことを強くお勧めします。 フォーラム内でのロールプレイは許可されていません。

Reply Options


Re: 管理者ポスト - Open
Researcher Smalls 9 Apr 2020, 09:52

私に何が起こったんだ?

Reply Options


突然SCP-3309のディスカッション欄に現れたスモールズ研究員は謎投稿を繰り返し、それどころかスタッフであるZyn氏*4にロールプレイ認定され、注意を受けてしまう。SCPwikiではディスカッション欄を含めたフォーラムでのロールプレイはルール違反だ。


そして、スモールズ研究員のルール違反(?)投稿を無視してディスカッション欄にはコメントが投稿されていく。


あまりにもメタ過ぎる。
Westrin 9 Apr 2020, 10:36

ううむ。

ポテンシャルはありますが、ただあまりにもメタすぎるように感じます。最近はメタ記事も大分使い尽くされていますし。

私にはvote(評価)出来ません。

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しかし、投稿されたコメントは否定的なもの。
そしていつの間にか、「SCP-3309」の評価は-10以下になってしまう。


スタッフ・ポスト - 削除投票
Zyn 9 Apr 2020, 12:50

[あなたの最愛の人があなたを忘れるという実感]の削除投票を開始します。

あなたがこの記事の著者ではなく、この記事を改稿したいという場合は、この投稿に返信して、この記事を改稿する機会を求めることができます。 著者(またはこの記事が6か月以上経過している場合は、改稿チーム)の許可を得て、ページソースをサンドボックスにコピーしてください。 あなたがスタッフでない限り、他の理由でこの投稿に返信しないでください。
Reply Options


ついに削除の手続きが始まってしまう。

「あなたの最愛の人があなたを忘れるという実感」とは何ぞや??という話だが、これは削除される作品の名前である。

SCP-3309のメタタイトルは「薄れ、消え去る時、私達は何処へ行く」だったはずだが、著者世界にも平行宇宙があるのだとしたら、「あなたの最愛の人があなたを忘れるという実感」というのは平行宇宙のSCP-3309みたいなものだろう。
そしてスモールズ研究員は「あなたの最愛の人があなたを忘れるという実感」の登場人物だったと考えられる。そしてそれが今削除されようとしている


最高にヤバそうな状態だが、スモールズ研究員はとある長文コメントをする。

全て引用していると非常に長くなってしまうので要点だけまとめると、

  • 私が居るのは何もモノが無くて、本当に何もない場所だよ
  • SCP-3309は強力なミーム性をもつもので、アノマリーを自由自在に消せるよ
  • でも、そんなので世界をいじれるだなんて私たちがどうかしていたよ。
  • そのうちSCP-3309は体系的にものを消し始めたよ。人物から処理班へ、処理班からサイトへ、サイト周辺へ、しまいには財団の一部をまるごと。


ここからはまるごと引用する。


全てが消えるまでそれは続き、私さえも飲み込まれるかのように感じた。私が1人きりだったあの夜、全てが変わった。

今私は完全に独りだ。ここで。

ここ? ここは地獄だ。*5

いや - そうじゃないかもしれない。私の頭がそういうことだと作り上げたことかもしれない。そのはずだ。しかし-

私は、消された者らの1人か?

私が…私が彼らのように忘れ去られてしまったのなら、どういう意味なんだ? これら全て、どういう意味なんだ? ああ神よ、私は忘れられたくない


しかしそんな彼の思いはむなしく、実際にさきほどの補足資料Ⅲにおいて忘れられてしまっている。もう手遅れなのかもしれない。


そして、このスモールズ研究員の投稿は先ほどのスタッフ・ポストの返信
スタッフ・ポストにも書いてある通り、管理の問題から基本的にスタッフ・ポストに返信をしてはいけない*6
よって、


管理者ポスト - Closed
Zyn 9 Apr 2020, 13:19

Reseacher Smalls、次の点に注意してください:

あなたがスタッフでない限り、他の理由でこの投稿に返信しないでください。
さらに、あなたはすでにフォーラムでのロールプレイについて再度警告されています。 これ以上同じ事を繰り返さないでください。

Reply Options


やっぱり怒られてしまった。どこまでもかわいそうなスモールズ研究員である。


しかし、ここに未送信の何者かのコメントがある。


タイトルは「お前以外の誰も本当にお前を覚えてなどいない。

そしてその内容は


それに、質問はまだある:お前は覚えておくほどの価値があるのか?


SCP-3309は「低評価削除」されてしまった。

「低評価削除」とはすなわちこの作品は、公式サイトに載せる価値が無いから強制的に消すよ」という非情なメッセージでもある。

そして、そのメッセージの矛先は作品自体だけではない。作品に出てくる登場人物、この場合はスモールズ研究員にも向けられているのだ。

この何者かからのメッセージは、スモールズ研究員にあてたメッセージだろう。低評価削除(SCP-3309)によって消されてしまったお前に「価値」あるのか?と。

低評価で記事が削除される場合、もちろんサイトスタッフがバックアップをとったりはしないので、作者がコピーして保存していない場合は、その作品や登場人物は完全に消え去ることになる。

そして、「残す価値が無い」作品や登場人物は次第に人々の記憶から薄れていき、果てには消えてしまう。


よく、「人間は忘れられたときに二度目の死を迎える」というが、「二度目の死」の先には何が待っているのだろうか。


スモールズ研究員だけではない、SCP-3309により消えてしまった全ての存在はどこに行ってしまったのか。誰にもわからない。




SCP-3309


薄れ、消え去る時、私達は何処へ行く




余談


この作品では散々な目にあって、しまいには「お前に価値なんてない!」とまでいわれてしまうスモールズ研究員だが、実はいろいろな作品に登場している。

具体的には「SCP-5309」「SCP-4955」「GoIフォーマット-JP - 黒の群臣」などである。

  • 「黒の群臣」では、財団職員でありながら、とある世界の黒の女王の命令にただ従う「駒」、すなわち下僕となってしまっており
  • 「SCP-4955」では、なんと財団職員に殺されてしまっている

SCPにカノンはないため、別に消滅したキャラクターが普通に出てきても何もないのであるが、SCP-3309以外の世界でも残念な目に合うスモールズ研究員であった。


ちなみに、作中で削除されそうになっている「SCP-3309」は平行世界のSCP-3309であり、「薄れ、消え去る時、私達は何処へ行く」は全く削除されていない。それどころか英語版SCPwikiでの評価は2022年9月の時点で880越え。SCP-3309がSCP-3309に消される日はかなり遠そうだ。

補足: 安定指数

SCP-3309並びにプロジェクト・テーパードスピアの周辺では、しばしば「安定指数」という単語がよく用いられる。具体的には「SCP-CN-1109」「Tale-JP - SCP-7308-1」「SCP-2690-JP」「Tale-JP - 六条やすみの消失」に登場する。
それで「安定指数」とは、ズバリ「評価の値」のことである。「高評価数」から「低評価数」を引いた値。
おそらく、この値が高いほどSCP-3309で消される確率が減っていき、逆に低いほど消されやすくなる、といういみでの「安定」指数なのだろう。

ちなみに初登場はSCP-CN-1109であり、SCP-CN-1109の特別収容プロトコルにはしっかりと「プロジェクト・テーパードスピア」の文字がある。


関連作品

SCP-3309は「好きなオブジェクトを消せる万能Thaumielかと思いきやヤバいKeterだった」というオチだが、「好きなオブジェクトを消せる」という性質が万能すぎて、いろいろな作品で使われている。しかも財団が利用している大丈夫か財団さん。

また、この作品は、メタを研究する財団内部部門「空想科学部門」の原点ともいえるものであることから、他の記事で空想科学部門が登場した場合はSCP-3309にリンクされることがある。例えばSCP-2222-JPにSCP-3309へのリンクがある。


せっかくなのでここでは、プロジェクト・テーパードスピアを財団が使った/使いかけた作品を軽く見ていこう。


SCP-CN-1109 - プロジェクト・ロンギヌス


先述の通り。特別収容プロトコルに「プロジェクト・テーパードスピア」と入っているが、あまりSCP-CN-1109の根幹にはかかわってこない。


SCP-2919-JP - portal:8127494


とある、未完成のSCP報告書作品の下書き
なのだが、その下書きが自我を持ってしまい、勝手に下書きを書き換えてしまう。それでメチャクチャでバカバカしい報告書が出来上がってしまうが、その報告書がXK-クラスシナリオが発生するものであったために財団世界が大変なことに。

ちなみにその時の日本支部理事-鵺のコメントがこちら。

こんな事の為に宇宙全体を滅ぼされてはならない。

そりゃ、メチャクチャな報告書のせいで宇宙滅亡なんてカッコ悪いからね。
ちなみにプロジェクト・テーパードスピアは無事に成功したらしい。よかったよかった。


Tale-JP - SCP-7308-1


TaleなのだがSCP報告書の体裁をしている奇妙な記事。
しかもオブジェクトクラスがApollyonなのにも関わらず「脅威度は低い」と書かれていたり矛盾だらけ。
それでSCP-7308とは何かというと、「SCPサイトに作品を投稿しているが、ほとんどの作品が低評価削除されてしまう著者」のこと。
SCP-7308によって書かれた報告書は、ほとんどの場合安定指数が低く、SCP-3309により消されてしまう。そうしていくうちに物語は崩壊していく。


Tale-JP「六条やすみの消失」


SCP-009-JPによって、2030年頃には地球が滅亡してしまう世界。
財団が収容できなかったオブジェクトを意図的に破壊する部門である「財団解体(Decommission)部門」はどうにかしてSCP-009-JPを破壊しようとするが、そのうちの1つの案がプロジェクト・テーパードスピアであった。

しかし、SCP-009-JPは大人気記事。評価(=安定指数)は驚異の300超え。これを無理やり-3以下に持っていくのは難しそうだ。

それで考え出されたのがSCP-1273-JPという、空想科学的性質を持つギャルゲーのヒロイン兼Vtuberの「六条やすみ」なのだが、それをここに書いていると長くなってしまうし、そもそも理解にはSCP-001-JP/或る西瓜の提言の知識が必要であるのもあって、ここでは割愛する。気になる方はぜひ本家記事をお読みいただきたい。





追記・修正はSCP-3309の対象になってからお願いします。

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最終更新:2023年05月21日 15:30

*1 紙やパソコンのモニターなど

*2 明言はないが、SCP-4463報告書が執筆されたのが2008年の後なので、もしかしたらあと40年くらいかもしれない。

*3 atwikiの都合上伝わりづらいが、この位置に書いてあるのはコメントのタイトルである。

*4 英語版SCPwikiに実在する管理者スタッフの方。

*5 ご存じ、S・アンドリュー・スワンの提言に登場する名言である。

*6 ただし「Open」と添えてあるものは返信が許可されており、なんなら必ず返信しなくてはならない場合もある。