Mattel HyperScan

登録日:2022/12/25 (日) 13:08:16
更新日:2024/03/27 Wed 19:40:56
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『Mattel HyperScan』は、2006年10月23日にマテル社が発売した据え置き型ゲーム機。
PlayStation3Wiiの同年に発売されたゲームである。
米国での販売価格は、ゲーム機本体は69.99ドル。ゲームソフトの価格は19.99ドルの低価格。
これは別売りのカードで採算を取るつもりだった模様。



【概説】

最大の特徴はゲームとトレーディングカードが合体したかのようなシステム
バービー、UNO、トーマスなど様々なヒット商品を抱えるアメリカの大手玩具会社であるマテル社が、幼児向けのおもちゃと、一般向けのゲームコンソールの間を埋めるように開発。
コンパクトなゲーム機本体と、PSのようなコントローラーがあり。ゲーム機にはCD-ROMのトレイと、カード読み取り装置が付いている。
店頭販売用の通常版『Cube Box』と、オンライン販売限定の『Two Player Value Packs』の2種類のバージョンが存在。両者ともに『X-MEN』のソフトがバンドルされており、加えて前者には6枚の『X-MEN』用カード、後者には2P用コントローラーと12枚のカードが付属していた。

ここまで見た貴方は、「聞いた事の無いゲーム機だな……?」と思っただろう。それもその通り、
1年で発売中止となり、ゲームソフトは5本*1しか発売されなかった。という曰く付きのゲームであるからだ。


【欠点】

  • 作りが全体的に安っぽい。
同時期に発売されたPS3が499ドル、Wiiが249.99ドルしている。しかも20年も昔に発売されたNES(海外版のファミコン)ですらも89.99ドルしたというのに、
この100ドルもしないゲーム機は値段から分かる通り、価格を安くするために作りをチープにしている。
例えば、CPUは台湾のSunPlus製のSPGシリーズ。かの悪名高き威力棒Viiにも採用されていた代物である。
実際の使用感も、子供が雑に扱えばすぐに壊れそうなゲーム機本体や、触っているだけで違和感があるコントローラーなど全体的に安っぽい。
ゲームソフトのローディングや、カード読み取りは一回やるごとに1分近くかかるという有様。
特に酷いゲームだと、まず最初にゲームを起動してタイトル画面に入るまでのロードに2分近くかかるレベル。
当然のごとくゲームソフトでは、操作レスポンスに違和感がある物が多い。中には、アクションゲームとして破綻していると言わざるを得ない物もある。

  • 行き過ぎたPay to win
キャラクターの強化などが行えるカードが、別売りで一パック10ドルで販売されているのだが、
一切のダブりなくコンプリートできた場合でも100ドル(発売当時の相場で1万2千円弱)はかかり、当然そんな奇跡は起こらないのでこのゲーム機が二つ三つは買えるぐらいには金を費やす必要がある。サモンライドの先駆けか。
しかも一部ゲームでは、強化カードによるステータスの上昇値の実感が誤差レベル……本当に上昇したのかさっぱり分からないという有様。
カード読み取りにめちゃくちゃ時間がかかる事(カード読み取りの反応の悪さなど)も相まって、スキップした方がいいという本末転倒な状況にもなっている。

当然ながら面白いゲームソフトも無く、発売1か月でゲーム機もソフトもカードもワゴンセールに送られてしまい、
ゲーム機本体は9.99ドル、ソフトは1.99ドル、カードパックは0.99ドルにまで値が下がった
当然カードの展開も早々に打ち切られ、本来なら出るはずだった大半のカードが発売中止になったソフトも多い。
めでたく本機は『PC World』誌が選ぶ「史上最悪のゲーム機」ランキングの第7位に名を連ねる事となった。
クソゲーレビュアーとして知られるAVGNにも紹介され、やはり「ハイパーな糞」と酷評された。

なお、マテル社はかつてゲーム機関連であのパワーグローブを生み出した元でもあり、ある意味で再来となってしまったのは言うまでない…。


【ゲームソフト】

トレーディングカードを売るためか、『X-Men』や『Spider-Man』などのキャラクター物が多い。
軽く説明をしていく。5本しか発売してないけど

  • X-Men
先述した通り本体にバンドルされていた、人気コミックの対戦格闘ゲーム。カードを使う事でキャラの選択や強化が行える。
キャラを選択するためにカードを読み取る→キャラを強化するためのカードを読み取るを行うのだが、前述した通りにカード読み取りに半端無い時間がかかるなどもあって、一回の対戦ごとに物凄い時間がかかる。
ゲーム内容も、操作レスポンスが悪い上に、ヒットエフェクトがないから攻撃が当たったかガードされたかもわからない、しゃがみキックは絶対にガードできない、など様々な問題を抱えている。
商品展開中止の煽りで都合半分ものカードが発売されなかった

  • Interstellar Wrestling League
エイリアンのプロレスラーが戦いを繰り広げる、オリジナルの対戦格闘ゲーム。カードを使う事でキャラの選択や強化が行える。
強攻撃や必殺技の発生があまりにも遅く、弱攻撃だけで簡単に潰されるという稚拙すぎるゲーム内容はジャブみたいなもんであり、
キャラに大ダメージを与えるステージギミックは見てから避けるのは不可能な物があったりなど対戦ゲームとして破綻している事があまりにも多い。
商品展開中止の煽りで都合7割以上ものカードが発売されなかった
また、何故か他のタイトルと比べて音量がやたら小さい。万一遊ぶ場合は終了時にテレビの音量設定を戻しておくのを忘れないように。

  • Spider-Man
人気コミックのアクションゲーム。カードを使う事で特殊攻撃を使えるようになったり、ステージの解禁がされたりする。
操作レスポンスが悪かったり、通常コンボをくらってる最中でも敵が攻撃を入れてくるとか、壁に張り付ける所が分かり難かったりするとか、
ステージのロック解除から、サウンドテストやコンセプトアートの開示、敵が遠くに吹っ飛ぶようになる事やジャンプ力が高くなる事もカードにより解禁されるという異常な課金要素の色々な問題があるが、
GBAと比べてもまあまあなグラフィック(※PS3やWiiの同時期に発売されたソフトです)や他ソフトと比べればまだ短い方のロードなど、HyperScanのソフトの中ではまあまあ遊べる方という事実がある意味一番酷い。

  • Mavel Heroes
人気コミックを数多く手がけるマーベルコミックスのキャラクターが多数出演する横スクロールアクションゲーム。先述したX-MENやスパイダーマンも出演しており、カードを使うことでキャラの選択やシナリオのアンロックが行える。
グラフィックは(HyperScanとしては)それなりだが、入力遅延や滑るような操作性に加えて当たり判定もいい加減で、選択したキャラによっては雑魚敵に攻撃を当てることにすら一苦労するレベル。
シナリオも追加カードがないと一部しか見れず、課金でアンロックしたとしても中身はステージ開始時とクリア時に、ゲーム中の素材を流用して作ったコミック風カットシーンが1枚ずつ出てくるだけという有様で、キャラボイスはおろかBGMすら流れないのが猶更チープさを助長している。

  • BEN10
カートゥーン・ネットワークで放送されたアニメのアクションゲーム。カードを使う事で主人公が変身するエイリアンの種類が増えたり、強化が行える。
変身中に無敵が無いため、待ち時間中に敵の攻撃であっという間に体力が減らされたりは序の口であり、
目の前の穴を跳び越す動作や、台から台に飛び移るなどといった単純な行動ですらも呆れるぐらいの難度になるなどキャラの操作性がとにかく劣悪。
しかもラスボスを倒すのはエイリアン変身の全カードの購入が必要である。
というのも、ラスボス戦においては、エイリアンの変身を解除するビームが四方八方から飛んでくるが、それを防ぐには、各ステージに存在する、特定のエイリアンでないと侵入できないフロアで手に入れられる機械を全部集める必要がある
プレイヤーが気合と根性を入れれば、通常の主人公でも殴り倒せるけど



追記・修正はカードを全部買えた人にお願いします。

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最終更新:2024年03月27日 19:40

*1 6本目としてニコロデオンの超能力バトルアニメ『アバター 伝説の少年アン』のゲームが極少数発売されたという噂があり、これが真実であれば6本となる