秘密結社アスピダ(ゴルゴ13)

登録日:2023/01/08 Sun 04:58:34
更新日:2023/09/08 Fri 19:13:00
所要時間:約 15 分で読めます







や、やられたっ、ま、またやられた!!
やられたのは同志マノス・カザンツァキスと同志ニコス・ハジダキスだ!!





秘密結社アスピダとは、『ゴルゴ13』の第119話のエピソード*1「三匹の女豹」や第136話のエピソード「海神が目覚めるとき」で登場する組織。

概要

ギリシャの山岳地帯に潜んで活動を続けるギリシャの秘密結社。
現行のギリシャ政府と対立しており、互いに暗殺者を送りあっている。
ギリシャ政府からは外国人のプロの殺し屋を使って構成員の抹殺を仕掛けられている状況で、同国の人間ならばまだしも外国人を送り込まれていることに構成員は強い反発心を抱いている。

アスピダは山岳地帯でゲリラ戦を行うのが得意分野である一方、アテネのような大都市に乗り出して戦闘をするのは不得手であり、無理にやっても政府側の利となるという欠点を抱える。
このような問題点を突破できる暗殺者として、娼婦を行える女性の構成員を使っている。

テロリスト組織だがゴルゴは特に敵対する理由もなかったので本来は関係がないはずだったのだが、女性の暗殺者の構成員が判断を誤ってゴルゴに敵対行動を行うという暴走を開始。
ゴルゴの性格からしてプロに命を狙われ、それが秘密結社アスピダの手の者と知られた時点で長老や将軍は「レクイエムを聴かせてやる…必ず…!!」になるため、売国奴と認定していたパブロス・エレシウス元帥の暗殺計画の 前日 になって世界最高のプロを敵に回す可能性を造り出してしまった。
不幸中の幸いにも実は敵が同じだったゴルゴによって偶然にも組織の目的は果たされた反面、強力な暗殺者が全滅して大きな痛手を負うというよく分からない事態に陥ったある意味カオスな集団。
まあゴルゴ作品にはありがちな「勘違いしてゴルゴを殺そうとして逆に痛手を負う」というパターンの敵と言えるか。

メンバー

  • アスピダ構成員たち
前述のとおりギリシャで各種の政治活動を行っているがその内容は暴力も平然と行うため実質的にはテロリストに近い。
ヨルゴスという名の党員と、後述する女たち以外は名前が出てこない。
フルネームが出たのは殺されたマノス・カザンツァキスとニコス・ハジダキスというメンバー二人だけ。

  • アスピダの将軍
アスピダを率いる司令官らしき男。
前述の流れを受けて報復のための指令を出す。

  • アスピダの長老
アスピダの中で最年長の男。
将軍も敬語を使っているため、最上位なのだろうが
実際の指揮権限は将軍に譲っており相談役のようなポジションにいる。
ゴルゴ13のことを知っており(見たこともある)、世界を股にかけるプロフェッショナル中のプロフェッショナルだと皆に告げた。

  • 三匹の女豹
今回の報復のために将軍が呼んだアスピダの殺し屋たち。
詳しい解説は次項で。

美しいバラの棘

マノス・カザンツァキスとニコス・ハジダキスの暗殺の報復として将軍が用意した三人の美女で構成される三匹の女豹とも呼ぶべき暗殺者集団を抱えている。
彼女たちはおそらく通常の戦闘訓練も受けていると思われるがその美貌を生かして 娼婦 として目標に近づき、 性的サービス を提供しながら油断した相手を殺す手法を得意としていた。
山岳地帯でのゲリラ戦ではなく、都市内において対象を暗殺できることからアスピダの貴重な戦力である。

マノス・カザンツァキスとニコス・ハジダキスの殺害を行った3人の外国人の殺し屋(ハンス・ウェヒナー、チコ・ロドリゲス、サミー・コール)への報復に成功するが、パブロス・エレシウス元帥を暗殺する計画を立てていた最中にギリシャに出現したゴルゴの存在について「ゴルゴが我々の敵だと判断したら殺せ」と命じられたところ、「アスピダからすれば外国人のプロの殺し屋は敵であることはあっても味方になるはずがない」として さっそく ゴルゴを殺しにかかることに決定した。
ところがその結果としてイザベラやベリアトスが死亡、しかもゴルゴが敵でないことが判明した責任をもってメリナも自殺を選んだことで全滅する。

そもそも不用意にゴルゴに仕掛けた上に攻撃方法もツッコミどころが多いため、読者からはプロとは思えない粗忽な連中とする評価が多い。
作中でも明確に大失態を犯した扱いを受けているので、無能扱いなのも仕方ないが。

メリナ

メリナ:同志マノス・カザンツァキス、同志ニコス・ハジダキスへの……復讐完了!

三人の中でリーダー格のように見える黒髪の巨乳美女。
口の中に毒ガスを充填した小袋を仕込んでおり、こっそり袋を取り出して固いものにこすり付けて破き、敵が毒ガスを確実に吸い込める場所、できれば口内に袋を投げ込むという手法でハンス・ウェヒナーを殺した。
もちろん口から何かを取り出してベッドの縁にこすってから敵の口に投げるというのはすごく目立つため、普通にセックスさせてハンスがイく瞬間にそれをやった。
…要はハンスは天国に行く瞬間に地獄を見たことになる。
毒ガス袋を投げた際にすぐに口を押えながらできるだけ離れ、ハンスが死ぬまでは警戒していたことから見るに毒ガスは使い方を間違うと自分が死ぬ危険もある代物らしい。

劇中の活躍

ハンス・ウェヒナーの殺害後、酒場で飲んでいるゴルゴに近づいて熟れた身体を持て余す美女として逆ナンを仕掛ける。
ゴルゴは一瞥していつもの塩対応を返すが、そこへ酒場にいた本当の娼婦がゴルゴを誘う。
メリナは邪魔をされないように娼婦を追い払おうとするが
うっかりプロの人間特有の殺気を出してしまい娼婦は追い返せたがゴルゴに察知された。

ゴルゴは無視して帰ろうとするが、まだバレてないと思っているメリナは問い詰めるも、ゴルゴには口に物を仕込んでいることや暗殺者である可能性を見抜かれていた。
ゴルゴに全て見破られながらもそのおかげで生き延びるが、相次ぐ仲間の脱落をメリナは将軍と長老に全てを報告したのだが当然叱責を受ける。
な、なぜ勝手なマネをしてくれたんだ!!
奴が敵に雇われたことをたしかめてから行動にうつれと言ったはずだぞ!!
一字一句その通り過ぎる。

実際にはパブロス・エレシウス元帥がゴルゴの暗殺対象であり、 ゴルゴは敵ではなくむしろ同じ目的のプロを無駄に攻撃してしまった という事実に気づいて放心状態に。
後日、ゴルゴはアテネを立つ航空機に乗るために空港内を歩いている前に現れ、娼婦ではなく戦士としての服装のメリナは少しの間ゴルゴと見つめ合うと…ナイフを取り出して自害した。

勘違いで迷惑をかけた詫びのつもりなのか、自分以外のアスピダ党員にゴルゴが報復をしないように留めるためのアピールだったのかは不明。

イザベラ

イザベラ:同志マノス・カザンツァキス、同志ニコス・ハジダキスへの……復讐完了!

ブロンドの髪をした大人びた顔立ちの巨乳美女。
髪を留めるヘアピンの中に毒針が仕込んでおり、セックス中にこっそりと針を取り出して相手に刺す手段を使っており、これで賢者タイム中のリラックスしたサミー・コールを刺している。
作中では慌てるサミーにもう一度毒針を投げつけて2度刺して殺しているため、つまり一度刺しただけではすぐに行動不能にならない毒ではあるらしい。
もしサミーの枕元に拳銃でもあれば最後の力でイザベラに撃つくらいはできていたため、毒殺としては結構危うい内容。

一方で対ゴルゴに関してはちゃんと相手に身バレしたことを前提で接近し、しっかりと性行為後の油断するであろうタイミングで殺害を試みるなど、3人の中では一番真面目かつ健闘しているかもしれない。
むしろゴルゴの方がイザベラの殺害については危うい面があり、外国人が3人不審死したホテルにほぼ入れ違いでチェックインしているという死亡推定時刻の算定次第ではゴルゴも容疑者になってもおかしくない状況で、そのうちの1人と同じ死因で死んだ全裸のイザベラを 同じホテルの自分の部屋の窓から落として放置 という警察の容疑がかかるのをまったく恐れていない振る舞いである。*2

劇中の活躍

サミー・コールを殺害し、メリナの失敗の報告を受けて立ち上がる。
そもそもゴルゴが超一流のプロならば、彼女たちが初めてゴルゴを見たホテルのロビーでゴルゴも同様に彼女たちに気づいていた可能性はある。
普通の男だとしても美女が3人揃ってたらつい見ちゃうし覚えちゃうもんね
そこでイザベラは思案の末に、「我々は美貌を武器にした女暗殺者であることを 正直に明かす、 しかしその上でゴルゴをだまして隙をついて殺す」という方法を提案。

イザベラは例のホテルへ帰ってきたゴルゴに普通の娼婦が知るはずもない名前で呼びかけて、ゴルゴの部屋で話をしようと誘う。
ゴルゴは油断こそしないだろうが武器を持っておらず一人でただ話をしたいというイザベラを
無下にはしないはずと判断し、実際ゴルゴは自分のホテルの部屋へイザベラを通した。

イザベラはゴルゴに前回近づいたメリナと自分は仲間でなおかつ殺し屋だと打ち明け、接近してきた理由として「メリナとイザベラは殺し屋としてもだが、 女としても 競いあっていた」からだとする。
そこへ超一流のプロと名高いゴルゴ13が現れたことにより、女としてどちらが上か決着をつけるために「 先にゴルゴに抱かれた方が勝ち 」という勝負をしていた。
決してゴルゴを敵と思っているわけではなく抱いてほしいから接近したのだ、と理由を付けた。

そして「勝負に勝つため」に抱いてほしいと迫るイザベラとゴルゴは性交をする。
お約束のシーンが必要だし仕方がないね

事後、ベッドで喫煙するゴルゴの背後でイザベラはメリナへの勝利に感激するふりをしつつ毒針を出すが、ゴルゴに話しかけながら刺そうとする毒針を寸前で掴まれる。
刺す直前まで気づかれていないと思っていたイザベラは驚愕するが
仕事にうつる時は……人間を殺すなんて、考えないことだ……
”事”を処理する、と考えるだけでいい……でないと……筋肉の緊張を、みる……
ゴルゴはこともなげに奪った毒針でイザベラを殺し、その夜にメリナとベアトリスの元にゴルゴの部屋(ホテル最上階)の窓から全裸のイザベラの死体が投げ落とされていたとの報告が入った。

ベアトリス

ベアトリス:思い知ったか!!同志マノス・カザンツァキス、同志ニコス・ハジダキスへの復讐完了!

幼い顔立ちをした巨乳美女。(まあこの役割上みんな巨乳で美女なのは当然だよね)
実はベアトリスの付け爪の中に鋭利な刃物になっている爪があり、作中では彼女の乳房や脚を舐めるのに夢中なチコ・ロドリゲスの頸動脈を切り裂いて大量出血させて殺している。
描写上この爪に毒が仕込まれているかは不明だが、もし毒がないなら他の2人より攻撃できるリーチが短すぎる気がしないでもない。

劇中の活躍

チコ・ロドゲリスを殺害するが、対ゴルゴ戦においてイザベラが敗れてゴルゴの恐ろしさを実感する中、
悪魔のような相手に弱気になるメリナに対して、ベアトリスはこちらが 命を賭けて ゴルゴを倒す作戦を決意。

アテネの市街地、自動車を運転しているゴルゴをメリナからの情報を聞きながらベアトリスはじっと待ち、ゴルゴの車が通りかかった瞬間にベアトリスは物陰から飛び出して 激しく撥ね飛ばされる。
大都市アテネの大通りでの大勢の群衆の目前での人身事故ということで救護や通報をする人々に取り囲まれてしまったゴルゴはひき逃げするわけにはいかず車を降りる。

息も絶え絶えのベアトリスを通行人が介抱するが、そのベアトリスはゴルゴに何か言おうとするしぐさを見せると同時に鋭利な爪を取り出して近づいてくるゴルゴを斬ろうとするが、いくら死にかけの女であろうと 正面からこちらに殺気を向けてくればゴルゴは気付く。
ベアトリスの命を賭けた爪の一撃は、ゴルゴによって防がれてしまい、指先にある鋭い爪から刺客であることもバレる。
失敗したことを思い知らされたベアトリスはそのまま力尽きてしまった。

周囲の人々は「交通事故にあった女が加害者のゴルゴに腹いせとしてビンタしようとしたが叶わず死亡した」と認識し、
そして大勢の人間が目撃していたために「ゴルゴ側に非がないベアトリスの飛び出し」と事故が処理されてしまうのだった。

余談

  • 組織名はギリシャ語で「盾」を意味するが、「三匹の女豹」の発表時期が1977年と考えると元ネタとしては1960年代にギリシャで発生した「アスピダ事件」を意識していると思われる。







追記・修正は娼婦を3人連続で抱いてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ゴルゴ13
  • 暗殺
  • 三匹の女豹
  • ハニートラップ
  • 早とちり
  • どうしてこうなった
  • ゴルゴ13の登場人物
  • ベアトリス
  • イザベラ
  • メリナ
  • テロリスト
  • 架空の組織
  • 秘密結社アスピダ
  • 組織
  • テロ組織
  • ギリシャ
  • 暗殺者

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年09月08日 19:13

*1 SPコミックスでは第34巻、文庫版では第30巻に収録されている

*2 過去にも自分を狙う組織への見せしめとして女職員の全裸死体を放置することはあったが、さすがに自分が明確に疑われるような方法ではしなかった。