ぼくらの7日間戦争(アニメ映画)

登録日:2023/01/14 (土) 20:16:02
更新日:2024/02/12 Mon 13:02:40
所要時間:約 7 分で読めます







自分らしく生きると決めた。



『ぼくらの7日間戦争』とは、2019年12月13日に公開された日本のアニメ映画。
配給はギャガとKADOKAWAの共同で行われた。



概要


本作は1988年に公開された実写映画『ぼくらの七日間戦争』の30年越しの続編兼現代風リメイクとして製作されたアニメ映画である。
オリジナル版とは異なり「7日間」とアラビア数字表記であることに注意。

オリジナル版は宗田理の小説『「ぼくら」シリーズ』の第1作の実写化であるが、小説との繋がりはなく、あくまで実写映画版の続編である。
ただし、オリジナル版のキャラクターが終盤登場するだけで直接の繋がりはほとんどないので、本作から見ても十分楽しめる。

30年前の少年少女を巡る環境からは大きく変化した現代を舞台に、再び少年少女らが身勝手な大人に対抗するべく「家出」と「戦争」を試みる。
オリジナル版では「校則」や「勉強」といった親や教師からの重圧への対抗をテーマにしていたが、本作では「家庭環境」といったミクロな問題、ひいては「移民問題」にも着目している。
更に、SNSを物語の主軸に置き、スクールカーストを基盤にした人間関係の変化にも焦点を置いた現代的な内容となった。

後半の、主要キャラの秘密が暴かれ人間関係が破綻しかかる展開はかなり生々しく、賛否が分かれる展開となっている。


スタッフ


監督:村野佑太
脚本:大河内一楼
キャラクター原案:けーしん
キャラクターデザイン:清水洋
音楽:市川淳
アニメーション制作:亜細亜堂




ストーリー


北海道の田舎町・里見町の高校に通う鈴原守は、クラスでも特に目立たず、仲のいい友達もいない「普通の」毎日を送っていた。
そんな彼は、同じクラスの幼馴染・千代野綾にささやかな恋心を抱いていたが、告白する勇気は出せずにいた。
しかし夏休みの1週間前、綾が東京に転校するという話を聞いてしまう。
議員である父の言いつけで東京に行くことに反感を抱いていると零す綾を見て、守は「一緒に逃げましょう」と口走ってしまう。
それに乗った綾は、クラスメイト4人を誘って家出することを決意。守は町の郊外にある古い石炭工場跡地を探し、彼らを案内する。
特に繋がりのない6人の奇妙な家出が始まったが、工場内に潜んでいたタイ人の子供・マレットを拘束しに入国管理局の人間が押し掛けたことから状況は一変。
たちまち綾の父親にも居所がバレ、マレットを捕まえに来た入国管理局や地元建設業社の大人達が強引に押し寄せてきて、7人はそれに対抗する。
身勝手な大人に怒りを燃やした守は、皆を鼓舞して徹底的に戦う決意を固めるのだが……。



登場人物


7人の子供達


  • 鈴原(すずはら) (まもる)
CV:北村匠海
主人公。
大人しくて自己主張をせず、クラスでも存在感がほとんどない高校2年生。
中世ヨーロッパの歴史が好きで、偉人の戦術を研究しているが、同級生には話し相手がおらず、SNSでの高齢者サークルしか友達がいない。
幼稚園からの隣人である綾のことがずっと好きで、誕生日にはプレゼントを毎回用意していたが渡す機会をいつも逃していた。
綾の転校を知って駆け落ちのつもりで誘ったところ他のクラスメイトも来てしまい、内心残念がる。
だが、マレットを捕まえようとする大人達や綾の父に次第に義憤が沸き、中世の戦術を駆使して押し寄せる大人達を追い返すための作戦を考案し、一同の中心的存在となっていく。



  • 千代野(ちよの) (あや)
CV:芳根京子
守の隣の家に住む幼馴染。ミスコンで優勝するほどの美人で有名。
父親は地方議員で、お金持ちのお嬢様だが、父の束縛が強く内心反感を抱いていた。
守の誘いでバースデーキャンプのつもりでクラスメイト4人を誘い、初めての家出に挑戦。
大人に対抗して次々と戦術を思いつく守に尊敬の念を覚えだす。
だが、「許されない人」を好きになっていると告白し、守の告白する意欲を削いでしまう。


  • 山咲(やまさき) 香織(かおり)
CV:潘めぐみ
陸上部のエースのスポーツ万能少女。明るく誰とも打ち解ける性格。
綾とは中学時代からの同級生で、彼女が一番心を許せる人物。
家が建設会社で、父親が綾の父と懇意にしている複雑な関係だが、それを気にせず友情を築いており、彼女のことを大切に思っている。


  • 緒形(おがた) 壮馬(そうま)
CV:鈴木達央
クラスで人気のイケメン男子。
常にチャラチャラして守のような目立たない人間を当初は気にも留めておらず、最初は彼を使い走り扱いしていた。
だが、大人との戦いで奮闘する守を見て、評価を改める。


  • 本庄(ほんじょう) 博人(ひろと)
CV:大塚剛央
クラスの優等生で一匹狼。
幼馴染の紗希に無理矢理連れて来られ、パーティーに対して不満ばかり口にしていた。
マレットが見つかった時も、自分だけ逃げる気満々だったが、一緒にいるうちに連帯感が芽生え、協力するようになる。


  • 阿久津(あくつ) 紗希(さき)
CV:道井悠
クラスのギャルグループの一人。
能天気で誰に対しても人懐っこい性格であり、恐らくメンバーの中では一番コミュ力がある。
博人とは幼馴染であり、群れない彼に唯一親しく接する。


  • マレット
CV:小市眞琴
タイ出身で不法滞在している子供。
石炭工場に身を潜めながら、はぐれてしまった両親を探していた。
両親を甘言で騙して利用し、あまつさえ強制的に捕えようとする日本の大人に「嘘つき」と不信感を抱いており、当初は守達高校生グループを信用していなかった。
だが、自分のために大人に対抗し、両親を見つけようとする彼らを信頼するようになる。



対抗する大人達


  • 千代野(ちよの) 秀雄(ひでお)
CV:楠見尚己
綾の父。
地元の議員で、権力に縋りつき子供を力で従わせようとする典型的な「悪い大人」。
綾のことも「大人に従順でさえあればいい」と抑圧し、彼女の都合を聞きもせず、立て籠った彼らを無理矢理引きずり出そうとする。


  • 本多(ほんだ) 政彦(まさひこ)
CV:櫻井孝宏
秀雄の若い秘書。
いつも横暴な秀雄に顎で使われ、内心不満を溜め込み、子供達の心情も理解している。
……のだが、酒に酔った勢いで子供達への嫉妬心からか、SNSに彼らの顔を晒すという最悪の行いをしでかす。
原作での「二日目にある理由から自らゲリララジオで立てこもりを告白→工場に取材陣が駆け付け親や学校も取材される」とどっちがましかは分からないが
ある意味、「大人」と「子供」の顔をその場で使い分け、一番立ち回りが良く、一番卑怯な人物。


  • 香織の父
CV:宮本充
建設会社の社長。
娘が議員の娘・綾と仲良くなったおかげでコネが出来たが、それによって秀雄には頭が上がらない。
自分の立場から香織に戻るよう説得するが、保身だけの父に反感を覚えた娘からは突っぱねられる。


  • 前田(まえだ)
CV:井上倫宏
  • 後藤(ごとう)
CV:関智一
入国管理局の職員。
不法滞在者であるマレットを拘束しようとするが、その為には暴力すら辞さない過激な人物。
守の作戦と高校生達の連携プレーでいいように翻弄される。



その他


  • 中山(なかやま) ひとみ
CV:宮沢りえ
守がSNSの世界史サークルで仲の良かったHN「玉すだれ*1」の正体。ご存じ、オリジナル版のヒロインで中の人も一緒。*2
おばあちゃんかと思われていたが実際は30代の妙齢の女性。
SNSで守とマレットの事情を聞き、タイ人のコミュニティに掛け合ってマレットの両親の手がかりを見つけた。
かつて「戦車をぶっ放した」と語っており、謎めいた過去を仄めかした。

彼女が「玉すだれ」と判明したのは作品終盤で、サプライズ要素なのだが、彼女の登場自体は予告編で既にバレバレなため、サプライズの意味がなくなっている。
なお、運転免許証には「菊地ひとみ」と書かれており、当時のメンバーの一人、菊地英治と結婚したことが仄めかされていた。












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最終更新:2024年02月12日 13:02

*1 元ネタは原作小説でひとみの実家が経営する料亭の名前

*2 ちなみにオリジナル版は宮沢女史の女優デビュー作品だったりする