トラロック(Fate)

登録日:2023/03/01 (水) 00:38:58
更新日:2024/04/20 Sat 19:45:23
所要時間:約 ? 分で読めます





……私を呼んだのはアナタ、ですね

私は雨の神トラロック。あるいは、部族神にして戦の神ウィツィロポチトリ

相応しいと感じた方の名で呼んでください

どちらも、私にとっては変わりませんから……ね


Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント。クラスはプリテンダー

ILLUST:西藤浩紀(LASENGLE)
CV.本多真梨子

身長:168cm
体重:55kg
出典:アステカ文明、中南米神話
地域:中南米
属性:秩序・善
性別:女性


◆ステータス
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
C C C B E D

◆スキル
○クラス別スキル
陣地作成:EX

神性:A+

水辺の営み:A+

都市国家同盟:A

〇保有スキル
第三の太陽:A

花の戦争:A

月の湖:EX

宝具
『???』


【概要】

トラロック神、またはウィツィロポチトリ神を名乗る謎のサーヴァント。
トラロックはアステカ神話における雨の神で、第三の太陽の時代を支配したが、ケツァル・コアトルの炎の雨によって世界は滅ぼされたとされる。
ウィツィロポチトリはアステカの部族神で、戦の神にして太陽の化身と呼ばれる。土地を失ったアステカ人達に神託を下し、月の湖(メストリアパン)に導いて新たな都市を築かせたとされる。
また、その手に炎の杖(シウ・コアトル)を持ち、片足は蛇とも煙る鏡とも言われている事から、マヤ神話におけるテスカトリポカ神をアステカ人達が迎え入れた姿とも言われる。
ウィツィロポチトリは「ハチドリの左」という意味を持つため、テスカトリポカからは「ハチドリ」と呼ばれたりしている。

第一再臨ではトラロック、第二再臨ではウィツィロポチトリと真名が切り替わり、ストーリー中でもトラロックとウィツィロポチトリでクラスや能力が変わっていた。
トラロックとしてのクラスはルーラー、ウィツィロポチトリとしてのクラスはバーサーカー。
ストーリー中での戦闘では、トラロック時は「荒ぶるメストリアパン」という、「浮いているサーヴァント以外強制スタン」という反則じみたスキルを使ってくる。
このスキルは毎ターン、味方の行動開始前に必ず使用されるため、対策を取っていないと何もできずに嬲り殺されることとなり、ミクトラン前半最大の難所と名高い。*1
サポートサーヴァントであるネモを前線に出しているとこの効果を防ぐことが出来るが、その場合ネモにはターゲット集中が付与されているのではないかというくらいタコ殴りにされるので、固定メンバーであるマシュその他で全力で守り抜かなければならない。しかもその場合、誰がアタッカーをするのかという別の問題も抱えることになり…
カルデアの召喚ではプリテンダーという事もあり、本当の真名は別にあると思われるが……?


【人物】

自らの正しさを信じ、これを徹底する鉄の優等生。
正義とは「都市の繁栄」「都市の安全」であり、悪とは「都市の衰退」「都市の危機」である。
正義に生きるものは特に褒めたり笑いかけたりしないが優遇し、悪に生きるものは特に叱ったり見下したりはしないが処罰する。
その「都市に生きる人を護る」ことを第一とする考えは神として有り得ないものなため、ストーリー中ではニトクリスから違和感を覚えられることになる。

冷静、冷酷なアンニュイ系クールビューティー。
……と、本人は自分を評価しているが、言葉尻にはその時の感情が如実に表れる。
深い愛情・執着を表す「……、ね」
失望と憐れみを表す「……、ね」
敵意と怒りを表す「……、ね」
そして割と直情的なため、怒りが限度を超えると優等生とは思えない罵倒をする、わりと多い。
本人は基本的には面倒ごと、キツいこと、実入りのないことが嫌いで周囲との摩擦を避けたがっているだから優等生ムーブをしているだけである。
カルデアのマイルームではネロ皇帝の黄金劇場の話を聞いて「公共施設に予算を使いすぎでしょう……!!?」と口調が崩れるくらいのショックを受けている。

ウィツィロポチトリがテスカトリポカの兄弟神としても扱われるためか、テスカトリポカの事は「兄様」と呼んでおり、テスカトリポカからも妹分として可愛がられている。
実を言うと価値観が違いすぎるため*2あまりソリは合わないようだが、トラロックはテスカトリポカを敬愛しているため我慢している。
テスカトリポカが召喚時にめちゃくちゃ現代被れしたのに関しては、「流石です兄様!私もちょっと良いなと思ってました」と語り、第二再臨では自分も現代風の衣装に着替える。
現代風の衣装だけでなく水着にも興味があるらしく、おっきーやネロを見て露骨に水着を要求してきたりする。
また城や神殿といった宝具を持つサーヴァントにやたらと感情移入している、というか彼らの宝具そのものに親近感を覚えている節がある。

好きなものは第一再臨では黄金、銀、織物、沢山の羽飾り、工芸職人の作る黒曜石の刃などの「大通りに並んでいた物」。
嫌いなものは「スペイン人」。

第二再臨では現代風の衣装のためかアステカ時代の感覚が薄れており、神官(トラマカスキ)である主人公への好意を表に出すようになる。

聖杯にかける願いは特になし。
アステカ文明の常識が抜けていないため、「願いを叶える=心臓を捧げる物」と勘違いしている。


戦闘モーションでは武器として鞭を使い、トラロック神の石像を呼び出したり、雨の神らしく水を操ったりする。
そしてエクストラアタックと宝具では謎の巨大ロボが現れ、攻撃を行う。


【メインストーリーでの活躍】

第2部7章「黄金樹海紀行ナウイ・ミクトラン」で登場。
テスカトリポカによって召喚され、オセロトルの都市・メヒコシティを守護している。
メヒコシティを築いたのは彼女の力であるらしく、テスカトリポカとしてはもっと近代的な都市にしたかったが、トラロックが「それだけは嫌だ」と駄々をこねた為、古代アステカ風の都市になったのだという。
汎人類史の英霊ではあるが、人理よりも自分の都市に住まうオセロトル達を守る事を最優先にしているため、カルデアと敵対。
墜落したストーム・ボーダーの元にテスカトリポカと共に現れ、ニトクリスを血祭りにした。

メヒコシティの戦いでは海の加護を持つネモに「荒ぶるメストリアパン」を無効化されるが、霊基をウィツィロポチトリに切り替え、「煙る鏡」の権能によって主人公たちを追い詰める。
しかしそこに乱入してきたククルカンのパンチによって権能をぶち抜かれた上に物凄い勢いで吹き飛ばされ、戦闘不能になる。
そしてテスカトリポカが見せた「ORTが復活し、オセロトルもメヒコシティも何もかも滅ぶ」という未来を目の当たりにし、都市を守りたいという自分自身の望みとの間に葛藤が生まれてしまう。

花の戦争では再びストーム・ボーダーを襲撃し、ニトクリスとも再戦を行うことになる。
そして対トラロック用の霊子魚雷の直撃を食らい、トラロックの霊基にダメージを負ったが、それ以外にも霊基が重なっている彼女には致命傷とまではいかなかった。
ニトクリスは最後の手段として異霊化を行おうとするが、その瞬間に突如現れたカマソッソがトラロックを攻撃。弱っていたとはいえまともな反撃すらできず蹂躙され、バラバラにされた上にミクトラン最下層まで落とされた。

しかし、最下層はテスカトリポカが彼女を召喚した場所だったため、完全ではないものの傷を癒やし、最下層まで至った主人公たちの前に立ちはだかる。
そして異霊化したニトクリスによって真名を暴かれた彼女は、遂にその真の姿を現す。














真名建造


テノチティトラン


アステカ帝国首都であり、中南米で最も栄えた水上都市。アステカの心臓、テノチティトラン。
その都市に宿った精霊であり、都市を擬人化したサーヴァント。それが彼女の正体であった。


◆スキル
○クラス別スキル
陣地作成:EX
都市の擬人化であるテノチティトランの陣地作成は最高ランクのものである。

神性:A+
二つの神性を持つため、とても高い。

水辺の営み:A+
最高峰の水上都市としての矜持、誇り。

都市国家同盟:A
アステカ帝国とは、テノチティトラン、テスココ、トラコパンの三都市同盟による共同体であった。

〇保有スキル
第三の太陽:A
雨の神トラロックが支配した世界(第三の太陽ナウイ・キアウィトル)を創造する。

花の戦争(ショチヤオヨトル):A
ショチヤオヨトル。都市国家を存続させるためには他部族との戦争、そして奴隷の獲得は必須であった。
テノチティトランの神殿には心臓を抜かれた生贄たちの跡が続き、その活力によって彼らの太陽(世界)は守られたという。

月の湖(メストリアハン):EX
メストリアパン。放浪のアステカ人たちが辿り着いた安住の地、後にテノチティトランが築かれる湖の名。
人類に安息と繁栄をもたらす “人理” の収束点。ようはパワースポット。地上にありながら星の内海と同じ霊脈を持つ。
パーティ全体に高い物理カットを付加し、テノチティトラン自体は超パワーアップする。

宝具
重起動心臓都市(オメテオトル・テノチティトラン)
ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:1~40 最大補足:100人


輝けるコリョトルを!

心臓都市、起動。我がアルタール、我がカットーラ、我が愛しき神官(トラマカスキ)! 今度こそ、私は失わない!!

真実の身体、此処に。二つの暦重なる時、新しき陽は到来する。血潮、大地を濡らせ!

重起動心臓都市(オメテオトル・テノチティトラン)』!!


水上都市テノチティトランは、ただの都市ではない。
部族神ウィツィロポチトリの魂を骨格に。
雨と干魃をもたらす神トラロックの魂を外皮に。
積み上げられた巨石を筋肉に。
そして生贄たちの流した血をパイプラインとして起動する、巨大起動兵器なのである……!

ようは都市型巨大ロボ。30~50メートル。(操縦席があり、テノチティトランが搭乗)
都市が起き上がり、なんとなくテノチティトランを模した姿になり、二柱の神を奉った神殿を長い槍に変形させてくっつけて武器にする。
胸にはかつてテノチティトランで流された生贄たちの血が零れることなく貯蔵されており、これを魔力リソースとして使用、超高温の熱線を放つ。


【概要2】

テノチティトランはアステカ人が月の湖メストリアパンの島上に築いた水上都市。
伝説によれば、アステカ人はウィツィロポチトリ神から「蛇をくわえた鷲がサボテンに降り立った地を都とせよ」という神託を受け、その地がメストリアパンであったという。
そこに都市を築くのは至難を極めたが、アステカ人は沼沢地の干拓を経てこの難事業を達成し、1325年にテノチティトランは完成した。
テノチティトランは水上にありながら、30万人もの住人が住み、都市に農民はひとりもおらず、王と神官、貴族、商人たちと奴隷だけで成り立っていた、当時においては最新・最大の都市モデルだった。

しかし、16世紀前半にスペイン人の征服者エルナン・コルテスが現れ、アステカの王モテクソマ2世は、白い肌に黒い髪の彼を伝説にあるケツァル・コアトルの再来と信じてテノチティトランに招き入れてしまい、
エルナン・コルテスはアステカ帝国に支配されていた周辺部族を味方に引き入れ、アステカ帝国を滅ぼした。
制圧されたテノチティトランはエルナン・コルテスらの手によって徹底的に破壊され、その残骸の上に現在のメキシコの首都・メキシコシティが築かれたという。
「メヒコシティ」という名前は言うまでもなくメキシコシティが由来となっており*3、テスカトリポカが時代に合わせた名前として名付けた。

サーヴァントとしてのテノチティトランは、元はメストリアパンに住んでいた精霊で、アステカ人たちの営みを好ましく思い、いつしか都市の心として彼らを守護する存在となった。
トラロック、ウィツィロポチトリの力を使えるのは、テノチティトランには彼らを祭る双子神殿テンプロ・マヨール(ウェイテオカリ)が存在したため。
長く、そして熱心に信仰されたことで神の権能が使えるようになったという。
力はテノチティトランに、栄光は元となった二柱の神に、というお互い損のない関係だとか。

都市の魂であるため、基本的には人間好き。
それが、人間という動物を愛しているのか、都市である自分を彩る一要素として好んでいるのか、は不明(たぶん両方)。
何より気に入った相手をそれとなく自然に、どう見ても露骨にテノチティトランに住まわせようと提案してくる。
特にマスターに対しては神官(トラマカスキ)と呼んだ上で「自分こそが神官の永住の地」と考えているため、やたらと湿度の高い執着めいた態度を取る。
神官の義務として一生を神殿で過ごさせようとしたり、
誕生日には自分の秘密の部屋(コックピット)に招待して操縦させようとしたり、
絆礼装ではまさかのマイホームを都市型ロボの手に作ってプレゼントしてきたりと、
とにかく自分への引っ越しを推し進めようとしてくる。

アナタの家は調べました
特に心配はしていませんが、あんなレベルの街にいたらあなたの人生は転落するだけでしょう
引っ越しするべきです、ね?


なお好きなもので語っていた「大通りに並んでいる物」とは、つまりかつてのテノチティトランにおけるアステカ人たちの営みの象徴。
嫌いなものである「スペイン人」は言うまでもなくアステカを滅ぼしたから……と思いきや、「治水が下手くそすぎて地盤沈下を起こしている」ことが気に入らないらしい。「思い返すだけで頭がナウイ・キアウィトルになる」とか。


人間関係

テスカトリポカのライバルであるケツァル・コアトルの事は嫌っており、「アイツはろくな事をしない」と神話時代からの不満を口にしている。

疑似サーヴァントのジャガーマンに対しては、「私の兄様の分霊が、あんなに面白いわけがない」とどこかの異聞帯のジャガーマンだと思い込んでいる。

主人公のファーストサーヴァントであるマシュの事は割とライバル視しているが、どうもキャメロットの擬人化サーヴァントだと思っているようで、自分と同じような存在として強いライバル心を持っている様子。

姫路城に宿る妖怪である刑部姫に対しては、都市の心となった自分とは違い姫を名乗る図々しさに呆れつつも、「そういうのもありだったんだ…」とちょっと感心している。

第2部7章ではライバル的存在であったニトクリスに対しては、「努力家で、生真面目で、民を大切にする……何一つ共感できません」と語っているが、ぶっちゃけ似た者同士。
気が合わないと言いつつもエジプトのピラミッドはリスペクトしているらしくニトクリスの事も「水責めで反逆者たちを殺したのはなかなかのセンスだと言わざるを得ない」と気が合いそうな事しか言っていない。


【活躍2】

オルタ化したニトクリスに敗れ、死を覚悟したテノチティトランだったが、ニトクリスは彼女に止めを刺さなかった。
ニトクリスは、テノチティトランがオセロトルを滅ぼそうとするテスカトリポカに従い戦う事に迷いを感じているのを知り、かつての自分と同じものを感じて放っておけなくなっていたのだった。
そしてニトクリスは、兄弟たちを守るために戦えなかった自分と同じにはならないようにとテノチティトランに言葉を残し、消滅した。


ですので───私自身を救いたいがための、
自己満足の願いですが、心にとどめられますよう

戦うべき時。戦うべき相手。それが見えた時、自分を偽らないで

民のために血を流すと言った、美しい都市の化身
その心臓には、まだ未練(ねつ)が残っているのでしょう?


その言葉を聞いたテノチティトランは戦いで崩れた足場から溶岩に投げ出されそうになった主人公たちを助けてしまい、テスカトリポカから始末されそうになるが、イスカリが強く反対した為ひとまず棚上げになった。
そしてイスカリはオセロトルの滅びを看過できずにテスカトリポカに再考を願ったことで殺され、テノチティトランはORTの復活で崩れる足場からその遺体を抱えて脱出した。

実はイスカリはテノチティトランが滅ぶ原因となった王、モテクソマ2世の写し身であり、汎人類史を憎み、自身の墓場となったテノチティトランなど見たくもないと考えて当然だと彼女は思っていたが、
イスカリはオセロトルの営みを愛し、いつかメヒコシティに負けない理想の都市を作りたいという夢を持った。
その夢を捨てきれず、結局は自分の好きなものを取ったイスカリの最期を見届けたテノチティトランは、葛藤を抱えたままニトクリスの言葉を思い出し、メヒコシティへと向かう。
──イスカリはメヒコシティを愛し、そこに住まうオセロトルを愛した。けれどどうせ、弱く愚かなオセロトルたちはORTを恐れ、メヒコシティを捨てただろう。そうに違いない。
無人の、最早己の守るべきものなど何も残っていないメヒコシティで死んでやろう。そう思いながら。

だが、そこでテノチティトランが見たものは───誰一人として逃げ出さず、帰るべき場所、住まうべき場所であるメヒコシティを守るために、武器を手に敵うはずもないORT(侵略者)へと立ち向かおうとするオセロトル達の姿であった。
(イスカリ)に命令された訳でもない。
(テスカトリポカ)のためでもない。
ただ、この地底世界(ミクトラン)の今を生きる人類として、生きるための戦いを、彼らは自分の意思で始めたのだ。


「───二柱神殿、双肩に移動。都市水脈を魔術回路に変換。発火星辰(ママルワストリ)、霊核注入」

───ああもう、ほんっと、なんなの、それ
勇敢に戦って死ねば天上に行けるなんて夢でも見てる?

見てるんでしょうね。アステカはそういう世界だもの
戦って死ねば誰であろうと認められる
戦いに勝てば誰であろうと正義になる

でも、それは相手が戦士の時だけ
事故や病気で死んだものは違う冥界に送られる
寿命、災害で死んだものを迎えてくれるのはテスカトリポカ神の楽園だけ

そのテスカトリポカ神はもういない
彼らがここで死んでも、救い出す神はいない

「───なら、私が、やるしかない、じゃない」

重神合体機構(オメテオトル)、承認。心臓都市、起動───」


「この、クッッッッソ侵略者! それ以上、私の街に踏み入るな───!」


もはや満身創痍で動くことすらもしんどい状態のテノチティトランだったが、メヒコシティそのものを宝具形態として起動。
咆哮一声、オセロトルを守るためにORTの円盤を鷲掴みにして立ち塞がった。
だがORTは余りにも強大で、拮抗したのもほんのひと時。あっと言う間に両腕を砕かれ、痛みで心折れそうになるテノチティトランだったが、オセロトル達はそれでも逃げ出さずにテノチティトランを守ろうと一丸となって援護射撃を敢行、徹底抗戦を続ける。


彼らが守っている
私は守られている

かつて守られなかった、守るための戦いさえ起きなかった、この街を
侵略者たちに占拠され、異文化の価値観で土に埋められ、無かった事にされた、この私を

「……いえ。まだ、埋もれていない。この街で、生きたいと願う人間がいるのなら、」

このまま、オマエを止められないとしても
1分の抵抗が、2分になるだけだとしても

「私が、諦める理由にはならない───!」

何度でも、何度でも築き上げて、彼らの太陽を、彼らの夢を守り抜く

「我が名はテノチティトラン! 戦士たちを祭る、壮麗なる水の都!」
「死してなお蘇る、アステカ世界の心臓なり───!」


その抵抗によって生まれた時間によって、ORTの心臓である太陽はメヒコシティから離れ、ORTはそれを追って進路を変え、生き残ったのは僅か数人ではあったがオセロトル達は確かに守られた。
ミクトランは滅びるだろう。それはもう動かしがたい事実。ここでメヒコシティを、オセロトルを守ったことで、その定めが変わる訳ではない。
…けれど、この抵抗は、戦いは、絶対に無駄ではないと、無意味ではないと、今なら胸を張って言える。
そう、アステカ神話において世界とは必ず滅びるものであると同時に、それでも何かが遺り、いつか復活するものでもあるのだから。
マィヤが太陽を遺したように、カーン王国が勇者王を遺したように、あるいは、ORTですらも───。
いつの間にか、自分が思うより遥かに強く逞しく育っていたオセロトル達の世界を守るために戦えたことに満足し、テノチティトランは静かに消滅していった。


……じゃあね、私の街、私の民
それと、お節介なニトクリス

この通り───心臓から未練(ねつ)は無くなったわ


滅びた都市として、もう一度、都市として在る事ができるのなら、それがどんなに小さな世界であっても、今度こそ都市に住んでいた命を守る、という強い願いを持っていたテノチティトラン。
その願いは、最期に果たされたのであった。




追記・修正よろしくお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • TYPE-MOON
  • Fate
  • FGO
  • プリテンダー
  • 本多真梨子
  • トラロック
  • ウィツィロポチトリ
  • 都市
  • 擬人化
  • 湿度が高い
  • マイホーム
  • 巨大ロボ
  • ハチドリ
  • 敵女
  • 涙腺崩壊
  • 黄金樹海紀行ナウイ・ミクトラン
  • ……、ね
  • かわいい
  • ロボ宝具
  • サーヴァント
  • 真名建造
  • Fate/Grand Order
  • テノチ
  • アステカ
  • 加湿器
  • 愛が重い
  • バケットホイールエクスカベーター
  • ぐだの嫁候補
  • ぐだの家

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月20日 19:45

*1 見た目浮いてる感じなのに浮いてない判定のサーヴァントも何人かいてマスターの混乱に拍車をかけたとか

*2 テスカトリポカは彼女にとっての悪である「都市の危機」も場合によってもたらす

*3 「メヒコ」はメキシコのスペイン語読み。「メキシコシティ」はスペイン語では「シウダー・デ・メヒコ」と発音する。