北条時行(逃げ上手の若君)

登録日:2023/06/06 (火曜日) 13:19:00
更新日:2024/03/20 Wed 11:47:04
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よしっ 逃げよう!!


北条(ほうじょう)時行(ときゆき)とは、鎌倉時代末期から南北朝時代の武将。
本項目では、史実を元に創作されている漫画作品『逃げ上手の若君』における キャラクターとしての北条時行 を扱う。

CV:結川あさき(TVアニメ)/大塚琴美(ボイコミ)


●目次


ステータス

レアリティ
(1333年)
☆☆☆☆ SSR
能力 南北朝適正
武力 6 蛮性 11
知力 27 忠義 80
政治 4 混沌 48
統率 12 革新 22
魅力 41 逃隠 89
レアリティ
(1335年)
☆☆☆☆☆ UR
能力 南北朝適正
武力 34 蛮性 18
知力 47 忠義 80
政治 32 混沌 52
統率 38 革新 34
魅力 69 逃隠 93

  • 技能:逃げ上手
逃走・回避・潜伏の複合技能

  • 備考:好物 鯛の刺身
幸福値30%上昇

  • コメント
今日から一文無しになりました。宜しくお願いします!



概要

北条一族本家の現当主(得宗)・北条高時の次男坊にして、この作品の主人公。1333年時点で僅か8歳
見た目としては『ネウロ』の石垣筍系の顔だが、「あどけない中に色気も感じさせる、中性的な美少年」という松井先生の性癖得意とする造形。

北条家の跡取りながらも北条家の没落も目に見えている時期なだけあって誰からも期待されていない日陰者。
彼自身「お飾りの王に知力も武力も無用」「ただ大好きな鎌倉の街で生きていければそれでいい」と達観、いや諦観しているふしさえあった。
……だが、足利高氏による裏切りと鎌倉幕府の滅亡、父と兄の死、そして自らも死の淵の淵に立たされたことで才能が開花。
諏訪頼重から、今はとにかく逃げ延び、やがて痺れを切らした(たかうじ)が討って出た所を狙う「鬼ごっこ」による天下奪還を持ち掛けられたことで、彼の戦が始まる。
現在は長寿丸(ちょうじゅまる)の名で諏訪に潜伏。力を蓄えつつ逆襲の機をうかがっている。

マーキング・パターンは「三つ鱗」
北条家の家紋であり、現代風にざっくり言えばトライフォース柄。


人物

平穏な鎌倉の街を愛し、戦や政を嫌う優しい少年。
一方で逃げることについては並々ならぬ執念と才能を持ち、その気になれば家臣の目を2日はごまかせる程である。
「とにかく戦ってなんぼ、負けるぐらいなら死ね」と言わんばかりの鎌倉武士の価値観からは腑抜けも良いところのまさしく異端児。
ただしただ臆病なヘタレではなく、逃げはするが敵から目をそらさず、戦を放棄するつもりはさらさらない、勇敢な気概も併せ持つ。
そして部下や人の命を何より大切に想っているのも特徴であり、仲間や自軍の武士たちの死を憂い、優しすぎる余り部下の自己犠牲的な死すらも否定する心優しさを保っている。

なお生まれ育ちのせいか価値観がどこかおかしく、召し抱えようとした協力者から条件として大金を要求された時も、
「旗揚げからの生粋の功臣なら『国』を要求してもおかしくないのに金で済ませてくれるとは何という無欲!」と予想外のベクトルで揺らぐなど、この作品らしく一筋縄ではいかない主人公。
更には危険に身を置くと生存本能が刺激され興奮してしまうアカン性癖の持ち主。自覚はないが、死にかけた時は顔が火照っている。
おかげで仲間の鎌倉武士からは「全裸逃亡ド変態稚児」という酷すぎるあだ名をつけられている。

中先代の乱後の1337年時点では伊豆に潜伏するも、未知の地での潜伏生活での不安・窮屈・恐怖・支援してくる人々への感謝の情が入り混じった結果興奮するなど変態性に磨きが掛かった。


能力

一見腑抜けにも見える逃げ癖こそが彼を英雄たらしめる力の片鱗で、頼重から「生存本能の怪物」とまで称される才能の持ち主。
崖から敵陣ど真ん中に落とされてもアクロバティックな立ち回りですべての攻撃を掻い潜ってそのまま崖を飛び上る等、逃げる為ならそこいらの武士(というか大体の人類)では相手にならない程の身体能力を隠し持っている。

ただ、稀代の逃げ上手である反面攻めは不得手。
刀を振っても相手が引くほどのへっぴり腰で擬音語までも珍妙。大鎧を着込めば重すぎて全く動けない位には筋力も貧弱なレベルである。
頼重は矯正したら逃げの才能がつぶれるとして当人が興味を示す弓の訓練を重視していた。


  • パルティアンショット
頼重命名。日本的に言えば「押し捻り」
付かず離れずの距離を保ちながら逃げつつ身体をひねって後方の敵を弓で射抜く騎射戦術。
紀元前の中東国家パルティア考案の技術だが時行は本能で会得した。

  • 鬼心仏刀(きしんふっとう)
吹雪から伝授して貰った逃げながら戦う術。
吹雪曰く「この世で最も優しく慈悲深くこの世で最も残酷な剣」
具体的には相手の攻撃を受け流しながら見切って内小手を斬り出血させた後、そのまま止血の暇を与えない程度にチマチマ内小手を狙いつつ超スピードで付かず離れず逃げ続ける。
結果相手は止血することもできずゆっくりと血を流し続け最後は失血死により倒れ伏す。
なお一部読者からはどくどく+かげぶんしん戦法」と例えられた。主人公の必殺技か?これが…
名称の由来は「見た目には情け容赦がないようだが、実は相手の為を思う行為」を意味する「鬼手仏心」か。「見た目はしょぼいが、実は情け容赦のない行為」と見事に意味が反転しているが。

  • ヒップアタック(仮称)
天性の逃げ筋で敵の方へ逃げて尻で攻撃する技。
潔い死に酔う保科への憤りと、かぶせられた酒で酔った勢いから生まれた新必殺技。
吹雪は絶賛したものの「エビみてーだな」「かっこ悪ぅ」と郎党からの評判は概ね不評。
逃げて生きる時行の覚悟と連続の尻攻撃によって保科の頭を冷やすことに成功したが、顔を紅潮させたいたいけな美少年が、屈強な武者のうるさい顔に連続で尻を当てる絵面はかなりシュール。

  • 背面回避
戦闘中に敵に背を向けた状態で攻撃を避け続ける技。
いくら逃げ上手と言えども、背中に目がついてない限りそんな芸当が出来るはずもない。不可解な動きを見せて敵の動揺を誘い、守りを崩すことを目的とした逃げ技である。
そのタネは逃げ役とは別にもう一人、敵の動きを見てサインを出す指示役を用意することにある。そのためタネに気付かれると脆く、指示役が指示を出した瞬間に反対をつけば簡単に刺されてしまう。
しかし、この技は「二牙白刃」を決めるための下準備に過ぎず……

  • 二牙(にが)白刃(びゃくじん)
瘴奸との再戦に備えて吹雪が伝授した瘴奸を殺すことだけに特化した技。
背面回避のからくりに気付いた瘴奸が指示役を注視し、時行から意識が離れた隙をついて指示役が本気で時行を刺突。この攻撃を背面に避けた時行が、勢いそのままに逃げた先にいる瘴奸の喉を貫く回避不能の奇襲技
上記の保科に対するヒップアタックに着想を得た吹雪が必殺技にまで昇華させた。
意識の外からの攻撃という意味では前作のクラップスタナーに近しいが、この技は敵に戦術を読み解かせるほど回避が難しくなり、正に瘴奸のような理詰めの武将ほどドツボにハマりやすい性能となっている。

名称の由来はおそらく仏教用語の「二河白道」。
左右を怒りの火の河と貪欲の水の河に挟まれ、さらに背後から追っ手が迫る状態でも、一心に祈り続ければ二河の間から極楽浄土に伸びる白道を進むことができるという教え。

  • 背伸乗り
吹雪から伝授された乗馬方法。
大人用の馬の背中に立ち上がって乗馬し、全身で馬の動きを制御して走らせる。
本来であれば、子供用の馬を殺された際の緊急手段だが、大人用の名馬に軽量の子供が乗ることで段違いのスピードを出せる副次的効果があり、今川範満との鬼ごっこに活用した。
当然、乗り方としては危険極まりない上、旋回時に大回りとなり速度が保てなくなるなどの弱点はあるものの、当の時行は「とても怖くて楽しい」発情嬉々として語っている。


逃若兵法

時行の人生経験や記憶を元に組み合わせて編み出した独自のものから、楠木正成から託された奥義書に記されたものに、軍師の吹雪から伝授されたものまで多数。
およそ常識に囚われない新鮮な発想によるものが多く、敵の虚を突くことに長けている。

  • 火焔御柱(かえんおんばしら)の計
崖下を通る敵の軍勢に向かって燃える丸太に兵士を乗せ、そのまま崖から滑り落ちて突っ込む奇襲の策。
いくら弓や落石などに慣れた兵と言えど、火のついた丸太までは流石に咄嗟に判断して回避することは不可能であるため混乱は必至。
さらに複数の火と丸太によって狭い山道ごと軍が分断され、丸太上の兵士に地の利を取られるなど、瘴奸をして「こんな一手を決められては逆転は不可能」とまで言わしめた。

時行は、太古から続く信濃の奇祭「御柱祭」のうち、山から切り出した巨大な丸太の上に乗って崖から100m先まで滑り落ちる「木落とし」から着想を得てこの策を立案。
そこに木曽義仲が倶利伽羅峠の戦いで行った「火牛の計」も参考にして組み合わせたものとなっている。
さらに瘴奸の通る経路は道に詳しい雫が予測し、瘴奸が狙うであろう頼重に敢えてその道を通ってもらうことで進路を誘導。
あとは御柱の扱いに慣れている諏訪大社の氏子に丸太の準備や、兵たちへの乗り方を指南してもらうことで急ピッチで策の準備を整えた。
なお、命の危機に興奮する変態時行や、やんちゃな弧次郎以外のメンバーは崖上の御柱を前にして漏れなくドン引きしている。

瘴奸は余所者であるが故に「御柱祭」のことを知らず、また知識に富むが故に「火牛の計」が作り話であることを知っていたため*1、見事に常識の外の一撃として決められてしまった。

  • 偽旗の計(仮称)
敵の旗印を掲げて伝令と偽り、敵陣ど真ん中の大将に接近する策。
正成の奥義書に記されていた策であり、正成にとっては「ごくごく普通に使う手」とか。
また、正成は疑われないコツとして「自分の正義を強く信じて歩を進めること」と記している。

  • 士気獲競馬(しきどりけいば)の計
今川範満との戦の際に、無茶振りされた吹雪が急遽閃いた士気を高めるための策。
望月家の駿馬を時行が背伸乗りで走らせることで、範満を超える速度を実現。
暴走する範満の常に前を走りながら、範満の接近に対する注意喚起と味方の鼓舞を同時に行うことが可能となった。
さらに縁起物の髪を下ろさせ貝殻粉や金粉をまぶしたその姿は皆の目を引き、広い戦場を逃げ回ることでより一層味方の士気を上げることにも繋げている。

また、戦場のところどころに派手な服を着た兵を置いて目印とした加速装置や、替え馬のポイントを設置。
範満は常に北条軍付近を走っているため、共闘する上杉軍の助けも受けづらく、一方的に妨害を受けるため、時行との駆け比べは常に不利な状況を強いられる。
加えて、乱戦の最中に玄蕃を暗躍させ、足利方に現在の競馬よろしく賭けを提案して集中力を乱し、範満の馬替え場を潰す破壊工作を施すことで勝ち確の状況を作り上げた。

仮に範満が時行を追い詰めたとしても、仕留めるために速度を緩めた隙を逆に突き、
競馬の進路の真ん中に潜んだ吹雪が最短で討てる準備を整える保険も用意するなど、急拵えの策にもかかわらず万全の構えとなっている。


装備

  • 北条家重代宝刀「鬼丸(おにまる)
中先代の乱敗北の折、敗戦の将の責を背負った頼重から時行へ与えられた北条高時の形見というべき日本刀。
「背負った宿命が重いほど刀が軽くなり切れ味が増す」という性質を持つ。
自分から攻めるのに向かない非力の時行が五大院宗茂の首を断てたのもこの宝刀の特性の恩恵によるものであり、後の鬼退治の助けとなるべく時行に与えられた。

史実では鬼丸国綱(おにまるくにつな)とも呼ばれ、天下五剣の一つに数えられる由緒正しき名刀である。

逃若党(ちょうじゃとう)

時行が率いる郎党達。
人数も少なく、雫・弧次郎・亜也子の3人は時行と同年齢と極めて若いのが特徴。後で入った玄蕃・吹雪も未成年程度の年齢でしかなく年齢のアベレージは非常に低い。
同年代或いは近しい年齢の者達の集まり故に時行との関係性も皆友人同士のように気さくな仲である。

諏訪(すわ)(しずく)


弱者を犠牲に大きく肥った貴方達より
弱者を守れと私達に命じた兄様の方が…武士の器はずっと大きい

CV:高木遥香(ボイコミ版)

レアリティ
(1334年)
☆☆ R
能力 南北朝適正
武力 2 蛮性 5
知力 45 忠義 96
政治 38 混沌 26
統率 49 革新 41
魅力 62 逃隠 28


諏訪大社の長・諏訪頼重の娘であり巫女。
一党でのポジションは執事*2で出会った時点で、既に頼重の仕事を補佐する立場にいる。
マーキング・パターンは「梶の葉」

どこか浮世離れしたミステリアスな少女で、父に対しても「未来は見えるが祈祷は適当」「インチキはインチキだから」とバッサリ言い、
攻め込んできた貞宗に対して正面から「その目玉ヘビにあげて丸呑みするか観察したい」と満面の笑みで言い切るなど、大人しそうな見た目に反して意外と毒舌家。
なのだが、一応頼重の予言に対してはそれなりに信頼している模様。
時行の事は便宜上「兄様」と呼び、全幅の信頼を置いている。
因みに家族として扱われると照れてフニャる。それどころか家族愛以上の想いも抱いているが、時行には知られないよう普段は平然を装っている。

戦では基本他の巫女達と共に裏方でのサポートが基本。とはいえ全く戦えない訳ではなく、いざという時は吹き矢を駆使して離れた間合いから小さな棘の矢を飛ばし敵の集中を削ぐこともある。
なにより年齢に似合わず聡明で、戦では時に頼重の名代として諏訪軍の陣地で献策を行い、時行や諏訪陣営を支える場合もある。


祢津(ねづ) 弧次郎(こじろう)


逃若党の孤次郎!その首と威勢貰い受ける!
オラァ!!

CV:佐藤恵(ボイコミ版)

レアリティ
(1335年)
N
能力 南北朝適正
武力 63 蛮性 90
知力 37 忠義 95
政治 5 混沌 59
統率 61 革新 31
魅力 42 逃隠 43


祢津氏の血縁者で、時行救出の際に頼重が連れてきた部下で刀を振るう小柄な少年。
薄い青紫色の短髪とつり目が特徴。
マーキング・パターンは「梶の葉・月・茨」

上流階級の子としての品性を身に着けている時行とは対照的に、年相応にヤンチャ坊主。
言うなれば鎌倉武士界期待の新人といったところで、弱冠9歳で川中島での国司軍との戦で共に戦った保科郎党の面々から孫みたいに猫可愛がりされている。
郎党の中では貴重な常識人でもあり、大体天然でボケをかます時行や吹雪のツッコミ役に回りがち。

一方で、一族の中では本物の跡取りである祢津"小"次郎の影武者といった所であり、扱いは良いとは言い難い部分がある。
が、小次郎のほうが病弱な反面穏やかな人柄ということもあって両者間の関係は良好。
弧次郎の出自は、当主・頼直の妹が北条に近い御内人*3に乱暴されて産まれた子供。
母親は弧次郎を産むと同時に亡くなったため、祢津家にとっては厄介な出自の孤児扱い。
頼直も弧次郎に対して複雑な感情を抱いており、身内でありながら当たりがきついが、弧次郎自身は「厄介な出自にもかかわらず居場所を与えてくれた恩がある」として感謝している。
影武者ということもあってか、頼直の指示で合戦の際はバンダナを頭に巻くようになる。

天性の逃げ上手で「当たらなければどうということはない」を地で行く反面攻め手はサッパリな時行の「刀」となって敵を攻め立て、攻撃のチャンスを作り出すのが主な役回り。
まだ子供ながらも武勇に優れそこいらの武士よりは強いが、当初は歴戦の「鬼」に対してはまだ一歩劣るレベルだったが、戦に参加して行く形でメキメキとその武勇を高めている。
川中島の初陣以後も郎党として最前線で活躍。
数多の豪傑達と命のやり取りを経て日々成長を重ねているが、流石に年齢からくる経験不足で苦戦したり、敵の力量や引き時を見誤ったりすることもままある。


望月(もちづき) 亜也子(あやこ)


私も…ポロリやってみたい!!

CV:綾瀬みゆう(ボイコミ版)

レアリティ
(1335年)
N
能力 南北朝適正
武力 58 蛮性 86
知力 32 忠義 92
政治 7 混沌 78
統率 19 革新 42
魅力 68 逃隠 35


望月氏の庶子で、時行救出の際に頼重が連れてきた部下で薙刀使いの少女。
一党での役職は便女(びんじょ)*4
時行や雫とあまり変わらない年齢らしいのだが、自分でも「デカ娘」と自虐するほど頭一つ背が高く、バスケットボールぐらいの大きさの岩石を片手でブン投げる並外れた膂力と身体能力の持ち主。
綺麗な顔立ち・背丈から齢10歳ながらも成人女性に見間違えられたほど。
マーキング・パターンは「九曜」

賑やかな振る舞いの似合う大らかで明るい性格。
かの女性武将・巴御前に憧れており、巴御前のような女武将になりたいと夢見て日々鍛えている。
目標は巴御前のように怪力だけで人間の首を引き千切ること。本人曰く「ポロリ」。その目標を叶えるため、日々人形を使って首をもぎ取る練習までしている。
また武芸だけでなく田楽を一人で演奏して盛り上げるなど音楽センスにも優れており、その才と恵まれた容姿は時行からも「平和な世なら皆の憧れ(≒アイドル)になれる」と評されている。
彼女も雫同様時行に対して恋愛感情を抱いているが、雫とは違って隠そうとはしていない。

戦では弧次郎ともども主君の「刀」として好機を作りだすのが役目。中先代の乱の段階では実力をしっかりと付け、諏訪陣営の武将の1人として弧次郎と共に戦場で戦っている。
一方で力任せ、かつ主を守ること以外考えていない戦い方をたびたび指摘されている。
特に正宗からは「薙刀は近いうちにへし折る」とまで言われ、代わりの武器として角に刀を仕込んだ正宗版メイスともいうべき新武器四方獣(よものけだもの)*5を作成してもらっている。


風間(かざま)玄蕃(げんば)


殺し合いならいざ知らず 化かし合いでお堅い武士に負けるかよ

レアリティ
(1334年)
N
能力 南北朝適正
武力 11 蛮性 75
知力 39 忠義 18
政治 2 混沌 84
統率 4 革新 81
魅力 6 逃隠 79


頼重から時行に「邪道を知る家臣」「盗みの達人」としてスカウトを勧められた、信濃の桔梗が原に悪名を轟かせる盗賊の少年。
詳しい年齢は不明だが、逃若党の中で唯一飲酒している描写がある為、元服済みかつ時行達よりも年上な模様。
ビジュアルは常時狐の面を被った小生意気な少年。素顔は未だ誰にも見せていなかったが、夏との火薬作りの際に見せた素顔はヤンチャ風の美少年。
マーキング・パターンは「惑帯に惑菊綴」

性格は筋金入りの女好きかつ守銭奴な俗物。
契約反故などにより自分を裏切った相手には徹底的に陰湿な嫌がらせを仕掛けるため凄まじく嫌われており、
その嫌われぶりたるや、名前を聞いただけで視界に入る家という家が全部一斉に戸締りして引きこもる程。
「敵に回すと厄介だが、味方になれば頼もしい」を体現する人物な一方で、
日常では一度タガが外れると「酒に酔った勢いで諏訪大社の巫女達の尻を触りまくった挙句、下半身を露出させ、身体能力の高さに物を言わせて暴れ回る」等の超絶下品な姿を見せることもある。

父は諏訪家の支流にあたるとされる元武士だが、主人の 為にと研鑽を重ねてきた技を「卑怯」と腐された上に盗みの嫌疑をかけられて追放・没落の憂き目にあっており、
息子である玄蕃に名と面と技、そして「忠誠や信用などという不確かな物より、目先の銭だけを信じろ」という教えを授けた。
そういった境遇の為、正反対の生まれと「ほぼすべての武士からの裏切り」の経験を持つ時行に高額報酬を吹っ掛けたり、裏切る可能性を示してみたりと揺さぶりをかけるが、
時行の君主の子であったが故のぶっ飛んだ金銭感覚と、「疑うことはあっても、自分からは裏切りはしない」とまで言い切る真っすぐさ、
そして自分の悪ふざけのせいで時行に怪我を負わせてしまった負い目の借りを返すべく依頼を完遂した後*6
父とのもう一つの約束「もし心の底から仕えたい主が現れたなら、来世でまで仕えてでも報酬は取れ」を果たすべく、時行の出世払いで国一つという条件で「逃若党」と契約を交わし郎党に加わる。

この時代から現れたとされる、諜報や破壊等の妨害に特化した工作員忍者の先駆け。
戦闘能力はぶっちゃけすばしっこいだけが取り柄の小兵だが、奇襲や破壊工作といった化かし合いの領域ならば貞宗・助房の面白合体おっさんコンビさえも翻弄。
  • 木で眠っていた鳥を叩き起こして羽ばたきの騒音で助房の耳を封殺。
  • 暗闇に乗じた素早い動きで迫りつつ、変装の技術で助房に化けて貞宗の一瞬の虚を突き弓の弦を切断。
  • 小笠原の弓が破壊されたので近寄って攻撃するしかなくなった助房の行動を先読みして目潰し。
  • 重要書類が保管されている倉に火種を撒いておき、ミスディレクションのように炎上を開始した蔵に気を取られた瞬間に離脱。
といったことをやってのけ、化け物二人を相手に無傷の完封勝利を収めるという大金星を上げた。
また変装の名手でもあり、特殊な粘土で作られている狐の面と小道具を組み合わせてあらゆる人間へと変装できる。あと、お面のくせにやたらと表情豊か。

モデルは桔梗が原の民間伝承に登場する化け狐、「玄蕃丞狐」と思われる。


吹雪(ふぶき)


(この王子が隠した魅力の全てを引き出し 天下の舞台へ行ってみよう)

レアリティ
(1335年)
N
能力 南北朝適正
武力 78 蛮性 76
知力 84 忠義 80
政治 82 混沌 72
統率 58 革新 87
魅力 50 逃隠 29


上記の面々よりやや年嵩の少年(初登場時で10代半ばだろうか)。
薄い青色の髪をした涼しげな表情の美少年。
ある村で子供を率いたゲリラ戦術で征蟻党の兵を撃退し追い返していたが逃若党との共闘を経て逃若党の仲間入りを果たした。
マーキング・パターンは「雪」

一人称は「自分」
性格は冷静沈着。剣技・指揮能力に秀でた優秀な人物だが、その能力に驕ることなく謙虚に振舞い、悪党に襲われた村の幼子達を見捨てられない義理堅さと人の好さを持つ。
普段は非常に聡明なのだが、代わりに燃費が悪いのかとにかくよく食う健啖家。
健啖家過ぎて諏訪大社とも面識がある上、食事が絡むと思考回路が途端にポンコツ化するのも特徴。
陣地とした村の兵糧を3日で食い尽くしてしまったり、諏訪大社に付けば白米も食べられることに気づかず、雫から伝えられて「マジで!?」と驚愕する場面もあった。
「こいつほんと冴えてんのか抜けてんのかよくわからん」とは孤次郎の談。
よく食べる理由として「寒いから」と言うように名前に反して寒がりらしい。
食べるほかにも「誰にも価値を見出されないものに価値を見出した時に冷めた体に温かさを取り戻す」と語っている。

戦闘面では武芸に長けた二刀流の使い手であると同時に戦術眼・育成能力に長ける優秀な指揮官ユニットであり、現在の逃若党の中では間違いなくぶっちぎりの最高戦力。
特に優れた戦術眼で人の本質を見抜き、適正に合わせた策を授ける「教育」の能力に秀でており、親を失ったばかりの子供たちに戦い方を授けて何度も悪党を退ける戦果を発揮している。
逃若党内でも剣の腕がへっぽこな時行に対して敵に合わせた剣術をその都度授けたり、忍の技は専門外としながらも玄蕃の技の問題点を的確に示したりと教師の役割を果たしている。
しかも、まだ本気を見せているわけではないらしく、玄蕃や征蟻党の腐乱に「引き出しをまだ隠し持っている」と言われるようにその実力は底知れない。
川中島の戦いでは助房が国司から離れた瞬間を狙って単騎駆けを行って国司を急襲するも命までは取らず、長期的な戦略も考えて「無能の敵将は殺さず生かしておくべき」とあえて見逃して敵陣に厄介な爆弾を残し進軍を妨害する策も講じている。
一方、京都では暗殺が不可能と言われた尊氏の暗殺を進言して失敗。時行を危険に晒したことで意気消沈するなど、足利絡みなると短慮になる側面も描写された。
その後望月重信には「頭でっかちのきらいがある」と指摘され、彼に同行することで大雑把すぎる結果論戦法は参考にできなかったものの環境を利用した臨機応変な戦い方も学んでいる。
だが何より最大の欠点として空腹になると戦場であろうと力が抜けて碌に戦えなくなる。本人曰く「おなかが減って力が出ない」
そのため空腹を解除するために饅頭などを口にぶち込む必要があるが、空腹が一定ラインを超えると、凶暴性と攻撃性が増しバーサーカーに片足を突っ込んだ状態と化す。

その素性は足利方の下級武士の子
足利学校で文武を学んでおり、足利首脳陣も遠目程度だが見る機会があり、顔の判別がついていた。
息子の出世に病的に執着していた父親から「天下人を作れるほどの才」を持たせるために鍛錬と称した虐待を受けていた過去を持つ。
吹雪はそんな過酷な生活に耐え切れなくなり、ある雪の日に父親を殺害して出奔。以降、天下を支える目標を捨てきれないまま、仕官のために彷徨い続ける。
過去のトラウマから足利学校の名前を聞くだけで塞ぎ込み、時行に仕えた後も信頼を失うことを恐れて素性を隠し続けていた。
この過去を明かした後も信頼を無くすどころか、無茶振りをした上で初めて自分で見出した郎党としてますます信頼を寄せる時行を前に心が溶かされ、密かに涙を流しながら忠誠を誓っている。


(シイナ)


は…恥ずかしい格好ではございますが
これで また戦える…!

鎌倉近郊の農家の下女。
親指以外の指がすべて切り落とされており、手が不自由な代わりに脚を器用に使う。
かつては北条派の武将に仕えた女武者で、男の武士に勝るとも劣らぬ武勇を誇っていた。
鎌倉幕府滅亡に際しても「旦那様」に潔く腹を切らせるために奮戦するが敗北。
指を失う重傷を負った上に「旦那様」の死体を執拗に辱められたことで虚無に囚われてしまう。
武具を握れない身体となって尚、戦場に魂を惹かれ、再び戦場に赴きたいという気持ちから「逃げること」が出来ず、
無気力に生き永らえてきたが、偶然出会った時行から伝説の刀工である正宗を紹介される。

正宗から足技の才能を見出されたことで、「脚に固定する刀」を受け取り、試し蹴り(・・)で鋭い一撃と、弧次郎が一目惚れするほどの可憐な笑顔を披露する。
この時、鋏も使えなかったために2年間伸び放題だった髪もついでに雫に散発してもらい、髪型は貞子の如き超ロングヘアから尼削ぎ(ショートボブ)になる。
また、欠けた指に代わり鉄の爪が付いた小手も身に着ける。
……が、試作型であることを理由に刀を取り上げられ、調整の為に時間が必要であると告げられたために逃若党の正式な加入は見送りとなった。

因みに、「秕(しいな)」とは「殻だけで実の無い穀物」、転じて「中身の無い、役に立たないカス」を意味する。
およそ人名に相応しい漢字ではなく、おそらくは指を失った自分を卑下して後から名乗った名前と思われる。


(なつ)


(与えられた技は全て極めたのに 何故今こんなにも無力なのか!)

額に紅葉のような刺青を入れたくノ一。
足利党が擁する忍者集団「天狗衆」の1人「夏の四」の中の人
名前は玄蕃に聞かれて咄嗟に名乗ったもののため、本名かどうかは不明。
性格は良くも悪くも生真面目。
腹芸のできないタイプの直情的で純情な一面があり、火薬作りの際にデリカシー皆無の玄蕃の要求に顔を真っ赤にしてキレていた。

生真面目ゆえに訓練で培った技量は師直にも一級品と認められたほどだが、応用が効かないためか臨機応変さには欠ける。
師直は(天狗衆全体を通しての評価だが)大局的な思考や複雑な判断はできないと酷評している。
おまけに「夏の四」だった頃の高い実力は身に纏っていた「天狗躯体」ありきのもので、彼女自身は非戦闘員の玄蕃にすら歯が立たないほどに弱い。

中先代の乱での敗北と諜報の失敗から2年、その勃発を許した責から時行の首を狙っていたが尾行されていることも玄蕃にバレており、「密告する気がない(された所で逃げる準備も万端だが)」ことを見越して泳がされていた。
その上で、玄蕃から「てつはう」を再現するための協力を持ちかけられ、潜伏地である伊豆の村落で火薬造りのため玄蕃と一緒にウンコを掻き集める作業に従事。
キレ散らかした村人に追われるなどの災難には遭ったが無事硝石を発見し、その中でウンコ塗れの玄蕃の素顔を見て顔を赤らめ目がハートになる一幕を挟みつつ深まった絆を期に玄蕃の勧誘に応じて逃若党の新メンバーに就任した。

なお、彼女がかつて戦った天狗衆であることは玄蕃を含めてバレておらず、逃若党内での彼女は「玄蕃の押しかけ弟子になった正体不明のくノ一」という認識。
玄蕃に絆されたとはいえ、未だに醜態を払拭するだけの手土産を持って師直の元へと帰参することも考えているため、逃若党には潜伏の立場を取っている。
ただしその怪しさは既に見破られており、亜也子の見立てでは「可愛い殺気を放ってる」とのことだが、玄蕃が監視役として傍にいる以上は問題ないと静観されている。

モデルは玄蕃丞狐の仲間として伝わる「横手ヶ崎のお夏狐」か。



余談:史書に残る北条時行について

鎌倉時代、鎌倉幕府の中心人物として権力を握り続けた北条氏の末裔…ではあるのだが、
はっきり言えば、日本史の本流から少しずれたところで何やかやしていた鎌倉末期~南北朝時代初期のマイナーな人物・武将で、
本作の第一話解説からして「日本史の教科書にあっても一行くらいの記述」「テストが終われば忘れる程度」とか書かれているくらいにはマイナー。



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最終更新:2024年03月20日 11:47

*1 平地の多い中華であればともかく、山ばかりの信濃(倶利伽羅峠)で牛を使った策は不可能だという。

*2 現代日本で喩えると事務次官や大臣補佐官的な役職。一般的に「執事」でイメージされる「バトラー」「スチュワード」とは異なる。

*3 北条氏直属の家臣。絶大な権力を誇り、末期には北条宗家を凌駕する者もいたほど。なお、祢津家の主君である諏訪家も御内人である。

*4 「様々な仕事のできる便利な侍女」という意味。いわば武装メイドであり、古くは巴御前が担った役目。18禁な意味は無い。

*5 名前の由来は恐らく『金塊和歌集』に残る鎌倉幕府三代将軍・源実朝の歌「もの言はぬ/四方のけだもの/すらだにも/あはれなるかなや/親の子を思ふ」から。「話すこともできないそこらにいる獣ですら、ああ何と感動的だろうか。親が子を思う気持ちは」といったような意味。

*6 目に見えない恩なら無視出来るが、目に見える傷など作られたら無視できないという彼なりの矜持

*7 厳密には上下反転した「凶」の文字が正式名称