PlayStation5

登録日:2023/07/06 Thu 01:19:53
更新日:2024/04/19 Fri 11:36:44
所要時間:約 9 分で読めます






Play Has No Limits 遊びの限界を超える-




PlayStation5とは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE表記)より発売された家庭用ゲーム機。
通称「PS5」「プレステ5」。


【解説】


日本では2020年11月12日発売。第9世代据置型ゲーム機に分類される。
前世代機のPlayStation4は日本で遅れて販売されているため、何気に先行販売されたのはPlayStation3以来だったりする。

発売当初の価格は通常版が54,978円(税込)、デジタル・エディションが43,978円(税込)だったが、2022年からそれぞれ5,500円の値上げが行われた。
歴代のゲーム機において販売不振やハード事業撤退などを受けて値下げしたケースはあるが、値上げするというパターンは珍しい。
SIEは値上げについて世界的な物価上昇などの景気を理由としているが、日本では転売問題などで購入しにくい状況が続いていたことから一部では不満の声も出た。

SCIが開発及び発売した家庭用ゲーム機であるPlayStation4の系譜を受け継いだ次世代機であり、据置型ゲーム機のPSシリーズとしては5代目。
キャッチコピーは「Play Has No Limits -遊びの限界を超える-」。
2022年にはキャッチコピーを元ネタに米津玄師及び曲『POP SONG』とコラボしたCMが大きな話題を呼んだ。

PSシリーズらしく前世代から性能が大きく進化しており、4K対応のグラフィック性能や処理能力、そして爆発的に速くなったロード時間がアピールポイント。
そしてPS3以来となる前世代との後方互換の導入など、前世代からのユーザーの移行の促進や旧世代のソフト資産を活かせることも強みである。
本体の色に関してはカラーバリエーション方式が廃止され、代わりに本体のカバーを着脱式にして別色のカバーに交換できるというカバー交換方式を導入している。
また、ローカライズの手間を軽減するため、日本独自であった×でキャンセル○で決定を逆にし、×で決定○でキャンセルがデフォルトとなった(設定で◯×の交換は可能)。

【普及状況】


日本では発売時期が新型コロナウイルスの流行に重なったこともあり、流通に大きな影響を与える。
時期的に他社よりも大きく先行して展開されたNintendo Switch以外の第9世代ゲーム機はハードを構成する半導体部品の不足による生産に苦しむことになる。
更に巣ごもり需要によるゲーム文化への再注目や、Nintendo Switchが発売1年目からの人気の高さに悩まされた転売ブームによる買い占めなどはPS5にも容赦なく襲いかかり、日本国内では本体がまともに供給されない状況に陥った。
転売によって通常価格よりも大きく値上げされた法外な値段や各地で抽選販売などが行われる状況が続き、このような不健全な環境に購入意欲を削られる人も少なからず多発したのは否定できまい。

生産や転売といった事情を抜きにしても、日本国内においては先行発売されていた競合機のNintendo Switchが既に圧倒的なシェアを有しており、苦戦を強いられた。
更に勢力をじわりと伸ばしてきたSteamやXBOXなどとのマルチソフトやリメイクが多かったことから日本向けの独占キラーソフト不足にも悩み、目立った売上を出せるソフトが出なかった。
結果として、かつてのPS3の発売初期にも展開が続いたPS2のように前世代のPS4がハードとして幕引きの退路を塞がれた状態になるが、PS4もハード後期から勢いを落としていたこともあって状況をカバーするには至らなかった。

生産不足はSIEも自覚しており、2022年からは部品不足の改善や生産の大きな強化を約束し、発売当初と比べると比較的状況は改善したと見られている。
2023年頃からはハードの販売台数も上昇傾向にあり、徐々にではあるがPS4からの移行は進んでいるようだ。
日本国内では様々な問題を抱える一方、海外市場では日本よりも本体の供給が安定していることもあってかPS4から続いて好調を維持することに成功した。

【性能】


CPU x86-64-AMD Ryzen™ "Zen 2"
GPU AMD Radeon™ RDNA 2-based graphics engine
メモリ GDDR6 16GB(448GB/s)
ソフトメディア Ultra HD Blu-ray

基本的なハードの作りとしてはPS4における設計思想をそのまま受け継いだと言えるだろう。
CPUはPS4から続いてAMD製を採用しており、メモリなどの性能は単純に2倍程度上昇した。
4K・120Hzの解像度のモニターにも対応しており、PS4以前では味わえなかった滑らかなグラフィックを堪能できる。

カスタムした専用SSDを内蔵しており、毎秒の読み込み速度はPS4の100MB/s(HDD)・300MB/s(SSD)*1を大幅に上回る5.5GB/sを実現している。
これによりPS5に最適化されたソフトは大幅なロード時間・起動時間の削減を実現している。
PCIe 4.0以降のM.2 SSDの増設にも対応しており、こちらも内蔵SSDと同等のスピードを実現する。*2
PS5ソフトは高速SSDでの動作が前提となっているため内蔵SSDか増設SSDにデータを入れないと遊べない仕組みとなっている。*3
PS4ソフトは残念ながらPS4実機でSSDから起動した時と同じスピードに抑えられているが、USBストレージからの起動に対応している。

冷却機構としてハード内部に液体金属TIMを採用しており、一見すると高価な液体金属でもヒートシンクや冷却ファンよりも熱の回収力が高いことから逆にコストを下げるという狙いがあるようだ。
Tempest 3Dオーディオ技術にも対応しているなど、音質にも力を注いだ設計となった。

リモートプレイ機能もPS4から引き続き採用されているため、スマートフォン端末などからもネットワークを通じてプレイが出来る。
ただし、PS4では可能だったPlayStation Vitaによるリモートプレイは廃止された。

【コントローラー】

PS5で標準採用されたコントローラは『DualSense』であり、PS4まで採用されたDUALSHOCKシリーズのナンバリングから外れた(一応PS3の初期はそもそも振動機能自体が外れてたので別の名前になっていたけど)。

基本的なレイアウトはDUALSHOCK4とあまり変わらないが、振動が従来の「重りを回転させる」ものから「ハプティックフィードバック」というものに変化し、ゲーム中のシーンに応じた様々な触覚をリアルに再現するものになっている。タイプとしては競合機のNintendo Switchの「HD振動」に近い。

L2・R2トリガーは「アダプティブトリガー」というものになっており、ゲーム中の場面に応じてトリガーのストロークの固さが変化する仕組みになっている。例として弓を引き絞る際の弦の抵抗が指に直に伝わってくるようになっている。

2023年1月よりスティック交換や背面ボタンに対応した上位モデル「DualSense Edge」が発売された。
販売価格が約30000円と高いが、コントローラーのパーツで特に壊れやすいスティックをモジュール形式(3000円)にして修理に出すことなく手軽に交換出来るようになったため、長くヘヴィにゲームするプレイヤーにとってはむしろお得なものとなっている。

【PS4との互換】


上述したようにPS4のごく一部のソフト以外は全てPS5で起動させることが可能(デジタル・エディションはハードの性質上、PS4ソフトはDL版のみ対応)。
ただし、『閃乱カグラ』シリーズのPS4向けソフトはPS5でのプレイ時に不具合が起きることがある。
周辺機器も基本的に互換対応しており、PS3時代から続くPlayStation Moveなどにも対応している。

PS4ソフトは『PS4 Pro レガシーモード』及び『PS4 レガシーモード』というモードに切り替えて起動する。
PS4 Proで実装された通常のPS4タイトルのパフォーマンスを向上させるブーストモードも引き続き採用された。
一部タイトルのPS4版はPS5版としてアップグレートすることが可能だが、トロフィー機能がハードの違いで別ゲームとしてカウントされてしまうソフトもあるのは留意しておきたい。

PS5でPS4ソフトを起動させると、上の×○のグローバル統一に伴い操作との不一致が生していることがあるので注意が必要。

【主な歴代モデル】


スタンダードモデル

CFI-1000A01

  • 発売日:2020年11月12日
  • 価格:54,978円→60,478円
一番最初に販売された初期型。
実は出荷時期によって本体に採用されている冷却ファンの形状が異なるため、僅かな違いがあるともされている。

CFI-1100A01

  • 発売日:2021年8月24日
  • 価格:54,978円→60,478円
CFI-1000A01よりも多少本体重量の軽量化が行われた。
地味に最大の違いが本体スタンドであり、手回しネジに対応するようになったので使いやすくなった。
ヒートシンクも通常版よりも小型で簡素な仕様になった。

CFI-1200A01

  • 発売日:2022年9月15日
  • 価格:60,478円
CFI-1100A01よりも更なる軽量化が行われ、初期モデルから500gの軽減に成功した。
ヒートシンクもCFI-1100A01以上に簡素化が施され、ヒートパイプなどの配置方法が大きく変わっている。
さりげなくCPU・GPUの製造プロセスが7nm→6nmになっており、発熱量や消費電力がやや減少している。
ただし、簡素化の影響による以前のモデルとこれと言って目立った差などは発生していない。

CFI-2000A01

  • 発売日:2023年11月10日
  • 価格:66,980円
CFI-1000から大幅に小型・軽量化されたスリムモデル。
デジタル・エディションと構造を共通にするためか、ディスクドライブがモジュール化された。交換の際は初回設定時にオンラインによる認証が必要。
これまでのPSシリーズとは違い、スリム化によるCPU・GPUのシュリンク(小型化)は施されていない。

デジタル・エディション

CFI-1000B01

  • 発売日:2020年11月12日
  • 価格:43,978円→49,478円
DL版専用機にしたことで低価格化した代わりに光学ドライブの採用されていない、所謂DL版専用ハード。
低価格以外のメリットを挙げるとすれば、光学ドライブがないことから物理的に本体がスタンダードモデルよりも軽量化・小型化しており、ドライブに関する不具合の可能性も消えている。
裏を返せばドライブがないので、当然だがPS4のパッケージ版やBlu-rayとの互換性も消えている。
金銭的に余裕がない人はデジタル・エディション、金銭の問題が無い人やPS4などの物理メディアの資産が多い人はスタンダードモデルが推奨されるか。

CFI-1100B01

  • 発売日:2021年7月20日
  • 価格:43,978円→49,478円
基本的な変更点はCFI-1100A01版と同じ。

CFI-1200B01

  • 発売日:2022年9月15日
  • 価格:49,478円
基本的な変更点はCFI-1200A01版と同じ。

CFI-2000B01

  • 発売日:2023年11月10日
  • 価格:59,980円
基本的な変更点はCFI-2000A01版と同じ。
ディスクドライブがモジュール化された影響で「やっぱりディスクドライブが欲しい」となった時に本体を買い換えることなくドライブを後付けする事が可能となった。

【主な周辺機器】


PlayStation VR2

  • 発売日:2023年2月22日
  • 価格:74,980円
PS4用に開発されたVR機器。『PlayStation VR』の後継機。
前世代機よりも解像度や視線の動きに応じた機能の搭載などの強化が行われ、外部センサーではなく内蔵カメラ方式になったことでケーブルの簡略化に成功した。
PS5本体が前世代機との後方互換性があったのに反して、VR2は初代VRのコンテンツとの後方互換性を持っていない。

【ソフト展開】


基本的にはPCや同世代の競合機であるXbox Series X/Sとのマルチソフトが目立つ。
当初はPS4との縦マルチは拒否していたものの、売れ行き不振から数ヶ月でこの条項を撤回、基本的にPS4/5の縦マルチを半ば義務としている。
対応ゲームであればPS4のソフトをPS5版にアップデートすることも可能。
前世代のPS4との縦マルチや、顧客の確実な取り込みのためか性能に大きく差があるNintendo Switchとのマルチタイトルも少なくない。
性能自体は高いため、PS4やNintendo Switchとのマルチタイトルに関してはグラフィックや動作面で優位性がある。
サードタイトルからは『FINAL FANTASY XVI』など、スクウェア・エニックスから有力なタイトルが発売されている。

それでも日本国内でのソフト売上的には大きく目立ったキラータイトルは少なく、一部ではPS5における普及率に対するソフト装着率(タイレシオ)*4がDL版の存在を考慮しても非常に低いのではないかという指摘も出ている。
この事情については様々な要因が説として挙げられており、「PS Plusによるゲームサブスクリプションや『原神』などの基本無料ゲームが強力に育ち上がった」「転売の影響で販売台数よりも実際のユーザーが結構少ない」「PS4の需要が根強く、縦マルチを含む互換ソフトが多く遊ばれている」などの見方がある。

【余談】


  • PS5の発売以前にSIEはPlayStation Vitaの展開の終了及び事実上の携帯ゲーム機市場からの撤退が完了していたため、販売開始時点で同社の携帯ゲーム機が存在しなかった環境はPlayStation2以来となる(ただし、PS2は展開途中にPlayStation Portableが発売されている)。

  • 2021年にPS5の抽選販売がソニーストアで行われた際に「PlayStaiton5(プレイステイトン5) 抽選販売応募」と自社のハード名なのにまさかの誤字をしてしまうという珍事が起きてしまった。
    PS5の購入に飢えていた一部の抽選参加者からは実は偽物なのではないかと茶化す声も出た。

  • 製品発表直後、白と紫のカラーリングが中央本線を走る特急「あずさ」の車両(E353系)に似ていると話題になった。同形式が乗り入れる富士急行でもこれについて言及している。




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最終更新:2024年04月19日 11:36

*1 PS4 Proは600MB/s

*2 実はPS5対応とされているm.2SSDは、時を同じくして自作PC市場向けに規格の限界に迫る読み込み速度6GB毎秒超えの物が出回るようになっていたため、もはやSSDはボトルネックになっていない模様。また毎秒3.6GB程度の物でもロード差は最大でも0.5秒程度に収まっており、インターフェースがPCI Express 4.0x4にさえ対応していれば究極域で無い限りは問題はない。

*3 一時的な退避場所としてUSBストレージに入れる事は出来る。

*4 CS機市場におけるハードの普及台数とゲームソフト売上成績を紐づけし、ハードにおけるユーザーのソフトの購買意欲などを数値として分析して表すために用いられる指標。