空母いぶき GREAT GAME

登録日: 2023/7/29(土) 15:33:32
更新日:2024/04/14 Sun 23:52:37
所要時間:約 10 分で読めます




尖閣を巡る戦闘から5年―
新たな男は
の海へ!!

◆作品解説

『空母いぶきGREATGAME』は、かわぐちかいじ作品の軍事漫画。『ビッグコミック』にて、2019年から連載している作品。現在は10巻まで発刊されている。
前作『空母いぶき』の続編であり、中国との紛争から5年後の世界を描いている。

空母いぶきの項目でも記載しているが、かわぐち氏の得意とする軍事関連を描いた作品であり、今回の主たる敵は"ロシア"。

ロシアといえば2022年から勃発しているロシアによるウクライナ侵攻が始まっており、連載中に起こったとはいえ非常にタイムリーな作品になっている。

本作品でも6巻終盤からロシアによる北海道侵攻が起こり、陸海空自衛隊が総力を上げて阻止していることにより注目されている作品でもある。
現実世界でも、ロシア左派議員は「北海道の権利はロシアが有する」と言った発言をしており、作品内でも海戦が起きている"宗谷海峡"でのロシア艦の航行などもニュースに取りた出されているなど、現実でも起きてもおかしくない状況が起きている。

また、作品内だけと思われていたロシアの無茶苦茶理論もウクライナの侵攻のほうが遥かに超えているため、現実がフィクションを超えていることも起きている。

その世界情勢下の中での作品でもあるため、前作に続き注目されている作品になっている。

ただ、現実で最強と思われていたロシア軍のたびたび見せる間抜けぶりも世間的に注目されているため、漫画のロシア連邦軍が優秀すぎるという指摘が入っていたりする…

◆あらすじ

尖閣諸島を巡る「いぶき」と「広東」の戦いから5年後の20YX年9月。
北極海に調査研究目的で派遣されていた海上自衛隊の護衛艦「しらぬい」。
同じ頃、北極海で調査をしていたアルゼンチン籍の海洋調査船「ディオサ号」が海中で浮遊していたソナーらしきものを引き上げるが、直後に発射元不明の魚雷攻撃を受ける。
しらぬい艦長・蕪木薫二佐の判断により魚雷攻撃を処理する。
だがそれは、新たなる戦いの始まりに過ぎなかった。

温暖化が進む北極海を中心に、各国が主導権を握ろうとする「GREAT GAME」が展開される。

◆今作の特徴
空母いぶきGREAT GAMEは前作と違い、全巻通して一連の戦闘ではなく段階的に戦闘が繰り広げられている。

1巻~3巻『ディオサ救出』
北極海でのディオサ号救出を巡り、引き上げたソナーを巡り日本、アメリカ、ロシアを巻き込んだ曳航作戦を開始。
護衛艦「しらぬい」は日本へ向けて、アメリカ、ロシアの艦艇を交わしながら「いぶき」率いる第5護衛隊群の合流を開始する。

4巻~6巻『宗谷事変』
「しらぬい」艦長蕪木薫は航空機搭載護衛艦「いぶき」艦長への就任に伴い、新編成された第5護衛隊群を率いて演習へと向かった。
同時期、宗谷海峡で海中調査を行っていた海洋観測艦「しょうなん」がドローン攻撃を受ける。
救援のため、第5護衛隊群は宗谷海峡へ急行するも、ウラジオストク、カムチャッカの各軍港からロシア艦隊が宗谷海峡に向かっていた。
"しょうなん"曳航のため、大湊基地へと向かう第5護衛隊群に対し、ウラジオ艦隊からミサイル攻撃を受けるのだった。

7巻~10巻以降『宗谷侵攻』
礼文、稚内が正体不明の武装勢力に制圧される事態が発生。特殊作戦群他、各部隊の調査の結果ロシアの特殊部隊「スペツナズ」である可能性が高まるも、確固たる証拠がないために防衛出動を発令できないでいた日本政府。
錯綜する中、ウラジオストクから揚陸艦を含む、輸送船団が宗谷海峡へと向かっていることを確認。
国連大使からのロシアの民兵との情報を経て、迫りくるウラジオ艦隊に対応するため、内閣総理大臣"柳沢律子"はロシア人による武力攻撃事態とし、尖閣有事以来の"防衛出動"を発令。
最強の機甲師団を始めとする北鎮部隊は稚内、礼文分屯地を制圧するロシア人武装勢力を排除するため、稚内に集結する。
だが、海上ではロシア空軍からの攻撃のより、日本の護符である第5護衛隊群のイージス艦"ちょうかい"沈没という大損害が発生。
それを好機と見たロシア大統領ボクダノフが全世界に対し発したのは、「北海道占領」という驚愕の言葉だった!!

◆登場人物

海上自衛隊《第5護衛隊群》

  • 蕪木 薫
初登場時は第3護衛隊群所属「しらぬい」艦長を務めていた。階級はいぶき艦長就任に伴い一佐に。
防衛大学入校前は暴走族で鳴らしており、逮捕こそされてはいないが補導歴は3回という経歴を持っており
いぶき艦長就任の際は、ロシアのニュース番組が取り上げているも、それを受け止めている。
正義感も強く、裏表ない性格もあり部下からの信頼も厚い。
前作主人公である秋津の存在に食われ気味ではあるが、話が進むにつれ存在を上げていく。
ちなみに暴走族で自衛官になる経歴は同作者の「ジパング」に登場する尾栗三佐と同じだったりする

  • 秋津 竜太
前作「空母いぶき」の主人公だった人物。航空自衛隊から海上自衛隊に転属した経歴を持ち、前作ではいぶき艦長であり一佐であったが今作では海将補に昇格、同時に第5護衛隊群群司令になっている。
尖閣有事を勝ち抜いた稀代の戦略家としてアメリカ軍からも一目を置かれており、今作でもバリバリの存在感がある。

  • 栗田 健太郎
蕪木と同じく、第3護衛隊群所属「しらぬい」で副長を務めていた。蕪木がいぶきに転属したと同じく航海長兼副長に就任する。
「海自で一番優秀な航海長を」という要望があったと話を聞くが、恐らく付き合いの長い栗田を蕪木が副長に押したと思われる。
付き合いが長いのもあり、蕪木の正確を把握しており、いつもヒヤヒヤしているようにも見える。

  • 浮船 武彦
前作から引き続き第5護衛隊群に所属しており、変わらずイージス護衛艦「ちょうかい」の艦長を務めている。
今作ではちょうかいは艦隊の大黒柱的存在になっており、存在はより大きかった。しかし、ロシア軍侵攻での戦闘時にロシア空軍からの攻撃の身代わりになるべく、ミサイルの集中攻撃を受けちょうかいが沈没。早期に総員離艦させ、人的被害を最小限度にとどめた。
その後は、蕪木からの要請により乗員を各艦に分譲。自身もいぶきに乗艦している。

  • 海老名 洋子
今作から正式に第5護衛隊群所属となった。最新鋭イージス艦「まや」の艦長を務めている。
女性自衛官という立場のもと、鋼の心を持って任務に赴いている。しょうなん救援の際も、ウラジオ艦に対し、犠牲伴わず速射で撃退している。

  • 大竹 良平
第5護衛隊群所属「くまの」の艦長を務めている。他の艦長たちと違い、一般法科大学から幹部候補生になっているため、エリートへの対抗意識など、柔軟な対応を見込まれ艦長に就任しており、分屯基地偵察の警護出動の立案も大竹が具申している。

  • 柊 彰二
第5護衛隊群所属「むらさめ」の艦長を務めている。しょうなんの曳航や、ちょうかい乗員の救出に赴くなど裏方な支援が若干目立つ。

  • 菊池 一政
第5護衛隊群所属潜水艦「おうりゅう」の艦長を務めている。前作所属していた「けんりゅう」艦長"滝 隆信"の功績を知っている。
ロシアの侵攻に際し、いぶき撃沈を狙うヤーセン型原子力潜水艦に対し、放射能汚染というリスクのもと敵潜水艦撃沈の決断を迫られる。


日本政府

  • 柳沢 律子
日本国内閣総理大臣にして日本初の女性首相。強い信念のもと、アメリカ軍・インド太平洋軍司令官キングリッチ大将のディオサ引き渡しの要求を跳ね除けロシアの不当な宣言に対し、真っ向から厳しい言葉を発言するなど、非常に強い女性として描かれている。ロシア軍の侵攻に対し、躊躇なく防衛出動を発令した。

  • 垂水 慶一郎
前作で内閣総理大臣を務めていた。今作では、柳沢総理の特使としてアメリカ公務長官との会談に赴いている。

ロシア連邦

  • アレクサンドル・ボグダノフ
初登場時はロシア連邦政府国防相を務めていたが、ロシア大統領選挙において勝利し、新大統領になる。
"強いロシア"のもと、新型空母「シビリャコフ」を編成するなど軍事力を世界に見せつけるなど、強硬姿勢を見せる。
宗谷侵攻の戦闘を巡りちょうかい沈没を好機と見て、宗谷海峡を不当に監視する日本政府に対し、分屯基地撤退を迫るなどの声明を発表。
受け入れられない場合は"北海道を占領"するという無茶苦茶な発言などしている。
ロシア軍も航空優勢もとれていない状況下で、稚内に強行揚陸しようとし、陸自の10式戦車、地対艦ミサイル、92航空団のF35JBからの猛攻撃を受け大損害を被っているなど作戦行動に問題が見られる。


◆軍事兵器
DDV-192 『いぶき』
ペガソス計画によって生み出された、スキージャンプ式の航空機搭載型護衛艦。アメリカ軍からは「空母とはおこがましい」などと言われているが、実戦経験を有しており、注目されている空b……護衛艦
尖閣有事を経て、対潜能力に比率を上げ、F-35JBを8機に減らして対潜ヘリを5機に増やすなどの編成を行っている。部隊は「アウル」「ホワイトホーク」の2編成。
が実際は作中見る限り、9機搭載している模様。
前作同様、第5護衛隊群旗艦を務めており、新編成ではイージス艦2隻、汎用護衛艦があさぎり型2隻からむらさめ型、もがみ型が新しく編入されており、性能や対空防御など格段に向上している。
なぜ前作でVLSのないあさぎり型が編成されていたのか未だに謎だったが…

因みに、なんと2番艦が建造されており「ほだか」と命名されている。所属は佐世保基地なのでおそらく第2護衛隊群所属。
艦長は前作でいぶきの副長を務めていた新波 歳也。

DD-120『しらぬい』
あさひ型汎用護衛艦の2番艦。初登場時に蕪木薫が艦長を務める護衛艦であり、第3護衛隊群に所属。
北極海にて魚雷攻撃を「ディオサ」を守るために、魚雷を迎撃。続く無人ドローンによる攻撃を阻止、アメリカ海軍第3艦隊DDG-97「ハルゼー」、CG-73「ポート・ロイヤル」からの妨害を回避するために、艦艇でアクセルターンをするなどとんでもなく酷使されまくる。
おそらく一番体張っている護衛艦。今作ではドローンであるMQ-8 ファイアスカウト「かもめ」が搭載されている。

DDG-176『ちょうかい』
こんごう型イージスミサイル護衛艦の4番艦。前作から引き続き第5護衛隊群に所属し、しらぬい救援として「いぶき」の随伴として北極海へ向かう。
そして、新編成されてからも変わらず所属するも、宗谷侵攻に際し、ロシア空軍からのミサイル攻撃により機関室付近の両舷に被弾。
復旧は不可能と判断した浮舟艦長により総員離艦した。
海上自衛隊の艦艇が沈没するもはシリーズでも初であった。前作では僚艦せとぎり、ゆうぎりが損傷するも沈没には至ってはいなかった。
「ちょうかい」の抜けた穴は大きく、第5護衛隊群はもう1隻を失えば艦隊を維持できないところまでに追いつめられている。
乗員は各所属艦に分譲している。

DDG-179『まや』
まや型イージスミサイル護衛艦の1番艦。新編成された第5護衛隊群に所属している。あたご護衛艦より1世代アップグレードされており
共同交戦能力(CEC)により艦隊機能が向上されている。
宗谷事変ではウラジオ艦隊に対し、単装砲で撃退している。

FFM-2『くまの』
もがみ型多機能護衛艦の2番艦。新編成された第5護衛隊群に所属している。
海上自衛隊初の新艦艇となる多機能護衛艦。機動力は艦隊一を誇り、機雷設営など言葉通り多機能を有している。
宗谷事変では大竹艦長の性格もあり、かなり深く突入し、ウラジオ艦隊を撃退するも、最後はまやに助けられている。

DD-101『むらさめ』
むらさめ型汎用護衛艦の1番艦。新編成された第5護衛隊群に所属している。
所属していたあさぎり型より性能面において格段に向上されており、艦隊防衛では存在は大きい汎用護衛艦。

追記、修正頼みます。

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最終更新:2024年04月14日 23:52