待宵草(アダルトゲーム)

登録日：2023/08/01 (火曜日) 16:30:00
更新日：2023/08/01 Tue 19:32:41
所要時間：約18分で読めます

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夢よ羊よ、まわれまわれ
無限にめぐる大回廊　夢を編みこむ羊飼い
夢の草原いま現れる　少女の夢へといざなわん
ねむれねむれ　ねむれよいこよ……

待宵草とは2003年8月1日にパティスリーから発売されたWindows98～XP対応のアダルトゲームである。メーカーによるジャンルは「ナイトメアアドベンチャー」
同メーカーから最初に発売されたアダルトゲームでもある。

企画、シナリオはFrontWingのそらうたや、WHEELの～パンツを見せること、それが…～大宇宙の誇りのシナリオを手掛ける反転星、
原画は同メーカのDINGIRの他、システムソフト・ベータの萌え萌え2次大戦(略)3の原画担当の一人でもある陽之星照(ひのほし☆)、がそれぞれ担当している。

◆目次

◆ストーリー

主人公・千亜樹とはつみの兄妹は、仲の良い親戚である神林家の2人の娘の面倒をみるため、3年ぶりに『夢降ヶ里』を訪れた。
千亜樹は、興味本位で神林家の巨大倉庫の整理を始めた。整理の最中、少女の姿をした人形「紅巴(くれは)」が突然動き出し、千亜樹に話し掛けてくる。驚いて腰を抜かす千亜樹を尻目に、夜中にもう一度来なさいと一方的に約束させる、紅巴。

その夜、紅巴は千亜樹に重大な秘密を打ち明ける。それは、紅巴の力を使えば千亜樹を他人の夢の中に送り込め、その夢に干渉できるという。半信半疑ではあるが千亜樹は紅巴の導きで、眠っている娘たちの夢に入り、本当に夢を操作してしまう。
しかも自分のことを秘密にしてもらう代わりに毎晩一人、誰かの夢の中に割り込ませてくれるという。千亜樹は喜んで紅巴に協力する事を約束した。
面白い遊びを手に入れた千亜樹は、毎晩神林家の娘達の夢に潜り込んではHなイタズラをするようになった。

そんな日々を過ごしていると、千亜樹は彼女たちの夢の奥底に何か違和感があることに気付く。
実は彼女たちは魔物によって死ぬ事を運命付けられていたのだった。
そして紅巴は千亜樹に彼女たちを助けて欲しいと哀願するのであった。
彼女たちの夢の中には「契命樹」という樹があり、そこに彼女たちの死を迎える場所と日時が記されている。さらには彼女たちを救うために現れたのだと千亜樹に打ち明けた。
あなたが彼女たちを救うためには「契命樹」に記された未来を狂わせなくてはならない！

※パッケージ裏面より

◆ゲームの概要

ゲームはオーソドックスなテキストアドベンチャー。主人公である千亜樹以外はフルボイスとなっている。
発売日と同じ8月1日から始まり、約2週間の滞在期間のうちに日中はヒロインたちと交流して仲を深め、夜は夢見をしてヒロインの夢の中に入ることに。

ゲームの最大の特徴は夜に行われる「夢見」。特定のヒロインの夢に入り込むことになるができる。ヒロインたちは皆千亜樹に好意を抱いておりHなイタズラも拒まないため大体Hな内容となっている。

夏休み中の田舎の親戚の家を舞台にコミカルで明るい雰囲気のシチュエーションが多い。花火をしたり、川で水遊びをしたりと季節にあったイベントもある。
が、ヒロインは皆何かしらの悩みを抱えており、さらには魔物の契約によって死ぬ定めであったりと段々と暗い雰囲気やシリアスな場面が見られるようになる。

攻略可能なヒロインは観月、夕姫、はつみ、サキ、紅巴の5人。

◆キャラクター

～メインヒロイン～

●神林観月 (かんばやしみつき)

CV:長崎みなみ
身長:166cm　B:87、W:56、H:89　B型

親戚である神林家の長女。学生時代に立ち上げたキャラクター系のベンチャー企業「スピカドリーム」の社長でもある。
社名におとめ座一等星のスピカを冠しているように星座に詳しく、よく屋根に登って星空を眺めている。
感情表現豊かで千亜樹にとっては一緒にいて楽しい年上のお姉さんという感じ。少しHな発言をしたりしてからかう姿もあるが内心では好意を抱いている。
妹である夕姫を溺愛しており、自社で手掛けるキャラクターも夕姫の好みが基準になっている様子。
その明るさで夕姫や千亜樹を引っ張るが、観月自信も彼女たちの存在が精神的支えになっているところがあり、それが崩れるのが怖くて些細な事で悩んだりと打たれ弱いところも。

ネタバレあり

●神林夕姫 (かんばやしゆうき)

CV:籐野らん
身長:155cm　B:80、W:57、H:83　AB型

神林家の次女。千亜樹よりも年下。昔はよく話す明るい子だったが、3年ぶりに再会してみたら口数が少ない大人しい性格になっていた。性格の変化と姉に過保護気味に育てられていたのもありぽんこ…もといちょっと不思議ちゃんなところも。
とある事情で不登校となり他人に心を閉ざしているが、親しかった千亜樹やはつみ、知り合った紅巴に対しては明るい表情も見せる。
説明書には「仲の良かった主人公とも少し距離を置いてしまう」とあるが彼に好意を抱いているのもあり時には大胆なアプローチを見せる。姉に似たのか、姉への対抗心なのか。

ネタバレあり

●千木はつみ (ちぎはつみ)

CV:まきいづみ
身長:132cm　B:62、W:47、H:65　B型

千亜樹の義理の妹。ただしはつみはそのことを知らない。
パッと見小学生くらいにも見えるが、いつからか成長が止まってしまったことが原因らしい。実年齢は見た目よりももっと上だとか。つまり合法ロry もちろん18歳以上ですよ～？
明るく人懐こいが、どちらかというと内気な性格で幼い頃は人の輪に加わるのが苦手で、外見のこともありいじめられがちだった。
そんな自分を支えてくれたのが兄だったため千亜樹に対しての想いは依存に近いものも。
将来の夢は「お兄ちゃんのお嫁さん」というなかなかのブラコンっぷり。まきいづみボイスによる舌足らずな喋り方は千亜樹でなくても思わずホイホイさせられるかも？~~でももちろん18歳以ry~~

変身ヒロインアニメを観ながらノリノリで身体を動かしたりと言動も外見年齢相応。しかしその純粋さは自然と他人を元気を与える姿も。
寂しがりな性格と久しぶりに千亜樹に会えた嬉しさもあり千亜樹に積極的にスキンシップを迫ってくる。

ネタバレあり

●霞サキ (かすみさき)

CV:青山ゆかり
身長:162cm　B:82、W:57、H:85　O型

神林家に住み込みで働く家政婦。明るく、温かいムードメーカ的存在。
なんでもテキパキこなすまさに家政婦の鏡のような人で、近所ではSGHK(スーパーグレートハウスキーパー)と呼ばれているとか。
千亜樹と年は変わらないくらいらしいが、サキさんとさん付けで呼ばれる。
神林家にとっては家族のような存在で、特に観月とは心から信頼しあえている親友のような間柄。家事だけでなく精神的な面でも観月たちの支えにもなっている。
千亜紀に対して好意を抱いており、観月たちにも負けずに時には大胆な言動を見せることも。

ネタバレあり

●紅巴 (くれは)

CV:本山美奈
身長:142cm　B:70、W:45、H:74

千亜樹が倉庫の中で出会った人間の少女そっくりな人形。本当の名前は夢見人形・紅巴。名前のように赤い着物を着て、赤い髪を大きなリボンでひとつ結びにしている。
全関節フル稼働で人間と同じような臓器を備えており食事もできる。
ふとしたきっかけで尻触った知り合った千亜樹に夢見の能力の存在を教え、彼を夢の中へといざなってくれる。
なぜか観月を始め、今神林家にいる女性たちのことを知っている。

明るく押しの強い性格で主人公を下僕のように扱うが、他人が落ち込んだときには母親のような包容力も見せる。料理を始め家事も得意でサキには内心師匠と尊敬されている。
しかし、外見同様子供っぽいところや寂しがりな面も。
過去に何かあったようだがあまり話したがらない。待宵草が誕生花(6月21日)らしいが？

当初は千亜樹以外に合わないようにしていたが、とある出来事がきっかけで夕姫たちの前に姿を表し、契約執行人の行動が本格化してきてからは彼女たちを守るためにも自身も神林家で一緒に過ごすようになる。
いざというときは場を仕切ることも多く、千亜樹だけでなく夕姫たちも信頼を置いている。
人間では敵わない契約執行人に太刀打ちできるだけの高い身体能力も持っている。

その正体は紅巴ルートで明らかになる……~~のだが、他のルートでもわりとバレバレだったりする。~~

～その他のキャラ～

●千木千亜樹 (ちぎちあき)

主人公。名前変更も不可。説明書によると「明るく、笑顔の可愛さは同姓*1でも惹かれるところがある」とのこと。~~別に同性とアーッな関係になったりするわけではないが。~~
はつみが千亜樹にべったりの甘えん坊なのもあるが千亜樹も千亜樹でなかなかのシスコン。
観月たちの両親がいないのもあり周りはみんな若い女性ばかりということでよこしまな妄想をしてしまう姿も。
紅巴によると尻はさわり心地がいいらしくよく撫でられている。
いたずら好きでふざけたり、セクハラめいた発言でからかったりすることはあるも、はつみを始め女性陣に対しては優しく、彼女たちが落ち込んでいる時には率先して力になろうとする。
反面、女性の押しに弱いのか誘惑にあっさりとのせられ関係を持ってしまったためにそれが他のヒロインを追い込んでしまうことも。

顔が映らなかったり、目隠れキャラの多い美少女ゲーの主人公キャラにしては珍しく顔が映るシーンも多い。サングラスを掛けており夜でも付けたまま。

●桃山光 (ももやまひかる)
CV:島香麗子
身長:168cm　B:90、W:58、H:89

スピカドリームの社員で観月の学生時代からの友人。観月からの信頼も厚く、本人も観月を親友として気にかける様子も見られる。
しかし内心では何をやっても勝つことのできない観月に対して劣等感と対抗心をいだいていた。
観月も光が自分の元で働くのも自分に勝ちたいからだということには気がついていた様子。
千亜樹を何かと誘惑しようとするがその真意は……？

ネタバレあり

●夏風由香里 (なつかぜゆかり)

夕姫の後輩で一番の親友。夕姫は彼女との間に起きた出来事によって心を閉ざしてしまったようだが、由香里自身は今も夕姫の身を案じており不登校になった後も電話をしたりしていた。
夕姫も由香里のことを嫌っているわけではなく、由香里からお揃いのぬいぐるみが送られたときは嬉しそうに飾っていた。

ゲームの舞台が神林家が中心なのもあり電話越しに会話するのみで由香里本人が不在なのと、光のようにストーリーに大きく関わらないためか重要な立ち位置の割にいまいち存在感が薄め。
そのためか説明書でも紹介されず、ボイスがあるのに担当声優の表記もない。
本人は夕姫ルートのエンディングにちょっとだけ登場。その見た目はセーラー服を着た猫耳少女だったりする。なぜ彼女は攻略できないのだろうか……

●彩紀 (さいき)

あるヒロインの夢の中で出会った幼い少女。千亜樹に悪夢を見せて彼を夢の中に閉じ込めようとする。本人は一人ぼっちなので遊び相手になってほしかったからだと話すが？
小惑星探査機でも肌荒れ治療ローションでもない

ネタバレあり

●契約執行人
CV:無限穣二

老紳士という感じの外見だが「魔物」「悪魔」などと呼ばれる人ならざるもの。望みを持つ人間の前に現れ、契約者の指定した生贄となる人間の命と引き換えに願いを叶えている。
過去に紅巴と因縁があるようだが……？
紅巴から観月、夕姫、サキ、はつみも契約によって定められた生贄であることを告げられる。人の絶望感、憎しみ、苦しみ、恐怖といったマイナスの感情を何よりも好む。

狡猾に紅巴や千亜樹を追い詰めるだけでなく、瞬間移動のようにいきなり現れたり、手に持った杖を伸縮自在の刃のようにして紅巴を攻撃したりとその身体能力や攻撃性も高い。

◆舞台と用語の解説

●夢降ヶ里

神林家のある田舎の街。駅前はそれなりに栄えている。お土産屋があるので観光地なのかも。
緑が多く近くには山があり神林家は山の中腹あたりにある。夜は満天の星空を眺めることができる。
山の上の方には温泉があるようで紅巴がたまにサルと一緒に無銭入浴してる。でも入浴シーンは無い。ちくしょう
なお、夢降ヶ里の名前が出るのはパッケージと説明書のみで読み方も不明*2

●神林家

観月たちの実家で両親と娘姉妹、住み込み家政婦のサキが暮らしている。
両親は温泉旅行に出かけて不在のため、千亜樹はその間彼女たちの面倒を見るために~~よこしまな期待もいだきながら~~やってきた。
家政婦がいたり大きな倉庫があったりとそれなりに大きな屋敷なのかもしれない。屋敷のすぐ近くには川原もある。
父親がクーラーが嫌いなため居間には設置されておらず普段から障子を開けている……がCGにはなぜかエアコンのようなものが描かれている。
また、CGを見るに網戸はついていない。周りが森なので虫が入ってきそう……。

●倉庫

神林家に明治時代あたりからある巨大な倉庫。外観は映らないが土蔵なのか土壁でできている。
年々色々なものが置かれては放置されていたため現在は中に何が置かれているのかわからないくらいに混沌としている。
しかも荷物が複雑に組まれていった結果、倉庫の中はキケンがいっぱいでヘタに動かすと連鎖的に荷崩れを起こす危険な状態になっている。過去に千亜樹が中に入って荷物を引き抜いた際は崩れた荷物の下敷きなるところだったとか。
奥の方は洞窟のような岩壁となっており、ここで紅巴と出会った。紅巴が張った結界によって人間は奥へは入れないはずだが、何故か千亜樹は中に入れてしまえた。

●夢見

紅巴曰く「紅巴さん48の秘密の1つ」にして「あたしの最大の能力」。人を他の誰かの夢の中に送り込むことのできる。

夢見を行うことのできる対象は、
1.夢見の際に神林家の中にいる人(有効範囲があるらしい)
2.紅巴が知っている人物でその時もう既に寝ている人
……の2つを満たす必要があるため、必然的に観月、夕姫、はつみ、サキの4人となっている。

夢を見ている本人は夢の中での出来事を薄っすらとは覚えているようだが、あくまで夢としてしか捉えていない様子。
最初はHなイタズラくらいにしか捉えていなかった夢見だが、本当の目的は心を映す鏡ともいえる夢の中を通じて心の奥底に埋め込まれた契命樹を探すことだった。

●契命樹 (けいめいじゅ)

契約執行人の契約によって生贄となる定めの人間の心の奥底に埋め込まれる樹。見上げるような大木の根本にある樹洞の中に石碑が置かれている。
石碑は契約内容や生贄となる日付、命を取る方法が書かれた目印のような物とのこと。何かを象徴するかのように大木と石碑が複雑に鎖が絡まっている。
生贄となる日に大輪の花を咲かせるとか。

契命樹を見つけ出すことが当面の目標となるが、心の奥底にあるため夢に入り込めるとはいえ千亜樹がたどり着くにはその人物と深い信頼関係を築き、本当に心を許せる存在になる必要がある。
4人のうちの1人でもいいから契命樹を見つけだし、契約執行人を倒すことが出来れば他の3人も助けることができるとのこと。

◆特徴的なシステムなど

●夢見

ヒロインたちが皆千亜樹に好意を抱いているのと、千亜樹がある程度ストーリーメイクできるのもあり内容は殆どがHなものとなっている。
また、ゲーム中は神林家が中心となるが、他の場所を舞台にHな事をしたりと夢であることが活かされている。

★夢見で見られるHシーンの一例

...

●ミニゲーム

一部ヒロインのルートではそのヒロインを救うためにちょっとしたミニゲームが盛り込まれている。
夢の中に入れるというゲームの設定と緊迫感のあるストーリー展開に合っているが、作りはばらつきがあり作業感があるものも。

★ミニゲームの種類

...

プロテクト破壊

契約執行人の手に堕ちたあるヒロインを救うために、夢の中の神林家内を移動し7つの場所にあるプロテクトを破壊していく。
プロテクトは3段階のレベルがあり7つ破壊すると次のレベルのものが解除可能になる。
ただし、契約執行人に出会うとそのレベル内の破壊したプロテクトが元に戻ってしまう。各部屋に入った際に表示されるメッセージをヒントに、彼に会わないように回る必要がある。
プロテクト7つの破壊を3レベル分で計21個のプロテクトを破壊するとクリア。規定ターン数以内にプロテクトを破壊できないとそのヒロインが攻略できなくなってしまう。

絶対に契約執行人の来ない部屋もあるため落ち着いてバッティングしないように回れば労せずクリアできるかと。
また、契約執行人の移動パターンは実は固定のためクリアパターンは決まっていたりする。
このゲームのみ全5ルート中、4ルートで行う必要がある。クリアが必須なのはそのうち2ルートのみ。内容はどのルートも全く同じなので作業感が強く、しかも時間がかかるので2回目以降はダルいのが難点……。

暗号解読

足止めのために夢の世界に閉じ込められたため、夢から出るために夢の中の神林家の中の4つの部屋を決められた順番で回ることに。
どの部屋をどういう順番で回るかは契約執行人の残したヒントに記載されている。要は暗号解読クイズ。一定ターン数以内に決められた順番で回れないと、特定のヒロインが攻略できなくなる。
ルールはシンプルだが順番を示したヒント以外にヒントになるようなものが無いので謎解きが苦手だと苦戦するかも。

彩紀ちゃんク～イズ

あるヒロインを助けるために夢の中に入ってきた千亜樹を閉じ込めた彩紀。彼女の作り出した空間から脱出するために、彩紀の出題する12個のクイズの全てに正解しないといけない。
クイズの内容はそのヒロインに関する問題で、彩紀の正体を示唆するものとなっている。
問題は3択。間違うとその時点で1問目からやり直しとなるが、上2つのミニゲームと違い規定ターン数は無く何度でもやり直せるので、消去法でもいずれクリアできる。

緊迫感のあるBGMの上の2つのミニゲームと違い、クイズ中のBGMはコミカルなイベントで流れるものなのもあり思わず脱力するが、クイズの前に夢の中で見せられる少し不気味なイベントと合わせて無邪気な怖さが出ているところも。

◆ゲームの魅力や気になる点など

夏休み中の田舎の親戚の家を舞台に主人公に好意的なヒロインたちと過ごすシチュエーションもあってか、序盤は明るくライトな雰囲気の展開が続く。
ヒロインの夢の中に入ってHなイタズラができる夢見イベントが、夢を覗くという背徳感と夢ならではのHなイタズラというエロゲならではのアダルト要素と相まってイケナイ雰囲気を堪能できる。

中盤以降はシリアスな雰囲気も出てくるが、夢見の本当の目的もありHなだけで終わらないし、最初はただのイタズラだったのにヒロインを救うためにと目的を持って夢見に望めるようになり、夢見に対しての見方が変わるのも面白いところ。

ダウンロード販売しているサイトのこのゲームの作品内容には、
"キュートなエロスとミステリー味を帯びたストーリーがうまく噛み合い、ゲーム世界へ感情移入しやすい内容！
可愛いだけじゃもの足りない、エッチだけじゃつまらない、そんなアナタに贈る噛み応え十分のタイトルだ!!"
……と、あるだけに、ライトさとHな雰囲気、シリアスな要素がそれぞれバランスよく混じり合っている。

明るい雰囲気の序盤との差はあるが、元々パッケージに上記のようなストーリーが記載されているのもあり、暗かったりシリアスな場面もありそうなことはプレイ前から想像つくので、ゲーム開始後に気がついてショックを受けることはないかと。
ヒロインの過去を始め暗かったり鬱要素もあるが、千亜樹を始めとしたキャラが前向きなのもありシリアスな場面もそこまで暗くなることも無い。
逆に本格的なミステリー要素やダークさを期待すると肩透かしかもしれない。

ヒロイン同士が姉妹、親戚、家族同然の仲なのもあり、横のつながりがしっかりと描写されており特定ヒロインのルート時も他のヒロインの出番も多い。千亜樹を交えてコミカルでたまにちょっとHな掛け合いも魅力的。

その日印象的だった出来事が元になっていたり、家の中以外の場所でもHなことができたり、夢であることを活かしたHシーンが楽しめる。おかげでスク水やブルマ着用プレイも楽しめるし。
願望が形になっているのもありシチュエーションの種類も豊富。反面、本格的な絡みはやや少なく、夢の外でとなると終盤に限られる。

ヒロインごとにルートはあるものの、かなり大部分が共通イベントで消化されることが多いのが周回プレイ時に偶に暇なところも。
基本的に目当てのヒロインを優先する選択肢を選べば攻略ができるが、「出かけるのか家にいるのか」のようにどちらに誰がいるのかパッと見でまず分からない選択肢も多いのがちょっと厄介。
また、あるヒロインは別なヒロインの好感度を上げつつも、合間合間に本人の好感度を上げる必要がある。ヒントは無いのでこちらも攻略情報がないと所見では難しいかも……。

紅巴を除きヒロインたちはゲーム開始当初から皆べた惚れレベルで好意的。
最初からイチャイチャとそして少しHな雰囲気を楽しめるが、そうなった過程はあまり描写されていない。
せっかく義妹や古い付き合いの親戚なのだから過去の話も描写してほしかった…と思う人もいるかもしれない。
また、各ヒロインの過去など伏線は回収され基本的にきれいなハッピーエンドで終わるが、一部細かい設定などは曖昧なままな部分もちらほら。

システム面は可もなく不可もなく。シーン回想はHシーンのみに限られるが、セーブ数は50あるので好みのイベントなどの前のセーブデータ保管とかもあり。
スキップ機能の速度はやや遅く、ボイス有りのテキストだとセリフの冒頭がちょっと聞こえ少し耳障りなところも。
システムメニューに「既読完全スキップ」機能があり、それを使えば未読部分か次の選択肢までジャンプができる。周回プレイ時には便利。

◆余談

修正パッチが配信されていたが現在はメーカー公式サイトが閉鎖したためダウンロードができない。
ダウンロード版の販売もされているので今プレイするのならそちらがおすすめ。
ただしダウンロード版も販売開始が10年以上前のため対応OSがvista止まりなので、互換モードがあるとはいえパソコンによっては動かない可能性がある。

バックログ機能が備わっているが、一定範囲内しか履歴の残らない事が多い他のゲームと異なり範囲に制限がない。また、セーブ&ロードをしてもバックログの内容は保存される。
そのためエンディング直前でセーブしておけば、ゲームスタートからラストまで今までの全てのテキストを再読することが可能だったりする。

反面、ゲームが進むに連れバックログの文章量も増えるので、履歴を見る時に目的の位置に合わせるのもなかなか面倒なところも。
また、見られるのはテキストのみでCGや立ち絵などは表示されない。

追記修正は夢の中に入る事のできるおにぃちゃんがお願いします

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最終更新：2023年08月01日 19:32

*1 原文ママ。同性の誤字と思われる

*2 あるルートでは夢降ヶ崎(ゆめふりがさき)という地名が登場するため途中で名前が変わったのかも？

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