登録日:2023/10/01 Sun 03:16
更新日:2023/12/04 Mon 22:43:26
所要時間:約 2分で読めます
概要
「兎の眼」とは、作家・灰谷健次郎の児童文学作品である。新人教師の小谷がクラスの問題児、臼井鉄三を初めとする周囲の人物に触れ回されながら様々な問題に直面し、奮闘する姿を描いた物語である。
刊行当時は1974年だが、氏の教師生活を生かした丁寧な心理描写等から児童文学のベストセラーとして令和になった現在でも読まれている。
また、ハエの生態などが詳しく描写されており、ハエの意外な一面を知ることができる。
1979年には映画化もされ、主演は檀ふみ。
舞台は「H工業地帯のS町」とイニシャル表記だが、ほとんどの登場人物が関西弁でしゃべることや、足立先生が買うお菓子の名前が「たいこ焼き」表現などから阪神工業地帯のどこかのようである。
登場人物
大学を出てすぐに就任した新人教師の女性。結婚して間もなく、学校でのトラブルに奔走することとなる。気弱ですぐに泣いてしまう性格だが、鉄三に寄り添うなど健気な一面を持つ。
小学一年生の男児。無口かつ粗暴な行動を繰り返し、小谷の悩みの種となっている。処理所の人間とキチ以外に心を開かない。
ハエを飼っているが、それには理由があり...。
二年生を担当している男性教師。自由奔放かつだらしない性格をしているが、児童からの人気は高く、授業については他の教師達からも一目置かれている。処理場に赴いて子ども達の様子を見に行くことがある。
男性教師。処理場の子ども達が信頼している数少ない先生。処理場に赴いて勉強を教えている。
鉄三を止めたり破天荒な足立に苦言を呈すなど、苦労人としての一面を見せる。処理場の件では学校の立場から終始後手後手の対応を見せていた。
三年生の男児。風呂に入らなかったり、手を洗わなかったりしており、先生達は給食当番をさせるかどうか議論をしていた。
鉄三や浩二の他に純、功、芳吉、四郎、武男、みさえ、恵子、徳治、諭等が該当する。腕白かつ行動力があり、キチが犬取りに捕まった際は奪還しようと団結した。
鉄三の他にたけし、勝一、文治、道子、やよい、淳一、勇二、照江達が該当。鉄三の破天荒な挙動に振り回されるも、小谷の言うことを聞く等純粋な一面を持つ。
鉄三の祖父で本名は臼井獏。処理場に勤めており、両親のいない鉄三の世話をしている。舌ビラメのムニエルを作るなど、料理に精通している意外な一面を持つ。
鉄三の愛犬。鉄三は行水をしたりノミを取ったりして可愛がっている。作中では犬取りに捕まってしまった。
芙美の夫。彼女と新婚したばかりでプライベートに仕事のことは持ち込まない主義。
施設、用語
学校のすぐ裏にある施設。いわゆる「ごみ焼却場」なのだが、まだごみの分別がいい加減な時代であることや旧式であるため不燃物のゴミなども平気で燃やして、後述の作業員たちの負傷につながる他、 1918年の竣工時から殆ど修繕等されておらず、学校や人家に粉塵が降る、蝿が大量にいるなどの問題が起きて何度も移設問題になっていた。
少し離れた場所に処理場の労働者の宿舎があり、鉄三を始めとした子ども達もここに暮らしているがゴミ屋などとかわかわれており、偏見な目で見られている。
またここの人たちの大半は今でいう「非正規職員」で、給料や福利厚生については劇中ほとんど明言はないものの、作業内容に焼却炉の灰の始末に汚れるからという理由で、ガラスなどで手を切ったりスプレー缶の爆発の危険などがあるにもかかわらずふんどし一丁で作業したり、ついに移転するのが決まった時にも議論に参加はおろか、唐突に「移転するからお前ら全員引っ越し、子供らは間近の学校に転校しろ。(要約)」と言われるなど、お世辞にも良いとは言えない扱いである。
小谷が配属された学校で、H工業地帯の中にある。二千人近い生徒が通っている。
1ヶ月に1回の頻度で交通事故が起きたり、不審者が校内に入って女子を連れだそうとしたりとあらゆるトラブルが発生している。
なお、現在は閉校している栗原市にあった同名の小学校とは一切関係がない。
ハエに詳しい方は追記、修正をお願いします。
- こんな項目が。子供のころ繰り返し読んだなぁ、大人になってから読んでも面白かった。終盤先生がハンガーストライキするシーンを強烈に覚えている -- 名無しさん (2023-10-01 12:43:20)
- 昔読んで印象に残った作品だったから嬉しい。作成ありがとうございます。 -- 名無しさん (2023-12-04 22:43:26)
最終更新:2023年12月04日 22:43