陸奥圓明流外伝 修羅の刻

登録日:2023/10/31 Tue 08:06:25
更新日:2024/02/12 Mon 12:18:04
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『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』とは漫画『修羅の門』の外伝。
作者は川原正敏。

目次


【概要】

古流武術「陸奥圓明流」の歴代伝承者たちと、彼らと同じ時代を生きた武芸者や英傑たちと歴代陸奥の嫁との出会いと激闘を描いた作品。
個々のストーリーは最長でも単行本4冊、多くは1・2冊で完結しており原則としてそれぞれ独立した話となっている。

1989年7月号から『月刊少年マガジン』で連載開始。
以後も月刊少年マガジン誌上で不定期集中連載されており、2023年時点で既刊18巻。

2004年にスタジオコメット制作で『宮本武蔵編』、『寛永御前試合編』、『風雲幕末編』の3章がアニメ化されており、1995年には作者自身の手によって『宮本武蔵編』が小説化されている。

本家が長期休載していたり、『刻』の方だけアニメ化されたりすることから「本家より有名になったスピンオフ作品」の代表例とされていた時期もあったが、後に本編の続編である『修羅の門 第二門』が連載された為か、最近はこのネタも以前より聞かなくなった。
ちなみに『修羅の門』には他にもスピンオフ作品があるのだが、そちらはサッカー漫画*1
また、異世界ブームに乗って陸奥圓明流の伝承者が異世界召喚される『陸奥圓明流異界伝 修羅の紋 ムツさんはチョー強い?!』も登場した。

【登場人物】

連載順では無く、時系列順で記載。

酒呑童子編

外伝12作目。
  • 陸奥(むつ)(かのえ)
熊と戦っている所を目撃され、熊と相撲を取っていると勘違いされた。

源義経編

外伝5作目。
単行本七巻~拾巻に収録。
  • 陸奥(むつ)鬼一(きいち)
武蔵坊弁慶に勝利。
五条大橋に現れる天狗の正体。
弁慶との再戦や義経の人柄を気に入り、義経に様々な策を授け助力した。
紆余曲折あり、最後は義経の影武者として自害。
元ネタは鬼一法眼と思われる。
この編は常に義経にスポットが当たっているため鬼一の出番はかなり少なく、作者も後書きで苦言を呈している。
雑魚を蹴散らす場面は何度かあるが、本格的な戦闘は五条大橋での弁慶戦と壇ノ浦での平教経戦くらいである。

なお、酒呑童子編が始まるまでは永らく彼の父親が登場した中で最古の陸奥だった(脇役で名前不明)。

  • (しずか)
鬼一の妹。男なら誰もが見惚れるほどの美貌を持ち、白拍子舞の名手。
後に義経の妻になった。
勿論彼女も圓明流の技を使うことができ、身重の状態でも遥かにガタイの大きい僧兵二人を圧倒するぐらいは強い。
正に母は強し。
しかし、兄である鬼一と比べると戦うシーンは少なく、むしろ立場の弱さ・苦しさを強調する場面のほうが多い。
元ネタは静御前と思われる。

  • 陸奥(むつ)虎一(こいち)
鬼一の妹、静と源義経の子。
幼名は虎若。
赤子の頃、砂に生き埋めにされたがそれでも泣き続けていた。
鬼一にローキックかますなど怖いもの知らず。
後に「陸奥」を名乗ることを許されている。

織田信長編

外伝6作目。
単行本十一巻~十三巻及び十三巻裏に収録。
  • 陸奥(むつ)辰巳(たつみ)
狛彦と虎彦の親父。
信長と相撲をとり、腹違いの妹の琥珀を嫁にもらう。
桶狭間の戦いでは今川軍本陣を襲撃し、桶狭間山から追い払った。
ついでに今川義元の愛刀を回収し、信長に渡している。
その後、狛彦と虎彦にそれぞれ陸奥と不破の名を与えた。

なんとSEGAの戦国大戦にゲスト参戦を果たした。
一時期は環境を破壊し尽くすまで暴れまわり、陸奥圓明流不敗伝説をプレイヤー達に知らしめた。

  • 狛彦(こまひこ)陸奥(むつ)狛彦(こまひこ)
辰巳と織田信長の腹違いの妹、琥珀の息子。
胴着の左肩の方に縫い目があるのが狛彦である。
二度に渡る雑賀孫一との戦いで胴着の右肩と左胸に弾痕が残った。
雑賀孫一に勝利したが、信長が孫一の首を晒したために虎彦と信長の元を去った。
本能寺で双子の兄弟、虎彦(どっちが兄かは不明)に勝って陸奥となる。 

  • 虎彦(とらひこ)不破(ふわ)虎彦(とらひこ)
狛彦の双子の兄弟。
胴着の右肩の方に縫い目があるのが虎彦である。
心優しい性格で天下人の孤独を抱える信長から離れられず、結果的に信長の命で武田信玄をはじめとして多くの武将を暗殺した。
本能寺で狛彦と陸奥の名を賭けて戦うも、この戦いで初めて恐怖を知った虎彦と、雑賀孫一との戦いですでに恐怖を経験した狛彦に差が出てしまい敗北。
信長の死後は明智光秀を襲撃し、殺害。
狛彦に敗れたが、修羅としての生き様を捨てられず辰巳から不破の名を与えられた不破圓明流の祖。

東国無双編

外伝10作目。
単行本十八巻に収録。
  • 陸奥(むつ)狛彦(こまひこ)
織田信長編のラストから2年後、小牧長久手の戦いに突然参入すると東国無双と謳われる本田忠勝と戦い引き分け、後の再戦を約束する。
それから28年後、隠居してようやく一人の武人となり死力を尽くせる立場となった本田忠勝と戦い勝利した。

西国無双編

外伝11作目。
単行本十九巻に収録。
この編に限りタイトルが不破圓明流外伝修羅の刻となっている。
  • 不破(ふわ)虎彦(とらひこ)
織田信長編のラストから数年後、狛彦に追いつかんと戦いを求めて各地を流離っていたところ、九州でふとした事から立花誾千代と縁が出来るが、立花宗茂の名が天下に広まったら戦いに来ると言い残し去っていった。
それからしばらくし剛勇鎮西一(西国無双)と呼ばれるようになった宗茂の元へ現れ勝利した。
なお勝利したついでに誾千代が嫁となりました。完全に押し掛け嫁である

宮本武蔵編

外伝1作目。
単行本壱巻に収録。
  • 陸奥(むつ)八雲(やくも)
宮本武蔵に勝利。
“刀を抜かされた”として八雲は「引き分け」と言うが、武蔵が負けとした。
陸奥が無手で倒せなかったのは武蔵のみ。
直接的な言及は無いものの年代的に考えると恐らく狛彦の息子に当たる。
(それを意識させるかのように狛彦が陸奥を継ぐ場面は「八雲立つ」と言う言葉で締めくくられている)

  • 詩織(吉祥丸(きっしょうまる))
宮本武蔵編のヒロイン。
普段は美形の少年剣士の格好をしているが実は女。
小さな藩の先代城主の娘で、男として育てられたが、父親の死後、新たな城主となった叔父に命を狙われる。
八雲の目の前で刺客に襲われそうになったところを宮本武蔵により助けられた。

宮本武蔵編のラスボス。

寛永御前試合編

外伝4作目。
単行本伍巻に収録。
  • 陸奥(むつ)天斗(たかと)
柳生十兵衛に勝利。
八雲の息子。
本人曰く「強いものと闘いたいだけの大馬鹿」であり、修行のために普段は右目を閉じている。
圓への一目惚れを理由に旅に同行(実際は陸奥を名乗っていた圓の動向に興味を抱いていた)し、御前試合に出場。
その後、また十兵衛と戦ったらしい。

寛永御前試合編のラスボス。

雷電爲右衞門編

外伝8作目。
単行本十五巻に収録。
  • 陸奥(むつ)左近(さこん)
葉月の父親。陸奥特有の獰猛さを持つが、一族の中では物臭な方。
雷電の内に秘めた強さを見破るが、陸奥と死合うには足りないものがあることを知り断念。
彼が足りないものを埋めてからの再戦を望むが、その前に病で死去。

  • 葉月(はづき)
左近の娘。左近より技は迅いが、力が足りず陸奥になれなかった。
なかなかの美人さんであり、成長後は体格から考えるとかなり巨乳。
左近の死後、雷電と戦うため息子を鍛える。

  • 陸奥(むつ)兵衛(ひょうえ)
葉月の息子(本人は雷電の息子ではないかと疑っているが、葉月曰く「雷電にはよくできた恋女房がいるのに何で浮気などするものか」とのこと)。
葉月いわく「(技は)アタシより迅く、親父殿より強い。」
雷電に勝利。
年代的に出海と雷の父親。

  • 雷電爲右衞門(らいでんためえもん)
雷電爲右衞門編のラスボス。

風雲幕末編

外伝2作目。
単行本弐巻~参巻に収録。
  • 陸奥(むつ)出海(いずみ)
千葉道場を訪れ坂本龍馬に試合を申し込み勝利した。
その後は、竜馬と親友となりたびたび彼の窮地を救う。
竜馬が死んだ際には勘違いから新撰組屯所を襲撃し沖田総士と戦う約束をし、その後真犯人である伊藤甲子太郎を殺害。
竜馬の死後は毎日海を見つめるだけの腑抜けと化したが、沖田との約束を思い出し、病で瀕死の沖田と戦った。
その後、函館で土方歳三と戦い勝利し、その最期を見届けた。

アメリカ西部編

外伝3作目。
単行本四巻に収録。
  • 陸奥(むつ)(あずま)
出海の弟。陸奥の一族にしては臆病で好戦的ではない変わり者らしい。
厳密には陸奥を継いでいないため、コミックス目次の"陸奥"の文字が薄くなっている。
出海が自分の死後の継承者に指名していたことからもわかるように腕は確かであり、特に出海の練習に付き合って磨いた雹の早撃ちはワイアット・アープをしのぐ速さ。
アメリカに流れ着き、インディアン・ネズパース族の青年マッイイツォに助けられた。
臆病者、ドロッイィ(イタチ野郎)とバカにされていたが、そこで知り合った少女ニルチッイのあだ討ちを手伝い、
最後はたった一片の干し肉をもらった恩に報いるために一人で軍を追い返し、命を落とす。
このエピソードは百年後も語り継がれ、九十九のアメリカ遠征編につながっていく。

  • ニルチッイ
ネズ・パース族の少女。
アメリカ西部編のヒロイン。
本編である『修羅の門』でも登場しており、雷と交わした「生きろ」という約束を130歳になっても守っており、かつてネズ・パース族を救った「ムツ・アズマ」の伝説を人々に伝えている。
世界ヘヴィ級王座統一トーナメント後、彼女に会いに来た九十九に看取られながら死亡。
死後ようやく雷と再会できた模様。

西郷四郎編

外伝7作目。
単行本十四巻に収録。
  • 陸奥(むつ)天兵(てんぺい)
出海の息子。
西郷四郎に勝利。
ついでに蛸足も壊した。
この戦いが間接的にグラシェーロ柔術ひいてはケンシン・マエダを生み出した。

  • 西郷(さいごう)四郎(しろう)
西郷四郎編のラスボス。
講道館四天王の一人で、実力は四天王の中でも最強と云われている。
館長である嘉納治五郎から後継者に指名されるも、天兵との戦いに敗れタコ足を破壊された事で講道館を出奔。
講道館を追放となるが後に破門を解かれ死後に講道館から六段を追贈された。

  • 陸奥(むつ)出海(いずみ)
天兵の父親。まさかの再登場。
天兵と西郷四郎が河川敷で死合う前日に、天兵に陸奥を譲っている。

昭和編

外伝9作目。
単行本十六巻~十七巻に収録。
  • 不破(ふわ)(うつつ)
本編の「第弐門」で登場した人物。
実質的に昭和編の主人公。
不破の名は兄が継いでいるため厳密には不破ではない。
陸奥、不破やケンシン・マエダのように修羅を心の内に秘めておらず、心技体の心が出来損ないとされている。
ケンシンと共に陸奥の住む山奥に向かい、真玄が戻るまで静流とケンシンと奇妙な3人生活を送る内に静流に惹かれていく。
ケンシンとの戦いの後、静流と子供を作ることになる。

静流曰く優しい性格であり、始祖である虎彦や息子の冬弥とも通じる点。
不破からドロップアウトはしたものの虎彦から続く不破の抱える想いは心底大切に想っており、不破の不利になるような事は決してしない。
現が陸奥に入り婿しなかった最大の理由でもある。

ぶっちゃけこいつがちゃんと婿入りしていれば冬弥関係は大分変っていたはず。
まぁ不破と陸奥のごちゃごちゃがあるから無理だし真玄からもそこは了承されていた事ではあるが。

  • 陸奥(むつ)静流(しずる)
真玄の娘で冬弥と九十九の母。
陸奥の血を絶やさぬためにケンシン・マエダとの間に冬弥と九十九をもうけた。
と、読者の大半は思っていたが実際は違った。
(無印の最後ケンシンと戦うために九十九が旅だったあと、信玄がいわくありげに一晩だけ静流の夫になった男の事を語った。それがどうみてもケンシンだとしか思えない描写だったため)
事実は不破現とケンシンの戦いの後に、真玄の「現の方が配合が良さそう」という考えや現の土下座頼み込みの末、現と子を成した、というものであった。
性格は天然でほぼ初対面のケンシンと現の二人に狩った猪の運搬や家事を手伝わせるなどかなりの大物。
…なのだが猪相手に投げ技をかまして倒したり、強い相手との組手に獰猛さを秘めた顔を見せるなど、やはり陸奥の一族である。
しかし惜しいかな、心臓に病を抱えており、長時間戦えない。
そのため陸奥を継ぐ事は叶わず、本来なら陸奥を名乗れなかった模様。
陸奥になれず不破の夫にもなれなかったものの、陸奥の母になれたことは喜んでいた。

冬弥の死後、病により死去。
九十九の帯は彼女の手製で、その死は九十九に多大な影響を与えた*2

  • 陸奥(むつ)真玄(しんげん)
静流の父で昭和編での陸奥圓明流の当代。
妻の亡骸を実家に送っていたため、陸奥の家を留守にしていた。
もともとケンシン・マエダは真玄と戦うことを目的に陸奥の家を訪れたものの、相手が50過ぎた老人であることや真玄自身、妻を亡くしたばかりで気力が萎えていたことから立ち会いは無くなった。

  • 陸奥(むつ)冬弥(とうや)
現と静流の子。
家を訪れた現に攻撃を仕掛ける3歳児。
後に、15歳で全盛期の真玄を超えたと真玄本人が述懐する程技は優れていたが、優しい性格のため陸奥を継げないと自覚していた。どうやら父の血が濃すぎたらしい。
また母親に似て体もやや弱かったらしい。

  • 陸奥(むつ)九十九(つくも)
現と静流の子。
本編の主人公。

陸奥圓明流異界伝 修羅の紋 ムツさんはチョー強い?!

  • ムツさん(仮称)
『陸奥圓明流異界伝 修羅の紋 ムツさんはチョー強い?!』の主人公。
ジルア国のとある魔法具商人が伝説の法具を使って異界から招喚した。
商人は優れた式神を使役したくて法具に手を出したのだが招喚*3されたのはムツさんだった。
招喚された時点では 自分の姓が「陸奥」であること以外の記憶をすべて失っていた ため
彼が本当に陸奥圓明流を使う者かは現時点では断言できないのだが、
漫画のタイトルからのメタ的な推測と、無意識に「雷」を使った上にその技が雷であることを思い出していたためたぶんどこかの時代の陸奥と思われる。
この世界の人類は程度の差はあるが魔力を持っており、それを活用して生活しているのだがムツさんは魔力がゼロの珍しい存在だった。
その代わりジルア国最強の魔剣士を一蹴する鬼王を パンチ1発で灰に 変えたほど肉体のレベルが高い。
(ムツさんの感覚からすればこの世界はみんな軽くて柔いらしい)
普段は茫洋とした童顔だが闘いに際しては「陸奥」ひいては「修羅」の形相を垣間見せ、相手を下す度にその決め技の名を思い出すのが御約束である。

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最終更新:2024年02月12日 12:18

*1 川原正敏はサッカー漫画を描きたかったのだが中々編集が首を縦に振らず、最終的に「修羅の門 第弐門」が連載されるにあたって「作画は別の人に任せ、修羅の門のスピンオフ作品としてなら」ということで連載にこぎつけた、という経緯がある。

*2 信玄の話によれば、「母の死は冬弥を失ったことが原因で、いわば自分が死なせたようなものだ」と九十九が思い込んでしまったことが、2部終盤まで「人を殺せる技は使えるが、『人を殺すために』技は使えない」ようになった原因だとか

*3 ファンタジーで精霊を呼び出す時は「召喚」を使うことが多いが、この作品は「招喚」と書いている。その意図は不明だが召喚は「立場が上の者が”召す“こと」で招喚は「互いの立場に関係なく”招く“」の意味。