聖女の魔力は万能です

登録日:2023/11/12 Sun 23:08:00
更新日:2024/05/05 Sun 15:57:11NEW!
所要時間:約 8 分で読めます



突然の聖女召喚は異世界スローライフのはじまりでした

聖女の魔力は万能です』は橘由華によるライトノベル作品。
2016年4月29日から「小説家になろう」にて「タチバナ」名義で連載していたWEB小説を元にカドカワBOOKSより単行本化された。
現在9巻(2023年3月)
イラストは珠梨やすゆき。

【概要】


異世界に召喚された女性が、実は聖女の素質を持っており、様々な人を助けたいという思いが奇跡の魔法を生み出すというファンタジックな内容が特徴である。
原作者の橘は「小説家になろう」で執筆をするにあたり、人気ランキングにおいて男性向けでも女性向けでも「聖女」というワードが入っていることを知り、そこからプロットを組み立てた。

基本的に主人公のセイと接する面々はセイに対して好意的である。これは作中のキャラクター描写に関して「同じ職場で働きたい人」というコンセプトの下で描いているのが起因している。

小説家になろう」でも人気を博し、掲載開始後10日後でランキング1位を獲得するほどである。なお書籍化にあたっては掲載時の内容よりも20%程増量しているとのこと。

(メディアミックス)


藤小豆によるコミカライズが無料漫画配信サイト「ComicWalker」内のフロースコミックにて連載中。
また、2020年10月5日からスピンオフ漫画である『聖女の魔力は万能です~もう一人の聖女』が同じく「ComicWalker」内のフロースコミックにて連載されていた。こちらはセイと同時に召喚されたアイラを主人公にして描いている。
2023年9月の21話で完結、単行本は全4巻。

2021年4月~6月まででアニメ1期が、2023年10月~12月までの期間でアニメ2期が放送されている。製作はどちらもディオメディア。

【あらすじ】


小鳥遊聖(タカナシ・セイ)は、ちょっと仕事中毒な20代の会社員。ある夜、残業を終えて帰宅すると突然光に包まれ、異世界の王宮に「聖女」として召喚されてしまう。ところが、現れた王子は同じく召喚されたもう一人の少女に夢中で、放置されたセイは暇を持て余す。そんな時、王宮敷地内で出会った青年・ジュードに案内されたのは薬用植物研究所。元々植物好きで研究所に興味を持ったセイは、そこで研究員として働くことになるが、薬草と魔法を使ったポーション作りで思いがけない能力を発揮することに……。
(アニメ公式HPより引用)

【キャラクター】


(主人公)


セイ(小鳥遊聖)
CV:石川由依
本作の主人公。
朝から深夜まで仕事漬けだった20歳の会社員の女性。
ある日、スランタニア王国の「聖女召喚の儀」によって、異世界に召喚されてしまう。
召喚された当初、儀式を取り仕切っていたカイル王子からは同時に召喚されたアイラが聖女であると思われて眼中になかった。(アニメでは控えめな恰好であることから侍女か乳母の類だと思われていた様子)
こうした扱いに不服を覚えたこともあったが、後に召喚前の仕事のつながりもあってか、薬用植物研究所に勤めることになる。

薬草栽培やポーション生成の仕事を楽しみつつ、やがて回復魔法の素質を開花させることになる。強大な魔力でエリアヒールなどを展開し、大勢の怪我人を瞬時に回復させることも可能。その能力は底知れないものがあり、王宮や騎士団など様々な人物の注目の的になる。結果、本物の聖女として認知されていくことになるのだが、本人が控えめな性格なのもあり、あまり目立ちたくないと思っている様子。

容姿は地味目な印象を受けるが、実はかなりの美人。
なお、異世界で適度な睡眠と薬効が含まれる化粧品を定期的に接した結果、視力も回復した。このため、物語開始当初は眼鏡をつけていたが、後に裸眼でも問題ないようになった。(これにより眼鏡女子好きのファンが残念がったとかなかったとか)

聖女らしく聖属性魔法レベルが∞と上限を振り切っているのに加え、連載の初期というか第2話の段階からMPが異様に高く、その有り余るMPを元手に先に合成素材が切れるレベルでポーションを量産可能。
そしてそのポーションは聖女の力なのか、一般的なポーションに比べ効果が1.5倍高い。
なおこの5割増しはポーションに限らず回復系全般に働くらしく、後に本人が「5割増しの呪い」と語るほどである。

料理は得意で召喚前の知識を使い、料理や飲み物などを考案して同僚からも好評を得ている。だが、異世界には米を見つけることが出来ず嘆いていたが、後にそれにあたるものを発見した際、歓喜の表情を浮かべた。

(主要人物)


アルベルト・ホーク
CV:櫻井孝宏
スランタニア王国第三騎士団団長。
セイのお相手役。まるで王子様のような容姿で、セイも好みの外見とのこと(割とミーハー?)
西の森の魔物征伐の際に重傷を負ってしまい、その際にセイのポーションにより一命をとりとめた。そうしたフラグ経緯もあり、セイには恩義を感じている。また、セイと接していくうちに彼女に惹かれているところもある。セイにはいつも気にかけており、彼女のピンチには助力も惜しまないし、ときに一緒にデートなどもしている。
ただセイとしては、アルベルトがあまりに理想的な王子様像であることもあってか釣り合わないのではと感じているところもあるようだ。これはセイの控え目な性格によるところが起因している。
数少ない氷属性魔法の使い手。冷房器具がなく、氷なんてめったに手に入らない異世界にとって、セイは彼の魔法に感動を覚えたこともある。

ヨハン・ヴァルデック
CV:江口拓也
薬用植物研究所の所長でセイの上司。アルベルトの友人。
セイの元いた世界の知識を元に、料理(米料理)や飲み物(コーヒー)などに興味を持って彼女との仕事を楽しんでいる反面、その有り余る魔力で大量のポーションを作ってしまうことに対して苦々しく思っている。(薬草の在庫が切れてしまうため)
伯爵家の次男だが、本人は貴族暮らしが好きでない。貴族間の権力闘争などの人間関係に辟易としているためである。

ジュード
CV:八代拓
薬用植物研究所に勤めているセイの同僚。
召喚後、暇を持て余していた彼女に出会い、研究所の仕事を紹介した。
穏やかで親しみやすい性格。セイが研究所に入った際は、業務について様々教えてくれていた。
セイの友人ともいえる人物。
メイン格のキャラの中で、他の人々と違って名字が存在しないのだが、単に公開されていないのか平民だから存在しないのかは謎。

ユーリ・ドレヴィス
CV:小林裕介
スランタニア王国宮廷魔導師団団長。紺色の髪を持つ美少年。
あらゆる魔法を使える天賦の才を秘めている。「聖女召喚の儀」の術式を行使したのも彼である。しかし、セイが召喚された当時は力を使い果たして昏睡状態になっていた。目覚めたあとはセイの魔力の見極めを行い、彼女が聖女であることを国王に報告している。
飄々とした性格で探求心が強い。セイの魔法にも興味を抱いており、彼女が起こす奇跡の聖属性魔法の仕組みを聞き出そうと彼女にアプローチをかけているが、彼女は困惑気味。
(ちなみに彼女の魔力に興味があるだけで恋愛対象としては見ていないしかし傍から見れば変態のように見えなくもない

エアハルト・ホーク
CV:梅原裕一郎
スランタニア王国宮廷魔導師副師団長で、アルベルトの次兄。
銀髪の美男子。性格は沈着冷静、生真面目な所もある。
自由奔放な上司の師団長に振り回されて頭を抱える日々を過ごしつつも、組織が回っているのは彼のおかげであるとも言えるだろう。
数少ない鑑定魔法が使える。セイの魔法のレベルなどを調査していく中で彼女の素質に興味を抱く。

カイル・スランタニア
CV:福山潤
スランタニア王国第一王子。
真面目なのだが、思い込みが激しい性格。これにより周囲と様々な軋轢を作り出してしまう。
「聖女召喚の儀」を執り行い、セイとアイラを召喚することになるが、上述したようにアイラを聖女として祭り上げてしまう。国王や婚約者であるリズの忠告を無視してアイラに寄り添おうとした結果、リズと衝突を起こし、謹慎を言い渡されてしまう。
女性向けというかなろう系に多い「ざまぁ枠」に入るキャラではあるが、他の作品に比べれば謹慎&物語からのフェードアウト程度で終わるという非常に軽いもの。

セイからすればいい迷惑だとされるくらいにその言動には非難される点が多い。
しかし、セイを本物の聖女であると認めなかったことに対して、セイを本物の聖女として認めてしまうとアイラが孤立して、最悪の場合、王宮の貴族や騎士団などにより飼い殺し状態になる未来が予測されたことから、それを回避するためだったともいえる。
また、アニメ版ではアイラ絡みの暴走について「自分に矛先を向ける事でアイラに責が及ばないようにする意図があった」と理由付けられている。
実際問題、視野狭窄気味で独りよがりな面は否めない*1ものの、自身のミスで聖女の存在を誤認してしまった責任を感じており、嫌われ者になってもアイラを守ろうとしているため、一概に悪人とは言えない。
こうした性格についてリズは「不器用な人」と理解を示しているようだ。

原作ではカイルについての描写は少なく、主人公セイのストーリー上の立場を整えるための舞台装置という扱いであった。
結末についても「偽聖女アイラと共に断罪されて国外追放処分となる」予定であったが、事実上の拉致被害者であるアイラに対する同情の声が読者から多く寄せられたため変更された。

カイルという名で聖女に入れ込みアニメのCVが福山潤長い赤髪の王族で書籍9巻で大使を務める……というものすごく嫌な予感しかさせない人物ではあるが、流石にこの造形は偶然の産物であるものと思われる。

ジークフリート・スランタニア
CV:山野井仁
スランタニア王国国王。
何かと失態を犯してしまう第1皇子のカイルの将来に悩みつつも、うまくとり図ろうと苦心している。
セイが本物の聖女であることを受け、直接彼女にこれまでのカイルの失態を詫び、これまでの活躍の褒美を授けることを約束した。(本来であれば地位も領地ももらえる破格レベルの褒美ではあるが、セイの控えめな性格も相まって、閲覧制限のかかっている書庫の閲覧許可をもらうことや魔法教育を受けてさせてもらうといったものに留めている)

エリザベス・アシュレイ
CV:上田麗奈
アシュレイ侯爵家の令嬢。カイルの婚約者(つまり次期王妃にあたる)
呼び名はリズ。
セイとは図書館で知り合い、親睦を深めることにある。次期王妃ということもあって、その立ち居振る舞いは年齢以上に大人びたものになっている。一方でセイが魔法と転生前の知識で考案した化粧水の話に興味を持つなど、年相応な部分もある。数少ないセイの同性の友人だけあり、お互い様々な相談を持ち掛けている。

もっぱら話題となるのは、転入してきたアイラのことである。
カイルが過保護にアイラと接することに伴い、周囲の反発を生み出す結果になり、逆に彼女が孤立気味になっていることを心配している。(婚約者だからといってアイラのことを嫌っている様子はない)
後にアイラをめぐりカイルと衝突。結果彼は謹慎になったが、アイラの面倒を見ることになった。この結果、セイ・リズ・アイラと3人の友人関係を築くことにつながる。

なお、スピンオフ作品を企画するにあたって、アイラと共にエリザベスも主人公の候補に挙げられていた。

アイラ(御園愛良)
CV:市ノ瀬加那
「聖女召喚の儀」によって、セイと同時にスランタニア王国に召喚された。
可愛らしい容姿が特徴的だったことから、儀式を取り仕切ったカイルからはアイラが聖女であると思われ、以降、聖女として祀り上げられてしまった。
召喚当初は様々感情の整理が出来ず、泣いてばかりの日々を過ごしてしまった。これがカイルが過保護になってしまう感情を増幅させてしまった要因であるともいえる。
その後王立学園に転入して魔法の教育を受けることになるが、その際、カイルの過保護な待遇に周囲の反発を生み出すことになり、孤立してしまった。これに関しては、本人も急に異世界に召喚されてしまったことで、心細く感じており、頼れる存在がいなかったためである。(この観点からしても、最初からリズが面倒を見る構図にさせれば、必要以上の衝突はなかったように思える)

後にカイルとリズの衝突後は、誤解も解けて、周囲とうまくやれている。同時にリズ、セイとお互いに話の通じる友人ができてうれしかった模様。



【テレビアニメ版】


第1期は2021年4月~6月にかけてTOKYO MXやAT-Xなどでアニメ化された。全12話。
第2期は2023年10月~12月にかけてTOKYO MXなどで放送中。

アニメ版では原作やコミカライズと異なり、レベル・HP/MP・スキルレベルなどを表示するゲームのパラメーター表示は敢えてオミットにしている。
これは近年のなろう原作アニメ作品にありがちな、ゲームの世界観の中に登場人物がいる状態とは異なるリアリティのある世界観を表現したかったためと思われる。

ファンタジックな奇跡の演出や世界観にあった穏やかな音楽や主題歌など、ファンからの評価も高い作品である。

製作はディオメディア

主題歌(1期)


OP:「Blessing」
結城アイラによる第1期オープニングテーマ。
ED:「Page for Tomorrow
NOW ON AIRによる第1期エンディングテーマ。
最終話ED:「Pray」
結城アイラによる第1期最終話エンディングテーマ。

主題歌(2期)


OP:「Semisweet Afternoon」
結城アイラによる第2期オープニングテーマ。
ED:「Lilac Melody」
鈴木愛奈による第2期エンディングテーマ。

追記・修正は聖女の素質を開花してからお願いいたします。


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最終更新:2024年05月05日 15:57

*1 暴走に理由が付けられたアニメ版でも、当事者であるアイラなど事前に話を通しておくべき相手に何も言わず行動に出てしまった事で、かえって周囲に必要以上の負担をかける形となってしまっている