モニター(ペット)

登録日:2024/1/23 (Tue) 17:54:00
更新日:2024/04/05 Fri 11:54:45
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モニターとは、家のペットをカメラで……といったサービスではなく、大型のトカゲである。
爬虫類のトカゲのうちオオトカゲ属に分類される動物の総称で、一般には「オオトカゲ」と呼ばれる。
本稿目では、「ペットとしての」モニター飼育について解説する。
ヘビやカメやイグアナや小型トカゲのような他の爬虫類ペットに興味がある人は爬虫類(ペット)の項目を参照。


概要


前述のように、モニターとはいわゆるオオトカゲのことであり、図鑑や動物番組、動物園の解説版などでは「オオトカゲ」と呼ばれることが普通である。
しかし、爬虫類飼育界隈では、「モニター」と呼ぶことが多い。
本稿でも基本的にモニターと呼ぶことにする。

なお、モニターの語源は「見張るもの」の意で、木の上などで首をもたげて周囲を見張っているような姿を見せることが多いことから名づけられた。


さて、爬虫類飼育趣味が比較的一般的になった現在、初心者から「飼いたい!!」と思われることの多いグループの一つがモニターである。
動画共有サイトの爬虫類チャンネルなどでは、ベタ慣れになったモニターが「看板個体」として出演していることがよくある。
「〇〇ちゃん」と名前を付けられ、飼い主と触れあっている様は、まるでイヌやネコのようだと思う人もいるだろう。
また、ショップや爬虫類カフェなどでも、よく人に慣れた個体が看板トカゲとして活躍していたりする。


丈夫な動物なので、飼育難易度自体も高いとは言えず、スペースさえ確保できれば、初心者でもベビーから大人まで育て上げるのは難しくはない。
肉食性ゆえ、大人になればエサは一週間に一回程度でいいのも、世話をする側からすると嬉しい。
ちゃんと飼うことができれば、大変魅力的な爬虫類なのは確かである。


が、「あのチャンネルに出てる〇〇ちゃんみたいな子をお迎えしたい!!」なんて理由で安易に飼育を考えているのであれば、ちょっと待って!!と言わざるを得ない。
まず、全ての個体がベタ慣れになれるわけでは決してない
元々懐くという概念が希薄とは言われる爬虫類にも、気性についてはある程度の種類や個体差がある。
いつまでも人嫌いなやつもいれば、割とすんなり人と馴染んでくれるやつもいるというわけである。
比較的人に慣れやすいと言われているサルバトールモニターやイエローヘッドモニターでも、中にはいつまでも慣れない荒い個体もいるのだ
(逆に、一般的に荒いとされている種の中にも、例外的に慣れる個体がいたりもする)。
また、爬虫類チャンネルに出てくる一見ベタ慣れの個体は、実は飼い主の力量によってそのように見えているということも多い。
相棒のように飼うには、飼う側にもしっかりした扱い方が要求されるのだ。
それを軽視して、「とにかく飼っていれば慣れてくれるに違いない」などと思って飼い始めるのは、考えが甘いと言わざるを得ない。


これが小型種であれば、少々荒い個体でも、初心者でもなんとか飼えるだろう。
だが、モニターは80センチ~150㎝にもなる大型爬虫類である。
上手く慣らすことができなかった場合、初心者であれば持て余すことだろう。
結果的に飼い主が世話をするのを嫌がるようになり、満足に水も飲めずに衰弱死していく……という不幸な個体も、かなりの数に上ると想像されている
(そうでなければ、あれほどベビーが売られているナイルモニターの成体を飼っている人が少なすぎることの説明がつかない)。


そして、モニターといえば毎年恒例の爬虫類脱走ニュースの常連である。
毎年春・秋になると、必ずと言っていいほど大型爬虫類脱走のニュースが報じられるが、その中のかなりの割り合いをモニターが占めている
(ちなみにこの時期に脱走が増えるのは、季節の変わり目で窓を開ける飼育者が多いからだと言われている)。
2023年の秋前後だけでも、サバンナモニターの脱走が少なくとも2件、サルバトールモニターの脱走も1件報じられた他、捕獲には至らなかったがモニターらしき動物が目撃・撮影された事例も1件あった。

実際のところは、普通に流通しているモニターには、そこまで危険なものはいない。
そもそも爬虫類は元来臆病なので、よほど虐められでもしない限りは、見知らぬ人に噛みついたりすることは考えにくい。
野外であれば逃げることを優先するだろう。
またそもそも、脱走個体は屋外に出たことでパニックになっているはずであり、狩りをするような余裕はないだろう。

しかし、そんなことを知っているのはあくまで爬虫類愛好家だけであり、一般人からしたら

「巨大トカゲが脱走!! ひいっ!! 遭遇したらきっと襲われる!!

となってしまうのが現実なのである。
実際、このようなニュースが起きる度に、ネット上では爬虫類飼育者全体が非難され、
「爬虫類の飼育自体を規制しろ!!」
のような極論まで飛び出したりする。

なお、2023年に起きた小豆島のケースでは、偶然にも脱走したサルバトールモニターがネコに追いかけられる映像がバッチリ録られた。
この映像が広まったことで、実はモニターは猫より弱いことが広まったのは不幸中の幸いだった……かもしれない。

モニターは力が強いだけでなく頭も良く、脱走経路を一度覚えると何度も脱走しようとしたりする。
飼い主はしっかり管理することが求められる。


また、なまじ丈夫で個体によっては人に慣れるせいか、初心者からコンパニオンアニマルのように飼われる傾向があるのもモニターの現状である。
座敷イヌやネコのように部屋の中に放し飼いにしたり、犬のようにリードを付けて散歩させたり、服を着せたり……

しかし、爬虫類は温度管理・紫外線管理が必要なので、基本的には放し飼いには向かない。
散歩も特に必要ではない。脱走の危険もあるし、普段は大人しい個体でも空を見ると急に野生を取り戻したようにパニック状態になったりするので、基本外には出さないほうがいい。
ましてや、変温動物である爬虫類に服を着せるのは、飼い主の自己満足以外の何物でもない。
このような飼い主が増えてきたのは、爬虫類飼育への初心者への流入・動画共有サイトの爬虫類チャンネルの人気の弊害というべきだろう。

モニターは素晴らしいペットになりうる動物であるが、それはあくまで正しく飼育した場合の話である。
そのことをしっかり頭に入れておこう。


なお、オオトカゲ属のうちの2種は特定動物に指定されており、個人での新規飼育は禁止。
指定されているのはコモドオオトカゲとハナブトオオトカゲである。
コモドオオトカゲは国際的に保護されている種であり、おそらく過去にも商業流通したことはないし、今後もまずないだろう。
ハナブトオオトカゲは規制前は流通していたが、大型な上に怪力・凶暴で、とっても扱いにくい種だった。
当時出ていた飼育書には、はっきり「飼育するべきではない」と書かれていたりする。


なお、爬虫類飼育の世界では、他の動物飼育趣味とは異なり、飼いきれなくなったり飽きたりした個体をショップに引き取ってもらったりトレードしたりするのは比較的普通。一種のリユースである。
業界内でも「下取り」や「飼いこみ個体」という用語が定着しているくらいなので、特に忌避すべきこととは考えられていない。
なのでモニターに限らず、どうしても爬虫類を飼い続けるのが難しくなった場合はショップに引き取ってもらおう。
もちろん最初から終生飼育できる見込みがないのに飼い始めるのはよくないが、個体にとっても、劣悪な環境で飼い続けられるよりは上級者の手に渡ったほうが遥かにマシというものである。
近年は他の動物飼育の感覚を持ち込んで、「終生飼育をしなければいけない」などという人もいるが、リユースを忌避する考えが広がると、飼い殺しや遺棄に繋がるなどマイナス面も大きいと指摘されている。


なお、モニターはアメリカ大陸には生息しておらず、代わりに「テグー」というトカゲの仲間が生息している。
テグーは系統的にはモニターとは全く別物で、モニターに比べ身体が硬くて立体運動が苦手という違いはあるが、姿や食性はよく似ている。
このテグー類もペットとして広く流通・飼育されている。
こちらもやはり大型種故に扱いは要注意だが、モニターと比べるとほとんどの個体が慣れる。
というのも、テグーは完全に家畜化に成功している爬虫類であり、流通するのは人為繁殖個体(CB)のみである
そのため、大型トカゲの中では非常に飼いやすい。
海外では「最良のペットリザード」と呼ばれるほど。
「大きい肉食のトカゲが飼いたい」という理由でモニターの飼育を検討している人は、ぜひテグーも検討してみてほしい。

飼い方


ケージ


モニター飼育における最重要ポイントである。
ドワーフモニターなら市販の90センチサイズのケージで飼えるし、1メートル以下のサバンナやイエローヘッドあたりなら120センチサイズのケージで飼える。
それ以上となると市販のケージでは厳しいので、小型温室などを使うか、オーダーメイドケージを特注する必要がある。
自作するという人も多いのだが、よほど日曜大工に自信がある人でなければプロに任せたほうがいい。
というのも、モニターは力が強いだけでなく頭もいいので、
「このケージのここは作りが弱いな」
というのを見破ってしまうのである。
執拗にそこを攻撃されて突破されるというケースが後を絶たない。

一方、ツリーモニターなどは小型種ではあるが、ケージに「高さ」がないと、せっかく飼っている愉しみが半減してしまう。
背の高いケージというのは市販では少ないので、やはり特注が一般的。

必要器具はバスキングライト・紫外線ライト・パネルヒーター。
モニターにお腹の冷えは天敵なので、パネルヒーターで床を保温するのを忘れずに(樹上性の種の場合、壁に立てに貼って使う)。
バスキングライトと紫外線ライトは絶対必須だが、何しろモニターは力が強い上に上下運動が大好きなため、ケージの中にライト類を入れると落とされたり位置をずらされたりすることがある。
これは最悪火災の原因になり得るので厳重に注意しよう。
ライト類はケージの中には入れず、ケージの外(上)から照射するのが無難である。

モニター全般の特徴として水浴びが大好きなので、ケージの中には全身が浸かれる水入れを入れてあげよう。
ちなみに、彼らは水浴び大好きなくせに、その中で糞をするのも大好き。
なのでこまめに交換してあげる必要がある。
これがベビーのうちはいいが、成長して水入れも大きくなってくると……
モニター飼育はうんこ水溶液との闘いだと思っておこう。

あ、水を交換した直後に水の中に糞をされるのはお約束です。
絶対わざとだろとしか思えん。


乾燥系の種であればそれ以外は特に気にすることは無いが、湿潤系の種、それも樹上性の種の場合は湿度も重要である。
特に鮮やかな体色で観賞価値も高いとされる種の場合、乾燥させると色が褪せてしまうのだ。
湿度に無頓着な飼い主に、イヌやネコと同じように扱われているモニターなどは、無残なほど色が褪せて皮膚もガサガサになっていたりする。
その種の特性も理解せずに、その種の本来の魅力を損なうような飼い方をするような飼い主は、爬虫類飼育界隈では下の下とされる。


幸い、現在では樹上性爬虫類飼育用の、人工霧発生装置が市販されている。
なのでこれを導入しよう。
家の環境にもよるが、1日に2~3回ほど霧を発生させれば、モニターの姿を美しく保てるだろう。


電気代が大変なことになるし、飼育部屋の環境もえらいことになるだろうが、モニターを飼うというのはそういうことである。


エサ


ベビーのうちは毎日食べるだけ与えていいが、成長しきったあとはエサを抑えないと、肥満して早死にする。
成体であれば一週間に一回で十分。

これまた初心者だと、哺乳類と同じような感覚で考えて、「いっぱい食べさせてあげないとかわいそう」などといって飽食させ、結果的に早死にさせることが多い。

エサの内容だが、ベビーのうちは昆虫(コオロギ、デュビア)をメインに、成長に伴ってピンクマウス・マウス・ヒヨコ・ヒナウズラなどにサイズアップしていく。
成体になって以降は、メインは鶏肉(レバーやハツ、スナギモ)、ワカサギ、ヒヨコ、ウズラ、鶏頭などにするといいだろう。
マウス・ラットは、ベビーのうちはいいが、脂肪分が多すぎるので成体になってからはあげないほうがいいと言われている。
海水魚も避けたほうがいい。
また、外国製のモニター用の人工飼料も市販されているので試してみるといいだろう。


慣らせ方


まずそもそも、個体の持っている資質によるものも大きい。
ベビーのうちから、人間を怖がって逃げたり隠れたりするような個体は、そのまま成長するととても扱いにくくなるので購入を避けたほうがい(爬虫類において、「荒い」は「臆病」と同義である)。
むしろ人間を見ると興味津々で近寄ってくるような個体のほうが育てやすい。

後は、「こまめにハンドリングすること」。これが基本である。
エサをあげる前にハンドリングする習慣をつけておくと、
「触られる=エサをもらえる」
と記憶するので、人間の手を警戒しなくなるだろう。

あとは、つかず離れず、ほどよい距離感を維持すること。
何度も言うが、犬やネコとは違うので、過剰にベタベタするのは逆効果。
爬虫類において「慣れる」とは、

「なんか知らんが、こいつは俺に危害を加える存在ではないようだ」

と学習してもらえるということである。
誠心誠意世話をするのはもちろんだが、過干渉になってもいけない。
道のりは険しいが、ベタ慣れ個体を目指して頑張ってほしい。


飼育されている主なモニター


アフリカ産


  • サバンナモニター

誰に聞いても「初心者向けモニター」として名前の挙がる、大型肉食爬虫類飼育の入門種。別名サバンナオオトカゲ。
毎年春から初夏にかけて、FH(ファームハッチ。野外で採集した卵を人為的に孵化させた個体)のベビーが大量に流通する。
もっとも安価なモニターでもあり、おそらく最も飼育個体の多いモニター。

「爬虫類飼育の経験はないんだけどモニターを飼ってみたい」という人は、迷わず本種から飼おう
本種が飼えても他のモニターが飼えるわけではないが、本種が飼えなければ他のモニターは絶対飼えない。
本種でモニター飼育の基礎を身に着けてから、他のモニター飼育に向かっても遅くはない。

サイトによっては「最大体長120センチ」などと書かれていることがあるが、これはアフリカンロックモニターと混同されたデータだろうと言われている。
実際には、80センチにもなれば十分大型の部類。100センチを超えるものは稀。
平均的には60~70センチ程度である。

極めて慣れやすいモニターで、ベビーから飼っていればよほどのことが無い限り飼い主に慣れる。
そういう意味でも初心者向け。
だが、それ故にコンパニオンアニマル扱いされ、服を着せられたりリードで散歩されたりといった不適切な飼い方をされがちなモニターでもある。
初心者向けとされる種ゆえの悲劇か。

上級者には「初心者向け」と軽視され、初心者には不適切な飼い方をされがちと、何気に不憫な種でもある。
ちゃんと飼えばかなり魅力的な種だし、頑張れば繁殖にもチャレンジできる種なのだが。


  • アフリカンロックモニター

上記のように、昔はサバンナモニターと混同されていたとされるモニター。
こっちのほうが遥かに巨大で、力も強い。
「ノドジロオオトカゲ」と呼ばれる個体群と、「ノドグロオオトカゲ」と言われる個体群がいる。

特にベビーの時は、一見見分けがつかないくらいサバンナにそっくり。
成長するとがっしりした体格に、高さのある頭部をした、まさに「恐竜」という感じの風貌になる。
決して安価ではないし、どちらかといえば荒い個体の多い上級者向けの種だが、根強いファンの多い種である。


  • ナイルモニター

別名ナイルオオトカゲ。
初めて学名にMonitorの語が与えられた元祖モニターみたいなものだがその実態はモニター飼育界における大問題児。グリーンイグアナやケヅメリクガメ、かつてのスッポンモドキに相当する種。

本種は、おそらく本項目に名前のある中で最も飼育に向かないモニターである。
というのも、どうやっても人に慣れないのだ。
これで小型種ならともかく、本種は180センチに近くなることもある大型種。
こんな大きさの、人に慣れないよく暴れる荒いトカゲが家の中にいることを想像してほしい。
ほぼ猛獣といっていい。

それでも爬虫類飼育者というのは変態なので、

「俺はナイルが好きだ。誰がなんと言おうがナイルが飼いたいんだ」

というド変態な愛好家が一定数いる。

そういう本当に好きな人たちだけが飼うのであれば問題も無いだろうが、何が問題かというと、本種はサバンナモニターの次に安価で大量に流通する種なのである。
なまじベビーは綺麗なので、安易に衝動買いしてしまう初心者が後を絶たない。
しかし、上記の通り、初心者の手におえるトカゲではない。
ベビーが大量に流通しているわりには、成体を飼っている人がほとんどおらず、ショップに下取りに出されることもあまりないというのが爬虫類飼育界七不思議として挙げられる。
おそらく、あまりに扱いにくいがために、ほとんどの飼育者が飼育を放棄して死なせているのだと思われる。

本当にどうしても、どうしてもどうしてもナイルモニターが飼いたい!!という人だけがどうぞ。

ちなみに、アメリカのフロリダでは帰化しており、ネコなんかを食べているらしい。


アジア産


  • サルバトールモニター

別名ミズオオトカゲ。
150センチ~250センチにもなる超大型種。
しかし、サバンナほどではないが人に慣れやすい種であり、大きさを別にすれば初心者でも飼いやすい種である。
動画共有サイトの爬虫類チャンネルでは、よくベタ慣れの個体が人気になっている。

ただし、あそこまでベタ慣れになるのはあくまで例外と思っておこう。
それどころか、個体によっては全く慣れない子もいる。
ある意味バクチであるが、何しろ大型種なので覚悟を決めて飼おう。

そして脱走ニュースの常連。
本当に頭がいいので、決して脱走経路を作らないように。
飼育部屋は窓を開けないのは基本である。

魅力の一つは、とても亜種・個体群が多いこと。
ジャワ島産などは安価だが、カミンギィと呼ばれる鮮やかな黄色い個体群や、パルモニターと呼ばれる美しい模様のある個体群などは人気が高く、高価で取引される。
また、孤島産の個体群はそれぞれ独特の特徴がある上に、あまり大きくならないという長所がある。
ある意味コレクション性もある種だが、本種をコレクションできるのは相当広い家に住んでいる人であろう。
また、個体群によっては一回入荷してそれっきりということも多いので、気に入ったらゲットしないと二度と手に入らない場合も。
色々と奥が深いモニター。


  • イエローヘッドモニター

別名コガネオオトカゲ。卑しかトカゲばい。
その名の通り、頭部から背中にかけてが鮮やかな黄色。
荒い個体もいるにはいるが、多くの個体は慣れやすくて扱いやすい。
大きさも80センチ前後と手ごろ。
値段は高めだが、「サバンナの次のモニター」としてオススメできるモニター。


  • マングローブモニター

中型の樹上性モニター。
特にクセは無くて飼いやすく、サルバトールと同じく個体群の細かい違いを愉しむこともできるのだが、
サルバトールやイエローヘッドの影に隠れがちであまり日の当たらない不遇なモニター。


  • ツリーモニター

別名ホソオオトカゲ。
ブラックツリーモニター、エメラルドツリーモニター、コバルトツリーモニターなどがいる。
名前の通り樹上性で、いずれも極めて体色が美しいのが特徴。
特にコバルトツリーモニターは、全身が鮮やかなブルーという、爬虫類としては他にほとんど類例のない体色である。
日本に初めて写真が紹介された時は、

こんな色のトカゲがいるわけがない!! 写真に加工しただろ!!

と言われ、実物が輸入された後も

ペンキで色を塗っただろ!!

と、その存在自体をなかなか信じてもらえなかった。

このグループは、とにかくその美しい体色をどう維持するかが飼育の全てである。
しっかり湿度を維持して、色が褪せないように頑張ろう。


  • グールドモニター

模様から「ヒャクメオオトカゲ」という怖い別名がある。
ミーアキャットのように、二本足で立ち上がって周囲を見渡すという習性があり、まさに「モニター」(観察者)の名にふさわしい。

少し前までは「性格は荒い」と書かれていることがあったが、最近では「そんなに荒くない」と言われることが多い。


オーストラリア産


  • リッジテールモニター

別名トゲオオオトカゲ。
モニターの中でも小型の「ドワーフモニター」と呼ばれるものの代表種。
頭胴長は30センチほどで、90センチのケージで十分飼える。

小さいながらも活発に動いて、飼育者を飽きさせない。
わりと慣れやすく、繁殖も狙える。
なにしろオーストラリア産の爬虫類故に、流通するのはCB個体のみなので*1、初心者でも比較的飼いやすいトカゲである。
オーストラリア産爬虫類の例に漏れず高価だが、それだけの価値はある良トカゲ。


その他


  • ボルネオミミナシオオトカゲ

オオトカゲ属ではなく、近縁だが別の科。
一見すると、ゴーヤというか、ブサイクにしたオオサンショウウオというか、興味ない人は「なんじゃこりゃ?」と思うであろう変な姿をした半水生のトカゲ。
しかし、日本の爬虫類飼育文化史上に残る騒動をもたらした伝説的な種である。

本種は図鑑には昔から載っていたが、実物はほとんど出回らず、動物園ですら見ることのできない幻のトカゲとして、爬虫類飼育者の憧れの的であった。
2010年代に入って、日本人が生息地を発見して輸入に成功。
爬虫類飼育専門誌「ビバリウムガイド」で生きた個体の写真が取り上げられたことで、マニアは大歓喜することになった。
大げさに言えば、「ツチノコの実物が発見された」並みの衝撃だったのである。
さらにその後、静岡県の爬虫類専門動物園「izoo」で飼育展示が開始され、マニアは取るものもとりあえず詰めかけた。
そして2014年になって、世界初の飼育下人工繁殖という快挙を成し遂げた。
長らく爬虫類飼育技術では他国の後塵を拝していた日本が一矢報いた瞬間であった。

そして……サイテスにも登録されて国際的ルールが整い、ついに商業流通が開始。
百万円に近いような、興味が無い人からすれば「なんでこんな動物にそんな金を……」と思われるような値段が付けられるも、購入希望者は殺到した。
飼育難易度は高いようで、ミミズしか食べないとされる。
現在でもたまに入荷する他、たまに飼いこみ個体が市場に出ることもある。
「死ぬまでに一度は飼いたい」と夢見ているマニアは数多い。



追記・修正はボルネオミミナシオオトカゲの個人での繁殖に成功してからお願いします。


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最終更新:2024年04月05日 11:54

*1 オーストラリアは自国の野生動物の商業目的の輸出を一切認めないので、オーストラリア産の爬虫類で流通しているのは、各国の動物園などで殖えた個体が民間に払い下げられたものの子孫などである