テルの矢は決して林檎に届かない

登録日:2009/11/16(月) 01:02:47
更新日:2023/05/26 Fri 03:51:11
所要時間:約 3 分で読めます




ウィリアム・テルの矢は決して林檎に届かない。
The paradox of"tell and apple"


射撃点から目的点までの距離の中間に中間点Aを設定する。
矢が目的点に到達するには必ず中間点Aを経由しなければならない。そして射撃点より中間点Aの間に更に、中間点Bを置く。
中間点Aに到達するには中間点Bを経由しなければならない。
中間点の間には距離があり、それを移動するには時間がかかる
もし射撃点とBの間に中間点Cがあったなら?更にその間にD、E、F……と無数の中間点を設置すれば?


テルの矢は決して林檎に到達しないだろう。
…ま、実際は収束するから届きますけど。
(思考実験、アキレスと亀を参照)




ニトロより発売された『装甲悪鬼村正-FullMetalDaemon MURAMASA-』のヒロイン大鳥香奈枝(通称・雑魚)が贋作弓聖劔冑ウィリアム・バロウズに搭乗し使用する陰義。

発動の際の決め台詞は「ゲェッハハハハハァァ――ッ!!」

上記の背理論を骨子に発射した弩矢の無数の中間点にて矢の進路を任意に変更させることが可能。
つまり一度発射した矢の軌道を自由に操作し必ず目標を貫く事が出来る。

分かりやすく図で説明すると

   的
   |
   |
   x
   |
   |
   発

発射点(発)と中間点(x)を通る直線上にターゲット(的)があるとする。

      的
   |
   |
   A
   |
   |
   発

矢(A)が中間点に差し掛かった時点で的のターゲットの位置が動いてるならば

      的
     /
    /
   A
  /
 /

このように、ターゲットと矢を通る直線上に再発射点(再)を設定し、
「矢は再発射点から放たれている」ということにすることで矢の軌道が変わるのである。
因みにこの陰義、再発射点の設定をするために因果律を捻じ曲げている。
……ぶっちゃけやってること自体は銀星号どころか金神の時間跳躍と同レベルである。

しかしこれは実現不可能な理論の基に構築された完全な欠陥技術でしかなかった。
何故なら剣冑で強化され放たれる弩矢の速度は銃弾すら凌ぐ。
これは言うなれば
肉眼で発射した拳銃の弾丸の軌跡と軌道を観測し把握し尚且つ進路上の中間点を認識し干渉しろ、と言うのに等しい。
(劒冑でいろいろ肉体強化されているとはいえ、仕手の強化にも限界はある)
当然人間には不可能な条件が付加されたバロウズは理屈倒れの駄作と評される。
だが、大鳥香奈枝(雑魚)は物理上不可能なこの陰義を二つの特性をもって可能とする。
一つは香奈枝(雑魚)の「人の生を自らの手で寇略するのは最高の悦楽」とする快楽殺人嗜好からくる異常な集中力。
人の死にエクスタシーを感じる彼女、それを見届ける為の執着は超常の域にある。

更に一つはより単純な肉体的特長、メインヒロイン大鳥香奈枝(雑魚)は生まれつき昆虫類と同じ

複眼なのだ。

昆虫が外敵から身を守る為広角な視界と動くものに対する鋭敏な認識を複眼で獲得したように、彼女も自身の快楽の為にその特性を生かした。

この二つの特性によりあらゆる標的を逃さず追い詰め、貫きうる魔弾は完成するのだ。

なお、この複眼は演出の類ではなく実際の畸形であるとのこと。
彼女が常時糸目なのもそれを悟られないようにするという意図があった。

複眼、ゲェーハハハハ!…仮にもメインヒロインが使用する技とは思えないが、そこはニトロ。
もう一人のヒロイン、綾弥一条が肋骨ムキだしたり腸をブチまけたり肉爆弾を撃ったりとはっちゃけるのに比べたらまだ大人しい。
まるで問題にはならない。

※)大鳥香奈枝が雑魚と言われるのは同ライター奈良原の前作である『刃鳴散らす』の登場人物である渡四郎兵衛(雑魚)との共通点が多い為。
=主に糸目から

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最終更新:2023年05月26日 03:51