重騎(都市シリーズ)

登録日:2011/08/26(金) 13:35:16
更新日:2024/03/17 Sun 13:22:26
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重騎とは、川上稔著<都市シリーズ>に登場する人型機械である。
初登場は同シリーズ第五作『閉鎖都市:巴里』
以後『機甲都市:伯林』『電詞都市:DT(コクピット部分のみ)』、そしてAHEADシリーズ『終わりのクロニクル』にて重騎の前身となる“武神”が登場する。


重騎を初めとする騎の誕生は、自動人形と共に氏の作品における時間軸の内、<都市シリーズ>の時間軸となるCITYよりも遥か以前のEDGE時代だと言われているが、EDGEを描くウェブ作品『神々のいない星で』時点でも武神が登場しているので、詳しくは不明。


特徴
○騎(英:バレル/仏:アパレイユ)には主に軽騎、中騎、重騎の三つがあるが、その中でも重騎は一線を画す能力を持っている。
乗り手たる重騎師(英:ナイトストライカー/仏:ルール・デ・エクリヴァン/独:パンツァー・カバリエ)と機体にもよるが、

  • 音速超過での戦闘機動可能
  • 搭乗者の反射速度を数十から百数十倍まで加速させ、超人的な戦術判断力を与える
  • 戦艦からの砲撃を、斬撃武装を振るった衝撃波だけで相殺
  • 《凌駕紋章》(後述)による機体強化をもって、陸上兵器であるにもかかわらず飛行可能。さらにその場で機構を変化させる


その力は正に“破格”の一言であり、その精度、運動性能は軽騎、中騎などとは比較にならない。型落ちした旧型重騎ですら重装備を施した最新鋭中騎を圧倒するほど騎体性能に隔たりがある。(この格差を埋めるために軽騎・中騎は量産可能となっている、とまで言われている)


ロボット物でいえば『高性能ワンオフ機』の立ち位置であり、その過剰なまでの高性能は『重騎こそが上陸戦闘の旗印であり、その旗印が倒されぬために最新技術を投入する必要がある』ためである。

騎に関する技術の全てはまず重騎を実験場として作られ、その成果もまた重騎に用いられる。

当然ながら凄まじい性能に比例するようにコストは高く、また職人による手作りで全てが構成されるため兵器としての生産性は皆無。量産されても10騎として同じものは作られない。

しかし生産性の無さと扱いの難しさでは時代の変化に対応できず、様々な新型兵器の投入により『英雄でもない者が、大量殺戮を行えるようになった』第一次大戦時には もはや第一線の戦力(1943年時点)にはなりえず、主力兵器の座を航空機や戦車に譲ることになる。
とはいえその存在感・旗印として兵士の士気向上の役割は健在であり、各国いずれも新型の開発に余念が無い。

余談になるが、独逸製の重騎は「赤獅子」以降、一部の例外を除きその名を「○獅子」という感じに統一されている。
これは遥かな昔、独逸を救った「救世者」のシンボルが竜と獅子だからである(竜に関しては、主に航空戦艦に使われている)。


○搭乗
重騎師は『書斎』と呼ばれるコクピットに入り、その中で遺伝詞分解され、微細な伝導版や管を伝って“騎体そのもの”と合一する。これは「記乗(英:ライトブリング/仏:レクリア/独:シュレイブン)」と呼ばれる。
この時、不純物となる余計な物質の遺伝詞を持ち込まぬため搭乗者は裸となり、また『騎と一体となる』ことをイメージしなければならない。
これに成功すると、搭乗者の感覚は全て騎体と直結され、人間では有り得ない『天と地を同時に見ること』も可能となる。
その天と地を同時に手中に収める感覚は、力を持ち人々を守ることを義務とする重騎師にとって最大の自由とされ、それをモチーフとした詩が存在する。
但し「重騎師と機体が一体化する」というシステムのため、「記乗」終了後重騎師は重騎と同じダメージを負い、致命傷を受ければ重騎師も死ぬ
そして重騎が『書斎』をも破壊される様な致命的損傷を負った場合、重騎師の体すら復元されず、死亡したと判定される
一応『書斎』が壊れても重騎自体は修復すれば別な重騎師が「記乗」出来るが、重騎師の亡骸は戻らないのだ…。


○超過駆動(英:フルドライヴ 仏:エクシード・トラクション)

――敵戦力に対応するために全兵装・全能力を超過駆動開始(フルバレル・オープン)。迎撃します。

リミッター解除。装甲や間接部に余裕を待たせ、出力上限をカット。より重騎師の遺志通りに騎体を動かせるようにした状態。

日頃使いやすいようにと抑え込んでいるものを解放させることになるので、搭乗者は常に強い意志を持ってこれを御さねばならないため重騎師の中でも特に優秀な者だけが行える。


○《凌駕紋章》(英・独:オーバーエンブレム 仏:エクシード・アンブレム)
重騎最大にして最強の武器。搭乗者の強大な意思に反応し、周囲を巻き込んで騎体を変質させる(騎体は機械から人に近い構造となる)。

完全展開できる重騎師は歴史に名を残すとまで言われるほど起動が難しく、可能な者でも大抵は騎体の一部のみが精々である。
その効果は強大無比。ある重騎などは装備していた剣を弾殻としたパイルバンカーをその場で作り出し、それをもって敵重騎を撃破。
またある重騎は己の装甲材などを“炎”に変質させ全長30ヤード(約27m)の炎の大剣を武器とした。

ただし個別展開ならまだしも、完全展開した場合には出力が軽く数十倍上昇するが同様に燃費も悪くなる。

この凌駕紋章は重騎の身体の遺伝詞構造を変化させるという(当時においては)画期的な兵器であったため発展や変化を繰り返しながら、機甲紋章や紋章型戦闘弾など、後代の兵器にも使用されている。

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最終更新:2024年03月17日 13:22