アイアンコング(ゾイド)

登録日:2010/02/17 Wed 06:10:47
更新日:2024/04/06 Sat 20:36:37
所要時間:約 15 分で読めます




タカラトミーの『ゾイド -ZOIDS-』に登場する巨大ゾイド。


形式番号
EPZ-002(ゼネバス帝国)
EZ-015(ガイロス帝国)

所属 ゼネバス帝国・ガイロス帝国
分類 ゴリラ
全長 11.5m
全高 17.7m
全幅 13.1m
重量 187.0t
最高速度 150km/h

武装(旧)
6連装大型ミサイルランチャー
ミサイルポッド
長射程対地ミサイル×2
補助エネルギータンク
大型レーザー・サーチライト

武装(新)
TVM地対地2連装戦術ミサイル
10連発自己誘導ロケット弾ランチャー
対ゾイド6連装ミサイルランチャー
アイアンハンマーナックル×2
複合センサーユニット


【開発経緯】

かつてデルポイ大陸西部に割拠したゼネバス帝国が開発した、ゴリラ型ベースの大型ゾイド。

ゼネバス帝国は長らくレッドホーンを最大のゾイドとしていた。
しかしいくら重装甲・重武装のレッドホーンとは言え、ゴルドスやマンモスはともかく、ゴジュラスの圧倒的なパワーとタフネスにはまるで歯が立たず、戦力比にして3:1と劣勢を強いられていた。
そこで、ゴジュラスの猛威を抑え込むために開発されたのがアイアンコングである。

その本懐は格闘戦能力にあるが、ゴリラ型ゆえの地形適応能力によって戦場を選ばない運用性能を誇る。
防御面では、全身を外装式の軽量かつ頑強なプロテクターで覆うことで、堅牢性を獲得。
また、ミサイルを三種類用意しており、これを連射する事でゴジュラスを撃破可能な砲撃能力を獲得した。
その特性から万能ゾイドとも称されており、ゴジュラスとは格闘戦能力で劣りつつも砲撃能力で勝り、戦力比にして1:1の互角となっている。

もう一つの特徴として、コックピットが複座式であることも挙げられる。
コックピット内部は広く設計されているうえに、パイロット二人が横並びで座る。
操縦士と砲撃手に分担するのが基本なのだが、戦闘員と司令官に分担して指揮管制能力を高めるなどの方法もあった。
ちなみに、切り替えで単座にもできる。
加えて、大パワーの大型ゾイドでありながら、野生体の気性が穏やかなほうであった*1ため、素直な操縦ができた。

パワーでこそゴジュラスには一歩を譲るものの、防御力や操縦性では大きく上回り、そのほかのスペックも高水準にまとまっている。
完成度の高さにおいては全ゾイド中でもトップクラスであり、のちのガイロス帝国では「最高傑作」とまで評せられた。


【活躍】

完成したアイアンコングは、ゼネバス帝国にとって機体の新星であり、なんと150機が勢ぞろいするのを待ってから悠々と進攻を開始。
その威容を目撃したヘリック共和国の兵士は「山が動いた!?」と驚愕したと伝わる。
進撃を妨害しようとする共和国の群小ゾイドを片っ端から撃破したが、
この過程で共和国の誇る最大最強の空戦ゾイド・サラマンダーを撃墜したり、同じく共和国の誇る電子戦ゾイド・ゴルドスを奇襲攻撃で撃破するなど、極端なまでの汎用性を存分に見せつける。

これらの事態に、共和国も対抗できるのはゴジュラスだけと早々に判断。
総勢200機ものゴジュラスを大陸全土からかき集め、一丸になって突撃させた。

ところがアイアンコングは、ミサイルの一斉射撃で迎撃。雨のようなミサイルの猛攻で、数多くのゴジュラスを粉砕した
しかしゴジュラスもさるもので、その爆発をタフネスだけで突破。ミサイルを撃ち尽くしたコングたちに襲い掛かった。
当然コングも迎え撃ったのだが、ゴジュラスのパワーは消耗してなおコングを上回るもので、ゴジュラスに腕を食いちぎられるなどして苦戦。
ついにはコング部隊は敗退し、帝国領に引き上げることとなった。

ところが、戦闘が終わればアイアンコングの損失100機に対しゴジュラスの損害140という結果になり、相手よりも多い数で挑んだゴジュラスの方がはるかに大きな被害を出した。
戦略的には防衛に成功したゴジュラスの勝ちだが、戦術面ではコングの完勝であり、これはゴジュラスの無敵時代の終焉となる。


もっとも、アイアンコングにとってはやはりゴジュラスは容易ならぬ敵であることを再確認することにもなった。

そして、ある意味で当然の帰結ではあるが、共和国はアイアンコングを打ち負かすべくゴジュラスの再強化に着手。
長射程・大口径のバスターキャノンを搭載したゴジュラスMk-Ⅱを開発し、同じ土俵に立ってしまった。
コングのミサイルとほぼ同等の射程と、コングの装甲を粉砕する威力を確保したゴジュラスは、かつての劣勢を覆して再びコングの強敵として復帰した。

また、そのゴジュラスの強化に先立ち、ヘリック共和国はコング以上のパワーと装甲を備えたウルトラザウルスを開発。
ゴジュラス打破に喜ぶ暇もなく、コング以上の尖りっぷりを見せたウルトラザウルスの出現はゼネバス皇帝を憂鬱にさせたという。

結局、アイアンコングは「ゴジュラスの無敵時代」は終わらせたものの、「コングの無敵時代」を築くことはついにできなかったのである。


その後、ゼネバス帝国はゴジュラスもウルトラザウルスも上回るデスザウラーの開発に尽力する。
しかしコングが依然として優秀な機体であることは変わりなく、さまざまな局面でそのパワーを存分に発揮し、ゼネバス帝国やのちのガイロス帝国の戦線を大いに支えた。

惑星大異変にも、大型ゾイドでありながら数を減らすことなく生き延び、第二次大戦期にはまとまった数が参戦。
ライバルであったゴジュラスが絶滅寸前にまで数を減らしてしまったため、数と質の差で共和国軍に大きな格差をつけることになった。

実際にコングは多くの戦場で姿を見せており、最終局面のクーデターではコング同士の激闘も多くみられている。



【バリエーション一覧】


  • アイアンコングMk-Ⅱ
ただでさえ火力の高いコングを、さらにパワーアップさせた機体。
対ウルトラザウルス戦用の機体であるが、予算とスケジュールの都合から完全新規で開発できなかったことから、イエティコングやスペースコングのデータをベースに改修して作られた。

ベースがミサイル主体であったのをビーム兵器主体に改造しており、肩に搭載したビームランチャーが最大の特徴。
加えて、背面には大型スラスターを搭載することで機動力と格闘戦時における瞬発力を、左肩にはセンサーを搭載することで索敵能力を大幅に引き上げている。
全身が赤色に塗装されている。

雪の中に長時間潜伏してウルトラザウルスを奇襲するというすさまじい登場をした。
そのまま圧倒的な機動力と攻撃力でウルトラザウルスを行動不能にし、迎撃に現れたゴジュラスMk-Ⅱにも互角以上に戦ったが惜敗する。
ちなみに一人乗りらしい。


  • アイアンコングMk-Ⅱ 量産型
限定型からビームランチャーとAZ対空ミサイルを排除した廉価版。
ベース機と比べるとスラスターと索敵装置を搭載したとも言える。
なお、このタイプを「Mk-Ⅱ 量産型」と称したため、元のMk-Ⅱが「限定型」と呼称された。


  • 塔の上の悪魔
一時ゼネバス帝国が占領したヘリック共和国首都。そこに設置された巨大な塔に、アイアンコングを展開していた。
塔の上という地の利を生かしたコングの迎撃能力は圧倒的で、共和国はマッドサンダーによるゴリ押しでなければ突破できなかった。


  • ブロンズコング
ゼネバス皇帝の親衛隊というかなんというか、完全自動操縦機。後のスリーパーの走りかもしれない。
普段は帝国首都の銅像に見せかけて侵入した敵をやり過ごし、後方の本隊が接近したところで動き出して本営を奇襲、一気に逆転する。


  • ブラックコング
当時「暗黒軍」と呼ばれていたガイロス帝国が接収し、改造を施したアイアンコング。
黒い機体カラーに、ところどころに緑のアクセントが加わっているほか、実験機らしくチューブ類が各所に備わっている。
このカラーはデッド・ボーダーやダークホーンなど、当時のディオハルコン搭載ゾイドにみられる特徴であり、このコングもおそらくディオハルコンを使用している。

その正体はビーム・スマッシャーの実験機。使用時には腕を左右に開き、掌の間から巨大な光輪を形成して発射する。
まだ試作品ではあるがシールドライガーを一撃で真っ二つに両断し、電磁バリアを張ったガンブラスターにもダメージを与えたが、後者に関してはバリア発生装置を破壊しただけで一刀両断とはいかず、直後に黄金砲で返り討ちにされて敗北。
だが、本機のデータがのちに恐怖の魔獣を生み出す事となる。


  • アクアコング
海戦用に改造されたコングで、単独での潜水も可能。
雑誌連載のバトルストーリーではブラックコングの名前で登場した。
暗黒大陸にマッドサンダーを始めとしたゾイドを運ぶ輸送船を襲撃し、甲板で警備していたアロザウラーとシールドライガーを破壊。
航行能力を奪うためにスクリュー破壊を敢行し、阻止しようとしたウルトラザウルスを水中銃の一発で破壊。
船内に侵入するが、棍棒を装備したゴジュラスに羽交い締めにされてマッドサンダーのマグネーザーに貫かれそうになる。
そこで最後の手段として自爆を敢行、自身の命と引き換えに輸送船をゾイド諸共焼き尽くした。


  • デビルコング
パワーは5倍、防御力は3倍に強化されたコング。
工場の警備をしており、侵入したゴッドカイザーとオルディオスと交戦。
TFゾイドと合体した両機の集中砲火を受けて撃破された。


  • ゴールドコング
ノーマル機の3倍の性能に強化されたコング。
ガイロス帝国の首都を防衛していたが、乗り込んできた相手が悪すぎたために一瞬で蹴散らされた。


通称アイアンコングPK、PKコング。赤いカラーリングから「ブラッディコング」とも呼ばれる。
ガイロス帝国摂政ギュンター・プロイツェンが管理する、皇帝親衛隊所属の機体。
正確には「皇帝ルドルフの親衛隊」なのだが、プロイツェンが摂政として宮廷も掌握しているため、実質はプロイツェンの私兵となっている。
政治工作により逮捕特権も有していたため、帝国の高級閣僚・高級官僚にとっては敵よりも恐れられたとのこと。「ブラッディコング」の名は、色もそうだがそうした政治的な血なまぐささを反映したものでもある。

武装や基本カラーはMk-Ⅱ限定型と同じだが、蜂のパーソナルマークが施されている。
エンジン部も強化が施され、ビーム兵器の出力向上、スピードのさらなるアップを達成した。
かつてのMk-Ⅱ限定型以上のパワーアップを果たしたのだが、ライバルであったゴジュラスMk-Ⅱはそれ以上のパワーアップを果たしており、その真の力の前にゴミのように引き裂かれてしまった。

その後、プロイツェンのクーデターにも参戦。
お飾り兵士の乗るアイアンコングを瞬殺したり、逆襲に転じたアイアンコングイエティと激しく殴り合ったりと奮戦したのち、全機が凄絶な最期を遂げる。

アニメ二期の『ZOIDS新世紀/0』では「ピーケー型」と呼称されていたが、プロイツェンがいない世界で何を意味するのかは不明。
これに乗ったハリー・チャンプはビット・クラウドライガーゼロと互角に渡り合った。


  • アイアンコング SS
ガイロス帝国軍の将校、カール・リヒテン・シュバルツ中佐の専用機。「SS」は「シュバルツスペシャル」の略。
肩のミサイルランチャーをダークホーンなどに搭載されているガトリング砲に、背中のミサイルをレッドホーン系のリニアキャノンに変更した。
また、胸や肩の一部パーツが赤い強化装甲に換装されており、防御力も引き上げられている。
なお、バトストではシュバルツ専用機ではなく、シュバルツ機とまったく同じ武装・カラーの機体が、少なくとも二体確認されている。
一体はウルトラザウルスの1200mm砲弾により消滅。一体はレニー・K・シルヴェスター大尉の乗機で、バーサークフューラーに破壊された。

アニメでは第二期から武装が変更。Mk-Ⅱ限定型の物になった。実際にトーマから「アイアンコングMk-Ⅱ」と呼ばれている。
ただし装甲のカラーリングは元のまま。
また、装甲とカラーはノーマル機のままだが、武装だけがシュバルツ機と同じガトリング砲を搭載したタイプも存在する。


  • アイアンコング イエティ
寒冷地仕様の白いコング。
武装は基本的にMk-Ⅱ量産型に準じるが、初登場の『妄想戦記』では右肩の6連装ミサイルランチャーをビームガトリングガンに換装している。
PK師団反乱時の帝都ヴァルハラは極寒の時期だったため、ヘリック&ガイロス連合軍はおろかネオゼネバス軍も含めたほとんどのゾイドが寒さに苦戦する中、イエティは万全の状態で行動できた数少ないゾイドであり*2、本来なら格上であるはずのアイアンコングPKを殴り飛ばすなどして奮戦した。


  • 捕獲用アイアンコング
ZOIDS2 〜ヘリック共和国VSガイロス帝国〜』のオリジナルアイアンコング。
背中のミサイルをゾイド捕獲用ユニットに変更した。これにより、敵の大型ゾイドも捕獲できるようになった(捕獲出来るのは捕獲用ゾイドと同サイズ以下の機体のみ。ただし、ゲームシステムの関係上、隊長機のみ捕獲不可)。


  • ブレードコング
機獣新世紀ゾイド-ZOIDS- 邪神復活!~ジェノブレイカー編~』に登場。
フォレストと同じく読者応募によって誕生したオリジナルゾイドであり、アイアンコングの最終形態とされている。
機体は赤色で、全身を強靭な刃物(ブレード)で武装している。
パワーが非常に高い。


通称「小型コング」。
詳細は当該項目に譲るが、本機のコアはアイアンコングのコアの幼体をクローニングしたものである。


  • ゴーレム
ゴリラ型の24(ツーフォー)ゾイド。
キットはアイアンコングと同じサイズであるが、こちらは1/24サイズであるため、設定ではハンマーロックよりも小さい。
見た目がスコープドッグっぽい。


  • シルバーコング/アタックコング
ゴリラ型のコマンドゾイド。
ゴーレムよりも更に小型であり、コマンドゾイドの特徴である「パイロットが見え見え」の状態であるせいか、人を頭の上に乗せたゴリラに見える。
ガシャポンでの期間限定販売であり、販売当時はアタックコングと呼称されていた。

  • アイアンコング エヴォルツォーネ
2002年の東京おもちゃショーで初お披露目されたゾイド。
初のラジコン操作出来るゾイドで、大きさはあのキングゴジュラスを上回る。
バトルストーリーではゴジュラスギガに対抗するための機体として登場する予定だったが、未塗装の試作品が作られただけで結局発売はされず、本当の意味での幻のゾイドとなった。


ちなみに発売当時はゴジュラスと並ぶ人気機体で、小学生の財力では入手が難しい部類にもかかわらずかなり持っていた人がいた。
現在でもかなりのプレミア価格がついていたりする。


近年はコトブキヤからハイエンド・マスターモデル(HMM)が登場。
すさまじいプレイバリューや開く顎などが話題となった。




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最終更新:2024年04月06日 20:36

*1 多くのゾイドは、パワーの大きさと気性の荒さが比例する。

*2 HMMの説明では「唯一万全の状態で戦えたゾイド」とされるが、『公式ファンブック4』ではゾイドマンモスやケーニッヒウルフといった寒冷地戦を得意とするゾイドが散見される。