地獄の使者たち

登録日:2010/07/14 Wed 22:01:49
更新日:2023/11/11 Sat 10:37:15
所要時間:約 4 分で読めます




※WARNING※
この項目はホモエロネタです。
耐性のない方、18歳未満の方、「いくらなんでも部隊全員ホモなんてそれ基準で選んでるとしか思えない」と考えてしまうノンケは、今すぐブラウザバックしてください。





山川純一のホモ漫画。初出は『薔薇族』1983年7月号。
単行本未収録だったが、復刻された『ウホッ!! いい男たち~ヤマジュン・パーフェクト』に収録されている。
先に言っておくがこの漫画、重さは『くそみそテクニック』の比ではない。というかくそみそがギャグ寄りでコミカルということ自体がホモ漫画の異端なのだ。*1



■あらすじ

時は昭和20年8月、日本軍最前戦地のとある島。
連合軍基地で、捕虜となってしまった日本兵・小早川大尉とその部下である嶋本は互いに愛し合っていた。
しかし、熱いキスを交わしていたところを米兵に見られホモである事がバレてしまう。

その後2人は連合軍副官のバリグザー大尉から日本の敗戦、そして連合軍帰還の前夜祭で司令官のバゥアーズ大佐が二人のホモセックスを見たいと所望している事を伝えられ、小早川は「冷酷非情なバゥアーズはきっと自分たちを殺すだろう」と予見。
嶋本は盗んで隠していたダイナマイトで復讐しようと提案するが、小早川は敵の武器を使ってまで生き延びたくないと拒否、新たな提案をする。


そして前夜祭当日、2人は司令官の前に連行され、まず余興として小早川が肛門でタバコを吸うという芸を見せた後、2人は本番を始める。
そのショーに興奮してきたバゥアーズはバリグザーに奉仕を要求し、部下たちもホモセックスに興じる中、小早川が肛門に挿入していたダイナマイトにタバコの火が点火。
最期の時が迫るなかでも、二人の深い愛は変わらなかった。

「あの世でまた逢おう」

「小早川大尉どの、愛しておりました…」


■登場人物

  • 小早川大尉(こばやかわたいい)
旧日本軍の陸軍将校で部隊長。28歳。
部下が作戦を無視して突っ込んだために嶋本以外全滅し、連合軍の捕虜となった。
誇り高い軍人気質な性格と、タバコを吹かせるファンタスティックな肛門、そしてダイナマイト1本を難なく隠しきれる直腸を持つ漢。

最期は爆発する直前のシーンで終わっているため、バゥアーズ達を道連れにできたのか、湿って不発だったのかは各自の想像に委ねられている。まあ不発だとしてもバゥアーズが心変わりしてない限りは消される運命であり、どのみち生還は絶望的なのだが……。

余談だが、旧日本軍において28歳で大尉というのは陸軍大学校出の超エリートであり、最前線地に出されることはまずない。もしかして性癖がバレて左遷させられたのだろうか。

【名セリフ】
「たとえ敵の手中にあろうとも、生きて最後の最後まで戦うのが日本男児というものだ」
「それにな、俺はお前と一緒ならどんなに辛くとも笑って耐えられるぞ」
「その前にタバコを一本喫わせてほしい」
「さあ嶋本、日本男児の心いきを見せてやろうぜ」
「どうやら導火線に火がついたらしい。肛門の中でダイナマイトが湿めなけりゃもうすぐ爆発する」
「嶋本よ、お前を愛していたよ。お前とめぐり逢えたことで、おれの二十八年の人生も悔いなく閉じることができる。あの世でまた逢おう」

  • 嶋本(しまもと)
旧日本軍の陸軍兵で小早川の部下。階級は不明。
小早川を愛しており、彼の提案や作戦を何も言わずに受け入れるほど信頼している。

【名セリフ】
「いいえ…いいえ、大尉どのと一緒なら…」
「小早川大尉どの、愛しておりました…」

  • バゥアーズ最高司令官
連合軍司令官で階級は大佐。カタコトスキンヘッド。
小早川らにホモセックスを強要させるが、自身もゲイであり、部隊の隊員も全員ゲイだったようだ。とても20世紀の話とは思えない。
事後の処刑を示唆する「最後の一服」を許可する辺り、本当に冷酷非情な性格で前夜祭後に2人を処刑しようと考えていたようだが、小早川に最後の一服を許してしまったのが運の尽き。

【名セリフ】
「ヤレ」
「クク…最後ノ一服ダ。喫ワセテヤレ」
「ハア…美シイ」

  • バリグザー大尉
バゥアーズの副官。流暢な日本語で、捕虜となった2人の通訳の役割をしていた。
前夜祭においてバゥアーズに名を呼ばれただけで服を脱いだ事から、バゥアーズとは恋人のような関係にあったと考えられる。
ちなみに服を脱ぐ際に指輪をはめているコマがあるため既婚者のようで、バリグザーはバイの可能性がある。相手がバゥアーズの可能性もあるが……
彼もなかなか2人のセックスを楽しそうに眺めている。

【名セリフ】
「バゥアーズ大佐はあなたがたのホモセックスを見たいと言っておられるのです」
「…………イエスサー」


■余談

ヤマジュン作品は『くそみそテクニック』のアップ後、次々と発掘&アップされていったが、単行本未収録作品の一部は、国立国会図書館収蔵の『薔薇族』本誌から発掘された。
その第一作が本作であり、それまでの作品とはあまりにも作風が異なっていたため、当時のネット民の衝撃はすさまじかったという。
(直前に発掘されたのが、ヤマジュン作品随一のさわやか&ハッピーエンドの『夏色転校生』であったことも一つの要因)
上述の通り、現在では復刊本に収録されているため、容易に読むことができる。

トリビアになるが、作中でも米兵が口にしているgay(ゲイ)という語は「明るい、陽気」(絵の具の「ゲイグリーン」はこれ由来)を意味するアメリカ英語で
原爆を投下した機体で有名な「エノラ・ゲイ」は「明るいエノラ」で機長の母親が由来のコールサインである。
gayが同性愛者を意味するスラングになったのは1970年代以降となる*2


さあWiki籠り。日本男児の追記・修正を見せてやろうぜ。

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最終更新:2023年11月11日 10:37

*1 そもそもゲイ漫画はたくましい筋肉、男らしい剛毛、劇画的なタッチとこれでもかというくらいの男臭さをシリアスな悲劇的ストーリーで演出するのが普通。ちなみにくそみそのイメージが強すぎるヤマジュンだが、そのくそみそ以外の作品はシリアス寄りが多い。超展開はヤマジュン流のエッセンスとしても、ストーリーは非常によく作り込まれているのでホモ漫画が平気ならぜひ一読あれ。

*2 元々娼婦などを恰好などから「ゲイレディ(gay lady)」と呼ぶことがあり(『ロンドン橋落ちた』も古い版だと「My fair lady.」が「With a gay Lady.」となっていたりする。)60年代頃までこれから転じて色事めいたイメージもあったものの同性限定ではなかった。ゲイを男性の同性愛に使うようになったのは男娼を意味する「ゲイボーイ」から転じたもの。